SSブログ
若竹七海 ブログトップ

殺人鬼がもう一人 [若竹七海]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

都心まで一時間半の寂れたベッドタウン・辛夷ヶ丘。二十年ほど前に連続殺人事件があったきりの
のどかな町だが、二週間前の放火殺人以来、不穏な気配が。そんななか、町いちばんの
名家の当主・箕作ハツエがひったくりにあった。辛夷ヶ丘警察署生活安全課の砂井三琴は
相棒と共に捜査に向かうが……。悪人ばかりの町を舞台にした毒気たっぷりの連作ミステリー!


逆コージーミステリー。日本での本家本元・若竹七海先生による作品です。
6作品の連作短編集となります。以下、ややネタバレ。






この辛夷ヶ丘署には、何らかの問題がある警察官が、いわば配流されてくる流刑地
のような所みたいですが、少なくとも、ほぼ主人公を務める砂井三琴と相棒である
田中盛は、刑事としては極めて優秀です。

「ゴブリンシャークの目」では、この二人が、真相を看破します。
この1話、表題作である「殺人鬼がもう一人」と極めて密接な関係にあるのですが、
一体、どちらの人物が「もう一人」なんでしょうか?

「丘の上の死神」は、所収昨の中で一番きな臭いというか、壮絶なる権力争いが描かれます。
市長選と殺人事件と、そこにそれぞれの陣営につく警察という、阿鼻叫喚。

単なる嫌味と無能でしかなかった五十嵐係長と荒川課長の暴走が凄まじすぎます。
三琴と遊里子の化かし合い的な「取引」は、中々読ませます。
双方の思惑というか利害が一致しているので、すんなりと決まりますが。

「黒い袖」は解説でも書かれているように、ワンクッション的な物語なんでしょう。
真相よりも、主人公を務める原竹緒の正体を実に上手く隠していて、お見事です。
まあ、真相を解く鍵でもあるのですが、

「きれいごとじゃない」。本書所収作では、一番やるせない、救いのない結末ですね。
主人公を務めるのは、向原理穂、<向原清掃サービス>の専務で、
強盗計画があることを警察から知らされ、砂井三琴巡査長が清掃員に化けて
各家を見回っている、というのが前提。
実は<向原清掃サービス>にもちょっとした隠された秘密(というか犯罪ですが)が
あり、それを三琴に見抜かれているようで、反省したり。
一方で、三琴が悪事を働くのではないか、と理穂が疑ったりと、とにかく本筋だけでなく、
相変わらず様々な出来事が降りかかります。
そこに来て、最後の一撃があまりに強烈なので、まるで救いがない。
本筋や他諸々の事案が上手く丸く収まったのに、最後にこれが来るとは予想外。

「葬儀の裏で」は、オリエント急行殺人事件のような話ですね。
壮大なるネタバレです。
ただし、そこには辛夷ヶ丘の土地にまつわるある話なども加わるので、
あくまで辛夷ヶ丘を舞台とした事件というのは、変わりがありません。

最終話「殺人鬼がもう一人」。三琴の壮絶なる戦いと裏取引が垣間見える作品ですが(苦笑)、
ローズマリーこと、蒲原マリの苦労は壮絶なものです。弟の誠治の治療費のために、
危ない橋を渡る仕事をやらねばならず、そして彼女自身もある疾患を抱えているようで・・・

ここに来て、作品紹介の20年前の連続殺人事件が急遽メインに登場し、
<ハッピーデー・キラー>の正体が明かされるのですが、
ラストで、蒲原マリと砂井三琴、彼女たちの会話で物語は終了しますが、
これどういう解釈するのがよいのか、非常に悩みました。
三琴はマリを利用しようとして、わざとこんな会話をしているのか、
いまいち意図が掴めず。20年前から続く連続殺人事件は、果たして真の解決をみたのかは
語られません。
続編とかありそうですが、というかぜひ続編を。


殺人鬼がもう一人 (光文社文庫)

殺人鬼がもう一人 (光文社文庫)

  • 作者: 若竹七海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2022/04/12
  • メディア: 文庫







nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:

