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三毛猫ホームズの復活祭 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

高畠和人の母はオレオレ詐欺に引っかかり、さらにトラックにはねられて重体に―。
一方、片山と妹の晴美は、別のオレオレ詐欺を阻止したものの、金の受け渡し役が殺害されてしまう!
捜査過程で浮き上がってきた“K学院”の寄宿舎で暮らす少女・和美を訪ねるが…。
和美と犯人の関係とは?寄宿舎に集まった人々が事件の真相に迫る。
国民的大人気シリーズ第52弾!

52弾のテーマは、オレオレ詐欺。今では振り込め詐欺と統一されていますね。
この「復活祭」というタイトル、内容とあまり絡んでない気がしたのですが、
解説で、カッパノベルズ版著者のことばで、その意味がわかります。
 「そこには、「いつか自分もトシをとる」という想像力のかけらもない。政治が国民に
  平然と嘘をつくご時世だが、こんな時代だからこそ、「真実」と「真心」を大切にする、
  ホームズや片山兄妹に活躍してもらわなくてはならない。「人間性の復活」の祈りを
 込めて。

赤川先生の近著を全て読んでいるわけではありませんが、花嫁シリーズしかり、
本書三毛猫ホームズシリーズしかり、現代社会の問題と密接に関係するものが多いですね。
以前、先生が「伊集院とラジオ」とにゲスト出演された際にも、「表現の自由」に
ついて取り上げられていたと記憶しています。
それだけ、現在の日本社会が危機的状況と感じられているからこそ、
作品内で、その危険性や危機的状況を警鐘しつつも、
シリーズキャラクターは不変であるという、安心感を読者に与えてくれるのです。

一方、この「復活祭」という言葉は、本書では家族の復活の意味も含まれている
ように感じました。
松井明と和美、おばさん。西川郷子と寛治、竹本涼香と久美。
今回の事件がなければ、出会うことがなかった・話すことがなかった家族です。
そして、彼彼女たちを見守るホームズ。すでにホームズは全てを見通している
かのような佇まい!いや、昔からそうだった気もしますが・・・

個人的に社会問題や現代社会との関係は、確かに重要だと思うのですが、
一方で、初期の「怪談」「降霊騒動」、ヨーロッパシリーズ(「騎士道」「幽霊クラブ」)
短編集「びっくり箱」など、かつての作品群のような作風もまた是非とも読みたい!


三毛猫ホームズの復活祭 (光文社文庫)

三毛猫ホームズの復活祭 (光文社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/05/13
  • メディア: 文庫



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コメント 4

コースケ

鉄腕原子様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-08-18 19:01) 

コースケ

@ミック様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-08-18 19:01) 

コースケ

31様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-08-18 19:01) 

コースケ

むうぴょんこ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-08-23 01:36) 

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