SSブログ
前の30件 | -

キネマの天使-レンズの奥の殺人者 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

東風亜由子、32歳、気鋭の映画スクリプター、もとい、正木監督の雑用係。
強烈な個性を持つ役者やスタッフに振り回されつつ、新作映画の撮影も佳境を迎え…たところで、
スタントマンが殺された!昔は映画監督になりたかった。そう語っていた著者が、
映画への愛と知識を惜しみなく込めた、魅惑の新シリーズ第1弾!


以下、ややネタバレ。





赤川次郎先生の新シリーズです。
いやあ、すでにいくつものシリーズをお持ちであるにもかかわらず、
こうして新たな分野を開拓していくというのはすごいです。

今回の主人公は映画スクリプターという、普段あまり聞き慣れない職業です。
解説等にもあるように、赤川先生ご自身がかつて映画監督になりたかったという事から、
本作は、事件よりも、映画撮影・制作に重点が置かれているように感じます。

特に主人公の東風亜由子は、赤川作品王道の強い女性で、大半の事にも動じず、
しかもお人好し。そしてとんでもなく度胸があります。
ただ、個人的には「探偵役」ではないなあと感じました。

最後はなんか、ここ数年で表面化している芸能事務所の問題と密接に関係づけられている
結末で、大団円とはならず。実行犯は捕まりましたが、
真犯人(という言い方が妥当か微妙ですが)は特に制裁も受けていません。


ただ、亜由子と倉田刑事のコンビで行くのかと思いきや、最後にあっと驚く、
特に亜由子にとってはちょっとがっかり?する結末が、なんと2回も描かれます(笑

幽霊シリーズ、花嫁シリーズとは別のバディでいくのか、それとも
亜由子と正木悠介監督コンビで本シリーズは続くのか、続編で新たなパートナーは
見つかるのでしょうか?



キネマの天使 レンズの奥の殺人者 (講談社文庫)

キネマの天使 レンズの奥の殺人者 (講談社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/12/15
  • メディア: 文庫






nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

犬鳴村 [映画]

まずはwikiからの紹介文から。

子供の頃からこの世ならざるものが"見える"臨床心理士・森田奏。
彼女の周囲で突如、奇妙な出来事が起こり始める。

「わんこが ねえやに ふたしちゃろ」奇妙なわらべ歌を口ずさみ、不可解な死を遂げた女性。
行方不明になった兄弟、次々と起こる変死…
それらの共通点となるのは心霊スポットの【犬鳴トンネル】だった。

「私、村でみたんだよね いぬ」「いぬが にしむけば お は ひがしだけど いぬが
しろければ そりゃおもしろい」 突然死した女性が直前に残した言葉にはどんな意味なのか?

すべての真相を突き止めるべく奏は犬鳴トンネルに向かうが、
その先には決して踏み込んではならない、身の毛もよだつ驚きの真相が待ち受けていた。

以下、ネタバレあり。






元々怪談好き、ホラー好き、だけど恐がりです。
ホラーテラーや洒落怖なども良く閲覧していました。

稲川淳二さんの怪談にも登場するこの犬鳴村(怪談ではたしか犬鳴トンネル?だったかな)
過日、深夜放送ですが地上波初放送されていたので、録画して観てみました。


明菜と森田悠真は犬鳴村へ行く方法を見つけ、そこへ向かっているところ。
ブレアウイッチのような始まり方から、よくわからない集団に襲われます。

帰宅後、明菜は奇妙な唄を歌うようになり、突然自殺のような死に方。

一方、主人公で悠真の兄・奏は病院で臨床心理士として勤める毎日。
患者である圭祐を診ていますが、時折奇妙なものが見えることが・・・

明菜が亡くなり、葬式で森田家が異常なまで攻められる。
彼女の死因は肺に水がたまっていたとのこと。
山辺医師と奏たちの父親・森田晃らの謎めいた会話。
そして、兄とともに奏の弟・康太が行方不明になったことで、
晃の妻である綾乃が異常なまでに取り乱し、自宅でも奇怪な行動を取るように。

奏は様々な謎を解くために、綾乃の父である中村隼人の元を訪れます・・・

最後、奏が謎の人物・成宮健司からの要請を受けて犬鳴村を訪れ、
兄弟を救出し、さらに赤ん坊まで連れてきました。
この出来事自体は、過去に奏たちが招かれ、結果、自分の祖母を助けたことに
なっています(この出来事は兄の遺体が発見された際にさらに裏付けられます)。

上記の出来事そのものは、そこまで違和感はないのですが・・・
そもそも山野辺医師と晃の心配事というのは、妻の綾乃が犬鳴村出身であることを
知っていたことを示しますが、そもそも、どうやって知ったのでしょうか。
犬を食料としていたのが主家業であったのが犬鳴村の人々ですが、それが汚れた血なのか。

それとも、兄弟を助ける場面で示される、犬と人間を交わらせるという恐ろしい出来事が
行われていたこと(を惹起されますが)を指して、血筋のことを指しているのか。

奏の祖父の話から、自分の祖母以外にも犬鳴村から逃れた人が居るという話を聞いており、
この圭祐の母親もおそらくは犬鳴村出身であることが暗示されます。
だから、圭祐にも苦しむ村人の姿がみえる。


また、ラストシーン。奏の患者の圭祐が「ママが先生の友達によろしくと言っている」と
いう、謎の言葉の意味は何なのか。
しかし、奏の友人というのは誰なのか?まるで見当がつきません。
誰のことを指しているのか。

