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ぼくの「このミス」2023 [ミステリ]

本年最後はこの記事で。
意外と、というか毎年12月に怒涛の更新を見せるのは、
この記事を書くためかもしれません(笑

『六人の嘘つきな大学生』
とにかく素晴らしい構成でした。
彼らの「嘘」とは何か。フーダニット、ホワイダニットも入れつつ、
見事にタイトルから二重に読者を騙した傑作。

六人の嘘つきな大学生 (角川文庫)

六人の嘘つきな大学生 (角川文庫)

  • 作者: 浅倉 秋成
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2023/06/13
  • メディア: Kindle版







『死の湖畔 Murder by The Lake 三部作#2 告発(accusation) 
                  十和田湖・夏の日の悲劇』
十和田湖での転落事故という1つの構図を、
最後に逆転させる素晴らしい傑作。
中町信先生の作品は創元推理文庫、そして徳間文庫などで
手に取ることができるのでぜひ。







『Y駅発深夜バス』
名短編ここにあり。「猫矢来」は論理のアクロバットの傑作でしょう。

Y駅発深夜バス (創元推理文庫)

Y駅発深夜バス (創元推理文庫)

  • 作者: 青木 知己
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2023/05/19
  • メディア: 文庫






『Yの悲劇』『ママは何でも知っている』
もはや古典的名著ですが、初読というのが恥ずかしいです。
決して今読んでも色あせない、それぞれが今のミステリの先駆的作品であり、
本格、新本格、ミステリを愛する方へはぜひ読んでほしい作品。

Yの悲劇【新訳版】 (創元推理文庫 Mク 1-2)

Yの悲劇【新訳版】 (創元推理文庫 Mク 1-2)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2022/08/19
  • メディア: 文庫






ママは何でも知っている (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ママは何でも知っている (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/06/15
  • メディア: Kindle版






来年もよいミステリに出会えることを祈念しつつ。
来年もよろしくお願いします。

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本格ミステリ・エターナル300 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

本格ミステリの2010年代は、どんな時代だったのか――
2011~2021年の各年を代表する傑作300タイトルのレビューとともに振り返り、
充実のコラム・解説で10年を総覧するガイドブックが登場!
本格ミステリを「読みたい人」「書きたい人」「語りたい人」すべてのファンに贈る、必携の一冊。

クリスマス・イヴにはだいたいクリスマスに関するミステリやら何やらを
紹介するのですが、弾切れです(苦笑
先週調べられなかったのですよね・・・

というわけで、『本格ミステリ・クロニクル』『本格ミステリ・ディケイド』に続く、
2010年代の本格ミステリを振り返る『本格ミステリ・エターナル』をご紹介。

通覧するとわかるのですが、この時代、一気に様変わりします。
新たな新進気鋭の作家さんの登場もさることながら、
ラノベからの本格ミステリ、特殊設定ミステリの大々的な登場という、
大きな波があったのが、この年代です。

今では特殊設定あるいは特殊状況ミステリは珍しくありませんが、
これをSF等ではなく、本格の俎上で描くというのは、やはり衝撃的だったと思います。
その代表格が『屍人荘の殺人』ではないでしょうか。

一方で、皆川博子御大、辻真先御大というレジェンドが各ミステリランキングで
トップを取るなど、レジェンドからベテラン勢もまだまだ負けていません。

個人的には、紹介されているミステリで、未だに文庫化されていないものも
多く、より多くの人に膾炙するには、(営業面で厳しいのは重々承知の上ですが)
文庫化を各出版社さんには試みて欲しいですね。
(その1つが、電子書籍化であるのは言うまでもありませんが)

ところでこの『エターナル』は原書房さん刊行でないのは、
何か理由があるのかなあと。

いずれにせよ、2020年代、さらにはその次も、本シリーズが刊行されることを
祈念したいですね。


本格ミステリ・エターナル300

本格ミステリ・エターナル300

  • 出版社/メーカー: 行舟文化
  • 発売日: 2023/12/02
  • メディア: 単行本






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2024本格ミステリ・ベスト10 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

映像、コミック、ゲームから演劇、評論まで本格まみれの一年を総覧!
気鋭からベテランまで話題作揃いのランキングをはじめ、
新作『鵼の碑』が話題の京極夏彦、予測不能の俊英・方丈貴恵の2大インタビュー、
特集は「暗号ミステリの愉しみ」。今年も情報満載でお届けします!

『このミス』とともに年末の楽しみのもう一つ。
こちらにも京極夏彦先生のインタビューがあって、すこし笑いました。
妖怪の話とか、次作とか、いやあ、楽しみ&期待が高まりますね。

『本格ミステリ』の方は、映像作品やラノベ、それから装丁と、企画が多彩なので、
良いですよね。一番私が見てるのは「復刊ミステリ2023」。
ここは、おお!こんなものが知らなかったという発見があり、また良いのですよねえ。

方丈貴恵さんのインタビュー。『孤島の来訪者』注文したので楽しみです。
今回は暗号特集があるのですが、やはり『黄金虫』と『踊る人形』から始まる、
ミステリの中で大きなトリックの一つですね。
しかし奥が深いなあ、とこの特集を読んで思いました。
やはり『猿丸幻視行』は読むべきだなと。

今年もあとわずかですが、積ん読もどんどん読みます!


2024本格ミステリ・ベスト10

2024本格ミステリ・ベスト10

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2023/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)






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このミステリーがすごい! 2024年版 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

35年の信頼と実績を誇る、新作ミステリーランキングブックです。
巻頭では『名探偵コナン』30周年を記念し、
青山剛昌×東野圭吾の超巨大対談が実現!
17,000字に及ぶ、ミステリー界のトップランナー2人の邂逅をお楽しみください。

更に、デビュー30周年を記念し、京極夏彦単独インタビューも掲載。
最新作『鵼の碑』のお話もたっぷりうかがいました。

そのほかQuizKnock河村拓哉×『君のクイズ』作者・小川哲特別対談などで、
2023年のミステリーヒット作に迫ります。

各業界人も注目する2023年の国内&海外のミステリー小説ランキング・ベスト20、
超人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイなど、例年の人気コンテンツも充実の一冊です。

ついに今年もこの季節。
今年の表紙は30周年記念の『名探偵コナン』が登場。
『このミス』では再登場ではないでしょうか。

おそらく読者の中には、自分が生きているうちに終わるのか・・・という
思いを持っている方も多いのでは(笑

ランキングは若手が多い!いや素晴らしいですね。
全体をみれば、ベテラン勢も入っており、ミステリ界の盛り上がりを感じます。

個人的には阿津川辰海先生と斜線堂由紀先生の『名探偵コナン』ベストエピソードが
面白かったです。
物理の北山ならば、「霧天狗殺人事件」は描けるという阿津川先生の言に笑いました。

思想信条上、ランキングはと言いつつ、おそらく収録されたのはインタビューの半分くらい
ではと思わせる、京極夏彦先生へのデビュー30周年記念インタビューは必読です。


今年中に、積ん読になっているミステリをどれだけ読めるかなあ。


このミステリーがすごい! 2024年版

このミステリーがすごい! 2024年版

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2023/12/05
  • メディア: Kindle版






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ぼくの「このミス」2022 [ミステリ]

今年も最後なので、今年読んだミステリの中で、特にオススメを紹介します。
しかし、今年はあまり読んでないような気がするなあ。

三津田信三『白魔の塔』
読んでいて、思わず唸ってしまった作品。
怪異と現実とが入り交じりつつ進む物語、突如としてとてつもない事態が
起こる、まさに驚愕怒濤の展開。物理波矢多の名推理も楽しめますが、
この構成は圧巻。

白魔の塔 物理波矢多シリーズ (文春文庫)

白魔の塔 物理波矢多シリーズ (文春文庫)

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2021/10/06
  • メディア: Kindle版






有栖川有栖『こうして誰もいなくなった』
表題作は、群を抜いて面白い。クリスティの向こうを張った名作。
「密室」の使い方が素晴らしい。

こうして誰もいなくなった (角川文庫)

こうして誰もいなくなった (角川文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/11/20
  • メディア: 文庫






大山誠一郎『記憶の中の誘拐 赤い博物館』
名短編集。緋色冴子は火村英生の女性版かと思うくらい、理詰めの推理。
「夕暮れの屋上で」「連火」、いずれも傑作です。
文庫書き下ろしというのがまた素晴らしい。出版社さん、営業的な面あろうかと
思いますが、文庫書き下ろし、どんどんお願いします。


記憶の中の誘拐 赤い博物館 (文春文庫)

記憶の中の誘拐 赤い博物館 (文春文庫)

  • 作者: 大山 誠一郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2022/01/04
  • メディア: Kindle版






若竹七海『殺人鬼がもう一人』
逆コージーミステリー。シリーズ続編がぜひ読みたいところ。
ハッピーデー・キラーの事件の顛末は一体どうなったのか?


