写楽・考~蓮丈那智フィールドファイルⅢ~ [北森鴻]
この巻では経理の狐目の男の名前が明らかに。
そして再び北森鴻の他シリーズキャラである宇佐見陶子が登場します。
どれも読み応えはあるのですが、僕個人のお気に入りは「棄神祭」
なぜ御厨家の当主善左衛門は過去に行われていた祭祀を復活させたのか。
この作品は民俗学の謎よりも、事件そのものの謎がこの祭祀復興に隠されている。
見立て殺人、というわけではありませんが、それに近い感触を受けました。
祭祀を復興させた本当の理由、それが明らかになることで事件の謎は明らかになります。
表題作である「写楽・考」
これはかなり異色な作品だなあと感じました。
というのも、物語の最後の最後まで、なぜ「写楽」なのか、その意味はわかりません。
あの、狐目の男・教務部主任高杉康文の「論文」で実は明らかになるわけですが・・・
実際にこの論理が正しいかどうか、それはわかりませんが、
この作品を読んで、比較してみたくなりました。
さて今後このシリーズはどう展開していくのか。
解説でも述べられていたように蓮丈那智シリーズ長編がいよいよか?
期待しっぱなしです。
写楽・考 (新潮文庫 き 24-3 蓮丈那智フィールドファイル 3)
- 作者: 北森 鴻
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/01
- メディア: 文庫
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