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弥勒の掌 [我孫子武丸]

超がつくほど久しぶりによんだ我孫子さんの作品。
文春文庫秋のミステリーフェアにて目にとまり、
購入しました。

新興宗教が登場するミステリーというのは
結構多いですよね。
僕が知っている限りでも、二階堂黎人さんの
水乃サトルシリーズ。
有栖川有栖さんの火村英生シリーズでの
シャングリラ十字団。
こちらはいまだ直接対決はないものの、
いずれそれがみられるのではと期待しています。

本作は本格捜査小説と銘打ってありますが、
警察小説というわけではありません。

主人公の二人は、一人は妻を何者かに
殺害され、一人は突然の行方不明・・・
そんな二人が出会ったのは、
どちらの妻も関係していたとみられる宗教団体<救いの御手>
刑事と教師、そして一人のフリーライターは
この巨大な宗教団体の闇に挑むことになりますが・・・
以下少しネタバレ。




本来は内情を探るために入信した
辻の心の揺れなんかが非常にうまく描かれており、
(教え子を妊娠させたときに
「誰かがもっと激しく罰してくれることを願ってさえいた」
という、辻の心境もこの揺れにつながるわけですが)
これがどんでん返しにつながるのかなと思っていました。
ところが、それどころじゃなかった展開でした(苦笑

最後に<教祖>と対峙するシーンから一気に物語は
怒濤の展開をみせるわけですが、
これはもう読んでもらうしかないですね。

非常に後味が悪い小説とも言えますが、
主人公二人にはすでに選択肢は無かったのでしょうね・・・

新興宗教を描く小説では、それを妄信的に信じてしまうという
描写がよくみられますが、
この作品ではそうした面でなく、むしろ今の情報社会の
恐ろしさをこの<救いの御手>が体現している感じでした。
そういう意味ではこちらの方が怖いですね。

しかし伏線が非常にうまく張られています。
今思えばあれは・・・というのがたくさん(苦笑

ラストにハッピーエンドを望んでいる方は
読まないほうがいいかもしれないです。


弥勒の掌 (文春文庫)

弥勒の掌 (文春文庫)

  • 作者: 我孫子 武丸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/03/07
  • メディア: 文庫



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