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猿猴 [田中啓文]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

聖徳太子による「人類滅亡」を意味する預言は真実か?
冬山で遭難した奈美江が洞窟で見たものは?望まぬ妊娠、殺人事件、不気味な宗教団体、秀吉の埋蔵金…
その背後に見え隠れする奇怪な「猿」の影。
運命の嵐に翻弄される奈美江は、やがて世界の根源の謎に迫っていく。
著者渾身の文庫書下ろし伝奇小説。

田中啓文さんの本領発揮、著者渾身の書き下ろしという宣伝に偽りなし。
永見シリーズで本格推理を鮮やかに描く一方、
「私立伝奇学園高等学校民俗学研究会」シリーズでは
伝奇+駄洒落を魅せ、
その作風の幅は本当にすごいです。

そして本書は田中さんが伝奇とSFに真っ向から挑んだ作品だと思います。
登山が趣味のとある主婦が、壮大な世界の謎に巻き込まれていく、
登場人物も癖のある者ばかりです。
「聖徳太子訳未来記」に記された予言とは何か?
「猿」を祭る奇妙な宗教教団。
「猿神」の子を宿し産んだ奈美江、埋蔵金発掘マニア、落ちぶれながらも、
過去に民俗学を学びその造詣から事件に関わる探偵・・・
彼らが目的は異にしつつも、聖徳太子の予言に導かれるまま
行動をともにします。
最後に明かされるどんでん返しと、そして驚愕のエピローグ。
このエピローグで、この物語がある<作品>の前日譚かのような描写がなされます。
これはオマージュというよりも、
田中さん自身が、あの作品で、なぜ地球がああなってしまったのかに
対する一つの回答なのではないか、と勝手に推測してみました(苦笑

とにかくおもしろいです。
民俗学の知識もそうですが、一気に読んでしまいました。
物語のスケールが思っていたよりも壮大で、
ある登場人物が実は深く関係していたり、
笹倉がなぜ失踪したのか、このあたりも最後まで引っ張っていて、楽しめました。
かなり深刻な場面なのに飄々としている坂巻氏も魅力的でした(笑

民俗学、伝奇ものがお好きならぜひぜひご一読を。
むろん、ミステリ好きな方でも十分楽しめます。


猿猴 (講談社文庫)

猿猴 (講談社文庫)

  • 作者: 田中 啓文
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/05/15
  • メディア: 文庫



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コースケ

31さま、いつもありがとうございます!
by コースケ (2012-06-02 22:41) 

コースケ

とも~る様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2012-06-03 18:52) 

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