殺人鬼がもう一人 (光文社文庫)

殺人鬼がもう一人 (光文社文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2022/04/12
  • メディア: Kindle版






都筑道夫『猫の舌に釘をうて』『誘拐作戦』
とにかく読めて良かった。購入して損はない作品。
改めて感想は書きません。都筑道夫の読者騙しのテクニックをご堪能あれ。


猫の舌に釘をうて (徳間文庫 トクマの特選!)

猫の舌に釘をうて (徳間文庫 トクマの特選!)

  • 作者: 都筑道夫
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2022/02/08
  • メディア: Kindle版



誘拐作戦 (徳間文庫)

誘拐作戦 (徳間文庫)

  • 作者: 都筑道夫
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2022/08/09
  • メディア: 文庫









阿津川辰海『透明人間は密室に潜む』
収録短編いずれも傑作揃い。『録音された誘拐』も楽しみです。

透明人間は密室に潜む (光文社文庫)

透明人間は密室に潜む (光文社文庫)

  • 作者: 阿津川 辰海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2022/09/13
  • メディア: Kindle版






大半がオススメになりそうなので、この辺で(笑
来年も良いミステリが読めますよう。
そして今年も読んで頂いた方、ありがとうございました。

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2023本格ミステリ・ベスト10 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

新星たちが新たな世界をみせた本格ミステリの一年をオールレビュー! ランキングはもちろん、
映像、コミックにラノベ、評論、ゲームまでを一望。特集は「傑作に描かれた現場図面探索」。
インタビューは柄刀一、そして夕木春央の二本立て!

毎年恒例の2冊目。
しかし、拙ブログではほとんどランキング作品には触れていないのですが(苦笑
やはり『このミス』と結構違うなあと改めて思いました。
「本格」という言葉の重い、違いなんでしょうか。

企画としては『このミス』より面白い。復刊特集、ミステリゲーム、コミック、映像本格・・・
これらを振り返られるのと、おお、こんなのあったのか!というのに出会えます。

柄刀一さんのインタビューは良いですねえ。浅見光彦を探偵役に描くということへの
凄まじいまでのプレッシャー、なんとなく分かる気がします。
でも実に上手く描けていて、もう浅見光彦シリーズ続編を書いてほしいくらいです。

『このミス』でもあったかと思いますが、北山猛邦先生の『月灯館殺人事件』の
早期文庫化を望みます!


2023本格ミステリ・ベスト10

2023本格ミステリ・ベスト10

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2022/12/07
  • メディア: 単行本






名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件―

名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件―

  • 作者: 白井智之
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/09/15
  • メディア: Kindle版






ポピーのためにできること (集英社文庫)

ポピーのためにできること (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2022/07/07
  • メディア: Kindle版






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このミステリーがすごい!2023年版 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

34年の信頼と実績を誇る、新作ミステリーランキングブックです。

巻頭では『ジョジョの奇妙な冒険』35周年を記念し『岸辺露伴は動かない』を特集。
荒木飛呂彦さんへのインタビューや、作家の伊坂幸太郎さん・辻村深月さん・法月綸太郎さん、
脚本家・加藤敏幸さんが荒木作品を語るエッセイ、脚本家・小林靖子さんへの
メールインタビューを掲載します。

また、西村京太郎さん追悼企画を実施。
有栖川有栖さん・大山誠一郎さん・千街晶之さんに「トラベルミステリー」
「本格ミステリー」「社会派ミステリー」の三つの視点から、作品を紹介してもらいます。
西村さんの担当編集者による座談会も必読です。

各業界人も注目する2022年の国内&海外のミステリー小説ランキング・ベスト20、
超人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイなど、例年の人気コンテンツも充実の一冊です。


今年もこの季節ですねえ。
いや、しかし今年の『このミス』は異常に目立つ表紙だ(笑
ジョジョ好きでもある私としては、この特集&インタビューは必読でした。
しかも、ジョジョ第9部は、第8部のラストに登場した「ジョセフ・ジョースター」の子孫
が登場するとの由。
実写版「岸部露伴は動かない」も楽しみですが、「ジャンケン小僧」とは・・・
第4部から抜粋になるのでしょうが、どう描くのか。


そして、やってくれましたね。「追悼 西村京太郎Forever」
有栖川さんが「トラベルミステリ」担当なのが良い!
各人が挙げられている作品で、今読むことが出来ない作品もあるので、
座談会の編集者の方々は、復刊をぜひとも。
というか、名探偵4部作などは、中途半端な復刊をしないで、全部すべきだろう。
各出版社とも、営業に多大なる影響を与えたと思うのですけどねえ。
とかなり愚痴です(苦笑

消失ミステリの『消えた乗組員』は未読ですね。今読めるのか・・・?
『ミステリー列車が消えた』も読みたいのですよ。むー・・・

隠し玉、麻耶雄嵩先生の『化石少女再び』がちょっと衝撃。
あれの続編なのか??あの終わり方で?と。

大山誠一郎先生の『仮面幻想曲』は全面改稿に時間がかかっている模様。
楽しみにしております。

辻真先先生、ついに『ピーターパンの殺人』が!復刊か?!楽しみすぎます。
しかも、名犬ルパン最終作の名も!


ランキングもそうなのですが、各作家さんが若いですよね。
自分より年齢が下の方が多いこと多いこと。いや嬉しいことなのでしょう。
しかし、いわゆる『変格』全盛の時代において、『新本格』『本格』も
さらに描いてほしいものです。


このミステリーがすごい!2023年版

このミステリーがすごい!2023年版

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2022/12/05
  • メディア: Kindle版






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平成古書奇談 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

初書籍化となる鬼才・横田順彌による古書ミステリ。主人公の馬場浩一が
馴染みの古書店で出会う古書をきっかけに本にまつわる謎に巻き込まれる。

フリーライターをしながら作家を志す25歳の馬場浩一は、街の古書店、野沢書店に出入りしている。店主の野沢勝利と娘の玲子と懇意にしながら、趣味や仕事、執筆の資料として出会う古書を通じて
不思議な事件や謎にぶつかる。古書マニアの著者が知る業界の事情を巧みに盛り込み、
SF、ホラー、ファンタジーを横断する連作集。平成の隠れた古書ミステリが初書籍化。
日下三蔵氏による編者解説も併録。

SFと古書に人生を捧げた著書によるSF、ホラー、ファンタジー、青春を
横断する職人芸ともいうべき傑作を発掘!!!
SF界の異端児が残した古書ミステリ、初の書籍化
作家は肉体が滅んでも、作品が読まれ続ける限り、
世の中から消えることはない 編者 日下三蔵


久しぶりの更新です。そして初めての作家さんです。
解説に惹かれて購入しました。
これは面白かった。カテゴリをミステリにしてますが、解説にあるとおり、
内容的にはそれだけに留まらず!

主人公・馬場浩一、作家志望のフリーライター、野沢書店の店主・野沢勝利とその娘・玲子。
この3人がどちらかというと狂言回しになり、それぞれの古本にまつわる
奇談が語られていく物語です。
以下、ネタバレあり。






本シリーズが執筆されたのが、2000年代初頭、その頃の古本屋業界や
社会風俗も描かれており、その点も興味深く。
しかし、古本屋業界は、この頃よりさらに厳しくなってますよね。
私もむかーしは古書店を歩いたりしましたが、日本の古本屋での購入が増え、
昨今は書店にすら出向かないようになりました。

古本屋・本屋に行けば、目当てでない本にも巡り会うことができて、
楽しいんですけどね。効率重視になってしまいました。

閑話休題。
本書は最終回含め全9話構成。
「第一話 あやめ日記」から、すでにSF全開です。
ひょっとしたら、野沢玲子には腹違いの兄妹が居るかもしれない、というとんでもない
事が明らかになりそうでいて、かつ、なぜか日記が更新されていく。
後者は恐怖でした。ホラーに近いと感じました。
本来ならば、この話を広げていくため調査していくのですが、主人公たち3人は
調査せず、読了となります。
この終わり方がまた良いのですけどね。調べて果たして良い方向になるのだろうかという
野沢店主の考えもあろうとは思いますが、作風でもあるのでしょうか。

「第二話 総長の伝記」、これは唯一と言って良いくらい解決編まで執筆されてます。
いや、もっともその解決編が真実なのかどうか、それも疑わしい終わり方で締めくくられて
いるのがまた素晴らしいのですが。

