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探偵は友人ではない [川澄浩平]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

わたし、海砂真史(うみすなまふみ)の幼馴染み・鳥飼歩(とりかいあゆむ)はなぜか
中学校に通っておらず、頭は切れるが自由気儘な性格で、素直じゃない。
でも、奇妙な謎に遭遇して困ったわたしがお菓子を持って訪ねていくと、
話を聞くだけで解決してくれた。彼は変人だけど、頼りになる名探偵なのだ。
歩の元に次々と新たな謎――洋菓子店の暗号クイズや美術室での奇妙な出来事――を
持ち込む日々のなかで、ふと思う。依頼人と探偵として繋がっているわたしたちは、友人とは言えない。だけど、わたしは謎がなくても歩に会いたいし、友人以上に大切に思っているのに……。
札幌を舞台に贈る、青春ミステリ第2弾!

日常の謎&青春ミステリの第2弾。
本作では、真史と歩の仲、そして歩の友人・鹿取の妹である彩香の登場で、
青春小説にぐっと寄った印象です。

特に彩香の出した謎(「第二話 正解にはほど遠い」)は、明らかに歩への好意を、
歩にしかわからない方法で示すという、彼にとって実に実に、答えにくい難問が示されます。

タイトルの問題は、「第四話 for you」で一応の解決をみるものの、
この最終話、話の中で出された謎が1つ残ったまま終わるという、中々面白い作品になってます。

歩の行動の謎は、この話だけ探偵役となる真史が解き明かすも、
そもそも真史が歩へ相談した謎は、そのまま。ラストでわかったから教えるというセリフが
出てきますが、真実は語られず。

さらに本書では「第三話 作者不詳」も、柳先生の沖縄の謎は実は解き明かされていない。
この話、学園モノとしてよく出来ているなあと思ったのですが、柳先生自体の謎は不明のまま。

「第一話 ロール・プレイ」が個人的にはあまりわからなかったなあ。
いや、自分の理解度が足りてないのだと思いますが。

全体を通して、前作が真史とその親友達との話で、そこに歩が介在していたものが、
本作では親友達は登場するものの、真史と歩、そして新キャラ・彩香の関係
とはいえ、彩香の思う関係と真史の思う関係はまるで違うという、そこの面白さもあります。

さて第3弾は如何なる方向に向かうのか、楽しみです。


探偵は友人ではない (創元推理文庫)

探偵は友人ではない (創元推理文庫)

  • 作者: 川澄 浩平
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2022/09/20
  • メディア: 文庫






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探偵は教室にいない [川澄浩平]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

わたし、海砂真史(うみすなまふみ)には、ちょっと変わった幼馴染みがいる。
幼稚園の頃から妙に大人びていて頭の切れる子供だった彼とは、別々の小学校にはいって以来、
長いこと会っていなかった。変わった子だと思っていたけど、中学生になってからは、
どういう理由からか学校にもあまり行っていないらしい。
しかし、ある日わたしの許に届いた差出人不明のラブレターをめぐって、わたしと彼――鳥飼歩は、
九年ぶりに再会を果たす。日々のなかで出会うささやかな謎を通して、
少年少女が新たな扉を開く瞬間を切り取った四つの物語。第二十八回鮎川哲也賞受賞作。


東京創元社さんが得意とする「日常の謎」&「青春小説」。


あとがき、にもあるように、今回はいつも一緒に遊んでいる、男女四人
それぞれの物語。ウミ、栗山英奈、田口総士、岩瀬京介。そしてそれぞれの謎を解く、
探偵役かつウミの幼馴染みである鳥飼歩。

日常の謎だけでなく、この鳥飼歩は安楽椅子探偵だよなあと読んでいて思いました。
ウミからの話やLINEで、おおよその推理を構築する。むろん、自分からまるで動かない
わけではありませんが、別に推理のために動いていないので、安楽椅子探偵だなと。

特に面白いのは、最終話のウミ以外の三人への評価。
京介への「奸計をめぐらせて何をするかわかったものではない」に思わず笑ってしまいました。

あと、仲良し四人という関係性の中で、その第1話にラブレターの話を持ってくるところ
なんて良いですね。ウミに誰がラブレターを出したのか・・・こんな謎を最初とは。
しかも、これで関係が壊れる訳ではない、いいラストなのもまた良い。

すでに三作目まで刊行決定しているようなので、歩の不登校の理由、
ウミとの関係、この四人の関係などなど、次作以降が楽しみです。



探偵は教室にいない 真史と歩シリーズ (創元推理文庫)

探偵は教室にいない 真史と歩シリーズ (創元推理文庫)

  • 作者: 川澄 浩平
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2021/09/21
  • メディア: Kindle版







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