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世界推理短編傑作集5 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

珠玉の推理短編を年代順に集成し、一九六〇年の初版以来版を重ね現在に至る『世界短編傑作集』
を全面リニューアル! 最終巻となる本巻にはアリンガム「ボーダーライン事件」をはじめ、
ベントリー「好打」、コリアー「クリスマスに帰る」、アイリッシュ「爪」、
パトリック「ある殺人者の肖像」、ヘクト「十五人の殺人者たち」、ブラウン「危険な連中」、
スタウト「証拠のかわりに」など珠玉の名作を収録!


以下、ややネタバレあり。


本書がついに最終刊。
アリンガムの名探偵アルバート・キャンピオンシリーズは初読。
何年か前に短編集が刊行され、あれが結構気になっていました。
本作『ボーダーライン事件』は読んで字の如く、トリックもまさにボーダーラインという
中々に面白いです。
似たようなのが「踊る大捜査線」でもあった気がしますが、あれはものすごく意図的ですが(笑
短編集、欲しくなりました。

ベントリーの『好打』は、大胆なトリックを用いた先例とでも言うのでしょうか。
物語上ですでに振られていますが、僕も単に落雷と思ってました(笑

『爪』はおおよその予想がつくものの、このラストの余韻含め、
後世のミステリに与えた影響は大きいのではないでしょうか。
完全な解決ではないものの、真実を読者にそれとなく告げていて、それでいて
物語の登場人物は真実に行き着いたか不明であるという、簡単そうで
難しい表現だと思います。

『十五人の殺人者たち』は謎に包まれている、とある会合での出来事。
現在はこんなことすら行われず、隠蔽に走るというのはなんとも情けない話です・・・。

『危険な連中』は本書では個人的に一番オススメ。
ミステリというよりサスペンスなのですが、登場人物の、ある意味ムダな(笑)心理戦が
素晴らしい。そしてラストの締め方も皮肉が効いていて、実に面白いです。

「妖魔の森の家」はカーター・ディクスンによるHM卿の事件簿ですが、
恥ずかしながら、こちらも初読。ディスクンそのものを初読なのですね。
この事件は、かつて起きた少女の消失トリックの謎を解き明かすのが卿の役目
なのですが、現実におきた少女の「消失」をも解き明かすところはさすが。
しかし、この明かされた真相はタイトルに相応しい内容だと思います。

完結は寂しいものの、改めて現在の作家さんたちによる傑作短編集の
刊行を願いたいですね。



世界推理短編傑作集5【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集5【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: 文庫



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世界推理短編傑作集4 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

珠玉の推理短編を年代順に集成し、一九六〇年初版で以来版を重ね現在に至る『世界短編傑作集』
を全面リニューアル!第四巻にはコッブ「信・望・愛」、ノックス「密室の行者」、
バーク「オッターモール氏の手」、ハメット「スペードという男」、ダンセイニ「二壜のソース」、
ウォルポール「銀の仮面」、セイヤーズ「疑惑」、クイーン「いかれたお茶会の冒険」、
ベイリー「黄色いなめくじ」の一九三〇年代以降の名作九編を収録!


以下ややネタバレ。




本書所収で最も有名なのは「二壜のソース」ではないでしょうか。
ラストの1行が持つ恐ろしい意味が読者に衝撃を与えます。

個人的に最も恐ろしいと感じたのは「銀の仮面」。
これ、推理短編なんでしょうか。
ホラー小説に感じました。そして極めて後味も悪い作品です。
藤子不二雄Aの『魔太郎がくる』にも似たような話がありますが、
これはその先駆けなんでしょうね。
相手の善意を逆手に取っているのが、さらにたちが悪いですけど。
(というか、初めからそこを狙っていたとも読めますけど)

これに最初之「オッターモール氏の手」も推理小説というよりも、
サイコサスペンスに近い印象を持ちました。

クイーンの「いかれたお茶会の冒険」は傑作ですね。
単純な謎を、名探偵自身が「奇妙な味」に実は仕立てているという、
かなり面白い趣向です。
徹頭徹尾、ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』を意識して書かれてているのも
良いのです。特に「鏡」からクイーンがヒントを得るところが個人的には秀逸。

「密室の行者」は、密室内に、食べ物や飲み物があったにもかかわらず、
餓死するという、極めて不可思議な謎が魅力的です。
トリックはよく上手くいったなあと思いますが、これに気付いた探偵を褒めるべきでしょう。



世界推理短編傑作集4【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集4【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/02/12
  • メディア: 文庫



世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)

世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)

  • 作者: E.ヘミングウェイ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1961/04/07
  • メディア: 文庫



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世界推理短編傑作集3 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

珠玉の推理短編を年代順に集成し、1960年初版で以来版を重ね現在に至る
『世界短編傑作集』を全面リニューアル!!第3巻にはフィルポッツ「三死人」、
クリスティ「夜鶯荘」、ワイルド「堕天使の冒険」、ユーステス「茶の葉」、
ウイン「キプロスの蜂」、ロバーツ「イギリス製濾過器」、ヘミングウェイ「殺人者」、
コール夫妻「窓のふくろう」、レドマン「完全犯罪」、バークリー「偶然の審判」
の1920年代の作品10編を収録した。

以下、ネタバレあり。





馬鹿馬鹿しい一言かもしれませんが、本当にどれも傑作です。
「三死人」は、動機、いわばハウダニットに焦点をあてた傑作。
名探偵デュヴィーンはあくまで三人の性格のみを知った上での推理、と付け加えますが、
これがまた実に見事な推理。