不穏な眠り [若竹七海]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

葉村の働く書店で“鉄道ミステリフェア”の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう。
行方を追ううちに思わぬ展開に(「逃げだした時刻表」)。相続で引き継いだ家にいつのまにか居座り、
死んだ女の知人を捜してほしいという依頼を受ける(「不穏な眠り」)。
満身創痍のタフで不運な女探偵・葉村晶シリーズ。


以下、ややネタバレ。
葉村晶、久しぶりの短編集です。






ABC殺人事件という古典的傑作を取り入れた、まさにミステリ書店ならではの事件として
「逃げ出した時刻表」はオススメ。
その内容も二転三転しつつも、飾られたABC時刻表(鉄道案内)そのものが実は・・・
という所が面白かったです。

最初の「水沫隠れの日々」は葉村も確かに不幸な目に遭うのですが、
それ以上に依頼人と遙香の方がより不幸な作品。
葉村の推理は当たってはいたのですが、時すでに遅し。

表題作はあともう少しで本当に葉村が死ぬところで、社会問題になってひさしい
ニュータウン・欠陥住宅、さらには老人ホームと、多岐に問題がまつわる調査です。

原田宏香と八千代、この2人の女性は本当に恐ろしい。
ぞくっとする、ホラーに近い感覚を読後に味わいました。

さて年内はあと1日。明日はもうどうでもよい恒例の記事を書く予定です。


不穏な眠り (文春文庫)

不穏な眠り (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/12/05
  • メディア: 文庫



不穏な眠り (文春文庫)

不穏な眠り (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/12/05
  • メディア: Kindle版



nice!(3)  コメント(3) 
共通テーマ:

錆びた滑車 [若竹七海]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

女探偵・葉村晶は尾行していた老女・石和梅子と青沼ミツエの喧嘩に巻き込まれる。
ミツエの持つ古い木造アパートに移り住むことになった晶に、交通事故で重傷を負い、
記憶を失ったミツエの孫ヒロトは、なぜ自分がその場所にいたのか調べてほしいと依頼する―。
大人気、タフで不運な女探偵・葉村晶シリーズ。

以下、ややネタバレ。



上から人が降ってくる不運に始まり、今度は自分が落ちるで終わる。
どこまでも不運すぎますが、落ちた後、真の犯人ともいえるべき人物と対峙する葉村は
かっこいい。
「さよならの手口」と同様、ある老女の尾行するという小さな依頼から、
大きな事件へと繋がります。
ただし「さよならの手口」と違うのは、この依頼そのものが仕組まれた面があるところでしょうか。
とはいえ、葉村は依頼を通じて知り合ったミツエとヒロトと暮らし始め、
不便さや不満を散々露わにしながらも、最後に彼らと過ごした時間を素晴らしい瞬間と
振り返りつつも、彼らを救えなかった自分を無能な探偵と恥じるのです。

そして彼女を取り巻く環境にも再び変化が。
これまで住んでいた「スタインベック荘」の取り壊しが決まり、
アルバイト先の<白熊探偵社>の空き部屋に住むことになります。
良くしてくれた大家岡部巴や、同じ店子の佐々木琉宇とも別れることに。
(姪の飛鳥市子は登場人物の中でも真犯人の次に嫌なヤツですが)
しかし、当麻警部との腐れ縁が切れない以上、佐々木琉宇とも実は切れない縁に
なってしまったかもしれません。彼女に彼氏ができたことにより(笑

ヒロトの事故や「牧村ハナエ」の存在、そして麻薬・・・様々に張られた伏線
を徐々に徐々に回収していく物語も読み応えあり。

ここからは余談。
葉村晶も「さよならの手口」で13年ぶりに復活しましたが、
元々「プレゼント」で彼女と微妙な共演をしていた小林警部補も
「御子柴くんの甘味と捜査」で久しぶりの復活を果たしました。

その後小林警部補は勇退しますが、葉村晶にはこれからも
我々を楽しませてほしいと思います。


錆びた滑車 (文春文庫)

錆びた滑車 (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: 文庫



錆びた滑車 葉村晶シリーズ (文春文庫)

