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稀覯人の不思議 [二階堂黎人]

水乃サトルシリーズ、学生編第3弾!
「奇跡島」、「宇宙神」に続く待望の第三弾ですねえ。
以下、ネタバレ。

本書はこれまでの学生編、ひいては水乃サトルシリーズとは一線を画した異色作といえるでしょう。
もちろん水乃サトルの相変わらずっぷりは(笑)健在ですが。
大きな違いは、学生編ではワトソン役ともいえるシオンが不在なのですね。
そして今回は手塚治虫をこよなく愛するサークル<大都会>のメンバーが登場し、
古本、特に稀覯本、ひいては希少本を巡る殺人事件にサトルは挑むことになります。

全編にわたって手塚治虫ファンにはたまらない一作と言っても過言ではありません。
多くの手塚作品、そして稀覯本、古書マニアなどなど・・・もうトリビアから
様々な知識が散りばめられています。

そこに古書をめぐる殺人が発生し、<大都会>メンバーであるサトルが登場するわけです。
ちなみに、このサトルは事件が起きた当初、どうやらゴムボートで日本海を横断している最中でした(笑
そして本書内でも語られますが、アノ奇跡島の事件に遭遇していたのです。
時系列から言うと、奇跡島→稀覯本→宇宙神となるんですかね。

本書のトリックは見事だと個人的には思いました。
「アリス・ミラー城」でも触れましたが、探偵が興味を抱く密室トリックを逆手に取った
ある種の心理トリックでサトルも見事に騙されてしまいました。
蓋をあけてみると「な~んだ」と思う方もいるかもしれませんが、
盲点をうまくついているなあと思います。

さて本書のエピローグでサトルが所属している、そして社会人編にも登場する馬田権之助警部補
も所属していた<警官制服愛好会>の初代会長が登場します(笑
なぜアノ人はサトルに非常に好意的だったのか?
その謎が解けるわけですね。

さて、二階堂さんのホームページによれば今年、来年と「智天使の不思議」、「仮面王の不思議」
と学生編が執筆されているようです。
タイトルからしてすでに楽しみなのでぜひぜひ早く読みたいものです。

ま、その前に黒田研二さんとの共作「キラーX」三部作最終作を文庫化してもらいたいんですけどねえ。


稀覯人の不思議 (光文社文庫 に 18-6)

稀覯人の不思議 (光文社文庫 に 18-6)

  • 作者: 二階堂 黎人
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/10/09
  • メディア: 文庫



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