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背の眼 [ミステリ]

2007年「シャドウ」で第7回本格ミステリ大賞受賞し、
2009年「カラスの親指―by rule of CROW's thumb」で第62回日本推理作家協会賞受賞した
道尾秀介さん。今乗りに乗っている作家さんの1人といっていいでしょう。
本書はそんな道尾氏のデビュー作であり、
第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞した作品。

作家の道尾秀介は福島県の白峠村を訪れていた。
村ではここ数年、児童の神隠し事件が起こっているという。
河原を散策していると、妙な声が聞こえてきた。
「レエ・・・オグロアラダ・・・ロゴ・・・」と・
そこは、神隠し事件で最初にいなくなった少年の切断された頭部だけが流れ着いた場所だった。
声の正体は殺された少年の霊の声なのか。そしてその言葉が意味するものとは?
彼はこの謎を解明してもらうため、霊現象を探求するかつての友人・真備庄介
に相談をもちかける・・・
自殺者の背中に写る眼とは何なのか?そして再び道尾が聞いた「ゴビラザ」とは
何を意味するのか?

ホラーとミステリを見事に融合させた作品ですね。
まあ若干長いのではと読む前は思っていたのですが、
意外にも物語に引き込まれ、一気に読み進みました。

本作ではホラー的な解決(つまりは霊現象としての解決)と
ミステリ的な解決(不可思議な謎を合理的に説明する)という
2つの解明がなされます。
もちろん、前者は解明と言うのは問題かもしれませんが、
そのあたりは「この世に不思議なことなどなにもない」とは
少し違いを出しているのかなと(笑

真備の亡くなった妻の事件が今後の鍵となるのかなと勝手に思ったり
したのですが、本作で彼の過去はあらかた明らかになります。
(ただ彼女と会うということは今後のシリーズにおいても描かれていくでしょうが)
もう少し謎を引っ張ってもよかったかなと思いました。

霊能力を持つ助手や霊視できる少年、さらには道尾自身も霊の声を聞いたりと
かなりホラーな部分が強調されるものの、
真備はホームズや御手洗タイプの探偵を彷彿とさせ、
(ただ感情を露わにしたりする描写などが見られ、性格はかなり異なるといえますが。)
道尾もワトソン役としての働きをしっかりこなすなど、
物語全体としてはミステリの王道ではないでしょうか。

個人的にはかなりおもしろく読めた作品で、
次作も早く読みたいですね。



背の眼〈上〉 (幻冬舎文庫)

背の眼〈上〉 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 文庫



背の眼〈下〉 (幻冬舎文庫)

背の眼〈下〉 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 文庫



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