一方、上記の話から、もしかしたら山野辺医師も村の出身だったのかという推測も。
でなければ、彼が亡くなった理由が分からないんですよね。

この映画では犬鳴村に起きた悲劇と、その血筋の話がメインで描かれますが、
最後の奏に現れた変化は、血筋によるものなのでしょう。
であるとすると、兄や弟には何ら変化が無いのはなぜなのか。
女性だけに現れるものなんでしょうか。

とまあ、なんか色々と消化不良な映画でした。怖さというよりも匂わせの謎ばかりで、
肝心なことがまるでわかりませんでした。
次作「樹海村」でも「ナツキ」は登場するようですが、何かつながりあるんでしょうかね。

ジャパニーズホラーの復権とはいかない作品ですが、観るに値しない作品でもないです。
ただあまりに消化不良が多いので、かつてオダギリジョーさん主演の「熱海の捜査官」を
思い出してしまいました。


犬鳴村 [DVD]

犬鳴村 [DVD]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: DVD



犬鳴村 [Blu-ray]

犬鳴村 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: Blu-ray



犬鳴村 特別限定版 (初回生産限定) [Blu-ray]

犬鳴村 特別限定版 (初回生産限定) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: Blu-ray






【Amazon.co.jp限定】犬鳴村 特別限定版 (初回生産限定)(Amazon.co.jp限定特典:ブロマイド3点セット) [Blu-ray]

【Amazon.co.jp限定】犬鳴村 特別限定版 (初回生産限定)(Amazon.co.jp限定特典:ブロマイド3点セット) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: Blu-ray












nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:映画

誰彼 新装版 [法月綸太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

謎の人物から死の予告状を届けられた教祖が、その予告通りに地上80メートルにある密室から消えた!
そして4時間後には、二重生活を営んでいた教祖のマンションで首なし死体が見つかる。
死体は教祖なのか? なぜ首を奪ったのか?連続怪事の真相が解けたときの驚愕とは?

以下、ややネタバレ。





昨年刊行された『このミス』『本格ミステリ』で、大山誠一郎さんが
ある作品の解説を書かれることを近況報告で述べられおられました。
確か拙ブログでも何の本なのか、と気になりますと記しましたが、まさか『誰彼』とは!
私にとっては二重に楽しめました(本編+解説)。

法月綸太郎シリーズ、というか法月先生の作品を初めて読んだのは、
奇しくも『生首に聞いてみろ』。

ちなみに改めて見ると、まるで内容に触れていない紹介記事です(すいません)。

本書と同じ、<首無し死体>を扱った作品。そしてまさに多重推理。
悩む名探偵がどちらの作品でも描かれています。

この『生首』の単行本版では「お帰り!法月綸太郎』と帯に書かれた文字が印象的で、
これは長編に名探偵・法月綸太郎が登場したのが相当久しぶりだったということ
だったと記憶しています。

本書のキーワードは、本格推理では鉄板の、首無し死体・双子・密室。
特に双子については冒頭から読者に明かされることから、それが事件に確実に関与している
であろうことはわかるのですが、この双子というのがある意味ではミスリードでもあります。

ただ、途中で綸太郎が披露する交換トリック。教祖である甲斐辰郎と、弟にあたる安部兼等
の<二人一役>の二重生活ですが、囲っていた女性であるドゥアノが
全く気づかなかったはずはない。というか気づいていたことは彼女自身が仄めかしているんですが、
そうではなく、あくまでこの<二人一役>トリックを行っているのは双子ではなく、
兄弟なので、さすがにそこまで顔が似ているのか?区別が付くのでは?という疑問はもちました。

ただし、そこまで。その先にある、まだ「彼」は誰なのか?という、最後の真相は驚いた。
そうきたかと。登場人物一覧を見て頂ければわかるように、容疑者、実はかなり少ないです。
その中で、綸太郎は論理の海とでもいうべき場所で、ずっともがき続けています。
そして最後には見事に真相にたどり着くのです。

綸太郎のいくつもの推理と、それへの否定。さらに父親である法月警視とのディスカッションで
披露される仮定も含め、本書で披露される推理は相当な数です。
ところがそれにうんざりするどころか、なるほど!と思いつつどんどん続きを
なってしまうんです。もうイッキ読みしました。

推理に次ぐ推理。それを繰り返せば繰り返すほど、事件の真相が藪の中に隠れてしまうかの
ような難事件。そしてこのまさに本書の内容を一言で表す『誰彼』というタイトル。秀逸です。
まだ未読の方はぜひ一読をお勧めします。


誰彼 (講談社文庫)

誰彼 (講談社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1992/09/03
  • メディア: 文庫



誰彼 新装版 (講談社文庫)

誰彼 新装版 (講談社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/01/15
  • メディア: 文庫







nice!(7)  コメント(8) 
共通テーマ:

件 もの言う牛 [田中啓文]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

件は牛から生まれ、予言をしてたちどころに死ぬという。卒論取材で全国の一言主神社を
調査する美波大輔は、件の誕生を目撃し、命の危険に曝される。件の予言は的中。
首相が急死する。次期首相人事も左右するという宗教団体・みさき教に囚われた大輔は
予言獣・件の恐るべき正体に気づく。書下ろし伝奇ホラー。

田中さんといえば、落語・ダジャレ・伝奇、そして本格ミステリ(ジャズ)と極めて作風の
幅が広い作家さんかと思います。
私が初めて知ったのは、PS2「かまいたちの夜2」のシナリオライターをされた事から
だったと思います。
講談社文庫では「私立伝奇学園高等学校民俗学研究会」シリーズが(私の中で)超名作。
本書は同じ講談社文庫でも、「猿猴」に近い作品になるかと思います。

