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法月綸太郎の消息 [法月綸太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

名探偵法月綸太郎が
名探偵ホームズ&ポアロの謎に挑む!

綸太郎が挑むのは、ホームズ探偵譚の異色作に隠された作者コナン・ドイルをめぐるトラップ。
ポアロ最後の事件に仕組まれた作者アガサ・クリスティーの企み。そして、
父・法月警視が持ち込む不可解な謎。ロジックを駆使して名探偵が鮮やかに「真実」に迫る、
本格ミステリの純粋かつ新たな魅力に満ちた作品集。

シリーズ30周年記念の最新作、待望の文庫化!
鮮やかで大胆不敵なロジック。珠玉の本格ミステリ作品集!


彼ほど「消息」という言葉がある探偵もいないでしょう。
むろん、紙上の法月綸太郎と、作者である法月綸太郎先生も含めて。

後期クイーン的問題、P≠NP問題等の評論家としても素晴らしい業績を
挙げている一方、その評論的部分と、自身の描く「法月綸太郎」という探偵との
乖離・苦悩が、本当にこの30年に現れています。
『生首に聞いてみろ』刊行時に、「おかえり、法月綸太郎」という帯があったのを
覚えています。
作品を生み出す苦闘が伺える、実に希有なシリーズですね。

本書は30周年祈念の刊行ですが、やはりホームズとポアロという、2大名探偵の
謎に迫る「白面のたてがみ」と「カーテンコール」は圧巻。

特に後者は、ポアロが本当に双子だったのではないか?というのを、
実に上手く、論理的に証明しようとしていて、『カーテン』で亡くなったのは、
アシルだったのかあと思わず思ってしまいました(笑

前者は、コナン・ドイルの心霊への傾倒や、チェスタトンまで登場し、
さながら、氏の評論ミステリのようなものを読んでいるような錯覚に陥ります。

そして、父親である法月警視とのディスカッションから、事件の真相にたどり着く、
「あべこべの遺書」「殺さぬ先の自首」も快作です。
シリーズお馴染みだから失念してましたが、安楽椅子探偵スタイルですね。
解説によれば、いずれの作品も都筑道夫先生の『退職刑事』からの影響大とのこと。
後者は、倫太郎の母親のことが登場するのが感慨深いですね。

しかし、シリーズ初期のレギュラーであった、図書館司書の沢田穂波も
久々に登場してほしいなあ。


法月綸太郎の消息 (講談社文庫)

法月綸太郎の消息 (講談社文庫)

  • 作者: 法月綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/10/14
  • メディア: Kindle版






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コースケ

皆様、いつもご訪問&nice!ありがとうございます!
来年もよろしくお願い申し上げます。
by コースケ (2022-12-31 14:25) 

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