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ぼくの「このミス」2020 [ミステリ]

滑り込みセーフということで、今年読んだ中でもオススメを。

東川篤哉『探偵さえいなければ』


探偵さえいなければ 烏賊川市シリーズ (光文社文庫)

探偵さえいなければ 烏賊川市シリーズ (光文社文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/01/09
  • メディア: Kindle版



やはり烏賊川市シリーズは面白い。東川先生のシリーズの中では随一。
タイトルも実は「いなければ」の意味が異なる短編を含んでいて、捻りも見事です。



櫻田智也『サーチライトと誘蛾灯』


サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫)

サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫)

  • 作者: 櫻田 智也
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/04/21
  • メディア: 文庫



泡坂妻夫路線という、誰にも真似できない作品・文体を見事に継承した作品。
「とぼけた会話」と何の脈絡もない描写を、一本の線に繋げていく(収斂させていく)
極めて高度な技術をもつ作者さんです。
次回作も本当に楽しみです。

有栖川有栖『インド倶楽部の謎』


インド倶楽部の謎 国名シリーズ (講談社文庫)

インド倶楽部の謎 国名シリーズ (講談社文庫)

  • 作者: 有栖川有栖
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/09/15
  • メディア: Kindle版



ロジックと<詰め将棋>のような推理を堪能できる、もはや語るまでもない作品。
本作品の特徴は前世という、論理的証明のしようがないが、実は事件の核心を
突いているという意欲作ではないでしょうか。

小林泰三『クララ殺し』


クララ殺し 〈メルヘン殺し〉シリーズ (創元推理文庫)

クララ殺し 〈メルヘン殺し〉シリーズ (創元推理文庫)

  • 作者: 小林 泰三
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: Kindle版



前作『アリス殺し』を逆手に取った作品。
探偵役ではなく、ワトソン役が続投するという珍しいシリーズでもあり、
『ドロシィ殺し』『ティンカー・ベル殺し』の文庫化が望まれます。
一方で、小林泰三先生の訃報に接し、もう新たな作品を読むことが
できないことが残念でなりません。
ご冥福をお祈りします。

大阪圭吉『死の快走船』


死の快走船 (創元推理文庫)

死の快走船 (創元推理文庫)

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/08/12
  • メディア: 文庫



「奇妙な味」多めな作品集ですが、表題作は見事に本格ミステリでもあり、
読んでない方は損してます。必読です。

来年も良いミステリに出会う事、新型コロナウイルスが終息することを祈りつつ。
皆様、良い年をお迎えください。


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ミステリークロック [貴志祐介]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

人里離れた山荘での晩餐会。招待客たちが超高級時計を巡る奇妙なゲームに興じる最中、
山荘の主、女性作家の森怜子が書斎で変死を遂げた。
それをきっかけに開幕したのは命を賭けた推理ゲーム! 
巻き込まれた防犯コンサルタント(本職は泥棒!?)の榎本と弁護士の純子は、
時間の壁に守られた完全密室の謎に挑むが(「ミステリークロック」)。
表題作ほか計2編収録。『コロッサスの鉤爪』と2冊で贈る、防犯探偵・榎本シリーズ第4弾。


以下、ややネタバレ。





また少し時間が空いてしまいました。
このところあまり本を読んでいないので、次はもう「ぼくのこのミス2020」になりそう
な予感がします(苦笑)

表題作はまず措いておき、「ゆるやかな自殺」は榎本の仕事関係がいかに
広いのかを示すエピソードでもあり、結構激しい作品だなあと。
しかしこのトリック、かなり面白いですね。
本シリーズはメイントリックは密室なのです。
しかし本書所収の2編はかなりの変化球ですよね。
とくに「ゆるやかな自殺」のこのトリックはなあ。まあ上手くはいきそうですけど(笑
でも確かに自殺にしか見えない。

表題作は犯人は即座にわかります(笑
というか、これは準備していないと絶対に無理なので、それはわかるはず。

しかし、この時計トリック、時間トリックは素晴らしいの一言に尽きます。
電波時計のトリックだけでなく、全体が実によく構成されていて、
それでいて、榎本のTVを入れた推理ショーも見逃せません。


ミステリークロック 「防犯探偵・榎本」シリーズ (角川文庫)