以下、ネタバレ含みます。




そもそも「件」とは、頭が人間で体が牛、話すことは全て真実をかたる妖怪。
よく古い文書、古文書で最後に「仍如件」で終わる文書がありますが、
これは、「ここに書いてあることは、件が言うこととおなじで、全て事実です」という
意味でよく用いられます。

本書に登場する「件」は見た目は完全に牛ですが、その件を目撃してしまった美波大輔、
偶然彼が助けた浦賀牧場の一人娘・浦賀絵里。朝経新聞政治部記者の宇多野礼子、
彼女の元彼氏で、牛に襲われたという怪奇な事件を担当することになる奈良県警の村口毅郎。
この4名がいわば主人公たち、でしょうか。

なぜ「大悪天皇」とまで呼ばれた雄略天皇が、その後半生は善政を敷いたのか。
「ウシトラ教団」、母牛に「イ」という特殊な餌を食べさせることで「件」が誕生する。
GHQによる当該教団の弾圧、ウシトラ教団からミサキ教へ姿を変えて、
長年、日本の裏で暗躍してきた教団ということまで説明されます。

さらにはギリシャのクレタ島に潜んでいた「牛鬼」という、ギリシャ神話に話は波及。
この「牛鬼」、ミノタウロスのことです。七人ミサキもギリシャ神話から来ているという
大胆な発想!
最後の章で、雄略天皇が出会った「一言主」が告げた詞が明かされますが、
それより「ヒトコトヌシ」→「ヒトシヌコト」の言い換え!!よく思いつきました(笑
358頁に出てくる一文、「岡山の新見の地で太郎牛、新・見の太郎牛・・・ミノタウロス」
ここを読んだとき思わずあっという驚きと思わず笑ってしまいました。
いや、さすが田中先生。本書は伝奇そしてホラー、グロに加え、ダジャレが相当数
入ってます。

本書で最大の活躍をみせたのはグライムズ兄弟でしょう。アメリカ人なのですが、
とにかく行動が本当にアメリカらしい。バンバンミサイル打ち込むし、
国会議事堂の地下の件養成施設を思いっきり爆破したり。

それにしても、誰かの寿命を知る事というのがそこまで国家を牛耳れるかというのが
根本的に疑問に思いました(笑)
下手すると、自分の方が先に亡くなる場合もあるわけです。
つまり運命を自分に都合良く変えることはできないので、絶対に当たる予言に
留まるんですよね、となんかまじめに考えてしまいました。

しかし本書は一気読みしてしまいました。本当に面白い。
久々にあの「私立伝奇学園高等学校民俗学研究会」を思い起こしました。
壮大な物語の中に、多くのダジャレを入れてくる、見事に重なるんですよね。
伝奇や民俗学、神話などが好きな方にはオススメの一冊です。


件 もの言う牛 (講談社文庫)

件 もの言う牛 (講談社文庫)

  • 作者: 田中 啓文
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/12/15
  • メディア: 文庫



nice!(9)  コメント(8) 
共通テーマ:

友達以上探偵未満 [麻耶雄嵩]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

三重県立伊賀野高校の放送部に所属する伊賀ももと上野あおは大のミステリ好き。
ある日、部活動で訪れた伊賀の里ミステリーツアーで事件に巻き込まれる。
探偵に憧れる二人はこれ幸いと、ももの直感力とあおの論理力を活かし
事件を解決していくが…?(「伊賀の里殺人事件」)。
見立て殺人?お堀幽霊の謎?合宿中にも殺人事件…。勝てばホームズ。負ければワトソン。
この世界に名探偵は二人も、いらない。女子高生探偵・ももとあおの
絶対に負けられない推理勝負、開幕!


「伊賀の里殺人事件」、これ記憶にあります。
BSプレミアムで放送してました。ちょっと観た気がしますが、
それをノベライズし、さらに2作を加えたものなんですね。

TVの推理クイズというと、マジカル頭脳パワーでそういう問題があったらしいですが、
私が見始めた頃にはもう終了してましたね。

上岡龍太郎さんが司会の特番で、有名作家さんたちがシナリオライターとして
参加していて、様々な事件の謎を解く、というのを何度か観た記憶があります。
これは面白かった。

閑話休題。

本書は上記の内容からもわかるように、読者(視聴者)への挑戦状が挟み込まれています。
有栖川有栖先生の初期昨でもありましたが(解説が有栖川先生なのは人選が素晴らし過ぎます)、
私も有栖川先生同様、謎を解くより真相が早く知りたかったので飛ばしました(苦笑)

「伊賀の里」はコスチュームに何らかのトリックがあることは想像がつくのですが、
そこにさらに捻りを加えてくるのが麻耶先生。『貴族探偵』を彷彿とさせます。

「夢うつつ殺人事件」も犯人が逆手に取った事件です。所収作では個人的オススメ。
なにせ容疑者も少ない、しかも男性も少ない中で、ですからね。
見立て殺人かと思いきや・・・これまた最後のところであっと驚く仕掛けが施されています。

最終話の「夏の合宿殺人事件」はももとあお、二人の心情、特にあおの心情というかももへの
思いみたいなものが描かれていて、事件とはまた別に楽しめますね。
ワトソン役を欲するあおですが、ももの時折(失礼!)魅せる閃きに感心し、
世界は探偵と群衆とワトソン役の3分割でなく、自分とももと群衆とワトソン役の4分割の様相を
呈し始めている、とその心境の変化がうかがえます。

ももの兄であり、刑事の空からの情報も事件解決への重要なものなので、
難しいかもしれませんが、雪の山荘や、絶海の孤島で起きる殺人事件という、
極めて探偵役が輝く長編作品で、本シリーズを描いてもらいたいなと感じました。


友達以上探偵未満 (角川文庫)

