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濱地健三郎の霊なる事件簿 [有栖川有栖]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

探偵・濱地健三郎には鋭い推理力だけでなく、幽霊を視る能力がある。彼の事務所には、
奇妙な現象に悩む依頼人のみならず、警視庁捜査一課の刑事も秘かに足を運ぶほどだ。
ホラー作家のもとを夜ごと訪れる幽霊の目的とは?殺人事件の被疑者が同時刻に
複数の場所にいたのは、トリックか生霊か?生者の嘘を見破り、死者の声なき声に耳を傾ける
心霊探偵が、驚くべき謎を解き明かす。ミステリと怪異の融合が絶妙な、新シリーズ!

有栖川有栖先生には、
臨床犯罪学者であり、犯罪をフィールドワークとする火村英生。
英都大学推理小説研究会(EMC)の部長であり、4回も留年を繰り返す江神二郎。
南北に分断され、探偵行為が禁止された日本で、母の消息を追いつつ、事件を解明する空閑純。

この3人がシリーズ探偵を務めてきましたが、ここに4人目の探偵が登場しました。
それが心霊探偵を自称する濱地健三郎です。

あとがきで詳しく書かれているのですが、
事件の依頼人が階段を上って探偵の事務所へやってくる、ベーカー街221Bへ。
シャーロック・ホームズは依頼人が来るのを窓から眺めている・・・
そんな、まさに探偵たる探偵が本作の濱地健三郎。

ところが彼が扱うのは本格ミステリの対極にある怪奇・心霊など超常現象にまつわる事件。
(この点は詳しくは解説で書かれてます。)
しかも、警視庁捜査一課の刑事までも相談に訪れるという、これまた名探偵らしさも持ちます。
実に有栖川先生らしい感じもあります。

上記に書いたように、怪奇・心霊など超常現象を扱うとはいえ、
結構本格テイストも入ってます。
第1話「見知らぬ女」は、夫に憑いている女性の調査を頼む妻の話ですが、
このラストは第1話でこれとは驚きました。

本書の中で最も恐ろしいのは最終話「不安な寄り道」
この話はまさに怪奇。廃寺で起こっていたのは一体何であったのか。
濱地が以前に受けた依頼にも俄然興味がわきました。

積み重なった衝突やギスギス感から、このような行為に及んだと思うのですが、
さらにそこを深く知りたくなった「霧氷館の亡霊」
昂太くんには実際には視えていたのか、それとも「彼女」の配慮で、
誰かわからないようしていたのか、その辺りも気になりました。
この事件解決はかなり痛快で、最後に昂輔がランプスタンドを贈ったのは
本当の真相を濱地は彼にだけ話したからなのでしょうか?

心霊としてもミステリとしても一捻りが見事に効いている「分身とアリバイ」
そんな小説じゃあるまいし、というトリックを用いているのですが(笑
このトリックを非常にうまく活かした作品です。

いやどの作品もおもしろい。心霊的なら「寄り道」が愁眉。
ミステリとしては「分身とアリバイ」が愁眉かなあ。

すでに第2作目も発売されるということで、こちらも楽しみです。
有栖川先生、ソラシリーズもお願いします!


濱地健三郎の霊なる事件簿 (角川文庫)

濱地健三郎の霊なる事件簿 (角川文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: 文庫



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コースケ

ストックン様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-03-21 13:40) 

コースケ

鉄腕原子さま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-03-21 13:41) 

コースケ

@ミックさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-03-21 13:41) 

コースケ

サイトー様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-03-21 13:42) 

コースケ

31様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-03-25 21:11) 

コースケ

(。・_・。)2k様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-03-25 21:11) 

コースケ

むうぴょんこ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-03-25 21:11) 

コースケ

ハマコウ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-03-25 21:12) 

コースケ

ネオ・アッキー様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-03-27 21:45) 

コースケ

にのまえ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2021-06-23 20:02) 

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