錆びた滑車 葉村晶シリーズ (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: Kindle版



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

御子柴くんと遠距離バディ [若竹七海]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

長野県警から警視庁へ出向中の御子柴刑事。すっかり東京のペースにも慣れ、
刑事としても中堅どころになり、わりあい平穏な日々を送っていた。
だが、その油断がたたったのか、年末押し迫ってから行く先々で事件にぶちあたり、
さらには凶刃に倒れてしまう! 相棒の竹花刑事は御子柴の死を覚悟するが……。
シリーズ第二弾は波瀾の幕開け。

久しぶりの更新です。このところ多忙でした・・・

遠距離バディとはもちろん長野県警の名刑事・小林警部補だと思っていたのですが・・・
なんと本巻では小林警部補は定年退職し、奥様の実家で畑を耕し、タクシー運転手を
しているという、ちょっと残念なことになってました。

小林警部補に代わり、新たに御子柴くんの相棒となったのが警視庁の竹花刑事。
ただし、なぜ遠距離バディなのかは「御子柴くんの災難」で判明します。

というか、この話。かなり破天荒な話で、結論から言えば、この「災難」により
御子柴くんは捜査共助課から、長野県警へ戻ることに。

ところが、なぜか御子柴くんと竹花刑事が扱うそれぞれの事件が、なぜか
密接に関係しているんですよね。

オススメは「火の国から来た男」
最後の結末も驚きますが、竹花と御子柴の偶然の「出会い」が一番強烈でした(笑

次のシリーズ、あるんでしょうかね。
もしあるなら、葉村晶とのコラボを再び見たい。



御子柴くんと遠距離バディ (中公文庫)

御子柴くんと遠距離バディ (中公文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/12/22
  • メディア: 文庫



御子柴くんと遠距離バディ (中公文庫)

御子柴くんと遠距離バディ (中公文庫)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/12/25
  • メディア: Kindle版



nice!(3)  コメント(3) 
共通テーマ:

サンタクロースのせいにしよう [若竹七海]

毎年クリスマスにはそれにちなんだミステリを紹介しています。
今年はこちら。

まずはAmazonさんの紹介ページから。

一戸建てを二人でシェア、料理さえ作れば家賃はタダ。
そんなおいしい話を見逃す手はない―。
というわけで、気はいいけれど変わり者のお嬢様・銀子さんの家に居候することになった私。
しかし、引っ越し早々、幽霊は出るわ、ゴミ捨て場の死体騒動に巻き込まれるわ…
なぜかトラブルが続発。郊外の平凡な住宅地を舞台に、
愛すべき、ちょっと奇妙な隣人たちが起こす事件を描くミステリ短編集。

岡村柊子と松江銀子のルームシェア生活の2年強の間を描く
「日常の謎」系作品集。

本作愁眉は「虚構通信」かなと思います。
銀子さんにとってもかなり悲しいことが起こりますし、
少なからず似たような人は存在するという。

各作品とも、いわゆるほのぼのした「日常の謎」かと言えば、
そこは若竹七海先生。ちょっとホラーやブラックな調味料も加えてます。

表題作「サンタクロースのせいにしよう」は
ゴミ置き場やゴミの中身を早朝から点検する鈴木さんが
起こす大騒動。
普段から迷惑を被っていた住民の誰かが仕組んだのか、それとも全員・・・?

本作主人公は柊子ですが、探偵役は複数名登場。
彼女の友人・彦坂夏見は上記サンタクロースで見事な推理を披露。
そして銀子の異母兄・曽我竜郎も「死をいうなかれ」でその役を担います。

最終話で柊子が竜郎を実は・・・というのを匂わせて物語は終幕。
個人的には玄関先の幽霊コロはどうなったのか、そこは気になりました。

それでは良いクリスマスを。




サンタクロースのせいにしよう (集英社文庫)

サンタクロースのせいにしよう (集英社文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1999/11
  • メディア: 文庫



nice!(4)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

暗い越流 [若竹七海]