クリスティの「夜鶯荘」も初読。
知り合ってすぐに結婚した男女。
夫のちょっとした言動や、ひょんなことから知る夫の嘘、そして鍵のかかった引き出しに
入っていた新聞記事から、夫が自分を殺そうとしているのでは?と疑心暗鬼に陥り、
それから反抗していくまでが一気に語られます。
ラストまで読むと、怖いのは夫なのか妻なのか中々わからなくなる作品。
夫も意外と小心者なのではないかとちょっと思ってしまった(笑

「茶の葉」はもう言わずもがな、ミステリ好きなら即気付くトリックでしょう。
しかし、茶の葉がどう関係するのかと、法廷で真実を暴くという場面が良い。

「窓のふくろう」は密室を扱った殺人事件なのですが、
実の所犯人はもうあからさまなのです。
ただし、この表題が一番ミステリアスというか、中々凝っているなあと感じます。

「完全犯罪」は「推理小説で終わる推理小説」と評された作品。
名探偵=名犯人という構図をそのままミステリとした稀な作品。
あ、しかし名探偵ではないからこそ、この犯罪が生まれたというのは
また皮肉です。

すでに4巻も刊行されました。こちらも楽しみです。



世界推理短編傑作集3【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集3【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/12/20
  • メディア: 文庫



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カササギ殺人事件 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

名探偵アティカス・ピュント・シリーズ最新刊『カササギ殺人事件』の原稿を読み進めた
編集者のわたしは激怒する。こんなに腹立たしいことってある??著者は何を考えているの?
著者に連絡がとれずに憤りを募らせるわたしを待っていたのは、予想だにしない事態だった――。
クラシカルな犯人当てミステリと英国の出版業界ミステリが交錯し、とてつもない仕掛けが炸裂する!
夢中になって読むこと間違いなし、これぞミステリの面白さの原点!

1955年7月、パイ屋敷の家政婦の葬儀がしめやかにおこなわれた。
鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、
あるいは……。その死は小さな村の人々へ徐々に波紋を広げていく。
消えた毒薬、謎の訪問者、そして第二の死。病を抱えた名探偵アティカス・ピュントの推理は――。
現代ミステリのトップ・ランナーによる、巨匠アガサ・クリスティへの愛に満ちた
完璧なるオマージュ作品!

作中作である「カササギ殺人事件」は実に見事な作品です。
名探偵アティカス・ピュントはホームズでも、ポワロでもない、別のタイプの名探偵ですが、
サクスビー・オン・エイヴォンという片田舎、准男爵が住むパイ屋敷、
開発計画が進む村の森・ディングル・デル、噂好きの家政婦の死etc・・・
これでもかと、確かにクリスティへのオマージュに満ちあふれています。
そしてこれがまたおもしろい。
ピュントは村の人々それぞれに話を聞き、そしてその話を聞く一方で
住民たちの顔もまた見えてくるのです。
牧師夫婦の行動、老医師の遺した言葉、追放された准男爵の妹。
登場する人物なにやら謎めいていて、それでいて魅力的なのです。

ポワロでもない、と書きましたが、実のところ捜査方法や着眼点などは結構似ている
気がしました。
下巻のかなり後になり、ようやくピュントから真相が語られるのですが、
家政婦の残した日記の真の意味や、暖炉の燃え滓と手紙、この2つが事件の真相を明らかにする
決定的なものであることをピュントが見抜く所は思わず唸りました。

この作中作「カササギ殺人事件」は、確かにこれは昨年度No.1というのは頷けます。
元々作者であるアンソニー・ホロヴィッツ作品は、シャーロック・ホームズの正当な続編で
ある『絹の家』を読んだ経験がありますが、あれはホームズものにする必然性は
感じませんでしたね。ミステリとしての出来云々よりホームズ譚かどうか、が
かなりウエイトを占めていたので、あまり好きではありませんでした。

しかし、本書は作中作で言えば、非常に楽しめました。
一方で、本作で描かれるまさに現代の事件、つまりカササギ殺人事件を書いたアラン・コンウェイ
の死に隠された真相は、うーんという感じ。
アランがピュントシリーズに隠したメッセージそのものは、中々面白いとは思います。
余談ですが、日本語だとネットでしか見ない言葉なのですけど、原文は何なんでしょう?

しかし、アランを殺した犯人の動機がそこにあったとしても、ちょっと納得できないかなあ。
しかも、真相が明るみにでても犯人を庇うような言動があったというのもどうかと。

このメッセージが出たところで、そこまで売上に影響が出るのだろうかと?でしたが、
結果的に物語内でも、ほとんど影響しなかったと語られているので、何のための
殺人だったのかと。
しかし、ある意味、物語上の殺人事件と、現実で起こる殺人事件の落差を描いている、
とも読めるので、そう考えるとそこまで悪くないかもしれないですね。

本書には数多くのオマージュ、パスティーシュがふんだんに盛り込まれているようなので、
それらを知っている方は、さらに楽しめるのではないかと思います。
いずれにせよ、アラン著の「カササギ殺人事件」はオススメです(笑


カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: 文庫



カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: 文庫



カササギ殺人事件 上 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件 上 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: Kindle版



カササギ殺人事件 下 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件 下 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: Kindle版



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世界推理短編傑作集 2 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