友達以上探偵未満 (角川文庫)

  • 作者: 麻耶 雄嵩
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/11/21
  • メディア: Kindle版



nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

刑事コロンボの帰還 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

【 コロンボ生誕60周年記念 】
いまなお名作と語り継がれる「 刑事コロンボ 」。
2020年は、『 殺人処方箋 』の原点となったレビンソン&リンクによる
ドラマ"Enough Rope"が放送され、初めて「コロンボという名の刑事」
がテレビに登場して60周年のアニバーサリーイヤー
(さらに2021年はシリーズ放送開始50周年)にあたります。
本『 刑事コロンボの帰還 』においては、作家・山口雅也氏の製作総指揮として、
研究のみならず著名作家による短編作品や新訳作品など創作を数多く掲載しています。


Amazonさんの商品紹介を載せておいて大変恐縮なのですが、
楽天お買い物マラソンで購入した商品(苦笑)
いや、こんなのが出ていたのかと。知りませんでした。

しかも発売元は、刑事コロンボのノベライズを刊行してきた二見書房!
いよいよ本命が登場かと。

ただし内容的には『刑事コロンボ完全捜査ブック』に軍配でしょうか。
作品解説は読み比べできるかと思いますが、
トリビュート小説編をどう捉えるか、で本書の評価が変わってくるのだろうと思います。

私としては(まだ全て読み終わってませんが)こうした試みは良いと思いますが。
(例えば『金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲 』なども非常におもしろく読みました。)
ちょっと頁数を取り過ぎかなと思います。
特にノベライズ版を出していたという強みみたいなものを入れてもらいたかったなあ。
(無いものねだりかもしれませんが)

トリビュート小説を書かれている大倉崇裕さんが作品解説してもらいたかったですね、

ところで本作はあくまで旧シリーズのみを対象とし、
私がリアルタイムで観ていた「新刑事コロンボ」は対象外です。
『完全捜査記録』が全シリーズを網羅していたのにたいし、この点も不満です。

確かに新シリーズは旧シリーズに比べ、作品の出来が良くない、というのは
あるのですが、やはり全作網羅すべきでしょう。
(よく読むと、『刑事コロンボの帰還2』で解説予定とありますが、それはちょっと
フェアじゃないような気もしますね。)

とかなり辛口に言いつつも、『帰還2』が出たら購入してしまいそうです(笑)


刑事コロンボの帰還

刑事コロンボの帰還

  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2020/10/26
  • メディア: 単行本



刑事コロンボ完全捜査ブック

刑事コロンボ完全捜査ブック

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/02/27
  • メディア: 単行本



刑事コロンボ コンプリート ブルーレイBOX [Blu-ray]

刑事コロンボ コンプリート ブルーレイBOX [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • 発売日: 2011/12/02
  • メディア: Blu-ray



nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:テレビ

忘れられた花嫁 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

結婚式直前に花嫁が失踪。控え室を片付けるため、アルバイトの明子が部屋へ向かうと、
そこには、花嫁が着るはずだったウエディングドレスを着た、見知らぬ女性の死体が。
翌日には、式場の主任の光子が何者かに刺され、帰らぬ人となってしまう。
次々と起こる事件に関係はあるのか?
なぜか調査を任されることになった女子大生明子が、事件の真相に迫る!

新年明けましておめでとうございます。
本年も拙ブログをよろしくお願い申し上げます。

さて、やはり首都圏(1都3県)に緊急事態宣言発出とのニュースが出ていますが、
当然というか、この状況を打開しなければいけませんから。
とはいえ、さっさと特措法を改正して、前年度比売上の7割保証とか、そのくらいを
国がしっかりやらないと、閉店倒産で大変な事にもなりますし。
いずれにせよ、今年もそこまで変わらない年になりそうです。

本年一作目は、今年読んだまさにホヤホヤの一冊。
現在まで続く「花嫁シリーズ」の第2作で、その後探偵役を務める塚川亜由美ではなく、
同じ女子大学生でも、合気道を嗜む永井明子が主人公。本作しか彼女は登場しませんので、
かなりレア作品です。

後に彼女の設定も(大学講師と恋仲)も塚川亜由美が取り込みますから、
徐々に徐々に一体化が図られたのかもしれませんね。
というか、かなり似ている主人公なので、同シリーズ内で描き分けは難しいだろうなあ。

しかし、何か久しぶりに「花嫁シリーズ」を楽しめた感じがしました。
そこかしこに出てくる、赤川さんのちょっとした言い回しが良いんですよ。
物語冒頭にはそうした言い回し、良く出てくるのですが、本作はかなりそれが
ちりばめられていて、ある種のクッションになっていて、実にいい。

主人公の明子は性格は亜由美より短気で、即座に行動に出るタイプです。
そして、本作では死にそうな目に(本当に!)何度も遭遇しつつも、猪突猛進。
母親の啓子も若干トボけた感じですが、最後の台詞でそれは親譲りであることもわかります(笑

彼女の勤務先の結婚式会場の社長がまた良い味出してます。
名前、苗字すら全く出てこないにも関わらず、充分にメインキャラクターです。

謎解き部分はもう少し丁寧であって欲しかったなあと思いますが、
最初誰だか分からない女性が、貸衣装のウエディングドレスを着て、
結婚式場で亡くなっていたり、明子の上司にあたる人物が突然辞表を提出したり・・・
物語序盤の掴みは最高です。

現時点では永井明子にとって、最初で最後の事件ですが、
可能であれば、奇跡的に復活して欲しいと思います。



忘れられた花嫁 (実業之日本社文庫)

忘れられた花嫁 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2020/12/04
  • メディア: 文庫



忘れられた花嫁 (角川文庫)