Amazonさんの紹介ページから。

凶悪な死刑囚に届いたファンレター。差出人は何者かを調べ始めた「私」だが、
その女性は五年前に失踪していた!(表題作)
女探偵の葉村晶は、母親の遺骨を運んでほしいという奇妙な依頼を受ける。
悪い予感は当たり…。(「蝿男」)
先の読めない展開と思いがけない結末―短編ミステリの精華を味わえる全五編を収録。
表題作で第66回日本推理作家協会賞短編部門受賞。

葉村晶モノ2編に、ライターの南治彦が登場するシリーズ?2編を含む全5編。
いずれも趣向が異なり、極めてレベルの高い短編集。

まずは葉村シリーズ。
「蠅男」は不幸を呼ぶ女の真骨頂(苦笑)
依頼人本宮波留も相変わらずぶっ飛んだキャラだなあ・・・
ちなみに、この作品はまだ長谷川探偵調査所に所属する調査員。

「道楽者の金庫」
金庫を開けるための「鍵」であるこけしに秘められたあるトリックが見事。
意外な所で絡む葉村のミステリ専門書店のバイトもおもしろいです。

「幸せの家」
本作はやはり衝撃ともいえるラストでしょう。
このラストにより、この表題作の意味がよくわかります。

「狂酔」
一人の男の独白で物語は進みます。5編の中では最も哀れな主人公。
しかし、最後の彼の告白は相当な衝撃。

「暗い越流」
死刑囚に届いたファンレター。これを調べることになった主人公。
事件の結末はミステリを読み慣れた方ならある程度予想はできるかもしれません。
しかし、最後の主人公の思惑まではまず読み切れない。

まさに「名短編、ここにあり」の短編集。
必読です。


暗い越流 (光文社文庫)

暗い越流 (光文社文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/10/12
  • メディア: 文庫



暗い越流 (光文社文庫)

暗い越流 (光文社文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/10/20
  • メディア: Kindle版



nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

静かな炎天 [若竹七海]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

ひき逃げで息子に重傷を負わせた男の素行調査。疎遠になっている従妹の消息。
依頼が順調に解決する真夏の日。晶はある疑問を抱く(「静かな炎天」)。
イブのイベントの目玉である初版サイン本を入手するため、
翻弄される晶の過酷な一日(「聖夜プラス1」)。
タフで不運な女探偵・葉村晶の魅力満載の短編集。

葉村晶、探偵業を再開。
「さよならの手口」にて無事に正規に探偵業を
することができるようになった葉村。
しかし、あくまでミステリ古書店でバイト、時々探偵という、
肩書きは変わらず。

表題作「静かな炎天」は本作愁眉。
次々と舞い込む調査の依頼。その裏にあるものとは?
ホームズの「赤毛組合」を彷彿とさせます。

「熱海ブライトン・ロック」は後味悪い作品ですが、
これはそれ以上に衝撃的な場面が描かれます。
よくぞ葉村はこれを乗り切った!

「副島さんは知っている」は懐かしい人物が登場。
それもうれしかったですが、この作品は葉村の
大がかりな「ウソ」が面白い。
かつそれが古書店バイトのミステリと見事に関わっていて、
見事な作品です。

「暗い越流」にも葉村晶シリーズは収録されているようで、
こちらの文庫化も待たれます。




静かな炎天 (文春文庫)

静かな炎天 (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/08/04
  • メディア: 文庫



静かな炎天 (文春文庫)

静かな炎天 (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/08/04
  • メディア: Kindle版



nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

悪いうさぎ [若竹七海]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

女探偵・葉村晶(あきら)は、家出中の女子高校生ミチルを連れ戻す仕事を請け負う。
妨害にあい、おまけに刺されてひと月の安静をやむなく過ごした矢先、
今度はミチルの友人・美和を探すことに。やがて見えてくる高校生たちの危うい生態
──親への猛烈な不信、ピュアな感覚と刃物のような残酷さ──その秘めた心にゆっくり近づく晶。
打ち解けては反発するミチル、ナイスなゲイの大家・光浦たちとともに行方不明の同級生を追う。
好評の葉村晶シリーズ、待望の長篇!