欧米では、世界の短編推理小説の傑作集を編纂する試みが、しばしば行われている。
本書はそれらの傑作集の中から、編者の愛読する珠玉の名作を厳選して全5巻に収録し、
併せて19世紀半ばから1950年代に至るまでの短編推理小説の歴史的展望を読者に提供する。
本巻には、“奇妙な味”の短編「放心家組合」をはじめ、英米以外の作家であるグロラー、
ルブランの作品などを収録した。


以下ややネタバレ。



本作最大の個人的オススメはルブランの「赤い絹の肩かけ」
これまた恥ずかしながら、ルブランのルパンシリーズは小学生の頃に読んだ記憶があるくらいで、
実質初読と言ってよいです。
ルパンが怪盗だけでなく、名探偵としても活躍する本編は見事の一言。
推理の過程はあのシャーロック・ホームズを彷彿とさせますし、
そして、なぜ彼がこんな推理をガニマール警部へしたのかという最大の謎が
最後に明かされますが、これこそ怪盗ルパンの面目躍如ではないでしょうか。
短編集を読みたくなりました。

奇妙な味に区分されている「放心家組合」は良く出来た作品ではあると思います。
最初依頼されていた事件ではなく、全く別の犯罪を暴き出すという筋立てはかなりおもしろい。
そして、邦題の「放心家」というのがどこに登場するのか、
これが実に皮肉が効いていて絶妙。何を、放心しているのか。実にうまい。
そしてこんなところに目を付ける集団も頭が良い。

とはいえ、最後は事実上名探偵は敗北してしまうのが個人的には残念でしたね。
むろん名探偵短編集ではないので、必ずしも探偵が勝利するわけではないのですが、
2の一発目がこれというのがうまい構成なのか、個人的にひっかかりました。

科学者探偵の代表格たるゾーンダイク博士が、まさにその科学を駆使する
「オスカー・ブロズキー事件」は、これもあまり受け付けなかったですね。

比較するのも相当失礼なのですが、
サスペンスドラマとかで刑事の勘で捜査する部長刑事と、It(PC)を駆使するバディコンビという
ステレオタイプ的なドラマがかなーりありましたが、
ここまで科学を強調されると、ITをやたら強調しまくるこのドラマを思い出してしまいました。

ブラウン神父の「奇妙な足音」はもはや何も言うまでもなく、ブラウンものの中でも
1、2を争う傑作ではないでしょうか。

今月は3が刊行されます。その前にカササギ殺人事件かな?


世界推理短編傑作集2【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集2【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: 文庫



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世界推理短編傑作集 1 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

欧米では、世界の短編推理小説の傑作集を編纂する試みが、しばしば行われている。
本書はそれらの傑作集の中から、編者の愛読する珠玉の名作を厳選して全五巻に収録し、
併せて19世紀否ばから1950年代に至るまでの短編推理小説の歴史的展望を読者に提供する。
本巻には推理小説の祖といわれるポオから、ドイルを経て20世紀初頭のフットレルまでを収め、
最初期の半世紀を俯瞰する。

そもそも旧版を未読(絶版?)というミステリ好きなのに申し訳ありません。
新版では誰もが知るポオの「盗まれた手紙」とドイルの「赤毛組合」が新たに収録されています。
新潮文庫などでポオの作品は復刊していますし、ドイルはどの出版社でも読めますが、
確かに解説の「画竜点睛を欠く」というのは一理ある。
ミステリをあまり読んだことのない人が本書を手に取るとはあまり思えませんが、
そういう人たちにはこの2作品は良いかもしれません。

江戸川乱歩は奇妙な味に重きを置く作品として「赤毛組合」を挙げていますが、
(謎の構成に重きを置くには「唇のねじれた男」)
まさに正鵠を得るとやはり感じます。このトリック(というか設定でしょうか)は
実に見事だし、読者を物語に一気に惹き込みます。

収録作では、隅の老人が活躍する「ダブリン事件」、<思考機械>の異名を持つ
ヴァン・ドゥーゼン教授の本格密室推理「十三独房の問題」
キャサリン・グレーンの「医師とその妻と時計」が印象に残りました。

隅の老人は恥ずかしながら初読ですが、ずいぶん饒舌だなあという第一印象(笑
ある会話から犯人を導き出すのですが、言われてみれば!と感心しました。
しかし、老人は裁判を傍聴に行っているんですよね。
これは安楽椅子探偵になるのかとちょっと思いました。

「十三独房の問題」はあまりにも見事すぎる作品。
完全密室を思考機械のドゥーゼン教授がいかに脱出するのか。読み応え充分です。

「医師とその妻と時計」はハウダニットの先駆的作品ではないでしょうか。
盲目の医師、そしてその妻の感情が非常に繊細かつ詳細に描かれており、
登場人物は少ないながらも、物語に惹き込まれました。

第2巻もそろそろ読み始めます。



世界推理短編傑作集1【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集1【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/07/12
  • メディア: 文庫



世界短編傑作集 1 (創元推理文庫 100-1)

世界短編傑作集 1 (創元推理文庫 100-1)

  • 作者: ウイルキー・コリンズ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1960/07/24
  • メディア: 文庫



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悪意の夜 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

夫を事故で喪ったアリスは、亡夫の書斎でミス・ラッシュという知らない女性の名が
書かれた封筒を見つける。そこへ息子のマルコムが、美女を伴い帰宅した。
美女の名前はラッシュ……女性が去ったのち、封筒も消えていた。彼女は何者で、
息子に近づいた目的、夫の死との関連は? アリスの疑惑と緊張が深まるなか、ついに殺人が……。
迫真のサスペンスにして名探偵による謎解きミステリでもある、ウィリング博士もの最後の未訳長編。