忘れられた花嫁 (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1987/10/01
  • メディア: 文庫



nice!(7)  コメント(8) 
共通テーマ:

ぼくの「このミス」2020 [ミステリ]

滑り込みセーフということで、今年読んだ中でもオススメを。

東川篤哉『探偵さえいなければ』


探偵さえいなければ 烏賊川市シリーズ (光文社文庫)

探偵さえいなければ 烏賊川市シリーズ (光文社文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/01/09
  • メディア: Kindle版



やはり烏賊川市シリーズは面白い。東川先生のシリーズの中では随一。
タイトルも実は「いなければ」の意味が異なる短編を含んでいて、捻りも見事です。



櫻田智也『サーチライトと誘蛾灯』


サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫)

サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫)

  • 作者: 櫻田 智也
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/04/21
  • メディア: 文庫



泡坂妻夫路線という、誰にも真似できない作品・文体を見事に継承した作品。
「とぼけた会話」と何の脈絡もない描写を、一本の線に繋げていく(収斂させていく)
極めて高度な技術をもつ作者さんです。
次回作も本当に楽しみです。

有栖川有栖『インド倶楽部の謎』


インド倶楽部の謎 国名シリーズ (講談社文庫)

インド倶楽部の謎 国名シリーズ (講談社文庫)

  • 作者: 有栖川有栖
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/09/15
  • メディア: Kindle版



ロジックと<詰め将棋>のような推理を堪能できる、もはや語るまでもない作品。
本作品の特徴は前世という、論理的証明のしようがないが、実は事件の核心を
突いているという意欲作ではないでしょうか。

小林泰三『クララ殺し』


クララ殺し 〈メルヘン殺し〉シリーズ (創元推理文庫)

クララ殺し 〈メルヘン殺し〉シリーズ (創元推理文庫)

  • 作者: 小林 泰三
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: Kindle版



前作『アリス殺し』を逆手に取った作品。
探偵役ではなく、ワトソン役が続投するという珍しいシリーズでもあり、
『ドロシィ殺し』『ティンカー・ベル殺し』の文庫化が望まれます。
一方で、小林泰三先生の訃報に接し、もう新たな作品を読むことが
できないことが残念でなりません。
ご冥福をお祈りします。

大阪圭吉『死の快走船』


死の快走船 (創元推理文庫)

死の快走船 (創元推理文庫)

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/08/12
  • メディア: 文庫



「奇妙な味」多めな作品集ですが、表題作は見事に本格ミステリでもあり、
読んでない方は損してます。必読です。

来年も良いミステリに出会う事、新型コロナウイルスが終息することを祈りつつ。
皆様、良い年をお迎えください。


nice!(6)  コメント(7) 
共通テーマ:

ミステリークロック [貴志祐介]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

人里離れた山荘での晩餐会。招待客たちが超高級時計を巡る奇妙なゲームに興じる最中、
山荘の主、女性作家の森怜子が書斎で変死を遂げた。
それをきっかけに開幕したのは命を賭けた推理ゲーム! 
巻き込まれた防犯コンサルタント(本職は泥棒!?)の榎本と弁護士の純子は、
時間の壁に守られた完全密室の謎に挑むが(「ミステリークロック」)。
表題作ほか計2編収録。『コロッサスの鉤爪』と2冊で贈る、防犯探偵・榎本シリーズ第4弾。


以下、ややネタバレ。





また少し時間が空いてしまいました。
このところあまり本を読んでいないので、次はもう「ぼくのこのミス2020」になりそう
な予感がします(苦笑)

表題作はまず措いておき、「ゆるやかな自殺」は榎本の仕事関係がいかに
広いのかを示すエピソードでもあり、結構激しい作品だなあと。
しかしこのトリック、かなり面白いですね。
本シリーズはメイントリックは密室なのです。
しかし本書所収の2編はかなりの変化球ですよね。
とくに「ゆるやかな自殺」のこのトリックはなあ。まあ上手くはいきそうですけど(笑
でも確かに自殺にしか見えない。

表題作は犯人は即座にわかります(笑
というか、これは準備していないと絶対に無理なので、それはわかるはず。

しかし、この時計トリック、時間トリックは素晴らしいの一言に尽きます。
電波時計のトリックだけでなく、全体が実によく構成されていて、
それでいて、榎本のTVを入れた推理ショーも見逃せません。


ミステリークロック 「防犯探偵・榎本」シリーズ (角川文庫)

ミステリークロック 「防犯探偵・榎本」シリーズ (角川文庫)

  • 作者: 貴志 祐介
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/11/21
  • メディア: Kindle版



nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:

クリスマス・イヴ [赤川次郎]

毎年クリスマス・イヴにはそれにちなんだミステリを紹介していますが、
昨日すっかり忘れていて、本日更新。
で、もうさすがに自分の抽出がなくなりつつあります・・・

というわけで、今回はそのものズバリのタイトル。
赤川次郎先生の『クリスマス・イヴ』

以下は、Amazonさんの紹介ページから。

クリスマス・イヴの夜、恋人たちで賑わうSホテルが企画したイベント、「ミステリー・ナイト」。
ホテルを舞台に推理劇が演じられ、宿泊客がその謎を解いていくというゲームだ。
推理劇に出演する俳優、人目を避けてイヴの夜を過ごす大女優、ホテルの従業員、
婚約中の恋人たち…。ホテルに集う人々の運命が複雑に絡み合い、
ゲームは思わぬ方向へ転がりはじめた!聖なる夜に繰り広げられる、ロマンチック・サスペンス。

本日はクリスマス。これまでご紹介したクリスマスにまつわる
ミステリーも含め、楽しんでみてはいかがでしょうか。


クリスマス・イヴ (角川文庫)

クリスマス・イヴ (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2012/10/16
  • メディア: Kindle版



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

2021本格ミステリ・ベスト10 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

インタビューは『修羅の家』で衝撃を与えた我孫子武丸、超新星・阿津川辰海の二本立て。
そして、こんな時だからがっつり読みたい、研究会みずからセレクトした迷いなしの
「ガチ推し本」特集!毎年話題の国内・海外「本格」ランキングも激動の予感!

