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福家警部補の考察 [大倉崇裕]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

福家さんには、全部お見通しなのね。

類稀な洞察力を駆使して容疑者たちと対峙する警察官探偵
現代の倒叙ミステリを代表するシリーズ第5集

パスタを一本つまみ上げ、噛んでみる。まだ少し早い。水洗いしてボウルに入れておいた
レタスに手を伸ばそうとしたとき、金属音と、それに続いて重いものが屋根を転がり
落ちていく音が聞こえた。誠が屋根から落ちたのだ。もう少し待ってくれてもいいじゃないの、
パスタが無駄になっちゃうわ。いつも間が悪いんだから――夫の“事故死”をめぐり、
一見おっとりした妻の中本さゆりと福家警部補が熾烈な心理戦を繰り広げる「上品な魔女」ほか
三編を収録。類稀な洞察力を駆使して容疑者たちと対峙する警察官名探偵の活躍を描き、
現代の倒叙ミステリを代表するシリーズに成長した〈福家警部補の事件簿〉第五集。


これぞ倒叙ミステリ。どれも素晴らしい短編で良い読書時間を過ごせました。
前回の福家では、少し福家が超人的になっていっているのを不満で書いたと思いますが、
本作では、福家と会話した人物にちょっと変化があるものの、いつもの福家で安心(笑)

コロンボでいう、ヨレヨレのレインコート、ボサボサの髪、ポンコツな車・・・
良い意味でステレオタイプの福家警部補が読めた気がします。

「東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き」、これは古畑任三郎の「殺人特急」を思い出しました。
もちろん、殺人場所など全然違うのですが、列車内で事件を解くのと、福家のある仕掛けが
見事です。

「安息の場所」は、犯人と探偵がそれぞれ尊敬し合う作品のようになっているのですが、
やはり読み所は最後でしょう。福家は決して生半可な返事はしません。
調べるといえば、とことん調べる。それが最後の3ページに出てきます。

「是枝哲の敗北」、完璧な殺人と思われて居ましたが、自分のいつもの行動から
足が付いてしまいます。それを見破ったのは流石の一言。

しかし、やはり本書の愁眉は「上品な魔女」。とにかく犯人の性格というか、異常性というか、
文章で読むから余計に恐怖を感じますね。
とはいえ、福家は特段変わりなく、犯人をどんどん追い詰めて行きます。
最後の仕掛けも見事。これは映像で視たい。

これからも本シリーズ、ずっと続いてほしいです。


福家警部補の考察 福家警部補シリーズ (創元推理文庫)

福家警部補の考察 福家警部補シリーズ (創元推理文庫)

  • 作者: 大倉 崇裕
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2023/12/11
  • メディア: Kindle版






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コースケ

皆様、いつも御訪問とnice!、ありがとうございます!
by コースケ (2024-04-21 15:15) 

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