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クララ殺し [小林泰三]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

ここ最近、奇妙な生き物やアリスという少女が暮らす不思議の国の夢ばかり見ている
大学院生の井森建は、ある晩、いつもとは違って、緑豊かな山の中でクララと名乗る
車椅子の美少女と出会う夢を見る。翌朝、大学に向かった井森は、校門の前で、
同じ姿の少女くららに呼び止められる。彼女は何者かから命を脅かされていると訴え、
井森に助力を求めた。『アリス殺し』まさかの続編登場。

以下、ややネタバレ。



前作でワトソン役であった井森建が再び登場し、またしてもワトソン役を務める(笑)第2弾。
前作の「不思議の国」から、いつの間にか別の世界、「ホフマン宇宙」へと流れ着きます。

まず前作より遥かに読みやすくなりました(笑
というのも、ホフマン宇宙には比較的常識を持ち合わせた人々が多く、
不思議の国の住人たちの、あのなんとも言えない会話はないからです。
(あるのは蜥蜴のビルのみ・笑)

今作は前作で登場したアーヴァタールが実に上手く物語のトリックに用いられています。
地球とホフマン宇宙、両方に存在しているドロッセルマイアーとクララ(くらら)。
前作を読んでいるだけに、見事に騙されます。
実際のところ、この二人だけでは無いのです。
ホフマン宇宙での殺人は、さらに複雑怪奇な「入れ替え」が行われていて、
もうカオス状態。

前作では凄惨な目にあわされたビル(井森)ですが、今作でもそれは変わらず。
ところが、これが何度も何度も同じ所で井森が殺されるので、ビルを馬鹿にできないだろう!
と思ってしまうくらい、マヌケです。
ホフマン宇宙での探偵役であるマドモワゼル・ド・スキュデリ。
彼女は極めて優秀で、ビルを通じてアーヴァタールの井森へ依頼を出したり、
最後はホフマン宇宙の全員を集めて名推理を披露します。

さて、それでは彼女の地球でのアーヴァタールは誰なのか?
そして地球でドロッセルマイアー教授の手伝いをしている新藤礼都のアーヴァタールは?

この上記二名はなんと小林作品ではすでに登場済みという(スターシステム?)
(私は不覚にも気付きませんでした(汗)。解説を読んであっ!と)

井森が蜥蜴のビルである以上、不思議の国やホフマン宇宙では名推理は中々難しいでしょう。
しかし、次(次々作?)こそ、地球で名推理を見せて欲しいという期待を込めて、
『ドロシィ殺し』の文庫化を待ちたいと思います。



クララ殺し (創元推理文庫)

クララ殺し (創元推理文庫)

  • 作者: 小林 泰三
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: 文庫



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コメント 5

コースケ

ストックン様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-05-14 20:55) 

コースケ

鉄腕原子さま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-05-14 20:55) 

コースケ

@ミックさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-05-14 20:55) 

コースケ

31さま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-05-14 20:56) 

コースケ

ネオ・アッキー様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-05-19 19:05) 

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