ミステリークロック 「防犯探偵・榎本」シリーズ (角川文庫)

  • 作者: 貴志 祐介
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/11/21
  • メディア: Kindle版



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クリスマス・イヴ [赤川次郎]

毎年クリスマス・イヴにはそれにちなんだミステリを紹介していますが、
昨日すっかり忘れていて、本日更新。
で、もうさすがに自分の抽出がなくなりつつあります・・・

というわけで、今回はそのものズバリのタイトル。
赤川次郎先生の『クリスマス・イヴ』

以下は、Amazonさんの紹介ページから。

クリスマス・イヴの夜、恋人たちで賑わうSホテルが企画したイベント、「ミステリー・ナイト」。
ホテルを舞台に推理劇が演じられ、宿泊客がその謎を解いていくというゲームだ。
推理劇に出演する俳優、人目を避けてイヴの夜を過ごす大女優、ホテルの従業員、
婚約中の恋人たち…。ホテルに集う人々の運命が複雑に絡み合い、
ゲームは思わぬ方向へ転がりはじめた!聖なる夜に繰り広げられる、ロマンチック・サスペンス。

本日はクリスマス。これまでご紹介したクリスマスにまつわる
ミステリーも含め、楽しんでみてはいかがでしょうか。


クリスマス・イヴ (角川文庫)

クリスマス・イヴ (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2012/10/16
  • メディア: Kindle版



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2021本格ミステリ・ベスト10 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

インタビューは『修羅の家』で衝撃を与えた我孫子武丸、超新星・阿津川辰海の二本立て。
そして、こんな時だからがっつり読みたい、研究会みずからセレクトした迷いなしの
「ガチ推し本」特集!毎年話題の国内・海外「本格」ランキングも激動の予感!

いつもは『このミス』と一緒に紹介していますが、今年は『このミス』で
色々と書くことがあったので(笑)、別立てに。

改めて、「本格」ミステリとは何なのか。それが本書には求められるものでしょう。
『透明人間は密室に潜む』、阿津川辰海さんの作品はこれまで未読なのですが、
これは文庫化したら読んでみたい作品。
そして第2位は『蟬かえる』、泡坂妻夫の系譜を継ぐ櫻田智也さんの作品です。
本書は『このミス』でも指摘されていましたが、泡坂妻夫のパスティーシュ的なものから
完全に脱しているとのことで、文庫化が楽しみです。

本書では、映像ミステリ、ライトノベルミステリ、ミステリコミックなどの特集が
やはり『このミス』と違うところで、このあたりを読むのも楽しみの一つです。
インタビューの我孫子武丸先生のは「かまいたちの夜」にも当然触れていて、
じっくり拝読させていただきました。
それにしても、『殺戮にいたる病』から今年の『修羅の家』と、話題作をしっかり
発信されているのはさすがです。
一方で、人形シリーズや速水三兄妹シリーズも新作が読みたいなあと思ったり。

コロナ禍ということもあり、それぞれの分野ごとの推し作品が紹介されているのも良い。
改めてこれ読んで見ようと思う作品も。

年末はこの2つを読んだ上で、さらに積ん読をこれから読んでいきたいと思います。


2021本格ミステリ・ベスト10

2021本格ミステリ・ベスト10

  • 作者: 探偵小説研究会
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2020/12/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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このミステリーがすごい!2021年版 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

32年の信頼と実績を誇る、新作ミステリーランキングブックです。
巻頭は100巻目前「名探偵コナン」大特集!ミステリーの視点から見た「名探偵コナン」
を徹底解析します。各業界人も注目する2020年の国内&海外のミステリー小説ランキング・ベスト20を
はじめ、作家生活20周年を迎えた伊坂幸太郎特集、超人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイ
など、人気コンテンツも充実の一冊です。

今年もこの季節がやってきました!
今年の表紙は、ついにこの人、江戸川コナン!コミックス100巻目前ということで、
青山剛昌先生へのインタビューや、アニメ版&映画版の脚本を手がける
辻真先御大と大倉崇裕先生の対談、ミステリー作家と名探偵コナン、大学ミス研が選ぶ
名探偵コナンベストエピソード等々・・・まさにコナン尽くし!