マクロイという作家は序盤の叙述で、読者を物語に惹き込むのが抜群に上手いと思います。
本書も、夫が遺した封筒、書かれていた女性の名前、息子のガールフレンド、
そして「彼女は私の娘ではない」というミス・ラッシュの父親の発言等々・・・
主人公のアリスがパニックになるのは必然ですね。

この辺りは前回読んだ「牧神の影」にプロットが似ています。
序盤の展開、容疑者の少なさ、夫(伯父)が最後にしていた仕事・・・

ただし、「牧神」と違うのは、ウィリング博士が登場するのと、物語の終幕でしょうか。
個人的にはもう少しミス・ラッシュには見せ場を与えて欲しかったなと思います。
その辺りの話が夫の手記(封筒に入っていた書類)で明らかにされますが、
もう少し彼女に語らせても良かったなあと。

ウィリング博士の最後のセリフ「それでいいのです」が印象的でした。




悪意の夜 (創元推理文庫)

悪意の夜 (創元推理文庫)

  • 作者: ヘレン・マクロイ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/08/22
  • メディア: 文庫



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逃げる幻 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

家出を繰り返す少年が、開けた荒野の真ん中から消えた―
ハイランド地方を訪れたダンバー大尉が聞かされたのは、そんな不可解な話だった。
その夜、当の少年を偶然見つけたダンバーは、彼が何かを異様に恐れていることに気づく。
そして二日後、少年の家庭教師が殺される―スコットランドを舞台に、
名探偵ウィリング博士が人間消失と密室殺人が彩る事件に挑む傑作本格ミステリ。

ついに創元推理文庫のウィリング博士シリーズにも手を出しました(笑
先月に『悪意の夜』が出たので、それ以前に刊行されたものをと思い、まずは本書を。

少年の消失、そしてその後起こる殺人事件の密室。これらは実のところ
そこまで大きな問題ではありません。

本書のすごさは、少年がなぜ家出を繰り返すのか?途中明かされるダンバー大尉の真の目的。
本書が書かれた第二次世界大戦直後という戦争の傷跡と極めて深く関連させ、
それでいて、実は最初から叙述の中に犯人を当てられる要素をちりばめていること。

そしてそれを隠すかのように、舞台とされたスコットランドのハイランド地方に伝わる
様々な言い伝え。これが実にミスリードに繋がっていて、かつ物語のおどろおどろしさを
醸し出す絶好の舞台となっています。

ウィリング博士は本当に本当に終盤にしか登場しません。
それでいて、読者へのヒントをダンバーに話す形で一つ一つ丁寧に看破していくのは圧巻。
ただし、登場が遅いためか、ウィリング博士シリーズにしなくても良かった気もするという。

『悪意の夜』も楽しみです。


逃げる幻 (創元推理文庫)

逃げる幻 (創元推理文庫)

  • 作者: ヘレン・マクロイ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/08/21
  • メディア: 文庫



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牧神の影 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

深夜、電話の音でアリスンは目が覚めた。それは伯父フェリックスの急死を知らせる内線電話だった。
死因は心臓発作とされたが、翌朝訪れた陸軍情報部の大佐は、伯父が軍のために戦地用暗号
を開発していたと言う。その後、人里離れた山中のコテージで一人暮しを始めたアリスンの周囲で
次々に怪しい出来事が…。暗号の謎とサスペンスが融合したマクロイ円熟期の傑作。

ヘレン・マクロイ、久しぶりです。
なんといってもちくま文庫からの刊行でしか、今のところ読んでいないので・・・
(そのうち創元推理文庫も読み始めるかもしれませんが)
「二人のウィリング」に続く2作目になります。

本作は原題が「Panic」なのですが、これを「牧神の影」と邦訳したのはお見事。
主人公のアリスンが、山深い、人里離れたコテージで過ごす描写と相俟って、
物語に読み手をどんどん引きずり込みます。

本書は暗号小説としては一級品ですが、この暗号を解読しようと試みた読者は
どのくらいいるでしょうか(苦笑
一方で、アリスンに忍び寄る人物は、当初は暗号が目的かと思われるのですが、
途中から、伯父の死=他殺という事を隠すために近づいているという、
物語当初から見えていた事実が、物語途中でアリスンの眼前に現れるというのも
とてもおもしろかったです。

そして暗号を説く謎が番犬にもならないというアルゴスの存在も非常に大きい。
訳者あとがきにもありますが、実はアルゴス、番犬の役割をこなしてます。
この記述が実に巧妙なため、犯人の存在をうまくごまかしているのです。

ベイジル・ウィリング博士は登場しませんが、充分楽しめる傑作。オススメです。


牧神の影 (ちくま文庫)

牧神の影 (ちくま文庫)

  • 作者: ヘレン マクロイ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/06/08
  • メディア: 文庫



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二人のウィリング [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

ある夜、自宅近くのたばこ屋でウィリングが見かけた男は、
「私はベイジル・ウィリング博士だ」と名乗ると、タクシーで走り去った。
驚いたウィリングは男の後を追ってパーティー開催中の家に乗り込むが、
その目の前で殺人事件が…。
被害者は死に際に「鳴く鳥がいなかった」という謎の言葉を残していた。
発端の意外性と謎解きの興味、サスペンス横溢の本格ミステリ。

超がつくほど久しぶりに初めての作家さんの著書を手に取りました。
とはいえ、超がつくほど有名な方ですが。

ヘレン・マクロイ氏は「幽霊の2/3」をかつて読んでみようかと
思ったことがありますが、それっきりとなってました。
ちくま文庫から本書が発売されていて、ふと手に取り購入しました。

