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大癋見警部の事件簿リターンズ 大癋見 vs 芸術探偵 [深水黎一郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

「警視庁最悪の警部」が帰ってきた!本格ミステリーの“お約束"をことごとく
踏み荒らしてきた大癋見警部の、今度の獲物は芸術の世界──名画、名筆、名曲をめぐる事件に、
今度はあの「芸術探偵」も参戦。難事件をさらに難解にする混沌の世界に、
もはや読者も悶絶!?ミステリーへの強すぎる愛と、芸術への深すぎる造詣が
生み出す笑撃の作品に瞠目せよ!

ちょっと更新に間が空いてしまいました。
ステイホームも中々疲れますね。

さて、本書は先輩格(?)である大貫警部を超えたとの呼び声も高い(笑)
大癋見警部シリーズ第2弾。
本書では、元々レギュラーキャラクターとして登場していた本家本元の
芸術探偵・神泉寺瞬一郎もなんと登場。逆輸入でしょうか?

私の好きな大貫警部の系統ですが、その傍若無人ぶりは初期の大貫を惹起させますねえ。
井上・向井直子という抑え役がいるシリーズと比較すると、
こちらは、海埜警部補がその役を一応担っているものの、
館林刑事や日野鑑識課長など、他のメンバーも個性的揃い。
万渡目刑事・・・論点整理には役立ちます!(笑

個人的に愁眉は「大癋見警部殺害未遂事件」
誰の持ち物かはわからないものの、「大癋見警部はコロス」というメモ書きが。
これに激怒した警部は殺人予備罪で捜査を始めるという、さすがに自分が殺されると
なると、捜査にも力が入りますw
この話、ものすごく短編で、その真実も芸術探偵が登場している事が考慮されてますが、
犯人(?)の館林が堂々としたもので、逆に笑います。

それからある意味社会風刺にも読める「指名手配は交ぜ書きで」。
常用外漢字を使用している様々な用語、それを漢字で記さず、「平仮名」で記すのが
交ぜ書き、です。
警部の物知らずさが発揮される事件なのですが、さすがは強運の持ち主。
見事に取り調べで犯人の名前を的中させ、所轄の刑事諸氏を驚かせます。
しかし、警部をもしかしたら馬鹿にできないのでは・・・と思ってしまう自分もいて、
その意味で、この話は社会風刺でもあるような気がしますねえ。

肝心の芸術探偵には一切触れてないのですが(苦笑)
「ピーターブリューゲル」の事件は相当混乱しますw
芸術探偵・神泉寺もまあ名探偵なのかもしれませんが、変人型なのか、
芸術となるとそちらに行ってしまうようで、警部との会話でさらに混乱。
事件自体はかなりおもしろいので、こちらもオススメです。

個人的な想いとして。
大貫警部にも多くの部下が登場し、こうした物語がまた登場すると良いなあと。


大べし見警部の事件簿 リターンズ 大べし見VS.芸術探偵 (光文社文庫 ふ 26-2)

大べし見警部の事件簿 リターンズ 大べし見VS.芸術探偵 (光文社文庫 ふ 26-2)

  • 作者: 深水 黎一郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/04/14
  • メディア: 文庫



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大癋見警部の事件簿 [深水黎一郎]

Amazonさんの紹介ページから。

この男、警視庁捜査一課の係長なのに、事件を解決する気、まったくなし!
思いつきで部下をこき使い、暴言と居眠り三昧。
それでいてなぜか検挙率100%の大癋見(おおべしみ)警部。下ネタ大好き、
ブルドッグのような容姿の「警視庁最悪の警部」が、“本格ミステリーのお約束”を薙ぎ倒し、
踏み躙りながら難事件を次々解決!?
著者のミステリーへの愛と造詣に満ち溢れた抱腹絶倒の連作集!

本格ミステリへのメタといえば、個人的にはその頂点には
東野圭吾さんの『名探偵の掟』があると思っています。

本作は上記『掟』とは違う、というか、chapter1「国連施設の殺人」を
読むとすぐわかります(笑
というか、この話は本当に驚いた。解決する気が無い。
と思っていたら、後の事件で解決されたことが明らかにされるんですよね。

個人的に本格の常識をある意味打ち破ったのは
次の「耶蘇生誕節の殺人」と「現場の見取り図」

前者は犯行日時が絶対である以上、どこにトリックがあるのかを
考える作品ですが、これは驚愕した。
日本でも江戸時代と明治時代とか考えるとよくわかる。

後者のトリックは見た事がない(笑
というか、完全に逆手に取ってますよね、見取り図を。

「宇宙航空研究開発機構(JAXA)での殺人」は
JAXAならではのトリックが使われています。これも見事。

ちなみこれ、リターンズと題してなんと続編も出ました。
早く文庫化希望!



大癋見警部の事件簿 (光文社文庫)

大癋見警部の事件簿 (光文社文庫)

  • 作者: 深水 黎一郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/10/12
  • メディア: 文庫



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