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アリス殺し [小林泰三]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

大学院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。
ある日ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見た後大学に行ってみると、
玉子という綽名の男が屋上から転げ落ちていた。次に見た夢の中でグリフォンが生牡蠣で窒息死すると、現実でも牡蠣を食べた教授が急死。そして不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋が
犯人捜しに乗り出していたが、なんとアリスが最重要容疑者に……。
悪夢的メルヘンが彩る驚愕の本格ミステリ!

久しぶりの更新です。
待ちに待っていた「アリス殺し」がようやく文庫化しました。
以下、ややネタバレあり。

元々がホラー大賞受賞作家さんだけあって、中々きわどい描写も多いのですが、
不思議の国と地球とで、事件が連動して起こるという設定を全面に活かした傑作
だと思います。

この設定を最大に活かしているのが犯人とそして最後の謎解き。
前者の犯人当てはまだわかるかもしれませんが、最後の謎解きはかなり驚きました。
不思議の国を舞台にした設定が最大限活きてきます。

そして、なぜ事件性が低い事故なのに、中丸警部と西中島刑事がわざわざ捜査に
来ているのかというのも、この設定が大きい。
惜しむらくは、なぜ亜理と井森は彼らを誤認してしまったのかです。

そしてそして、不思議の国での存在がアーヴァタールであるという
<蜥蜴のビル>こと井森の説こそ、実は最大のミスリードなんですね。
本作内の真犯人も、そして次作以降でもなぜか井森がワトソン役として登場するという、
奇妙な状況が生み出されるのです。

探偵役が共通ではなく、ワトソン役(とその世界観)が共通という、中々
お目にかかれないシリーズの記念すべき第1作。
不思議の国における、頭のおかしな帽子屋と三月兎の、これでもかという話の通らない
会話も合わせて(笑)必読です。


アリス殺し (創元推理文庫)

アリス殺し (創元推理文庫)

  • 作者: 小林 泰三
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: 文庫



アリス殺し アリス殺しシリーズ (創元推理文庫)

アリス殺し アリス殺しシリーズ (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/26
  • メディア: Kindle版



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