相変わらず不運が続く調査員の葉村。
登場人物の東都総合リサーチの世良はだんとつのクズですね・・・
物語初っ端から大けがに巻き込まれる葉村は本当に不運だ。
しかし、この出来事で知り合った平ミチルからの頼みから、
さらに恐ろしい事態に巻き込まれていく事に・・・

この表題作が物中で初めて出て来るのは公園でのシーン。
捨てられたうさぎが公園の餌を貰っている所です。
檻に入れられたうさぎを足が悪い事から「悪いうさぎ」と言う管理事務所の男性。
このシーン、さらっと書いてありますが、最後まで読んで見ると、
物語の核心的なものが、実は凝縮されていると感じました。

捨てられたうさぎ。餌をもらってもぷいとむくれているうさぎ。
檻に入れられて、不自由なうさぎ・・・
ミチルや滝沢美和、水地佳奈も上記うさぎたちの境遇に
似ていた状況だったのではないでしょうか。

ラストまでどこか救いがない話が続きますが、
葉村のある種の勘違いだけは、これまでのシリーズと全く異なり、必読(笑
しかし、村木さん、それは勘違いするんじゃない?て行動ですよ。

気になるのは親友みのりがどうなったのか。
「さよならの手口」でも語られなかったような・・・次作では元気な姿を
見せてほしいですが。



悪いうさぎ (文春文庫)

悪いうさぎ (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/07
  • メディア: 文庫



悪いうさぎ (文春文庫)

悪いうさぎ (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/07/10
  • メディア: Kindle版



nice!(2)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

依頼人は死んだ [若竹七海]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

女探偵・葉村晶(あきら)は探偵事務所からの仕事で生計をたてながら、
時に家族がらみの無料捜査も押し付けられる、何でも屋だ。念願の本を出版し、
結婚直前だった順風満帆の婚約者はなぜ自殺したのか?受けてもいない健康診断の、
ガンを知らせる通知書が届いた意図は?瀟洒なプチ・ホテルに集う常連に隠された惨事とは?
彼女に持ち込まれる事件の真相は、少し切なく、ぞくっと怖い。構成の妙、
鮮やかなエンディングにうならされる、みごとな連作短篇集。

最初の冬の物語「濃紺の悪魔」からラストの三度目の冬の物語「都合のいい地獄」
まで実によくまとまっている連作短編集。

最初と最後は、葉村が本作で結果的に追う事になる、ある犯人が
登場するんですが、ラストはやや消化不良かなあ。というか彼との対決は
この後描かれるのか?

オススメは「たぶん、暑かったから」と「アヴェ・マリア」。
前者はなんとも表現のしようがない作品。
凶器であるネジ回しを中心に推理を組み立てる葉村ですが、
最後の最後で、どんでん返しが起こります。
この作品はすごい。

後者はこの後続く作品にも密接に関連し、
かつ個人的にはイヤミスなんではないかというモノです。
結局のところ、最後までこの作品内の殺人「動機」は描かれず、
このモヤモヤを葉村はずっと引きずっていくことになります。

いよいよ次は長編「悪いうさぎ」です。
こちらも楽しみ。



依頼人は死んだ (文春文庫)

依頼人は死んだ (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 文庫



依頼人は死んだ (文春文庫)

依頼人は死んだ (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2003/06/10
  • メディア: Kindle版



nice!(3)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

プレゼント [若竹七海]

Amazonさんの紹介ページから。

ルーム・クリーナー、電話相談、興信所。
トラブルメイカーのフリーター・葉村晶と娘に借りたピンクの子供用自転車で現場に駆けつける小林警部補。
二人が巻き込まれたハードボイルドで悲しい八つの事件とは。
間抜けだが悪気のない隣人たちがひき起こす騒動はいつも危険すぎる。

「さよならの手口」で13年ぶりの復活を果たした葉村晶と、
「御子柴くんの甘味と捜査」で電話口での登場のみの小林警部補。
二人のデビュー作であり、かつその二人が邂逅するエピソードが
描かれる短編集になります。

「さよならの手口」ですっかり葉村晶が好きになってしまい、
これまでの作品を買い漁りました(笑

若竹さんは本当に作風が多彩な作家さんで、
コージーミステリはあまり私には合わなくて、それから疎遠だったのですが、
この葉村晶シリーズは良い。個人的にはイヤミスに近い印象を持ちました。