「第三話 挟まれた写真」はホラーミステリでしょうか。全編含めて、
本話は一番謎だらけのお話になっています。
なぜ悪夢を見るのか、挟まれた写真は一体何なのか、写真を取りに来た老婦人は
誰なのか・・・全てが不明のまま終幕します。

「第四話 サングラスの男」、これはある意味どんでん返し作品ですね。
透視や超能力に関する古本やその歴史が語られ、そのマニア、いや研究している方から
本を売りたいとの連絡が来て・・・標題が全てを物語っていますね。

「第五話 おふくろの味」、これもホラーですが、グロさでは本書一番ですが、
同情してしまう面もあるなあ・・・
結局、神崎の恋人の母親の要求は単に別れさせるためなのか、本当に求める「おふくろの味」
があるのかわからずじまい。個人的には前者のような気がしましたが。

「第六話 老登山家の蔵書」、登山家が蔵書を整理したいと申し出たことから、
引き受けにいく野沢と(アルバイト的立場の)馬場。
ところが、その後で「妻」からの意見でいくつかの古書は売れなくなったと
申し出があり・・・その本の全て「雪女」や幻想小説だったという。
これもホラーですね。付き合いが長いのに、一度も奥さんの顔を見たことがない野沢店主。
ある意味一番的を得た推理をする娘の玲子。
真相はそのさらに先をいくものなのかもしれません。

「第七話 消えた『霧隠才蔵』」。これが一番古書店らしいミステリかと思います。
消えた古書のタイトルもまた良いじゃないですか。確かに消えそうと言う(笑
野沢店主の隠された力(?)が充分に発揮された1作。

「第八話 ふたつの不運」。落としてしまった本を、全く違う路線なのに、
玲子が拾う。そんな偶然あるのだろうか?また馬場の書いた作品が戦争賛歌と取られ
落ち込み・・・、本作は、運不運について書いた1作。一方で野沢家と馬場の親密さが
さらに増す作品でもあります。

「最終回 大逆転!!」。ここで言う大逆転とは、馬場が売れっ子作家になったとか、
そういう意味ではありません。物語が反転するというか、まあこれまでの話が
実は作中作品であり、本作を出版社に持参し、掲載が決定するということが
最後に書かれています。
これを書いたのが果たして馬場なのか。そしてこれまで書かれていた事柄は
全てフィクションなのか、脚色なのか、その辺りの謎も残して読了です。

1話が手軽に読め、それでいて面白い。よい作品でした。


平成古書奇談 (ちくま文庫)

平成古書奇談 (ちくま文庫)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2022/07/09
  • メディア: 文庫






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ぼくの「このミス」2021 [ミステリ]

もう今年にミステリ記事を上げるのは不可能そうなので、
毎年恒例のこの記事で年末を締めくくりたいと思います。

北山猛邦『密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿』
これが文庫化してくれたからこそ、シリーズが復活してくれた。
本当にかなりの時間、待ちました。
引きこもり探偵の本領発揮。


密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿 (創元推理文庫)

密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿 (創元推理文庫)

  • 作者: 北山 猛邦
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2021/01/28
  • メディア: Kindle版



歌野晶午『誘拐リフレイン 舞田ひとみの推理ノート』
シリーズ第3弾にして、光文社から角川への移籍?になるのでしょうか。
本作も文庫化したことで、シリーズ続編が望めそうという希望をこめて。


誘拐リフレイン 舞田ひとみの推理ノート (角川文庫)

誘拐リフレイン 舞田ひとみの推理ノート (角川文庫)

  • 作者: 歌野 晶午
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/11/21
  • メディア: 文庫



似鳥鶏『卒業したら教室で』
市立高校シリーズ最新作にして、ひょっとしたら最終作になってしまうのではないかと
思わせる作品。伊神さんの、真の意味での退場と、柳瀬さんの卒業という、2つを
含んだ物語。
作中の時が流れていくことは、シリーズとの別れも意味する訳で、寂しいのですが、
果たしてどうなるのかなあ・・・


卒業したら教室で 市立高校シリーズ (創元推理文庫)

卒業したら教室で 市立高校シリーズ (創元推理文庫)

  • 作者: 似鳥 鶏
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2021/03/11
  • メディア: Kindle版



米澤穂信『本と鍵の季節』
青春シリーズとして挙げられてますが、古典部や小市民と比すれば、その内容は
相当に異なる作品で、それでいて非常に面白かったです。
続編も出るようなので、楽しみです。


本と鍵の季節 (集英社文庫)

本と鍵の季節 (集英社文庫)

  • 作者: 米澤穂信
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2021/07/01
  • メディア: Kindle版



北山猛邦『さかさま少女のためのピアノソナタ』
北山作品2作目!いやあ、ノンシリーズとスルーしていた自分がバカでした。
前作?含め買って良かった。


さかさま少女のためのピアノソナタ (講談社文庫)

さかさま少女のためのピアノソナタ (講談社文庫)

  • 作者: 北山 猛邦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/07/15
  • メディア: 文庫



岸田るり子『味なしクッキー』
岸田作品数多くあれど、その真骨頂は短編にありとみた。
ミステリ、ホラー、サスペンス、人間の嫌な部分を描いた本短編集、
ぜひ手にとってもらいたいです。


味なしクッキー (徳間文庫)

味なしクッキー (徳間文庫)

  • 作者: 岸田るり子
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2021/12/08
  • メディア: 文庫





今年の下半期に出たのは、ほとんどまだ積ん読状態という、なんともいえない
年となりました。
来年も良いミステリに出会いたいものです。

皆さん良い年をお迎えください。
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2022本格ミステリ・ベスト10 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

新時代を予感させる激動のランキングをはじめ、「探してでも読む価値あり」傑作短編大紹介!!
インタビューは『屍人荘の殺人』今村昌弘、そして『六人の嘘つきな大学生』
で話題をさらった浅倉秋成と、今年も充実の一年間を総括!


Amazonさんの紹介がかなり長いので、最初だけです。

こちらも第1位は『黒牢城』。いや、米澤穂信先生、圧巻ですね。

2位に『蒼海館の殺人』。私がきちんと読めていないのか、マイノリティなのか、
どちらのランキングでも高いなあ。

『このミス』でも出ていたのですが、『六人の嘘つきな大学生』と『孤島の来訪者』は
かなり気になります。たぶん文庫化したら買います。

特集記事では「本格短編ガイド」がやはり面白い。
「復刊ミステリ2021」も、いやあ結構買ってるなあというのがありますね。
なんというか、結構最近の新装版より、掘り出し物、絶版状態をぜひともお願いしたいですね。

「新作近況会」は『このミス』の「私の隠し球」とかぶるのが多いのですが、
(同じ作家さんが書いているので、当たり前で)
愛川晶先生の欄に、『天使が開けた密室』完結編の文字が!!
『教え子殺し 倉西美波最後の事件』(原書房)、なんと刊行されているとのこと。
これは買いでしょう。創元推理文庫で来ないかなあ。

後気になったのは鯨統一郎先生のところ。「隠し球」と違うのですよ。
101冊目の本が出た後、作風を変える、とあるのです。これも気になる。

東川篤哉先生の欄では、ついに『館島』の続編『仕掛島』の名前が!!これも買い。

まだまだ読みたくなる本ばかり。来年も楽しみです。


2022本格ミステリ・ベスト10

2022本格ミステリ・ベスト10

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2021/12/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)






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このミステリーがすごい!2022年版 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

33年の信頼と実績を誇る、新作ミステリーランキングブックです。

巻頭には、2021年最も注目された作家のひとりである加藤シゲアキさんへのインタビューを収録。
ほかにも、
・米澤穂信さん作家生活20周年記念インタビュー&陸秋槎さんとの特別対談
・令和の館ミステリーの書き手
(今村昌弘さん・岡崎琢磨さん・斜線堂有紀さん・知念実希人さん・方丈貴恵さん)が集う座談会
・声優・斉藤壮馬さんと作家・青崎有吾さんの同世代対談
・読書会「闇の自己啓発会」の江永泉さん、木澤佐登志さんによる
「闇のブックガイド ミステリー編」

など、2021年のミステリーを振り返る企画が盛りだくさん。

各業界人も注目する2021年の国内&海外のミステリー小説ランキング・ベスト20、
超人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイなど、例年の人気コンテンツも充実の一冊です。


