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アルファベット・パズラーズ [大山誠一郎]

「密室蒐集家」で第13回本格ミステリ大賞を受賞した
大山誠一郎さんの初短編集。
まずはAmazonさんの解説ページから。

警視庁捜査一課刑事の後藤慎司、翻訳家の奈良井明世、精神科医の竹野理絵は、
彼らが住むマンションのオーナー峰原卓の部屋に集まり推理合戦に興じる。
指紋照合システムに守られた部屋で発見された死体、
クルーズ船の殺人現場に残された奇妙なダイイング・メッセージ、
三転四転する悪魔的な誘拐爆殺事件
名探偵の推理と意外な真相を鮮やかに描く、本格推理界の俊英第一の著書。

オーナーである峰原卓を探偵役とし、
捜査一課刑事である後藤が持ち込む難事件を
鮮やかに解き明かすという形式になっています。
ただ、奈良井や竹野の推理も良いところを突いていて、
峰原以外の3人も十分に探偵役の素質あり。
その点が実は最後の「Yの誘拐」に繋がる伏線でもあるわけです。

3編の中では「Fの告発」を推します。
3人しか犯人たり得ないのに、3人とも違う、
その謎を解く鍵は密室を作り出している「Fシステム」にあり。
話を聞いただけで、真相を看破した峰原は見事としか言いようがありません。

さて本書は4編収録されていますが、
最後の「Yの誘拐」だけは他3編とは別モノです。
実際に4人が実地調査に赴き、2つの推理を導き出します。
第一部 成瀬正雄の手記、第二部 再調査、
エピローグという構成となっており、
エピローグでは今までとは違う趣向が加えられています。

「Yの誘拐」は結局は未解決であり、どの推理が正しかったのか、
実のところわかりません。

普通に感想を述べると、手記を読んだ4人が気付いたおかしな点は
本来警察も当然気付いてしかるべきなのに、
京都府警はいくらなんでもマヌケすぎるという(笑
実際後藤が所属する第九係班長の大槻警部ならば、
看破していたでしょう。

推理としては峰原が辿り着いた推理が合理的なものではないか
と思うのですが、「Yが偽者」という発言がどうもわかりません。
それはエピローグでの推理でもそうで、う~ん・・・
とまあ僕が納得していないだけですが(苦笑

それとエピローグの推理はすこし唐突感が否めません。
前3編でそのあたりの伏線を散りばめておいた方が、
ぐっと「あっ!」と驚かせる推理になっただろうなと思います。

「密室蒐集家」の文庫化が楽しみです。


アルファベット・パズラーズ (創元推理文庫)

アルファベット・パズラーズ (創元推理文庫)

  • 作者: 大山 誠一郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/06/28
  • メディア: 文庫



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コメント 3

コースケ

Yuseumさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2013-07-18 23:01) 

コースケ

有城佳音さま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2013-07-21 01:03) 

コースケ

mojoさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2015-01-26 21:44) 

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