昨日「依頼人は死んだ」を読了したところで、改めて本書を見ると、
どうしても小林警部補がコメディリリーフ的立場に見えてしまう(苦笑
いや、大活躍というか、まさに名探偵なのに、大変申し訳ありません。

小林警部補モノでは、「殺人耕作」と表題作「プレゼント」がオススメ。
後者は犯人がマヌケな感じ。ノコノコよくまあ出てきたものだと。
前者はコロンボ型かと思いきや・・・(小林警部補ものは「冬物語」などコロンボ型があります。)

葉村晶モノは、もう最初からクライマックスみたいなもんです(笑
「海の底」ではノンフィクション・ライター。この事件のせいなのか、次では
職業が変わります。

「再生」では上記作品で登場した遠藤編集者が再び登場。
ここでライター家業とは完全おさらばと見て良いのでしょう。

最終話「トラブル・メイカー」
小林警部補と葉村晶共演作品ですが、本作が次作「依頼人は死んだ」での
葉村晶の探偵能力と非常に密接、彼女にとっての大きな事件(出来事)
であった事は次作を読むと分かります(苦笑

かなり話はぼかされていて、葉村の家族関係とかはほんの少ししか
説明がないため、実際にどのような関係なのかは推して知るべし、という事なんでしょうか。

小林警部補にも、再び主役を張ってほしいですね。


プレゼント (中公文庫)

プレゼント (中公文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1998/12
  • メディア: 文庫



nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

さよならの手口 [若竹七海]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、
古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。
入院した病院で同室の元女優の芦原吹雪から、
二十年前に家出した娘の安否についての調査を依頼される。
かつて娘の行方を捜した探偵は失踪していた―。

今年読んだミステリの中でも相当上位に入る作品。
葉村晶シリーズは未読でしたが、このキャラは好きだ。
過去作も是非読んで見たいです。

失踪人といえば聞こえはいいですが、状況から
考えれば、おそらくは亡くなっている・・・だろうなという感じから、
また依頼人の姪からもそれとなく調査を・・・という話。

しかし葉村自身は調査を進めていく上で、自分がこの仕事を
好きであることを改めて認識させられていきます。

20年前に芦原志緒利を調査した探偵岩郷克仁の調査書は
ほぼ完璧であったにも拘わらず、彼は失踪してしまった。

さらにナニカの事件を追っているようなイヤミな当麻警部が
登場し、彼女にスパイをせよという。
探偵業法違反をちらつかせつつ。

失踪人探しから始まった葉村の「探偵」復帰最初の仕事は、
さらなる失踪人探しと裏カジノの一斉摘発に係る関係者スパイ。
そして20年の間に失踪人芦原志緒利の元から消えている関係者探し・・・・

最初遺品整理で死にそうな目にあった葉村でしたが、
その後も次々と死にそうな目にあっています(笑

葉村自身は名探偵というよりも、まさに「調査員」という感じ。
全てを見通す、というより、推理し調査し、推理に誤りがあればそれを
軌道修正し、さらに調査を進めていく、堅実に調査を進め、事実と推理とで
真実を暴いていきます。

ラストは実のところは、あまり鮮やかな解決には至っていません。
救いは岩郷さんが発見された事くらいでしょうか。

しかしミステリ書店店主の富山が最後に明かしたとある件は、
僕の中で彼を大きく見直すきっかけとなりました(笑

彼女の「探偵」業が「合法」で出来る事になったので、
今後の活躍も是非読んでみたいものです。


さよならの手口 (文春文庫)

さよならの手口 (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/11/07
  • メディア: 文庫



さよならの手口 (文春文庫)

さよならの手口 (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/11/10
  • メディア: Kindle版



nice!(2)  コメント(3)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

御子柴くんの甘味と捜査 [若竹七海]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事。
甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されるが、日々起こる事件は、ビターなものばかり。
上田市の山中で不審死体が発見されると身元を探り(「哀愁のくるみ餅事件」)、
軽井沢の教会で逃亡犯を待ち受ける(「不審なプリン事件」)。
『プレゼント』に登場した御子柴くんが主役の、文庫オリジナル短篇集。