今年は『2022本格ミステリベスト10』と分けて書きます。
毎年恒例ですね。

米澤穂信先生のインタビュー、いいですね。お顔も初めて拝見しました。
『黒牢城』かあ。歴史ミステリは読んだことがないのですが、
まずは『折れた竜骨』からチャレンジかなあ。

ランキングでは、新進気鋭の方々が多いですね。どうも今年はミステリ豊作の年らしいです。
以前書きましたが、『蒼海館の殺人』、ランキング第5位。うーん、なんとも言えない。
ところで、このシリーズ、4部作のようなので、残り2作も刊行されたら読みます。

22位以下の挙げられている作品も含めて見てみると、皆川博子・辻真先御大が
見事にランクインしているのが凄すぎる。いやもうこれは本当にすごい。

「私の隠し球」
綾辻先生は館シリーズ完結をぜひ!有栖川有栖先生はソラシリーズをぜひ!
大山誠一郎先生の来年度の作品(文庫化)、挙げられているものは全て購入予定です。
『仮面幻想曲』が復刊はうれしいニュースです!読みたかったんですよね。

二階堂黎人先生の水乃サトルシリーズ最新作『白魔卿の秘密』はかなり気になる。
というか早く読みたい(笑

今回特集が組まれた「闇のブックガイド」、かなり面白い。満足しました。
来年度も良いミステリが出ますよう、祈念します。


このミステリーがすごい! 2022年版

このミステリーがすごい! 2022年版

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2021/12/03
  • メディア: Kindle版






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ぼくの「このミス」2020 [ミステリ]

滑り込みセーフということで、今年読んだ中でもオススメを。

東川篤哉『探偵さえいなければ』


探偵さえいなければ 烏賊川市シリーズ (光文社文庫)

探偵さえいなければ 烏賊川市シリーズ (光文社文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/01/09
  • メディア: Kindle版



やはり烏賊川市シリーズは面白い。東川先生のシリーズの中では随一。
タイトルも実は「いなければ」の意味が異なる短編を含んでいて、捻りも見事です。



櫻田智也『サーチライトと誘蛾灯』


サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫)

サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫)

  • 作者: 櫻田 智也
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/04/21
  • メディア: 文庫



泡坂妻夫路線という、誰にも真似できない作品・文体を見事に継承した作品。
「とぼけた会話」と何の脈絡もない描写を、一本の線に繋げていく(収斂させていく)
極めて高度な技術をもつ作者さんです。
次回作も本当に楽しみです。

有栖川有栖『インド倶楽部の謎』


インド倶楽部の謎 国名シリーズ (講談社文庫)

インド倶楽部の謎 国名シリーズ (講談社文庫)

  • 作者: 有栖川有栖
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/09/15
  • メディア: Kindle版



ロジックと<詰め将棋>のような推理を堪能できる、もはや語るまでもない作品。
本作品の特徴は前世という、論理的証明のしようがないが、実は事件の核心を
突いているという意欲作ではないでしょうか。

小林泰三『クララ殺し』


クララ殺し 〈メルヘン殺し〉シリーズ (創元推理文庫)

クララ殺し 〈メルヘン殺し〉シリーズ (創元推理文庫)

  • 作者: 小林 泰三
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: Kindle版



前作『アリス殺し』を逆手に取った作品。
探偵役ではなく、ワトソン役が続投するという珍しいシリーズでもあり、
『ドロシィ殺し』『ティンカー・ベル殺し』の文庫化が望まれます。
一方で、小林泰三先生の訃報に接し、もう新たな作品を読むことが
できないことが残念でなりません。
ご冥福をお祈りします。

大阪圭吉『死の快走船』


死の快走船 (創元推理文庫)

死の快走船 (創元推理文庫)

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/08/12
  • メディア: 文庫



「奇妙な味」多めな作品集ですが、表題作は見事に本格ミステリでもあり、
読んでない方は損してます。必読です。

来年も良いミステリに出会う事、新型コロナウイルスが終息することを祈りつつ。
皆様、良い年をお迎えください。


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2021本格ミステリ・ベスト10 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

インタビューは『修羅の家』で衝撃を与えた我孫子武丸、超新星・阿津川辰海の二本立て。
そして、こんな時だからがっつり読みたい、研究会みずからセレクトした迷いなしの
「ガチ推し本」特集!毎年話題の国内・海外「本格」ランキングも激動の予感!

いつもは『このミス』と一緒に紹介していますが、今年は『このミス』で
色々と書くことがあったので(笑)、別立てに。

改めて、「本格」ミステリとは何なのか。それが本書には求められるものでしょう。
『透明人間は密室に潜む』、阿津川辰海さんの作品はこれまで未読なのですが、
これは文庫化したら読んでみたい作品。
そして第2位は『蟬かえる』、泡坂妻夫の系譜を継ぐ櫻田智也さんの作品です。
本書は『このミス』でも指摘されていましたが、泡坂妻夫のパスティーシュ的なものから
完全に脱しているとのことで、文庫化が楽しみです。

本書では、映像ミステリ、ライトノベルミステリ、ミステリコミックなどの特集が
やはり『このミス』と違うところで、このあたりを読むのも楽しみの一つです。
インタビューの我孫子武丸先生のは「かまいたちの夜」にも当然触れていて、
じっくり拝読させていただきました。
それにしても、『殺戮にいたる病』から今年の『修羅の家』と、話題作をしっかり
発信されているのはさすがです。
一方で、人形シリーズや速水三兄妹シリーズも新作が読みたいなあと思ったり。

コロナ禍ということもあり、それぞれの分野ごとの推し作品が紹介されているのも良い。
改めてこれ読んで見ようと思う作品も。

年末はこの2つを読んだ上で、さらに積ん読をこれから読んでいきたいと思います。


2021本格ミステリ・ベスト10

2021本格ミステリ・ベスト10

  • 作者: 探偵小説研究会
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2020/12/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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このミステリーがすごい!2021年版 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

32年の信頼と実績を誇る、新作ミステリーランキングブックです。
巻頭は100巻目前「名探偵コナン」大特集!ミステリーの視点から見た「名探偵コナン」
を徹底解析します。各業界人も注目する2020年の国内&海外のミステリー小説ランキング・ベスト20を
はじめ、作家生活20周年を迎えた伊坂幸太郎特集、超人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイ
など、人気コンテンツも充実の一冊です。

今年もこの季節がやってきました!
今年の表紙は、ついにこの人、江戸川コナン!コミックス100巻目前ということで、
青山剛昌先生へのインタビューや、アニメ版&映画版の脚本を手がける
辻真先御大と大倉崇裕先生の対談、ミステリー作家と名探偵コナン、大学ミス研が選ぶ
名探偵コナンベストエピソード等々・・・まさにコナン尽くし!

かつて、私が若かった時に、週刊少年マガジン&週刊少年サンデーを発売日水曜に
毎週購入していたことを思い出します。
マガジンはもちろん「金田一少年の事件簿」、サンデーは「名探偵コナン」
ミステリーコミック人気爆発の時期です。

先生とのインタビューでは「霧天狗」や「鳥取クモ屋敷の怪」が出ていて、懐かしいなあと。
後者は動機がね、あまりにも・・・
前者は、トリック完成までにバレないのか?というのと、被害者は本当に濡れないのか
というのが、当時から気になってました。

辻御大はもう長く「コナン」に関わっておられますが、今年はやはり
御年88歳にして、「たかが殺人じゃないか」がこのミス第1位という快挙!
その構想力や行動力、いや諸々含めてすごいの一言。
東京創元社さんはこれを機に、ポテト&スーパー初期3部作だけでなく、
全てを是非文庫化復刊お願いします。

今年は10位までみると、綾辻行人先生、大沢在昌先生、若竹七海先生とベテラン勢が
ランクインで、まだまだ若手には負けられんという意気込みを感じます。
20位以内では、平石貴樹先生の新シリーズが気になります。

そして「私の隠し玉」。
大山誠一郎先生が書かれる文庫の解説とは何なのか。ものすごく気になります。
ちなみに「ワトソン力」、文庫化したら買います。
倉知淳先生!ついに待望の猫丸先輩最新刊が今月発売!うれしい限り。
しかし文庫化まで待っていられるか・・・うーん。
二階堂黎人さんの合作「双屋敷殺人事件」も目を惹きました。

新型コロナウイルス感染症が拡大する中、なるべくステイホームを保ちつつ、
紹介されていたミステリーや積ん読本になっているミステリーを読みながら、
年末年始も過ごせればと思います。


このミステリーがすごい! 2021年版

このミステリーがすごい! 2021年版

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2020/12/04
  • メディア: Kindle版



たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説

たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説

  • 作者: 辻 真先
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/05/29
  • メディア: Kindle版




