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友達以上探偵未満 [麻耶雄嵩]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

三重県立伊賀野高校の放送部に所属する伊賀ももと上野あおは大のミステリ好き。
ある日、部活動で訪れた伊賀の里ミステリーツアーで事件に巻き込まれる。
探偵に憧れる二人はこれ幸いと、ももの直感力とあおの論理力を活かし
事件を解決していくが…?(「伊賀の里殺人事件」)。
見立て殺人?お堀幽霊の謎?合宿中にも殺人事件…。勝てばホームズ。負ければワトソン。
この世界に名探偵は二人も、いらない。女子高生探偵・ももとあおの
絶対に負けられない推理勝負、開幕!


「伊賀の里殺人事件」、これ記憶にあります。
BSプレミアムで放送してました。ちょっと観た気がしますが、
それをノベライズし、さらに2作を加えたものなんですね。

TVの推理クイズというと、マジカル頭脳パワーでそういう問題があったらしいですが、
私が見始めた頃にはもう終了してましたね。

上岡龍太郎さんが司会の特番で、有名作家さんたちがシナリオライターとして
参加していて、様々な事件の謎を解く、というのを何度か観た記憶があります。
これは面白かった。

閑話休題。

本書は上記の内容からもわかるように、読者(視聴者)への挑戦状が挟み込まれています。
有栖川有栖先生の初期昨でもありましたが(解説が有栖川先生なのは人選が素晴らし過ぎます)、
私も有栖川先生同様、謎を解くより真相が早く知りたかったので飛ばしました(苦笑)

「伊賀の里」はコスチュームに何らかのトリックがあることは想像がつくのですが、
そこにさらに捻りを加えてくるのが麻耶先生。『貴族探偵』を彷彿とさせます。

「夢うつつ殺人事件」も犯人が逆手に取った事件です。所収作では個人的オススメ。
なにせ容疑者も少ない、しかも男性も少ない中で、ですからね。
見立て殺人かと思いきや・・・これまた最後のところであっと驚く仕掛けが施されています。

最終話の「夏の合宿殺人事件」はももとあお、二人の心情、特にあおの心情というかももへの
思いみたいなものが描かれていて、事件とはまた別に楽しめますね。
ワトソン役を欲するあおですが、ももの時折(失礼!)魅せる閃きに感心し、
世界は探偵と群衆とワトソン役の3分割でなく、自分とももと群衆とワトソン役の4分割の様相を
呈し始めている、とその心境の変化がうかがえます。

ももの兄であり、刑事の空からの情報も事件解決への重要なものなので、
難しいかもしれませんが、雪の山荘や、絶海の孤島で起きる殺人事件という、
極めて探偵役が輝く長編作品で、本シリーズを描いてもらいたいなと感じました。


友達以上探偵未満 (角川文庫)

友達以上探偵未満 (角川文庫)

  • 作者: 麻耶 雄嵩
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/11/21
  • メディア: Kindle版



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