とにかく長野県警や各警察署の人たちからのお土産希望ばかりで、
御子柴くんは捜査できているのかと不思議に思ってしまいます。
今はネットでも購入できるのになあ(笑

長野県絡みの事件には必ず参加する御子柴くん。
本庁さんからも長野県名物を要求されたりで、大変な毎日。
しかしその付け届けが捜査をスムーズに行う事が出来たりと、
警視庁と長野県警の間を取り持つ御用取次みたいなものです。

事件は中盤や終盤に差し掛かると、御子柴くんの携帯にはかつての
上司である小林警部補から電話がかかってきます。
警部補からの指摘から、事件の真相が明らかになります。

ただし、本書最終話「謀略のあめせんべえ事件」はやや消化不良。
スカッと完全解決してほしかった。

物語のパターンは決まってますが、いろんな甘味が出てくるので、
それが実際に美味しく見えてくるし、なんだか食べたくなってきます。
実際に検索してみようかな・・・


御子柴くんの甘味と捜査 (中公文庫)

御子柴くんの甘味と捜査 (中公文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/06/21
  • メディア: 文庫



nice!(3)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

五十円玉二十枚の謎 [若竹七海]

創元推理文庫から出ている競作。
千円札を五十円玉二十枚に両替してくれという奇妙な客。
一体、何のためにそんなことをするのか?!
その謎にミステリ作家が独自の視点で挑みます。

これはおもしろいです。
多くの作家さん(あるいはこれがデビュー作の方)で
これほどこの奇妙な謎の解き方が違うのか!と驚きました。

ちなみにぼくの好きな猫丸先輩もこの作品に初?登場。
見事なまでの回答を与えてくれます(笑

またこういうのを企画してほしいものです。

競作五十円玉二十枚の謎

競作五十円玉二十枚の謎

  • 作者: 若竹 七海, 依井 貴裕, 有栖川 有栖, 笠原 卓, 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2000/11
  • メディア: 文庫


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

古書店アゼリアの死体 [若竹七海]

若竹さんの作品はこれが三冊目。
最初読んだとき、この主人公?相澤真琴はどうも「心のなかの冷たい何か」の主人公、「若竹七海」と最初の不幸の出来事連続がかぶりました。
その後は全く違う歩みをしていくわけですが・・・

意外にも彼女の不幸のひとつ、火事で焼け出される、というのが
後々重要なポイントだったのは驚きでした。
あとは、前田しのぶ。最後で彼女のイメージが一変しました。

ただ、僕は名探偵肯定派で、シリーズキャラクターとしての「探偵役」が
登場するものが好きなんです。若竹さんのはおもしろいのですが、
今回のアゼリアも「探偵役」はどうも判然としなかったので、
その点は不満かなあと(ファンのかた、申し訳ありません)
これが光文社から出ているもので読んだ一冊目なので、
他のも読んでみたいと思います。

古書店アゼリアの死体

古書店アゼリアの死体

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2003/09
  • メディア: 文庫


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

心のなかの冷たい何か(若干ネタバレあり) [若竹七海]

若竹七海さんの長編、先頃創元推理文庫から刊行されました。
主人公は若竹七海、旅行先で知り合った一ノ瀬妙子と言う女性が
自分に電話をくれた後、突如自殺未遂をはかる。
そして七海の元に彼女の「手記」が届く。
彼女は自殺ではないのではないか、との思いから、「友人」の事件の
真相を探り出す・・・

長い間文庫化されず、ようやく待ちに待った刊行です。
私だけが理解できていないのか、どうしても一ノ瀬妙子の動機がいまいち
わかりません。最後に因縁の様な話(ガス)が出てきて、
それが大きいのか、なんて思ったりもしますが、そんなはずはないし・・・
しかし主人公の行動が結果的に悲劇を招いている面もあって
悲しい感じがしました。
「力也」というキャラクターが登場しますが、彼はなかなかいい味を出してます。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
若竹七海 ブログトップ