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災厄の町 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

結婚式直前に失踪したジムが、突如ライツヴィルの町に房ってきた。
三年の間じっと彼の帰りを待っていた婚約者のノーラと無事に式を挙げ、
ようやく幸福な日々が始まったかに見えた。ところがある日、
ノーラは夫の持ち物から奇妙な手紙を見つける。そこには妻の死を知らせる文面が…
旧家に起きた奇怪な毒殺事件の真相に、名探偵エラリイが見出した苦い結末とは?
本格ミステリの巨匠が新境地に挑んだ代表作を最新訳で贈る。

以下、ネタバレがあります。




はっきりと覚えていないのですが、『十日間の不思議』の新訳版というのが
Amazonさんのオススメか何かで出てきたんですよね。
で、よくよく見てみると、架空の町・ライツヴィルを舞台とした、シリーズとのこと。
それだったら、それを最初から読まないとと思い、購入しました。
ちなみに、初めて電子書籍でミステリを購入しました。
本書と『フォックス家の殺人』、いずれも過日のプライムデーの関係で、
Kindle版がかなり安くなっていたので。
そして『十日間の不思議』は新訳文庫版で購入。


このライツヴィルという、町がいいですね。良い意味でも悪い意味でも。
前半のライト家への接し方と、後半のそれのギャップがすごすぎます。
金田一耕助シリーズと少し似た感じがありますが(旧家が舞台)、
いかにも地方や田舎に多い、噂話、すぐに広まるゴシップ等々・・・

エラリイは何が気に入ったんでしょうかね?小説を書くのに打ってつけだったのか?
そうだとすると、それは環境の問題なのか、ライツヴィルに住む人々の問題なのか、
どちらなんでしょう。
しかも偽名で滞在します。


そして本作で描かれる事件、解決までが非常に長い!
ライト家を取り巻く人間模様が精緻に描かれていきますが、事件という程の事が
起こるのはずっと後。そう、ジム・ハイトがライツヴィルに戻ってきてから
進行していきます。この発生までも結構長いですね。

やはり陪審員裁判のところが、私は個人的に一番好きです。
特にエラリイが本名を明かし、そしてあの衝撃的な証言。
一方で、この段階では未だエラリイにも真犯人は不明だということも、
この証言から明確なんですよね。

エラリイが真実に気づくのは、本当にちょっとした、3通の手紙が出てきた場所から。
しかし、この真相は凄まじい。
ジムがライツヴィルに帰ってきた後、ほぼ即座にノーラは結婚していますが、
それだけ燃え上がっていたにもかかわらず、3通の手紙から、
彼女も真相に気づいたのでしょう。

そしてジムもそれを受け入れ、頑なに口を閉ざしています。
ノーラの最期があまりに壮絶なので、エラリイもこの真相は
パットとブラッドフォードだけにしか伝えていません。
真相が分かってよかったのかどうか、それすら悩む事件です。

いやあ、私なんか言うのもおこがましいのですが、これは傑作です。


災厄の町〔新訳版〕

災厄の町〔新訳版〕

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/01/29
  • メディア: Kindle版










nice!(8)  コメント(2) 
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コメント 2

コースケ

皆様、nice!ありがとうございます。
by コースケ (2021-07-18 17:00) 

コースケ

ゆーじあむ様、ご無沙汰しております。
nice!ありがとうございます!
by コースケ (2021-07-31 19:13) 

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