いつもは『このミス』と一緒に紹介していますが、今年は『このミス』で
色々と書くことがあったので(笑)、別立てに。

改めて、「本格」ミステリとは何なのか。それが本書には求められるものでしょう。
『透明人間は密室に潜む』、阿津川辰海さんの作品はこれまで未読なのですが、
これは文庫化したら読んでみたい作品。
そして第2位は『蟬かえる』、泡坂妻夫の系譜を継ぐ櫻田智也さんの作品です。
本書は『このミス』でも指摘されていましたが、泡坂妻夫のパスティーシュ的なものから
完全に脱しているとのことで、文庫化が楽しみです。

本書では、映像ミステリ、ライトノベルミステリ、ミステリコミックなどの特集が
やはり『このミス』と違うところで、このあたりを読むのも楽しみの一つです。
インタビューの我孫子武丸先生のは「かまいたちの夜」にも当然触れていて、
じっくり拝読させていただきました。
それにしても、『殺戮にいたる病』から今年の『修羅の家』と、話題作をしっかり
発信されているのはさすがです。
一方で、人形シリーズや速水三兄妹シリーズも新作が読みたいなあと思ったり。

コロナ禍ということもあり、それぞれの分野ごとの推し作品が紹介されているのも良い。
改めてこれ読んで見ようと思う作品も。

年末はこの2つを読んだ上で、さらに積ん読をこれから読んでいきたいと思います。


2021本格ミステリ・ベスト10

2021本格ミステリ・ベスト10

  • 作者: 探偵小説研究会
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2020/12/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



nice!(5)  コメント(3) 
共通テーマ:

このミステリーがすごい!2021年版 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

32年の信頼と実績を誇る、新作ミステリーランキングブックです。
巻頭は100巻目前「名探偵コナン」大特集!ミステリーの視点から見た「名探偵コナン」
を徹底解析します。各業界人も注目する2020年の国内&海外のミステリー小説ランキング・ベスト20を
はじめ、作家生活20周年を迎えた伊坂幸太郎特集、超人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイ
など、人気コンテンツも充実の一冊です。

今年もこの季節がやってきました!
今年の表紙は、ついにこの人、江戸川コナン!コミックス100巻目前ということで、
青山剛昌先生へのインタビューや、アニメ版&映画版の脚本を手がける
辻真先御大と大倉崇裕先生の対談、ミステリー作家と名探偵コナン、大学ミス研が選ぶ
名探偵コナンベストエピソード等々・・・まさにコナン尽くし!

かつて、私が若かった時に、週刊少年マガジン&週刊少年サンデーを発売日水曜に
毎週購入していたことを思い出します。
マガジンはもちろん「金田一少年の事件簿」、サンデーは「名探偵コナン」
ミステリーコミック人気爆発の時期です。

先生とのインタビューでは「霧天狗」や「鳥取クモ屋敷の怪」が出ていて、懐かしいなあと。
後者は動機がね、あまりにも・・・
前者は、トリック完成までにバレないのか?というのと、被害者は本当に濡れないのか
というのが、当時から気になってました。

辻御大はもう長く「コナン」に関わっておられますが、今年はやはり
御年88歳にして、「たかが殺人じゃないか」がこのミス第1位という快挙!
その構想力や行動力、いや諸々含めてすごいの一言。
東京創元社さんはこれを機に、ポテト&スーパー初期3部作だけでなく、
全てを是非文庫化復刊お願いします。

今年は10位までみると、綾辻行人先生、大沢在昌先生、若竹七海先生とベテラン勢が
ランクインで、まだまだ若手には負けられんという意気込みを感じます。
20位以内では、平石貴樹先生の新シリーズが気になります。

そして「私の隠し玉」。
大山誠一郎先生が書かれる文庫の解説とは何なのか。ものすごく気になります。
ちなみに「ワトソン力」、文庫化したら買います。
倉知淳先生!ついに待望の猫丸先輩最新刊が今月発売!うれしい限り。
しかし文庫化まで待っていられるか・・・うーん。
二階堂黎人さんの合作「双屋敷殺人事件」も目を惹きました。

新型コロナウイルス感染症が拡大する中、なるべくステイホームを保ちつつ、
紹介されていたミステリーや積ん読本になっているミステリーを読みながら、
年末年始も過ごせればと思います。


このミステリーがすごい! 2021年版

このミステリーがすごい! 2021年版

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2020/12/04
  • メディア: Kindle版



たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説

たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説

  • 作者: 辻 真先
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/05/29
  • メディア: Kindle版




その裁きは死 ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫)

その裁きは死 ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: Kindle版



nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:

コロッサスの鉤爪 [貴志祐介]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

何者かに海中深くへ引きずり込まれた元ダイバー。無残な遺体には鉤爪で付けられたかのような
不審な傷が残されていた。現場は、ソナーで監視され、誰も近づけないはずの“音の密室”。
事件の調査依頼を引き受けた、防犯コンサルタント(本職は泥棒!?)の榎本と弁護士の純子は、
大海原に隠された謎に挑む!(「コロッサスの鉤爪」)。表題作ほか計2編収録。
『ミステリークロック』と2冊で贈る、防犯探偵・榎本シリーズ第4弾。