かつて、私が若かった時に、週刊少年マガジン&週刊少年サンデーを発売日水曜に
毎週購入していたことを思い出します。
マガジンはもちろん「金田一少年の事件簿」、サンデーは「名探偵コナン」
ミステリーコミック人気爆発の時期です。

先生とのインタビューでは「霧天狗」や「鳥取クモ屋敷の怪」が出ていて、懐かしいなあと。
後者は動機がね、あまりにも・・・
前者は、トリック完成までにバレないのか?というのと、被害者は本当に濡れないのか
というのが、当時から気になってました。

辻御大はもう長く「コナン」に関わっておられますが、今年はやはり
御年88歳にして、「たかが殺人じゃないか」がこのミス第1位という快挙!
その構想力や行動力、いや諸々含めてすごいの一言。
東京創元社さんはこれを機に、ポテト&スーパー初期3部作だけでなく、
全てを是非文庫化復刊お願いします。

今年は10位までみると、綾辻行人先生、大沢在昌先生、若竹七海先生とベテラン勢が
ランクインで、まだまだ若手には負けられんという意気込みを感じます。
20位以内では、平石貴樹先生の新シリーズが気になります。

そして「私の隠し玉」。
大山誠一郎先生が書かれる文庫の解説とは何なのか。ものすごく気になります。
ちなみに「ワトソン力」、文庫化したら買います。
倉知淳先生!ついに待望の猫丸先輩最新刊が今月発売!うれしい限り。
しかし文庫化まで待っていられるか・・・うーん。
二階堂黎人さんの合作「双屋敷殺人事件」も目を惹きました。

新型コロナウイルス感染症が拡大する中、なるべくステイホームを保ちつつ、
紹介されていたミステリーや積ん読本になっているミステリーを読みながら、
年末年始も過ごせればと思います。


このミステリーがすごい! 2021年版

このミステリーがすごい! 2021年版

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2020/12/04
  • メディア: Kindle版



たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説

たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説

  • 作者: 辻 真先
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/05/29
  • メディア: Kindle版




その裁きは死 ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫)

その裁きは死 ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: Kindle版



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コロッサスの鉤爪 [貴志祐介]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

何者かに海中深くへ引きずり込まれた元ダイバー。無残な遺体には鉤爪で付けられたかのような
不審な傷が残されていた。現場は、ソナーで監視され、誰も近づけないはずの“音の密室”。
事件の調査依頼を引き受けた、防犯コンサルタント(本職は泥棒!?)の榎本と弁護士の純子は、
大海原に隠された謎に挑む!(「コロッサスの鉤爪」)。表題作ほか計2編収録。
『ミステリークロック』と2冊で贈る、防犯探偵・榎本シリーズ第4弾。

超がつくほど久しぶりの防犯探偵シリーズ!
2冊同時刊行(分冊ですが)はうれしいですね。

しかし、久しぶりに読んだけど、弁護士の青砥純子先生は、いつの間にか
コメディリリーフ的な位置になってたんですね・・・(笑
とはいえ、彼女とのやりとりから榎本の推理も構築されていくのもまた良い。

『鏡の国の殺人』は、「不思議の国のアリス」の続編、「鏡の国のアリス」を
モチーフにした作品。
これを読んでいるとき、『アリス殺し』等で人気を博した小林泰三さんがお亡くなりに
なったとのニュースに接しました・・・ショックです。ご冥福をお祈りいたします。

辻御大の「アリスの国の殺人」など、アリスはかなり日本のミステリでも
よく使われる作品ですね。
本作は萵苣根功のキャラクターが秀逸!いや、まさか本名ではないと思いますが、
彼が事件解決に果たした役割が非常に大きいだけに、それだけにこのキャラクターは良い。
次作にもぜひ登場してもらいたいけど、アリス関連だからなあ・・・

表題作は海を密室にするという、壮大なミステリです。
当時流行(?)していたダイオウイカまで登場します。

しかし、このトリックを解ける人はいないでしょうね。
魚の特色なども組み込んでいてその点も非常におもしろいのですが、
このトリックは暴けない。

次は『ミステリークロック』を読みます!


コロッサスの鉤爪 「防犯探偵・榎本」シリーズ (角川文庫)

コロッサスの鉤爪 「防犯探偵・榎本」シリーズ (角川文庫)

  • 作者: 貴志 祐介
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/11/21
  • メディア: Kindle版



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