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泡坂妻夫引退公演 手妻篇 [泡坂妻夫]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

ミステリ界の魔術師・泡坂妻夫。その最後の贈り物である作品集を、
二分冊にした文庫化でお届けする。
手妻篇は、辛辣な料理評論家を巡る事件の謎を解く「カルダモンの匂い」ほか、
ヨーガの達人にして謎の名探偵・ヨギ ガンジーが活躍するミステリシリーズ、
酔象将棋の名人戦が行われた宿で殺人が起こる、単行本刊行後に発見され初書籍化となる「酔象秘曲」、マジシャン同士の心の機微を描く「ジャンピング ダイヤ」ほか、
マジックショップ・機巧堂を舞台にした奇術もの、
住人が次々と死んだマンションの一室で交霊会を行い、
真実を暴く戯曲「交霊会の夜」など13編を収録。

ずいぶん前に「引退公演」は読了していたのですが、アップが遅くなりました。

本書にはなんといってもヨギ ガンジーシリーズ短編が久しぶりに読めることが大きい。
ただ『ヨギ ガンジーの妖術』収録のものと少し異なり、
「カルモダンの呪い」「未確認歩行原人」いずれも、より「日常の謎」が強く出ているかなと
感じました。
それだけに未完に終わった「ヨギ ガンジー、最後の妖術」が残念でなりません。

本書所収白眉は「酔象秘曲」という、かつてあった「酔象」という駒を使った
将棋をめぐる殺人事件。
少し艶っぽい描写、またトリックありと、楽しめる作品となっています。

またわずか4ページの「絶滅」は星新一のショート・ショートを彷彿とさせる快作。
「聖なる河」も短編ながらも最後にどんでん返しが待っている良作です。

「交霊会の夜」はぜひ戯曲を小説として描いて欲しかったなあ。
かつてクリスティのポワロもので戯曲「ブラック・コーヒー」を
別の作者が小説として刊行した事がありますが、これを小説化してくれる方が
居ればなあ。

近日中に「絡繰篇」もアップ予定です。


泡坂妻夫引退公演 手妻篇 (創元推理文庫)

泡坂妻夫引退公演 手妻篇 (創元推理文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/11
  • メディア: 文庫



泡坂妻夫引退公演 手妻篇 (創元推理文庫)

泡坂妻夫引退公演 手妻篇 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/12
  • メディア: Kindle版



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