本書は導入部分にかなり惹かれました。
「発端の意外性」、言い得て妙。

自分と同じ名前を名乗る男。彼はいったい何者で、
どこに行くのか?ウィリング博士は彼の後を追うことに・・・

突然自らに訪れた不思議な出来事から、
博士は華やかなパーティーと殺人事件に遭遇することに。

集まりに参加していた人々に、それぞれ事情を聞きにまわる
博士。彼彼女が抱えているモノは何か。
パーティーの真の目的とは何か。
被害者の「鳴く鳥がいなかった」の言葉の意味とは・・・

最後のウィリング博士の「パーティー会場」への訪問で
ついに被害者の言葉の意味が明らかとなり、
そこには華やかなパーティーとの対極にあるような陰惨さ。
ここの対比も鮮やかです。

犯人のトリックは実はかなり単純なものなのですが、
これがパーティーの中で、実に巧妙に行われており、
まず気付かない(笑

しかし、この犯行動機(つまりはパーティーの意味)は
予想外の真相で、驚きました。
登場人物、というか容疑者は物語序盤と変わらず。
犯人はなんとなく予想はつくものの、この犯行動機と
パーティーの意味は予想できませんでした。

魅力的な導入から、徐々に明らかになる容疑者たちの背景。
パーティーに隠された謎、予想外の真相と、
ミステリとしての魅力をしっかり詰め込んだ作品。
オススメです。


二人のウィリング (ちくま文庫)

二人のウィリング (ちくま文庫)

  • 作者: ヘレン マクロイ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2016/04/06
  • メディア: 文庫



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名探偵ポワロ「カーテン-ポワロ最後の事件-」 [海外ミステリ]

NHKの紹介ページから。

【アガサ・クリスティー原作の人気シリーズ 25年の時を経ていよいよ最終回!】
ポワロ最後の事件。その舞台は、ポワロ最初の事件が起きた「スタイルズ荘」だった。

ポワロは親友ヘイスティングス大尉をスタイルズ荘に呼び出す。
ここは、かつて二人が初めて一緒に解決した殺人事件の舞台になった屋敷だが、
現在はゲストハウスになっている。ヘイスティングスは再会したポワロのやつれた車椅子姿に驚く。
ポワロは「ここが再び殺人現場になるが標的は不明だ」とヘイスティングスに告げ、
屋敷に潜む殺人犯を捕えるパートナーとして、動けない自分の代わりに情報収集をしてほしいと頼む。

クリスティのポワロものは全て原作を読んで来ていましたが、
(元々は戯曲で出され、後に別の作家さんによって小説として出された「ブラックコーヒー」も)
「カーテン」だけは未読です。
あえて未読でした。名探偵が亡くなるというのはどうにも受け入れがたかった、
というのがあるんですよね。
ホームズや金田一、彼らの最後は決して「死」ではないけれども、
ポワロは本当に死んでしまう、というのがどうにも・・・

なので今回映像で観たのが始めてになります。
相変わらず大尉には手厳しいポワロがたくさん登場したなあ(笑
最後の手紙でも堂々巡りの推理とまで言われるとは・・・(苦笑
ヘイスティングス大尉も相変わらず抜けているというか、
ポワロが「飲み物を」と言った時の「結構です」→「私がです!」に
笑ってしまった。
そしてまさか大尉が殺人を(偶然にも)起こしていたとは・・・

本作を通して思った事は、
犯罪を犯した者、特に殺人を絶対に許さないポワロは、
犯人を絶対に見逃さない訳ですが、
こういう「心理的殺人教唆」、裁きたくても裁けない人間というのは、
名探偵にとって、実は最大の敵なのかもしれません。

本作でポワロは常に神に祈ります。
それは最後に自身が下した行為を裁いてもらうために。
最後の場面で、彼を殺すことで、彼に殺される多くの人を救うことができたのではないか、
という台詞が出てきますが(うろ覚えです)、
やはり「オリエント急行の殺人」で彼が最後に下した行為と密接に
関係があるのでしょう。
「オリエント~」のラストは、間違いなく「カーテン」を見据えていたと思いますが、
どうなのだろうか。

ポワロは最後病死とされていますが、薬をとらずに
十字架を取った、とも言えるんですよねえ。
彼なりの罪の償い、とも言える場面でした。

「犯人」とポワロのやりとりですが、
この「犯人」が実に狡猾というか嫌な奴だったなあ・・・

後は付け髭に驚きました(笑

25年間という長きにわたって、同じ俳優さん、そして吹き替えも
同じ声優さんでラストを迎えたのは、本当に素晴らしい事で、
感謝に堪えません。
スーシェさん、熊倉さん、ありがとうございました。
NHKにも感謝しよう(笑

でもやっぱり終わってしまったのは悲しいですね。
後、ニューシーズンDVDのボックス化を是非!!