超がつくほど久しぶりの防犯探偵シリーズ!
2冊同時刊行(分冊ですが)はうれしいですね。

しかし、久しぶりに読んだけど、弁護士の青砥純子先生は、いつの間にか
コメディリリーフ的な位置になってたんですね・・・(笑
とはいえ、彼女とのやりとりから榎本の推理も構築されていくのもまた良い。

『鏡の国の殺人』は、「不思議の国のアリス」の続編、「鏡の国のアリス」を
モチーフにした作品。
これを読んでいるとき、『アリス殺し』等で人気を博した小林泰三さんがお亡くなりに
なったとのニュースに接しました・・・ショックです。ご冥福をお祈りいたします。

辻御大の「アリスの国の殺人」など、アリスはかなり日本のミステリでも
よく使われる作品ですね。
本作は萵苣根功のキャラクターが秀逸!いや、まさか本名ではないと思いますが、
彼が事件解決に果たした役割が非常に大きいだけに、それだけにこのキャラクターは良い。
次作にもぜひ登場してもらいたいけど、アリス関連だからなあ・・・

表題作は海を密室にするという、壮大なミステリです。
当時流行(?)していたダイオウイカまで登場します。

しかし、このトリックを解ける人はいないでしょうね。
魚の特色なども組み込んでいてその点も非常におもしろいのですが、
このトリックは暴けない。

次は『ミステリークロック』を読みます!


コロッサスの鉤爪 「防犯探偵・榎本」シリーズ (角川文庫)

コロッサスの鉤爪 「防犯探偵・榎本」シリーズ (角川文庫)

  • 作者: 貴志 祐介
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/11/21
  • メディア: Kindle版



nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:

卒業旅行 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

四年前の約束通り、卒業旅行の打ち合わせに集まった四人。
父親たちが会社の同僚で同じ社宅に住み、K女子大に揃って入学した親友同士だ。
しかしある事件がきっかけで、それぞれの運命がわかれることに。
加奈子と友江は今も大学へ通っているが、かおると由紀子は中退し家計を助けるために働いている。
久々に旧交をあたためる四人だったが、再会が思わぬ悲劇を引き起こす。


赤川作品が続きます。それもノンシリーズ。
以下、ややネタバレ。




タイトルにある「卒業旅行」は、本当に最後の最後に登場するだけで、
本書はこの「卒業旅行」に至るまでの、加奈子、由紀子、友江、かおる4人の4年間と、
それぞれの家族の4年間が語られていきます。

現在と過去がそれぞれ交錯しつつ物語は進みます。
本書は、『夜に迷って』以上に、どういう結末を迎えるのか、どういう物語が描かれるのかが
掴みにくい作品に感じました。
すでに、4人を引き裂くことになった出来事は過去のことなのです。
しかし、読み進めて行く上で、友江の「彼氏」的立場である奥村の登場で、
やや現在の物語へも変化が生じていくことに・・・


とはいえ、本書最大の見せ場は、最初から描かれていたある人物が
実は亡くなっていたということでしょう。しかも、その人物は4人だけでなく、
彼女たちの家族をも救っていたのです。

この人物の想いは物語では語られません。しかし、彼女含めた家族は
この人物のおかげで前を向いて生きていくことが出来るようになったのです。

赤川作品で幽霊が登場する話はたくさんありますが
(『幽霊はテニスがお好き』『怪談人恋坂』『三毛猫ホームズの降霊騒動』などなど)、
かなり初めからオープンなのが多いのですよね(笑
なので、本書はかなり意外な所を突かれました。
ノンシリーズはやっぱり良い。一気読み確実です。



卒業旅行〈新装版〉 (徳間文庫)

卒業旅行〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2020/11/06
  • メディア: Kindle版



nice!(7)  コメント(7) 
共通テーマ:

夜に迷って/夜の終りに [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

可愛い中学生の娘と次期社長の夫とともに、社宅で暮らす沢柳智春にとって、
たった一度の浮気は気の迷いにすぎなかった。過ちは水に流して幸福な家庭の主婦に戻り、
義父の隠し子の幼稚園探しや義弟や実弟のトラブル解決に暗躍し、実家の父母の悩みに向き合いながら
家族を守ろうとする智春。しかし、いつの間にか、悪意と嫉妬に染まった噂が広まっていく。
家族のしがらみにとらわれ、追いつめられていく緊迫のサスペンス。

高校生の沢柳有貴は、3年前の殺人事件を機に記憶を失った母と二人暮らし。父は別居して、
若い恋人に夢中だ。ある日、殺人事件の犯人の夫が何者かに殺された。
さらに、有貴が通り魔に狙われ、父の会社では盗聴器が見つかり、
一家の経営する会社に窮地が訪れる。"家"を守るために秘密を抱えた"家族"の行く末は。

私が読んだのは新装版ですが、元は光文社から刊行されていて、
前者の『夜に迷って』が1997年、『夜の終りに』が2000年と、物語の時間軸と同様、3年の月日が空いています。
以下、ややネタバレ。





赤川作品はこうした続編は描かれていて、
『招かれた女』と『裁かれた女』。こちらは15年もの歳月が物語上流れています。

『魔女たちのたそがれ』と『魔女たちの長い眠り』、私オススメの2作品ですが、
『たそがれ』で終わっていてもしっくりくるところですが、
『長い眠り』のラスト少し不気味な感じを残したところも良いですね。