その裁きは死 ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫)

その裁きは死 ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: Kindle版



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7人の名探偵 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

新本格ミステリの端緒を開いた『十角館の殺人』刊行から三十周年を記念して
出版されたアンソロジーが、ついに文庫化。
綾辻行人、歌野晶午、法月綸太郎、有栖川有栖、我孫子武丸、山口雅也、麻耶雄嵩、
新本格第一世代のレジェンド作家七人の夢の競演。
「名探偵」をテーマに書かれた各作家の個性あふれる短編集。


待望の文庫化!
それにしても『十角館の殺人』から早30年ですか。
時が経つのは早いもので、第一線で活躍されてこられた方も、もうすぐ還暦の方も居るという。
新たな世代が登場しているのはうれしいことですが、やはりこのムーヴメントを
生み出したこの7人の方々の作品、特に綾辻さん、有栖川さん、法月さん、我孫子さん
などは、私にとっては別格です。

私の世代ですと、『金田一少年の事件簿』で、ミステリに触れ、新本格へ入っていった
人も多いのではないかと思います。
個人的極めつけは、我孫子さん原作・監修の「かまいたちの夜」。
サウンドノベルという新ジャンルを開拓しただけでなく、ミステリの面白さを
教えてくれたSFCソフトです。
(『あなただけのかまいたちの夜』2冊共、抜群に面白いです。)

さてまあ昔を思い出すのもあれなので。
本作で変わらずの論理展開をみせてくれるのは有栖川有栖先生の「船長が死んだ夜」
悩む名探偵ここにあり!を示してくれた法月綸太郎先生の「あべこべの遺書」
このあたりが個人的オススメ。

麻耶雄嵩先生のメルカトル鮎シリーズ、実は初読です(汗)
いや、これがシリーズお馴染みの展開なのか?犯人は分かった。しかし説明が超不足!(笑

我孫子先生は変化球的作品で、仮想世界におけるシャーロック・ホームズと
モリアーティ教授を描きます。
仮想世界と書きましたが、すでに現実世界でも起こりうる事象なのかもしれません。
しかし、バグ的な要素で速水三兄妹や鞠小路鞠夫を入れてみたりしたら、
果たしてどうなっていただろうか??


そして最後を締めくくるのはやはりこの人、綾辻行人先生。
この話、どこまでがフィクションで、どこからがノンフィクションなのか?
ちなみに綾辻さんが出会った人物はすぐにわかりました(笑
ある意味すごい出会いだよなあ・・・

皆さん、作品を生み出すのは本当に大変だと思いますが、
これからもどうぞお体に気をつけて、新本格作品で楽しませてください。


7人の名探偵 (講談社文庫)

7人の名探偵 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/08/12
  • メディア: Kindle版



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死の快走船 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

白堊館の建つ岬と、その下に広がる藍碧の海。美しい光景を乱すように、
海上を漂うヨットからは無惨な死体が発見された……堂々たる本格推理を表題に据え、
早逝の探偵作家の魅力が堪能できる新傑作選。
愛憎の末に行き着く水中の惨劇を描いた犯罪奇譚「水族館異変」、
午後三時に急行列車三等車の三両目を利用する怪しげな旅行団体をめぐる「三の字旅行会」、
相次ぐ広告気球脱走事件に隠された奸計をあばく防諜小説「空中の散歩者」など
多彩な作風が窺える十五の佳品を選り抜く。

初めて読む作家さんです。
読んでいる途中で、『とむらい機関車』を購入しなかったことを後悔しました。
戦前に書かれたもの、確かにそうですがそんな古さを感じさせない作品群。

表題作「死の快走船」は本格ミステリ。秀作でしょう。
フーダニットをど真ん中からいき、探偵が緻密な推理を重ねていきます。
犯人当てもですが、最後の動機や事件の背景もかなり凝っていて、素晴らしい。

さて、本格ミステリというのをどう定義するかという問題になりますが、
この表題作以外は、江戸川乱歩の言う「奇妙な味」に属する作品が多い印象。

「求婚広告」などは、ドイルの「赤毛組合」を彷彿とさせる作品で、
ラストもハッピーエンドというのも良いです。
しかし、求婚広告かあ。今の時代にやったらどうなるのだろうか。
「人喰い風呂」もこれまた「赤毛組合」に近いのですが、これだけは結末が分かりました。
面目躍如(笑

「正札騒動」も同系統ですが、こちらは鮮やかなラスト。
本作愁眉挙げたいのは「三の字旅行会」。これは実に良く出来ている作品で、
奇妙な案内人の語る聞くも涙語るも涙に近い、これまた実に奇妙な話。
あの場で瞬時にストーリーを思いついたとすれば天才です。

「空中の散歩者」は本格ミステリといって良いと思うのですが、
本作は時代背景が色濃く出ている作品でもあります。
よくよく考えてみると、犯人はすぐわかるのですが、ホワイダニットが
全くわからないので、上手いなあと感じました。

こういう短編集を読んでいると、幸せな気分になれますね。
いよいよ読書の秋なので、色々とまた読みたいと思います。


死の快走船 (創元推理文庫)

死の快走船 (創元推理文庫)

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/08/12
  • メディア: 文庫



死の快走船 (ミステリ珍本全集04)

死の快走船 (ミステリ珍本全集04)

  • 出版社/メーカー: 戎光祥出版
  • 発売日: 2014/07/07
  • メディア: 単行本



大阪圭吉 作品全集

大阪圭吉 作品全集

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2020/07/26
  • メディア: Kindle版



銀座幽霊 (創元推理文庫)

銀座幽霊 (創元推理文庫)

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2001/10/25
  • メディア: 文庫



とむらい機関車

とむらい機関車

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2012/10/02
  • メディア: Kindle版



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夕暮れ密室 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

遅刻厳禁!明日、晴れるといいね―文化祭前夜、そう言い残した少女は、
翌朝、密室状態のシャワールームで死んでいた。少女は、栢山高校バレー部マネージャーにして
男子生徒憧れの的、森下栞。遺書が発見され自殺として処理されそうになる中、
疑念を持ったバレー部員やクラスメイトの、真実を追う推理が始まる。
立ちはだかる二重密室と若者ならではの痛みと殺意。
横溝正史ミステリ大賞選考委員が奮い立った、傑作青春ミステリ。

いつも拝読している31様のブログにて紹介されていて、気になったので購入しました。

登場人物紹介のところに、森下栞:名探偵だが・・・。制服のスカートを翻し、颯爽と走る。
と説明されているのですが、なんと被害者は彼女という!名探偵が・・・

各章は登場人物ごとの章立てになっていて、各人の内面も窺い知れて中々良く、
個人的には桜井秋人の章がいいですね。いや、彼はいい(笑

久保田和志の密室解説は、思わずなるほどと思ってしまうくらい、良く出来ている推理ですが、
最後に探偵役が明かす真の密室解説は思わず唸ってしまいました。
密室とタイトルに入っているので、それだけにプレッシャーが大きいと思いますが、
いやあお見事。北村薫先生、綾辻行人先生がどうしても本にしたいという意向を
示したのも頷けます。全くの個人的意見ですが、綾辻先生はこの手の密室は好きそうです。

森下栞が男子生徒憧れの的であり、節々にそうした描写が出てくるなど、
そして結果的にこれが殺害動機の1つでもあるのが青春小説な側面なのでしょう。
ラストにはもう1つ大きな犯人のウソが暴かれるのですが、これもまた同じ。
犯人と周囲、そして被害者の想い、それぞれがすれ違ってしまい、
こんな悲しい事態を招いてしまったのです。

しかし、ピッキングの技術を丸々と信じていたなあ。最後まで(苦笑)


夕暮れ密室 (角川文庫)

夕暮れ密室 (角川文庫)

  • 作者: 村崎 友
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/09/22
  • メディア: 文庫



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ぼくの「このミス」2019 [ミステリ]

今年2019年もついに最後を迎えました。
というわけで、今年読んだミステリで、私の「このミス」を

芦沢央『許されようとは思えません』
『今だけのあの子』もそうなのですが、芦沢先生の作品は短編が極上な気がします。
イヤミスと一言ではとても言い切れない、深い趣向の作品集です。


許されようとは思いません (新潮文庫)

許されようとは思いません (新潮文庫)

  • 作者: 芦沢 央
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/05/29
  • メディア: 文庫



許されようとは思いません(新潮文庫)

許されようとは思いません(新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/06/01
  • メディア: Kindle版