カーテン(クリスティー文庫)

カーテン(クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/10/07
  • メディア: 文庫



カーテン (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

カーテン (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/11/18
  • メディア: 文庫



カーテン (クリスティー文庫)

カーテン (クリスティー文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/10/07
  • メディア: Kindle版



名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 5

名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 5

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD



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名探偵ポワロ「ヘラクレスの難業」 [海外ミステリ]

引退を考えたポワロは、
最後に自身の名前「エルキュール」にちなんだヘラクレスの12の
難業に挑む事に。

それぞれがヘラクレスの難業にちなんだタイトルが付されていますが、
独立した短編です。

その12ある短編の1つをドラマ化するのではなく、
あくまで「ヘラクレスの冒険」として12ある短編を1つのドラマにする、
というのが本作になるんだろう、と勝手にですが予想をしていました。

メインをはったのは「スチュムバロスの鳥」「エルマントスのイノシシ」
後者に出てきた殺人鬼マラスコーを物語の主軸に添えています。

そこにケルベロスやヒュポリュテの帯もきちんと登場します。

ポワロが引退を決意する序章部分を、うまく事件とからめ、
彼自身が再び探偵として立ち直る物語に「アルカディアの鹿」を導入しています。
物語は非常に悲しい結末に終わりますが、
この「アルカディアの鹿」で登場する男女が再び巡り会えた事が唯一の救い
だったかなと思います。

ロサコフ伯爵夫人の「娘」がこんな形で登場するとは。
「ビッグ・フォー」原作で伯爵夫人への切り札であった娘の存在が
こうした結末を迎えるとは意外でした。

物語の最中、ポワロは「灰色の脳細胞」を復活させ、
事件を解決しますが、マラスコーからは「うぬぼれたヘラクレス」と言われ、
背を向けるのではなく、前を向き逃げない事も「彼」に宣言します。
何となくこの辺りは「カーテン」に繋がる感じがしましたが、どうなんだろうか。

伯爵夫人との別れも辛いものでした。
ポワロと夫人の別れのシーンも「カーテン」をどうも意識してしまいます。

さて来週で最終回。いよいよですか。



ヘラクレスの冒険 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ヘラクレスの冒険 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/09/16
  • メディア: 文庫



ヘラクレスの冒険 (クリスティー文庫)

ヘラクレスの冒険 (クリスティー文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/09/16
  • メディア: Kindle版



名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 5

名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 5

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD



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名探偵ポワロ「死者のあやまち」 [海外ミステリ]

NHKのホームページから。

ポワロは旧友の推理作家オリヴァ夫人に呼び出され、田舎の豪邸ナス屋敷に到着する。
1年前に屋敷を購入したスタッブス卿が翌日に祭りを開催することになっており、
地元の人たちも招待されているという。祭りで行う殺人推理ゲームのシナリオを書いたオリヴァは、
嫌な予感がするとポワロに告げる。ゲームで被害者を演じるのは地元の少女マーリーン。
しかし祭り当日、オリヴァの不安が的中し、マーリーンが本当に殺されてしまう!

今回は原作の内容はまず措くとして、
最初のポワロが車でナスの館に向かう途中、相乗りになる外国人に
見せた表情や、うっそうとした森の中をめんどくさそうに進むポワロ、
赤ちゃんの人形をまさか当ててしまい、持たずには居られないがなんともいえない
評定のポワロなど、このTVシリーズの見所でもあるポワロのこうした面が
久しぶりに見る事ができて、よかった。

襲われた時の練習をするオリヴァ夫人(笑
迷惑きわまりないですね。

物語はマーデル老人の「フォリアット家は不滅」という発言が全て。
最後にポワロも述べますが、老人が実のところ全て見抜いていた訳です。

一人二役のトリックはさすがだなあと。
最初にポワロと相乗りしてきた「外国人の女性」やスタップス卿のちょっとした演技から
見事に騙されてしまっていました。

類似、というのが適切かどうかわかりませんが、ファイナルシーズン第1作の
「象は忘れない」なんかもこれに近いトリックのような。

最後ポワロは犯人たちに自ら罪を償う事をあえて選択させています。
う~ん、ポワロらしからぬ感じです。原作はどうだったかな。

来週はついに「ヘラクレスの難業」
原作は「ヘラクレスの冒険」ですが、どの話になるのかなあ。


死者のあやまち (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

死者のあやまち (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/12
  • メディア: 文庫



死者のあやまち (クリスティー文庫)

死者のあやまち (クリスティー文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/11/30
  • メディア: Kindle版



名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 5

名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 5

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD



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名探偵ポワロ「ビッグ・フォー」 [海外ミステリ]

NHKの紹介ページから。

ジャップ警視監からヘイスティングス大尉とミス・レモンのもとにポワロ死去の知らせが届く。
その死の裏には、「ビッグ・フォー」と呼ばれる国際的秘密結社の存在があった。
4週間前。新聞記者タイソーのもとにビッグ・フォーの活動を警告する匿名文書がたびたび届いていた。
そんなある夜、ポワロが出席した平和党のパーティーで、
党の代表ライランドとロシアのチェスの王者サヴァロノフが対戦。だが開始直後、王者が急死する。

原作の「ビッグ4」とは大きく改変されてましたねえ。
原作はポワロとヘイスティングスがこの大組織がある事を要人に伝えに
言っても、相手にされず、二人だけの闘いを強いられるのですが、
映像はその「虚言」を逆手に取ったものであり、逆に楽しめました。

原作は冒険小説で、なぜこれをポワロで?と作品的評価は低いと言われていますが、
映像はそれをうまくポワロの物語として、かつ原作も実にうまく残したと思いました。

本来であれば、マダム・オリヴィエはナンバー3だし、エイブ・ライランドがナンバー2
名前だけ登場していたリー・チャン・イェンがナンバー1
「二重のてがかり」登場のロサコフ伯爵夫人も出て、彼女が重要な鍵を握るのですが、
本作では、ダレルの恋人であるモンローがその役割になってましたね。

