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夜に迷って/夜の終りに [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

可愛い中学生の娘と次期社長の夫とともに、社宅で暮らす沢柳智春にとって、
たった一度の浮気は気の迷いにすぎなかった。過ちは水に流して幸福な家庭の主婦に戻り、
義父の隠し子の幼稚園探しや義弟や実弟のトラブル解決に暗躍し、実家の父母の悩みに向き合いながら
家族を守ろうとする智春。しかし、いつの間にか、悪意と嫉妬に染まった噂が広まっていく。
家族のしがらみにとらわれ、追いつめられていく緊迫のサスペンス。

高校生の沢柳有貴は、3年前の殺人事件を機に記憶を失った母と二人暮らし。父は別居して、
若い恋人に夢中だ。ある日、殺人事件の犯人の夫が何者かに殺された。
さらに、有貴が通り魔に狙われ、父の会社では盗聴器が見つかり、
一家の経営する会社に窮地が訪れる。"家"を守るために秘密を抱えた"家族"の行く末は。

私が読んだのは新装版ですが、元は光文社から刊行されていて、
前者の『夜に迷って』が1997年、『夜の終りに』が2000年と、物語の時間軸と同様、3年の月日が空いています。
以下、ややネタバレ。





赤川作品はこうした続編は描かれていて、
『招かれた女』と『裁かれた女』。こちらは15年もの歳月が物語上流れています。

『魔女たちのたそがれ』と『魔女たちの長い眠り』、私オススメの2作品ですが、
『たそがれ』で終わっていてもしっくりくるところですが、
『長い眠り』のラスト少し不気味な感じを残したところも良いですね。

『殺人よ、こんにちは』と『殺人よ、さようなら』。
昔読みました。確か海辺の別荘か何かで起きる事件だったような・・・

『ふたり』と『いもうと』。いずれも未読という申し訳ありません。
他にもあると思いますが、ひとまずこのあたりで(他にあればお教えください)。

本作品、特に『夜に迷って』は本当に智春やその家族の日常が描かれていき、
そこにちょっとした(ではないものもありますが)「非日常」(不倫や再就職、婚約etc・・・)
が介入することで、徐々に幸せな日常が変わっていく様が、実に見事に描かれていきます。
最後に殺人事件は起こりますが、それまでは本当に何も起こりません。
しかし読者には智春が追い詰められていく様や、その関係する人たちが変化していることが
わかり、果たしてどういう結末で締めくくられるのか?疑問に思うでしょう。

後編にあたる『夜の終りに』の方がよりミステリでしょうか。
しかし、ある意味前作の時間を再び動かすこととなる奈良の死が通り魔殺人であった
というのは皮肉が効いています。
奈良敏子の出所、久保田と呼ばれる人物の庇護など様々な変化が起こる中、
置かれた環境によって、人の心も変化してしまったというのが本作品の核でしょうか。

ただ、智春の祖父母や弟(浩士)の方がそこまで深く描かれなかったのは少し残念ですね。
まあそれは求めすぎかもしれません。

しかし、だいたい赤川作品は読んでいるのですが、まだこういうのもあったのか(苦笑)
最近のシリーズもの(特に三毛猫ホームズや花嫁シリーズ)は、赤川先生の
現代社会への危機感や危機意識みたいなものが、如実に表れているのが多いように感じます。
拙ブログでも何度か過去作品のような作風が読みたいと書いたことがありますが、
こういうノンシリーズを読むと、余計にそういう思いが強くなりますね。



夜に迷って (中公文庫)

夜に迷って (中公文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/08/21
  • メディア: 文庫



夜の終りに (中公文庫)

夜の終りに (中公文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/09/24
  • メディア: 文庫



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コメント 5

コースケ

31様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-11-24 21:34) 

コースケ

鉄腕原子様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-11-24 21:35) 

コースケ

@ミック様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-11-24 21:35) 

コースケ

ネオ・アッキー様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-12-15 22:20) 

コースケ

ふるたによしひさ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-12-15 22:20) 

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