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智天使の不思議 [二階堂黎人]

いやいや、しばらく更新が止まりました。
別件がすごく忙しくて、更新できませんでした。

さて水乃サトルシリーズ文庫版の最新作。
本作はシリーズ初の倒叙小説であり、かつ
「不思議」から「マジック」へと、
サトル学生編から社会人編へとなんと物語が進行する作品です。
以下、ややネタバレ。






本作は本格ミステリとしてはおそらく相当良い出来だと思います。
メイントリック、というよりもトリックはたった1つなのですが、
これが余りにも見事すぎて、全員が騙されてしまいます。

ただそれを解くヒントは実は物語の中に常に散りばめられているのです。
ここも本当に素晴らしかった。
なぜ杉森は「アレ」が頭の中で唄うのか?

さてここからはミステリでなく感想を(笑
本作は水乃サトルシリーズとしてはあまりにも不甲斐ない。
学生サトルは彼女が犯人であると推理しながらも、
結局はその謎を解けませんでした。

そして社会人サトルはパーティで彼女に会うのですが、
そこでも仕事の話のみ。
「真実は、意外に簡単な所にあるという実例だよね」などと
語ってる割には、なぜ謎を解けなかったんだ!!とこっちが怒り心頭です(笑

その意味で本作の真の探偵は編集者の長山潤でしょう。
彼の執念はすさまじいものがありますが、
彼が居なければ、サトルの推理も完成しませんでした。

しかし結果的には完全に追い詰める事は出来なかったわけですね・・・
サトルは完敗といって良いと思います。

そして最後にサトルはある驚愕の推理を披露しますが、
それは読者の誰もが不思議に思う、杉森の絶対的なまでの服従(「献身」)が、
何に拠るのかを明らかにしています。

それにしても、これほど手強く、そして結果名探偵が敗北してしまう
解説にもあるように「名犯人」小説はなかなかありません。
未読の方は、ぜひ読んで下さい。


智天使の不思議 (光文社文庫)

智天使の不思議 (光文社文庫)

  • 作者: 二階堂 黎人
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/03/13
  • メディア: 文庫



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コースケ

Yuseumさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2012-05-25 12:59) 

コースケ

31さま、nice!ありがとうございます~
by コースケ (2012-05-26 21:52) 

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