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猫には推理がよく似合う [深木章子]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

とある弁護士事務所に勤める花織は、先生に寄せられる依頼を盗み聞きしては、
“おしゃべりする猫”のスコティと噂話に花を咲かせていた。ある日、
愛らしく気高くちょっと生意気なスコティが、推理合戦を仕掛けてくる。
「もしいま先生が殺されて、金庫の中身が盗まれたら、犯人は誰だと思う?」。
金庫に入っているのは、5カラットのダイヤ、資産家の遺言書、失踪人の詫び状、
12通の不渡り手形。怪しい依頼人たちを容疑者に、
あれこれと妄想を膨らますふたり(1人と1匹)だったが、なぜか事件が本当に起きてしまい―。
現実の事件と、謎解きに興じる“しゃべる猫”の真実は?ミステリ界注目の気鋭による、
猫愛あふれる本格推理。

以下、ややネタバレ




猫による猫のための猫推理小説(笑
いやいや、それはちょっと違いますが・・・
猫とミステリについては我孫子先生の解説に詳しいですが、やはり三毛猫ホームズ。
そして仁木悦子先生の『猫は知っていた」『赤い猫』などが僕は思い浮かびました。
(動物繋がりでいえば迷犬ルパンも。)

しかし本作に登場するのは、ずばり猫が推理する。人間の言葉を話す猫<スコティ>
が登場するのです。
このスコティが考えた「猫密室」は全く解けなかった・・・(苦笑

物語は半ば引退した弁護士・田沼清吉弁護士事務所に来る依頼人とその依頼内容等を巡る
飼い猫スコティ、そして事務員・椿花織との会話が主を占めます。
(時折、上記の「猫密室」のようなスコティからの挑戦状あり)

物語の本当に終盤まで、事件らしいことは何も起こりません。

ただ、この会話では<見立て殺人>や<密室殺人>といった、
推理小説の定番的な要素についてスコティが何がおもしろいのか?と
花織に議論をふっかけるパートがあるのですが、これはミステリ好きには
中々に面白い・興味深い掛け合いです。

そしてその瞬間は唐突に訪れます、スコティと花織の推理合戦中に。
想像で話していた事件が、現実の事件へと。

物語が一気に反転するところがあまりに唐突感があり、驚きますが、
その後の(ある種)怒濤の展開が素晴らしく、後半一気に読んでしまいました。


本書大部分が実は叙述トリックが仕掛けられていることや、
依頼人たちが全員容疑者たる物語の構成や、
猫がそこそも喋るという本書の大前提を、最後に崩しながらも、
ラストでその崩した大前提の余韻を残すかのような終わり方。
とても面白かったです。
ミステリ好きだけでなく、猫好きな方にもオススメです。




猫には推理がよく似合う (角川文庫)

猫には推理がよく似合う (角川文庫)

  • 作者: 深木 章子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/23
  • メディア: 文庫



猫には推理がよく似合う (角川文庫)

猫には推理がよく似合う (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/23
  • メディア: Kindle版



nice!(8)  コメント(8) 
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コメント 8

コースケ

鉄腕原子さま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2019-10-25 20:03) 

コースケ

yu-papaさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2019-10-25 20:05) 

コースケ

@ミックさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2019-10-25 20:07) 

コースケ

31さま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2019-10-25 20:07) 

コースケ

とも~る様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2019-10-25 20:08) 

コースケ

ネオ・アッキー様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2019-10-25 20:09) 

コースケ

ゆーじあむ様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2019-10-25 20:10) 

コースケ

むうぴょんこ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2019-11-03 20:15) 

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