我孫子武丸『裁く眼』
ひさしぶりの我孫子先生。
タイトルがまさに本書の内容を表しているというのは、実は中々ありません。
しかし、続編が出てほしいのですが、これまた中々難しいのかなあ・・・
あ、人形シリーズや速見三兄妹シリーズでも大丈夫です!(笑


裁く眼 (文春文庫)

裁く眼 (文春文庫)

  • 作者: 我孫子 武丸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: 文庫



裁く眼 (文春文庫)

裁く眼 (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: Kindle版



有栖川有栖『狩人の悪夢』
これはもう語るまでもない作品。派手さはありません。
しかし、とことんロジックで読ませるミステリは、有栖川有栖先生をおいて
他にいないのではないでしょうか。
火村&作家アリスは毎年に近いくらい刊行があってうれしいのですが、
ソラシリーズもそろそろお願いします。


狩人の悪夢 (角川文庫)

狩人の悪夢 (角川文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: 文庫



狩人の悪夢 「火村英生」シリーズ (角川文庫)

狩人の悪夢 「火村英生」シリーズ (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: Kindle版




というわけで、来年も良いミステリに出会えることを祈りつつ、
皆様、よいお年をお迎えください。
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このミステリーがすごい!2020年版 [ミステリ]

『本格ミステリ・ベスト10』に続く、年末の定番。

「このミス」第1位の「屍人荘の殺人」映画公開直前ということで、
そちらの特集にやたらとページを割いている印象。

白石さんのインタビューとかもそこまで割かなくてもなあ・・・という。
紙面構成をもっとまじめに考えてくれ。

ただし、そんな中でも本書が買いなのは、レジェンド対談と題された
皆川博子先生と辻真先先生のまさにレジェンド対談が掲載されているところ。
これは必読で、ものすごく楽しめました。

辻先生のご尊顔、初めて見ました。東京創元社は<ポテト&スーパー>シリーズを
全て文庫化発売してくれ!いつまで待たせるんだ!!

皆川先生が少し体力が落ちてきて、もう次が最後というような事をお話されていた
のが、少し寂しく感じましたね。もちろん御両者ともこの御年齢で
ミステリーをご執筆されているのはすごいことなのですが・・・寂しいことです。

しかし、相変わらず『本格ミステリ・ベスト10』とランキングが違って面白いですね。
一方で、私の隠し玉は、『本格ミステリ』の近況報告と重なるので、なんとかならんものか。

出版社の海外ミステリ隠し玉は良いのですけどね。

それにしても今年は新進気鋭、新世代の作家さんたちが活躍された1年という気がしますね。
来年も面白いミステリをどうかよろしくお願いします。



このミステリーがすごい! 2020年版

このミステリーがすごい! 2020年版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2019/12/11
  • メディア: 単行本



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2020本格ミステリ・ベスト10 [ミステリ]

今年も発売の時期がきましたねえ。

本書を読めばわかるのですが、改めて(笑)書いてみます。

有栖川有栖さん、法月綸太郎さん、そして島田荘司さんと
御大と、そして新本格第1世代、第2世代の新作が出たのはやはり大きい。
我孫子武丸さんも「監禁探偵」が出ましたしね。
綾辻さんにも頑張ってほしいです。館シリーズもぜひ!

私にとっては、新鋭作家さん、これまでほとんど未読の方々がランキング上位を
占めたという印象。
ついに時代が動いてきたか?なんて思ってしまいました。

ただ30位には、上記お三方だけでなく、平石貴樹さんや辻真先御大
さらには若竹七海さん、柄刀一さんなど大ベテラン、米澤穂信さんや深水黎一郎さんなど
常連組も居て、まだまだ時代は変わらせないぞという(笑)

近況をみてうれしいのは、倉知淳さんの猫丸先輩新作の情報。
ちなみに今は文庫化した『皇帝と拳銃と』を読んでいます。

本格ミステリ作家クラブ会長である東川篤哉さんには、ぜひ烏賊川市シリーズの
続編を望みます。有栖川さんにはソラシリーズ最新作をぜひ。

自分の希望を書いて終わってしまいましたが、次は「このミス」でもまた記事を
書きます。


2020本格ミステリ・ベスト10

2020本格ミステリ・ベスト10

  • 作者: 探偵小説研究会
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2019/12/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



medium 霊媒探偵城塚翡翠

medium 霊媒探偵城塚翡翠

  • 作者: 相沢 沙呼
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/09/12
  • メディア: 単行本



medium 霊媒探偵城塚翡翠

medium 霊媒探偵城塚翡翠

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/09/12
  • メディア: Kindle版



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心霊殺人事件-安吾推理短編 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

本格推理にして本格文学。安吾ミステリが『不連続殺人事件』だけではもったいない!
同じくあの巨勢博士が活躍する「選挙殺人事件」「正午の殺人」、
元奇術師・伊勢崎九太夫がいい味を出す「心霊殺人事件」「能面の秘密」。
そして、あずかり知らぬわが涙かな―傑作「アンゴウ」…。
知的パズルの面白さも存分に発揮した全10篇。

この連休は積ん読本をどんどん読んでいこうと思っていたのですが、
ほとんど寝ているばかりで、中々進みません。

本書は連休前から読み進めていた一冊。
巨瀬博士以外にも探偵役が居たのですね。驚きました。
しかし、この伊勢崎九太夫、性格的には巨瀬博士に近いなあと感じました。
博士よりイヤミでは無いですが(笑

「アンゴウ」は傑作。暗号小説として、あるいはミステリとしてという意味でなく、
最後の余韻含め、ラストを飾るにふさわしい作品です。
安吾とかけているんでしょうね、だからわざとカタカナ表記なんでしょうか。

他では「選挙殺人事件」と「影のない犯人」の2編。
前者は、殺人事件そのものよりも、なぜ選挙に出たのかというホワイダニットの要素
がとても面白い。明かされる動機も意表を突いています。

後者は時代や世相を反映させた作品といえますが、これは推理小説なのかどうかという
問題はありそうな気がします(笑
兄妹の会話の後に書かれるラストの描写はある種傑作です。このタイトルの
意味を語ってくれています。


心霊殺人事件: 安吾全推理短篇 (KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ)

心霊殺人事件: 安吾全推理短篇 (KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ)

  • 作者: 坂口安吾
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/03/05
  • メディア: 文庫



心霊殺人事件 安吾全推理短篇 KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ (河出文庫)

心霊殺人事件 安吾全推理短篇 KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/03/06
  • メディア: Kindle版



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ぼくのこのミス2018 [ミステリ]

今年もあと1日となりました。
年末恒例(?)の、今年読んだミステリのオススメをご紹介。

泡坂妻夫「花嫁のさけび」「奇跡の男」

復刊が続く泡坂妻夫先生の作品からは2作。

前者はここまでやるか、というまでの完璧なる叙述トリック。
「迷蝶の島」「妖怪S79号」と続いた河出書房新社からの復刊の中では一番のオススメ。

後者は完全に河出書房新社復刊を狙いにきた一作(笑
表題作は御大デビュー作かつ亜愛一郎初登場の「DL2号機事件」を思い起こさせます。



花嫁のさけび (河出文庫)

花嫁のさけび (河出文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/11/07
  • メディア: 文庫



花嫁のさけび (河出文庫)

花嫁のさけび (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/11/07
  • メディア: Kindle版



奇跡の男 (徳間文庫)

奇跡の男 (徳間文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2018/05/02
  • メディア: 文庫



奇跡の男 (光文社文庫)

奇跡の男 (光文社文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1991/02/20
  • メディア: Kindle版



復刊つながりで、「夜の終わる時/熱い死角」
郷原部長刑事シリーズで終了していた結城昌治先生作品でしたが、
ちくま文庫からの復刊で、新たな楽しみが増えました。


夜の終る時/熱い死角 (ちくま文庫)

夜の終る時/熱い死角 (ちくま文庫)

  • 作者: 結城 昌治
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/04/10
  • メディア: 文庫




今年はなんといってもヘレン・マクロイ作品は外せません。
「逃げる幻」と「牧神の影」
前者は圧巻。盲点を突いた作品でもあり、必読ではないかと思います。
後者はこの邦題が実に良い。暗号そのものは難解過ぎますが、物語にどんどん引き込まれます。


牧神の影 (ちくま文庫)

牧神の影 (ちくま文庫)

  • 作者: ヘレン マクロイ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/06/08
  • メディア: 文庫



逃げる幻 (創元推理文庫)

逃げる幻 (創元推理文庫)

  • 作者: ヘレン・マクロイ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/08/21
  • メディア: 文庫



若竹七海「錆びた滑車」
改めて書くことはありません。
ちょっとした変化球をつけるなら、小林(元)警部補とまた共演してほしいなあ。


錆びた滑車 (文春文庫)

