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早朝始発の殺風景 [青崎有吾]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

青春は、気まずさでできた密室だ。今、最注目の若手ミステリー作家が贈る珠玉の短編集。
始発の電車で遭遇したのは普段あまり話さない女子。
二人は互いに早起きの理由を探り始め……(表題作)。
部活の引退日、男同士で観覧車に乗り込んだ先輩と後輩。
後輩には何か目的があるようだが(「夢の国には観覧車がない」)。
不器用な高校生たちの関係が小さな謎と会話を通じて少しずつ変わってゆく。
ワンシチュエーション(場面転換なし)&リアルタイムで進行する五つの青春密室劇。
登場人物総出演、読んでのお楽しみのエピローグ付き。


青春小説かつ「日常の謎」(ただし全てではない)を、実に上手く描いた短編集。
筆者の「館」シリーズとはまた味わいが違い、大変楽しめました。

まずこのタイトルをみて、「殺風景」が登場人物の苗字とは思わないでしょう。
意外な所に仕込んできたなあと。

オススメは難しいところですが、「メロンソーダ・ファクトリー」。
主人公の「私」こと真田と、詩子は付き合いが非常に長いにもかかわらず・・・
というのが青春小説として、頭一歩リードしました。
ノギちゃんは名探偵になれる素質充分です。


「夢の国には観覧車がない」は、次点。いやあ、これは現代だからこそ、というか、
こうした小説が平然と書かれることを望みます。
解説でも触れているとおり、「葛城」の性別をわざと伏せているのが秀逸。
伊鳥がこの計画を実行するのにかけた苦労が報われてよかった。

「三月四日、午後二時半の密室」は、同じクラスだけどほとんど接点の無い二人のお話。
一番青春小説らしいですが、隠された謎が私にもわかったので(笑)惜しい。
だけど、素晴らしい高校生活の最後ですね。

「捨て猫と兄妹喧嘩」。個人的に、猫をその場所で共同で世話するのが無しな作品。
猫好きにはちょっと受け付けなかったなあと。

「エピローグ」では各作品に登場した人たちの、その後が描かれ、
基本みんなハッピーエンドなんだけども・・・
問題というか、やはり表題作だけは実は少し異質だろうと思います。
エピローグでも、殺風景と加藤木、両方とも名前を知らないという所で終幕ですが、
この「早朝始発の殺風景」、殺風景は親友の復讐を果たし、それを加藤木が手伝って
いるんですよね(手伝っているのは「エピローグ」で描かれます)。

少し寄り道すると、加藤木がなぜ始発電車に乗っていたのかは、映像部が行おうとしている
違法行為に荷担したくないから、なんですよね。
でも「エピローグ」では、手伝っていることが明確に描かれ、まあクラスメートの事だから
なんでしょうが、そこも大きく異なってるなあと。

他の物語と違い、この話だけは殺風景と加藤木は大丈夫なのか?
という心配をしてしまう&二人はこのまま口を閉ざしたままなのか?という。
やはりこの物語は異質なんですよね。

しかし、この短編集の中から連作短編主人公となれそうなのは、殺風景と加藤木かなあ(笑)


早朝始発の殺風景 (集英社文庫)

早朝始発の殺風景 (集英社文庫)

  • 作者: 青崎有吾
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2022/03/03
  • メディア: Kindle版







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コメント 7

コースケ

サイトー様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-09-25 20:50) 

コースケ

xml_xslさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-09-25 20:51) 

コースケ

鉄腕原子様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-09-25 20:54) 

コースケ

@ミック様さま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2022-09-25 20:54) 

コースケ

suz-UMAさま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2022-09-25 20:54) 

コースケ

yamさま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2022-09-25 20:55) 

コースケ

ゆーじあむ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-09-25 20:55) 

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