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友が消えた夏 終わらない探偵物語 [門前典之]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

断崖絶壁の館に並んだ首なし白骨死体!
「まさか!」のつるべ打ちに驚愕必至
三冊分のトリックが詰めこまれた奇想の本格推理!

一級建築士で探偵の蜘蛛手啓司は、相棒の宮村達也からある事件の記録を渡される。
名門大学演劇部の劇団員たちが、夏合宿中、一夜にして首なし白骨死体と化した衝撃的な事件。
その詳細な記録が、連続窃盗犯の所持品から見つかったのだ。犯人と目された人物の死体も発見され、事件は一応の決着を見ていたのだが――。
本格界の鬼才が剛腕から放つ前代未聞のトリック!

新年度でバタバタし、初めての更新が遅くなりなってしまいました。
今回は新年度ということもあり、初めて読む作家さん。
オススメに出てきて、解説を読んでこれは!ということで即購入。

門前さんの作品では、初めての文庫作品ぽいですが、
登場するキャラは、これまでの作品にも登場しているのかなあ。
蜘蛛手啓司、この作品だけでは奇天烈とまではいきませんが、変わってますなあ。

事件の詳細な記録を読んで、その事件を解き明かすという、しかも
この詳細記録は手記ではなく、録音を起こしたもの。
しかし、ここにあるトリックが隠されているんですね。
これ絶妙というか、だいたい手記だとかにはそういうものはあるだろうと想像しますが、
語り手を務める人物の、それぞれの呼び名に注目するというのが上手い。
そして、その先にあるこの録音された記録の正確性から、さらに先を見据えての推理は
お見事としか言いようがありません。

閉じ込められた館の内部図や事件現場の図、いやあ、見ているだけで
門前さん本格大好きなんだろうなと、事件の事をほっぽり出して思ってました(笑

物理的トリックよりも、やはり鶴扇閣の事件とタクシー拉致事件、そしてイントルード
での老女殺害事件、この3つがどう関係してくるのか?が一番の読み所。
ここはあえて触れませんが、この動機は納得しそうで、でもそういう実行はできないなあ。
本人の言う病気が本当なのかがまず疑わしいですが、本人がそう思っている以上、
このリセットは繰り返される訳です。
そして、ラストに現在の危機を解決するため、蜘蛛手が立ち上がるのですが、ここでエンド。

まだ文庫化していない、鮎川哲也賞最終候補作や受賞作、いずれも早く読みたいですね。
待ち遠しい。


友が消えた夏~終わらない探偵物語~ (光文社文庫)

友が消えた夏~終わらない探偵物語~ (光文社文庫)

  • 作者: 門前 典之
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2023/02/14
  • メディア: Kindle版






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