錆びた滑車 (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: 文庫



錆びた滑車 葉村晶シリーズ (文春文庫)

錆びた滑車 葉村晶シリーズ (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: Kindle版



いやあ、実のところかなりの本は越年です。
また来年、たくさんのミステリに出会えることを期待します。

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このミステリがすごい!2019年版&2019本格ミステリ・ベスト10 [ミステリ]

いよいよこの時期がやってきました。
今年はこの2冊を購入。

『このミス』は原寮さんの『それまでの明日』が第1位。
去年の竹本健治さんの『涙香迷宮』に続き、ベテラン・大御所の受賞となりました。

葉村晶強し!『錆びた滑車』は第3位。
ハードボイルド&本格ミステリの路線、そして不幸な探偵をこれからもお願いします。

東野圭吾さんの『沈黙のパレード』はガリレオシリーズ最新作で、かなり高評価なので、
文庫化したら買う予定。

『本格ミステリ』の方では、大山誠一郎さんの『アリバイ崩し承ります』が第1位。
大山さんといえば、『アルファベット・パズラーズ』、『密室蒐集家』などを
私も愛読しております。こちらも文庫化したら購入予定。

そして有栖川有栖さんも安定の第6位。久々の国名シリーズですね。
綾辻行人さんや法月綸太郎さんなどのお名前が無いのが少々残念です。

ベスト10圏外ですが、小林泰三さんの『ドロシイ殺し』は
『アリス殺し』から始まる3作目。早く前2作を文庫化してくれ!

私の隠し玉では倉知淳さんがついに猫丸を一冊書きたいと述べておられて、
かなり楽しみです。

双方で海外ミステリで第1位を獲得した『カササギ殺人事件』は手元にあるものの、
未読。これは年内に読みたいですね。


それまでの明日

それまでの明日

  • 作者: 原 りょう
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2018/03/01
  • メディア: 単行本



アリバイ崩し承ります

アリバイ崩し承ります

  • 作者: 大山 誠一郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2018/09/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



錆びた滑車 (文春文庫)

錆びた滑車 (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: 文庫



沈黙のパレード

沈黙のパレード

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/10/11
  • メディア: 単行本



ドロシイ殺し (創元クライム・クラブ)

ドロシイ殺し (創元クライム・クラブ)

  • 作者: 小林 泰三
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/04/28
  • メディア: 単行本



カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: 文庫



カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: 文庫



このミステリーがすごい! 2019年版

このミステリーがすごい! 2019年版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2018/12/11
  • メディア: 単行本



2019本格ミステリ・ベスト10

2019本格ミステリ・ベスト10

  • 作者: 探偵小説研究会
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2018/12/06
  • メディア: 単行本



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落ちる/黒い木の葉 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

過度な自己破壊衝動を持つ男は最愛の妻を得ることで生きる意味を見出したかに思えたが、
主治医の男と妻の関係に疑念を抱く(「落ちる」)。うだつの上がらない万年平行員の宿直当番中に
銃を持った強盗が現れた。その意外な顛末とは?(「ある脅迫」)。
サスペンスからユーモア、本格推理、叙情豊かな青春までバラエティに富む昭和ミステリの傑作短篇集。単行本未収録作「砂丘にて」収録。

本書はちくま文庫から刊行が続いている、日下三蔵氏編による結城昌治氏、仁木悦子氏などの
名短編集に続くシリーズ。
失礼ながら私は多岐川恭氏を全く知らず、本書を購入して初めて知りました。

まず冒頭の「落ちる」から驚かされます。
強い自己破壊衝動を持つ主人公は、妻・佐久子と度々来訪する医師・長峰の仲を疑い
続けているものの、長峰のある告白から始まる彼のデパートでの行動には驚愕。
係員に告げる最期の台詞も印象的。

「ヒーローの死」は自らが「ヒーロー」であることにこだわり続けた、悲しい男の物語。
「ある脅迫」は、誰が脅迫者になるのか、その後の脅迫の内容まで、そして脅迫の仕方までも
中池又吉の描かれる&想像する性格から鑑みて、相当おもしろい作品です。
笑い話にまで持っていった次長の力量は見事ですが、詰めが甘かったですね。

「黒い木の葉」は青春小説でありながら、少女の死をめぐる謎を解くミステリでもあります。
少年と少女だけでなく、少女の母親と少年の父親である画家の両者の「青春」を
振り返る物語にもなっている、と感じました。

「砂丘にて」は今でいうどんでん返しのミステリ。「その五」から始まる日下の語りは必読。

他にも自殺願望を持つ者たちの中に、自らをどん底に突き落とした男を招いた「俺は死なない」
一人の女性をめぐって争う「ライバル」等々・・・書いていくときりがありません。

これを期に多岐川恭先生の作品群が復刊していくことを望みます。


落ちる/黒い木の葉 (ちくま文庫)

落ちる/黒い木の葉 (ちくま文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/07/06
  • メディア: 文庫



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ぼくのこのミス2017 [ミステリ]

今年も大晦日になりました。
2017年に読んだ私なりの「このミス」を。

周木律「眼球堂の殺人~The Book~」
 館シリーズ、S&Mシリーズの系譜を継ぐ、堂シリーズ。
 完結まで目が離せません。

眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社文庫)

眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/09/15
  • メディア: 文庫



眼球堂の殺人 ~The Book~ 堂シリーズ (講談社文庫)

眼球堂の殺人 ~The Book~ 堂シリーズ (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/09/15
  • メディア: Kindle版



大倉崇裕「蜂に魅かれた容疑者」
 警視庁生き物係、久しぶりの文庫化。
 ドラマ化もされましたし、今後も活躍の期待大。

蜂に魅かれた容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

蜂に魅かれた容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

  • 作者: 大倉 崇裕
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/01/13
  • メディア: 文庫



蜂に魅かれた容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

蜂に魅かれた容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/01/13
  • メディア: Kindle版



青柳碧人「ウサギの天使が呼んでいる」
 シリーズ化への期待大。
 ホームズ&ワトソンの正当を継ぎつつ、稼業に絡めたお話も良い。

ウサギの天使が呼んでいる (ほしがり探偵ユリオ) (創元推理文庫)

ウサギの天使が呼んでいる (ほしがり探偵ユリオ) (創元推理文庫)

  • 作者: 青柳 碧人
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/05/21
  • メディア: 文庫



ウサギの天使が呼んでいる ほしがり探偵ユリオ (創元推理文庫)

ウサギの天使が呼んでいる ほしがり探偵ユリオ (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/05/22
  • メディア: Kindle版


皆様、良いお年をおむかえください。
今年もありがとうございました。


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このミステリがすごい!2018年版&2018本格ミステリ・ベスト10 [ミステリ]

毎年恒例のシリーズ。
さらに「ミステリが読みたい!2018年版」も購入しています。

本格ミステリ・ベスト10では三世代座談会と称し、
法月綸太郎さん、三津田信三さん、青崎有吾さんの三者対談が掲載されています。
これは必読かも。

また大倉崇裕さんのインタビューも掲載されており、ドラマ化された「いきもの係」等の
お話も読めて満足。

「ミステリが読みたい」には今話題の「オリエント急行殺人事件」が小特集されていて、
それ目当てに購入したという動機もあります。
しかしまあ、映像化ではスーシェ版を超えるのは難しいでしょう。
あれこそ最高傑作では。

さてこの三紙でこのミスと本格は第1位は「屍人荘の殺人」ですが、
ミステリが読みたいでは「機能警察」が第1位で、なんと「屍人荘」はベスト10にも
入ってません。
中々興味深いランキングですね。購読者層が違うのか、そもそも「本格」や「ミステリ」
というものの捉え方が違うのかもしれませんね。
「屍人荘」は文庫化したら買おう。

倉知淳さんの近況報告(「本格ミステリ」)内でついに猫丸先輩の新作が来年
刊行予定とのこと!楽しみです。


このミステリーがすごい! 2018年版

このミステリーがすごい! 2018年版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/12/09
  • メディア: 単行本



2018本格ミステリ・ベスト10

2018本格ミステリ・ベスト10

  • 作者: 探偵小説研究会
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2017/12/07
  • メディア: 単行本



ミステリマガジン 2018年 01 月号 [雑誌]

ミステリマガジン 2018年 01 月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/11/25
  • メディア: 雑誌



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屋上の名探偵 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