ヘイスティングスは原作でもポワロが爆死した事を受けて、一人でも捜査すると
息巻いて、アジトに乗り込んでいくし、ポワロの兄であるアシルも登場し、
彼がその存在を信じていた事が解決に大きく貢献する、と記憶してます。

映像でも年はとりましたが、相変わらず熱いヘイスティングス大尉だったので、
その点は素晴らしかったけど、全く手掛かりなしで、どこに飛び出していったのだろうか(笑
最後の再会がまたファンには嬉しいですね。
もう引退してカボチャを作るまでの台詞もほしかった所ですが(笑


ビッグ4 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ビッグ4 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/03/16
  • メディア: 文庫



ビッグ4 (クリスティー文庫)

ビッグ4 (クリスティー文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/03/16
  • メディア: Kindle版



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名探偵ポワロ「象は忘れない」 [海外ミステリ]

デヴィッド・スーシェさんが足かけ25年近くかけて
ほぼ全ての原作を消化し、完結を迎えた「名探偵ポワロ」
そのファイナルシーズンがついに日本でも放送開始!

本日は「象は忘れない」
ポワロ役は熊倉一雄さん、オリヴァ夫人は山本陽子さん、
素晴らしい。最後まで熊倉さん、そしてオリヴァ夫人も山本陽子さんで
の吹き替えで本当に良かった。

本作は「回想の殺人」になりますね。
象は忘れないとはイギリスの諺のようです。
今回初めて知りました(汗

ポワロの事件とオリヴァ夫人の「象」から聞き出し始めた事件とが
見事に結びついて、遙か昔の事件と、今の事件をポワロが見事に
解き明かしていきます。

ポワロとオリヴァ夫人の最後のシーンが印象的。
「でも、わたしたちは人間ですからね、ありがたいことに、人間は忘れることが
できるんですよ」
双子の話が次の「ビッグ4」に繋がり、
最後の台詞はなんとなく「カーテン」への布石に感じました。


象は忘れない (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

象は忘れない (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/12
  • メディア: 文庫



象は忘れない

象は忘れない

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/11/30
  • メディア: Kindle版



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名探偵ポワロ「オリエント急行の殺人」 [海外ミステリ]

新作ポワロ第4夜。
まずはNHKの紹介ページから。

パレスチナで事件を解決したポワロはイギリスに戻るためオリエント急行に乗車。
終点のカレーまで3日の長旅だ。列車には国籍も階級もさまざまな人々が乗っていた。
アメリカの富豪ラチェットにその秘書と執事、ギリシャ人医師、ロシアの公爵夫人とメイド、
ハンガリーの外交官夫妻、女性宣教師…。2日目の夕方、
ポワロはラチェットから殺されるかもしれないと保護を頼まれるが断る。
だが翌朝、そのラチェットが刺殺死体で見つかる。
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/agatha/poirot_04.html

最初の事件の解決の、中尉の自殺とポワロへの同僚の
発言が、全てだったんだろうなと感じました。

なんか後味の悪いエンディングでした。
乗客もポワロもどちらも納得はしていないという。
そして妥協でもない。
小説はそんな事はなかったと記憶してますが・・・

なんだかポワロの苦悩と葛藤ばかりに目がいって
しまいますね。
前3作と違い、ユーモラスな場面は全くありませんし。

ただ、小説は間違いなくおもしろいと思います。
禁じ手と言われる事も多々あるようですが、
僕はそうは思いません。
クローズド・サークル内での
見事なトリックだと思います。

さてしばらくは新作放送はないのかな。
(実際制作されてない?)
残された作品は
「ヘラクレスの冒険」「死者のあやまち」「ビッグ4」
「象は忘れない」、そして「カーテン」。
ちなみに戯曲、後小説化された「ブラック・コーヒー」もあったり。

「ヘラクレス」はどうするんだろう?
1編のみ映像化ですかねえ。

個人的に一番の期待は「ビッグ4」
これポワロものでは完全に異色ですが、
冒険活劇って感じで、ひさしぶりのポワロ&ヘイスティングスが
観られるのではと期待。
さらにはミス・レモンやジャップ警部も。
もっとももう少しスーシェさんが若い時に
映像化してほしかったですが・・・

元々の「名探偵ポワロ」のコンセプトに
みられたポワロ・ヘイスティングス・ジャップ警部(+ミス・レモン)
という原作では出ていないが、登場するというドラマ化
を期待してるんですけどねえ。


オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/10
  • メディア: 文庫



オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/04/05
  • メディア: 文庫



オリエント急行の殺人 (創元推理文庫)

オリエント急行の殺人 (創元推理文庫)

  • 作者: アガサ クリスティ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2003/11
  • メディア: 文庫



オリエント急行殺人事件 (新潮文庫 ク 3-4)

オリエント急行殺人事件 (新潮文庫 ク 3-4)

  • 作者: アガサ・クリスティ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1960/08
  • メディア: 文庫



オリエント急行殺人事件 [英語版ルビ訳付] 講談社ルビー・ブックス

オリエント急行殺人事件 [英語版ルビ訳付] 講談社ルビー・ブックス

  • 作者: アガサ クリスティ
  • 出版社/メーカー: 講談社インターナショナル
  • 発売日: 2000/04/07
  • メディア: 新書



名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 4

名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 4

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD



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名探偵ポワロ「ハローウィン・パーティー」 [海外ミステリ]

