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沈黙の目撃者 [西澤保彦]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

“特殊設定”ミステリーの快作!

死体×ビアマグ=謎!?

「だから西澤保彦の小説がもたらす怖ろしさは、
じっと噛みしめる価値がある」
                 ――霜月 蒼氏 解説より

なぜここに、ビールのロング缶とビアマグが置いてあるんだ?
世話になった先輩の絞殺死体を前にして、彼は首をひねる。
先輩はたしか、下戸だったはずなのに――。

ビールグラス、マグカップ、タンブラー。
見慣れぬコップを見つければ、不思議な事件のはじまりはじまり……。

ミステリー界の鬼才が贈る、予測不能の衝撃展開!!
以下、ややネタバレ。




西澤節全開の作品です。
特殊設定、読みにくい名前、そして性描写と性的嗜好。
これらが全て詰まってます。

表題作は、本書における特殊設定の説明の物語であり、
かつ見事なまでの論理のアクロバットが楽しめる傑作。
事件の真相の一端が明らかになるのが、数十年後というのも、本作の
特殊設定を受けていますね。
それと、性的嗜好もしっかり描写されており、この表題作で
西澤作品全部入りみたいなものかもしれません。

「まちがえられなかった男」は、ホワットダニットであり、フーダニットでもある作品。
会話の中にある重大なヒントが素晴らしい。金田一耕助のあの作品を思い出しました。

「リアル・ドール」は性的嗜好全開の作品。
これ映像を想像すると恐ろしいですね。
「彼女の眼に触れるまで」
これも同様。登場人物全員狂ってます(笑
こちらの方がミステリの要素がかなり入っているのですが、
それでも彼彼女たちの心境や動機は、流石に理解するのは難しい。

「ハイ・テンション」
これも論理のアクロバットが仕掛けられた作品。
なぜ憑依していた人間が、次々と殺されているのか?
二人だけのサインでありながら、それが他人にとってはまるで違う意味を
持ってしまったという。
性的嗜好の描写はあるものの、こちらは少しもの悲しくも、ラストは綺麗な終わり方
かなあと思います。

西澤作品は『夢魔の牢獄』を最近購入しまして、こちらも楽しみですね。


沈黙の目撃者 (徳間文庫)

沈黙の目撃者 (徳間文庫)

  • 作者: 西澤保彦
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2023/01/12
  • メディア: 文庫






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コースケ

皆様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2023-04-24 18:32) 

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