最愛の姉の水着が盗まれた事件に、怒りのあまり首を突っ込んだおれ。残された上履きから割り出した容疑者には完璧なアリバイがあった。困ったおれは、昼休みには屋上にいるという、名探偵の誉れ高い蜜柑花子を頼ることに。東京から来た黒縁眼鏡におさげ髪の転校生。無口な彼女が見事な推理で瞬く間に犯人の名を挙げる! 鮎川賞作家が爽やかに描く連作ミステリ。文庫オリジナル。

筆者には鮎川哲也賞を受賞した『名探偵の証明』から始める「名探偵」シリーズが
ありますが、シリーズ名探偵が蜜柑花子。
本作は彼女の高校時代の物語、ということなのでしょうか。

本作愁眉は「人体バニッシュ」、人間消失モノです。
急に消えた室先輩。鍵はPC部が握っているようなのですが、
このトリックとPC部の繋がりはまず出てこないだろうなあ。

主人公のシスコンぶりがひどいのがかなり読みにくくしていて、
それでいて、姉との関係性は、語る場面はあるものの、本作では明らかにされず。

主人公と名探偵も関係もあからさまなのだけど、主人公は気付かず、
結局こっちも何の進展もなく終わり。

という感じで、各短編自体は面白いと思いますが、
連作かつ学園モノとしてみると、かなりの消化不良。
(「名探偵」シリーズと何か関連があるのかは、そちら未読なのでわかりませんが)

作品内で時間も経過しているため、続編も考えにくく、
伏線回収もできなそうですしねえ。

ただ、今後「名探偵」シリーズが文庫化されたら、
本作既読済みだと、蜜柑花子に感情移入はしやすいかも。


屋上の名探偵 (創元推理文庫)

屋上の名探偵 (創元推理文庫)

  • 作者: 市川 哲也
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/01/21
  • メディア: 文庫



屋上の名探偵 (創元推理文庫)

屋上の名探偵 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/01/21
  • メディア: Kindle版



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ぼくの「このミス」2016 [ミステリ]

今年最後の更新です。
1月から12月まで、私が読んだミステリで
印象に残ったものを。

東川篤哉「私の嫌いな探偵」
やはり東川さんといえば、烏賊川市シリーズ。
ギャグと本格ミステリの融合も実にうまくできています。
久しぶりのシリーズ文庫化でよかった。


私の嫌いな探偵 (光文社文庫)

私の嫌いな探偵 (光文社文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/12/08
  • メディア: 文庫



私の嫌いな探偵 烏賊川市シリーズ (光文社文庫)

私の嫌いな探偵 烏賊川市シリーズ (光文社文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/12/20
  • メディア: Kindle版




北森鴻「天鬼越-蓮丈那智フィールドファイルⅤー」
シリーズ最終作。できれば浅野里沙子先生の手で、
続けてほしいなあ。


天鬼越: 蓮丈那智フィールドファイルV (新潮文庫)

天鬼越: 蓮丈那智フィールドファイルV (新潮文庫)

  • 作者: 北森 鴻
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/03/27
  • メディア: 文庫



天鬼越―蓮丈那智フィールドファイルV―(新潮文庫)

天鬼越―蓮丈那智フィールドファイルV―(新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/04/01
  • メディア: Kindle版



ヘレン・マクロイ「二人のウィリング」
今年一番の収穫。シリーズ作品はまだまだありますので、
これからも読むのが楽しみです。


二人のウィリング (ちくま文庫)

二人のウィリング (ちくま文庫)

  • 作者: ヘレン マクロイ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2016/04/06
  • メディア: 文庫



若竹七海「静かな炎天」
葉村晶が不惑を迎え、再び探偵稼業を再開した第2弾。
相変わらず不運に見舞われる彼女も見物ですが、
年例から来る衰えも、なんだか人ごとじゃなくなってきて、共感してしまうなあ・・・


静かな炎天 (文春文庫)

静かな炎天 (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/08/04
  • メディア: 文庫



静かな炎天 (文春文庫)

静かな炎天 (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/08/04
  • メディア: Kindle版



麻耶雄嵩「貴族探偵対女探偵」
「こうもり」の衝撃、再び。
各話のタイトルに秘められた「謎」も魅力的です。


貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)

貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)

  • 作者: 麻耶 雄嵩
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/09/16
  • メディア: 文庫



貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)

貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/09/21
  • メディア: Kindle版



赤川次郎「華麗なる探偵たち-第九号棟の仲間たち-」
まず本シリーズが復刊したことがとてもうれしいです。
こんなにもおもしろい作品がまだあったのかという驚きと
楽しみで、来年刊行作も早く読みたい。


華麗なる探偵たち: 第九号棟の仲間たち1 〈新装版〉 (徳間文庫)

華麗なる探偵たち: 第九号棟の仲間たち1 〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2016/09/02
  • メディア: 文庫



第九号棟の仲間たち1 華麗なる探偵たち 〈新装版〉 (徳間文庫)

第九号棟の仲間たち1 華麗なる探偵たち 〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2016/09/02
  • メディア: Kindle版



皆様、よいお年をお迎え下さい。


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このミステリーがすごい!2017年版&2017本格ミステリ・ベスト10 [ミステリ]

今年もこの時期が来ました。
例年同様、今年も2冊とも購入。

私が取り上げるのは、やはり自分が読んだ本で。

若竹七海『静かな炎天』はこのミスで第2位、本格で第18位
平石貴樹『松谷警部と向島の血』はこのミスで第22位、本格で第9位。

基本文庫化したものしか読まない私としてはうれしい限り。
一方で、文庫作品がランクインするというのは、
いわゆる「いきなり文庫化」というのが、かなり広まってきたからでしょうか。

やや穿ってみれば、単行本があまり売れなくなってきたため、
初めから文庫で販売という形式が増えてきたのかもしれません。

海外編ではこれまた2作。
『ルーフォック・オルメスの冒険』は、フランス版ホームズ・パスティーシュ(パロディ)
幕開きの事件からカツラが登場するというぶっ飛んだ作品で、
笑いすぎ注意。未読な方はぜひ。

『二人のウィリング』も見事ランクイン。
しかし60年以上前の作品が今になってランクインとはすごいことですね。
再評価された作品(作家)ということでしょうか。

『ささやく真実』も読みたいのですが、なんで版元が違うのか。
各作品ごとで版権が違うのでしょうけど、個人的には同じとこで
出版してほしいなあ。

本格ミステリベスト10ではベスト・オブ・ベスト10が掲載。
『星降り山荘の殺人』がランクインとは。
これは僕はノベルズで購入しました。当時相当驚いたなあ。

来年もおもしろい良作に出会えることを祈ります。



このミステリーがすごい! 2017年版

このミステリーがすごい! 2017年版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2016/12/10
  • メディア: 単行本



2017本格ミステリ・ベスト10

2017本格ミステリ・ベスト10

  • 作者: 探偵小説研究会
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2016/12/05
  • メディア: 単行本



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白骨の処女 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

神宮外苑に放置された盗難車両から、青年の変死体が…
その婚約者が大量の血痕を残し謎の失踪…連続殺人?の容疑者には
大阪駅にいたという鉄壁のアリバイが…。
新聞記者が謎の真相を追う…。乱歩も見出した“日本探偵小説”の父、
幻の最高傑作待望の初文庫化。テンポのいい文体はまったく古びていない!

ミステリあれやこれや」さん
をいつも楽しみに拝読させていただいております。
そこで紹介されていたのが本書。
早速購入して私、いやいや小生も拝読しました。

主人公は二人。毎朝新聞の司法記者神尾龍太郎とN新聞社の客員・永田敬二。
自動車盗難事件、青年の変死事件。山津瑛子の失踪事件と次々と起こる事件に、
神尾も永田も全ての事件は一連の関係性があるとし、調査を行いますが、
常に鉄壁のアリバイにぶち当たる探偵役ふたり。
さらに永田までが襲われ・・・

本作はアリバイ崩しがメインを張ってはいますが、核はやはりこの一連の事件の
根源はどこにあるのか?この謎が最大の読み所でしょうか。
犯人を追い詰める神尾の推理には実の所完璧な証拠は無く、
おそらくは神尾だけが隠していた「ある事実」を突きつけた事が
犯人の自白を引き出したのでしょう。

この「ある事実」、読者はおそらく早い段階でわかるのではないかなあと。
私も「あーこれは」と思いました(苦笑

書かれた年が1932年であることを鑑みても、現在にも十分通用する
ミステリでしょう。復刊させた河出書房さんに感謝。


白骨の処女 (河出文庫)

白骨の処女 (河出文庫)

  • 作者: 森下 雨村
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/06/07
  • メディア: 文庫



白骨の処女

白骨の処女

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/06/07
  • メディア: Kindle版



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