第3夜。
まずはAmazonさんの紹介ページから。

推理作家のオリヴァ夫人を迎えたハロウィーン・パーティで、
少女が突然、殺人の現場を目撃したことがあると言いだした。
パーティの後、その少女はリンゴ食い競争用のバケツに首を突っこんで死んでいるのが発見された!
童話的な世界で起こったおぞましい殺人の謎を追い、現実から過去へと遡るポアロの推理とは。

少女の言った「殺人」とはどの出来事を指すのか?
ポワロによって過去の死亡事件のどれが少女の言っていた事件なのか?
過去と現実を見事にリンクさせるポワロの推理が光ります。

花瓶を落とした意味が結構秀逸だよなあと。
二重に意味があったという。

クリスティ後期の作品ですが、良作ではないかなと改めて思いました。

しかしやはり吹き替えは熊倉さん、オリヴァ夫人は山本陽子さんが
やっぱり合うなあと感じました。

明日はいよいよですね。


ハロウィーン・パーティー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ハロウィーン・パーティー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/11/11
  • メディア: 文庫



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名探偵ポワロ「複数の時計」 [海外ミステリ]

ポワロ新作第2夜。
まずはAmazonさんの紹介ページから。

秘書・タイプ引受所から派遣されたタイピストのシェイラは、依頼人の家に向かった。
無数に時計が置いてある奇妙な部屋で待っていると、まもなく柱時計が三時を告げた。
その時、シェイラは恐ろしいものを発見した。ソファの横に男性の惨殺体が横たわっていたのだ…
死体を囲むあまたの時計の謎に、ポアロが挑む。

ポワロの今回のワトソン役はイギリス海軍大尉でありながら
MI6に所属するコリン・ラム。
彼は良い味出してましたねえ。
ヘイスティングスほどマヌケな(失礼!)一面はありませんでしたが、
恋・事件・盗まれた機密文書、これらに挟まれて
途中まではよかったものの、ドジも踏んでます。
また彼の行動によって失ってしまった恋人の回想。
あれもよかったです。
もう二度と、同じ過ちは繰り返さないという台詞も。

原作ではポワロは安楽椅子探偵で、
ほとんどがコリン大尉の捜査です。
しかしテレビ版ではそうではなく、自ら話を聞きに行き、
現場を見て、積極的に捜査に動きます。
そこには小説で感じるポワロの老いはありません。

ポワロが猫屋敷に行った時の表情、
アイスを渡された時の表情、
ああいうのが本当に観ていて楽しい。
スーシェさんの演技が光ります。

そして自慢も相変わらずでした。
最初のオリヴァ夫人の演劇のシーンやとある小説家の作品へのコメントとか。
(結果的にこの芝居のシーンが事件解決に一役買うのですが)

ところで、「複数の時計」というタイトルですが、
時計はそこまで重要な鍵でもないんじゃないかなあと。

それと第二の殺人はどう考えも警察の責任だよなあ。
あの警部は謹慎ものだ。

明日は「ハロウィーン・パーティー」です!


複数の時計 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

複数の時計 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/11/11
  • メディア: 文庫



名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 4

名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 4

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
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名探偵ポワロ 「三幕の殺人」 [海外ミステリ]

ついにはじまった4夜連続放送!
名探偵ポワロの新作がついに登場です。
そして、この4作の中にはあの「オリエント急行の殺人」が!

第一夜は「三幕の殺人」
まずはAmazonさんの紹介ページから(クリスティ文庫)。

引退した俳優が主催するパーティで、老牧師が不可解な死を遂げた。
数カ月後、あるパーティの席上、俳優の友人の医師が同じ状況下で死亡した。
俳優、美貌の娘、演劇パトロンの男らが事件に挑み、名探偵ポアロが彼らを真相へと導く。
ポアロが心憎いまでの「助演ぶり」をみせる、三幕仕立ての推理劇場。新訳で登場。

原作を読んだのは何年も前の事ですが、
意外にも内容は結構憶えていて、読んだ当時は
かなり驚いた気がします。

さてテレビ版ですが、
第一の事件がどうもなあ。
リハーサルなのでしょうが、わざわざポワロを呼んだのは
藪をつついて蛇を出す、のような気がしました。

あれは殺人ではないと、原作でもテレビでも
ポワロは最初断定するのですが、
あの段階ではさすがに無差別殺人までは
推理できなかったんですかねえ。

トリックは実に単純なのですが、
実に人間心理というか、盲点を突いたトリックですねえ。

閑話休題。
テレビ版では劇場でポワロが「ポワロ劇場をお送りします」と
まるで俳優のように振る舞い、
最後はポワロの元に光が当たり、ウイルズが「三幕の悲劇ね」と
ポワロにつぶやきます。
最後のポワロの台詞が実に良いですが、そして舞台は終了。

小説でも主役はあくまでチャールズ・カートライトであり、
ポワロは脇役。
テレビ版でも立ち位置は一緒でしたね。
終始何かを演じているカートライト、
脇役、そして最後には照明(!)に配役が変わるポワロ。
90分、楽しめました。

ところで、本作はハヤカワ文庫版のストーリーでしたねえ。
創元推理文庫はやや違うストーリーなので注意です!

明日は「複数の時計」が放送です!


三幕の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

三幕の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/10
  • メディア: 文庫



三幕の悲劇 (1956年) (創元推理文庫)

三幕の悲劇 (1956年) (創元推理文庫)

  • 作者: アガサ・クリスチィ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1959/06/20
  • メディア: 文庫



三幕の悲劇 (創元推理文庫 105-15)

三幕の悲劇 (創元推理文庫 105-15)

  • 作者: アガサ・クリスティ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1959/06/20
  • メディア: 文庫



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