白銀荘の殺人鬼 [二階堂黎人]
雪の山荘、外界とは閉ざされた空間、そこに居る殺人鬼・・・
まさに定番中の定番を舞台に繰り広げられる事件。
主人公は多重人格の立川順一、あくまで彼はメインの人格なだけで、
「美奈子」が本作の主人公です。
スキー旅行で多くの殺人を行い、順一という人格を殺す、それが彼女たちの目的です。
あくまでも「美奈子」の視点で描かれるので、彼女以外の人格が出ているときは我々にも
その行為はわかりません。
しかし彼女以外の人格は彼女にメッセージを残しています。
それが我々にとっても事件を解く大きな鍵となっているんですが・・・
多くの伏線が張り巡らされ、そのエピローグを読んだときは思わず「あっ!」と思ってしまいました。
物語の核心であるトリックは他の作品でも見られますが、
それを見抜くことができるかどうか、それは我々読者に委ねられているわけです。
本当の真相を知ることが出来たのは実は殺人鬼でなく、読者だけ、なんですねえ。
読み応えある作品でした。
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