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素直な狂気 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

「受け取っていただけますか?」
お金を返そうと「あいつ」が追いかけてくる!

最終電車が迫っている。
会社員の松山は財布をなくした青年に電車賃を手渡した。

「これはあげるんだよ」
「いえ、きっとお返ししますから」

青年は言葉通り、松山の家を訪ねて金を返そうとする。
しかし、妻の沙織は人違いだという。先々週の金曜日、N駅にいたはずはないと。
松山の完全犯罪が崩れ始める……。
(「素直な狂気」)

誰もが秘める狂気を鮮烈に描き出したミステリー。

なんか勘違いしており、長編だと思っていたら短編集でした。
元々は角川文庫で発売されていたとありますが、購入した記憶がないので、おそらく初読。

全編どれも面白いですが、表題作「素直な狂気」と「ラブレター」は構図が
やや似ていますね。しかも結末も全然違うけれども、主人公の想いはそこまで違わないの
だろうなと感じました。

ただし表題作の場合、お金を貸した鈴木なる人物は本当に存在していたのか?
(ちなみに表紙も主人公の松山と鈴木が描かれています。)
というホラーな要素も含んでいます。

もちろん借りたお金を苦労してでも返しに来るのは素晴らしいことなのですが、
彼が固執した理由があまり述べられてなく、かなり不気味です。
ラストも松山が彼の幻影を見ているように、存在そのものが?ですね。
(ただし奥さんや娘さんも会っているので、しかも刑事も。実在はしているのかなあ。)
最後の幻影的なものは、松山が生み出した自分の辛さを解消してくれた存在みたいな
ものでしょうか。

ちなみに、ホラー的要素ではなく、完全ホラーなのは「わらの男」と「皆勤賞の朝」
前者は時枝のやりたいことは一体何なのか?まるで不明。
後者はこの学校の校長も相当悪いですね。昔ながらの根性論。
母親と正人を狂わせた張本人です。

しかし、正人への同級生やその姉の仕打ちから考えると、
正人やその母親がこの6年間で何かをしてきたのだろうとは推測できますが。
(電車での行為はもしかしたら正人の母親がかつてした行為なのでは?)

「拾った悲鳴」は親子が助かる話で、主人公大活躍。ほっとします。
「インテリア」は、なんというかちょっとした喜劇を見ているようですね。
いや実にうまい。背景を描かず、この母子関係を想像させるようになっているのも。

徳間文庫さん、これからもよろしくお願いします!


素直な狂気 (徳間文庫)

素直な狂気 (徳間文庫)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2022/10/07
  • メディア: 文庫






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コメント 8

コースケ

サイトー様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-11-05 15:24) 

コースケ

鉄腕原子さま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-11-05 15:26) 

コースケ

xm_xslさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-11-05 15:26) 

コースケ

芝浦鉄親父さま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2022-11-05 15:27) 

コースケ

@ミックさま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2022-11-05 15:28) 

コースケ

らしゅえいむ様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2022-11-05 15:29) 

コースケ

31様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-11-05 15:29) 

コースケ

むうぴょんこ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-11-12 20:51) 

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