『殺人よ、こんにちは』と『殺人よ、さようなら』。
昔読みました。確か海辺の別荘か何かで起きる事件だったような・・・

『ふたり』と『いもうと』。いずれも未読という申し訳ありません。
他にもあると思いますが、ひとまずこのあたりで(他にあればお教えください)。

本作品、特に『夜に迷って』は本当に智春やその家族の日常が描かれていき、
そこにちょっとした(ではないものもありますが)「非日常」(不倫や再就職、婚約etc・・・)
が介入することで、徐々に幸せな日常が変わっていく様が、実に見事に描かれていきます。
最後に殺人事件は起こりますが、それまでは本当に何も起こりません。
しかし読者には智春が追い詰められていく様や、その関係する人たちが変化していることが
わかり、果たしてどういう結末で締めくくられるのか?疑問に思うでしょう。

後編にあたる『夜の終りに』の方がよりミステリでしょうか。
しかし、ある意味前作の時間を再び動かすこととなる奈良の死が通り魔殺人であった
というのは皮肉が効いています。
奈良敏子の出所、久保田と呼ばれる人物の庇護など様々な変化が起こる中、
置かれた環境によって、人の心も変化してしまったというのが本作品の核でしょうか。

ただ、智春の祖父母や弟(浩士)の方がそこまで深く描かれなかったのは少し残念ですね。
まあそれは求めすぎかもしれません。

しかし、だいたい赤川作品は読んでいるのですが、まだこういうのもあったのか(苦笑)
最近のシリーズもの(特に三毛猫ホームズや花嫁シリーズ)は、赤川先生の
現代社会への危機感や危機意識みたいなものが、如実に表れているのが多いように感じます。
拙ブログでも何度か過去作品のような作風が読みたいと書いたことがありますが、
こういうノンシリーズを読むと、余計にそういう思いが強くなりますね。



夜に迷って (中公文庫)

夜に迷って (中公文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/08/21
  • メディア: 文庫



夜の終りに (中公文庫)

夜の終りに (中公文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/09/24
  • メディア: 文庫



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

インド倶楽部の謎 [有栖川有栖]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

生まれてから死ぬまで、運命のすべてが記されているという「アガスティアの葉」。
神戸で私的に行われたリーディングセッションに参加した“インド倶楽部”のメンバーが
相次いで殺される。前世の記憶を共有するという仲間の予言された死。
臨床犯罪学者・火村英生が論理の糸を手繰る“国名シリーズ”第9弾。

またまた久しぶりの更新です。
読書の秋!なんて書いてますが、以外と読めてないです・・・

そして久しぶりの国名シリーズ。エラリー・クイーンの短編集を読んだ後に、
日本のエラリー作品を読むという、贅沢な日常ではあります。

全く余談ですが、本書を勝手に短編集と思い込んでました(苦笑)
(あとがきで有栖川先生も仰っておられますが、火村&作家アリスシリーズは短編多し)
国名だと、『スウェーデン館の謎』と『マレー鉄道の謎』だけではないでしょうか。
なので、「第一章 神秘が語られる」を短編タイトルと勘違いしてました(汗)

しかし相変わらず容疑者が少ない!『狩人の悪夢』よりも多いですが、
作家アリス先生が命名した「インド倶楽部」メンバー複数名のみ。

アガスティアの葉、聖者アガスティアが全ての人々の運命を記したとされる葉で
「インド倶楽部」メンバー3名を占うナーディー・リーダーのラジーブ氏。
これがまた胡散臭い印象で、泡坂妻夫先生のヨギ・ガンジーを想像してしまいました(失礼!)

花蓮が聞いた父と母、間原郷太(マハラジャ)と妻・洋子の占い後の会話が
何かしらの事件を惹起させ、ラジーブ氏の代理人的立場であった出戸氏の死体が
発見されます。

23年前に起きた、間原郷太の前妻・寛子の事故死と、それを調べに行く野上部長刑事。
(全く余談ですが、土砂崩れによる死というのから、『後鳥羽伝説殺人事件』を思い出しました。)

読んでいる誰もがここに出戸氏と坊津氏殺害の動機があるものと思うのですが、
そこは有栖川先生。
動機という面から事件を解きほぐすのではない、これは『狩人の悪夢』でも火村が
披露した、詰め将棋のような推理ですが、本作でもこれは健在。
火村は、誰が二人を殺害できる、「犯人である条件を具えた唯一の人物」が
誰なのかを突き詰めていき、真犯人の逮捕(自白?)に到達します。
動機から辿っていくのではない。あらゆる可能性を排除していき、残った人物が犯人であるという
火村のまさに論理的推理の真骨頂です。

一方で、本作では単なる導入的なものとしか(私は少なくとも)思っていた「前世」という
「インド倶楽部」のメンバーを繋ぐ靱帯が、極めて重要な意味を持っていたというのが
個人的には本書最大の読ませどころと感じました。

ところで、本書では作家アリス先生が、これまでの火村の活躍の事件名を
勝手に命名していることを暴露していますが、メタ的な要素にも感じ、中々おもしろいですね。
しかも、これが事件を解く鍵にもしてしまうのは、さすが。

『カナダ金貨』の文庫化が待ち遠しいです。ソラシリーズもぜひ!


インド倶楽部の謎 国名シリーズ (講談社文庫)

インド倶楽部の謎 国名シリーズ (講談社文庫)

  • 作者: 有栖川有栖
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/09/15
  • メディア: Kindle版



nice!(8)  コメント(8) 
共通テーマ:

衣更月家の一族 [深木章子]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

別居中の妻の潜伏先を察知した男が、応対に出た姉のほうを撲殺――110番通報の時点では単純な事件と思われた。だが犯人が直接目撃されていないうえ、被害者の夫には別の家庭があった。
強欲と憤怒に目がくらんだ人間たちが堕ちていく凄まじい罪の地獄。
因業に満ちた世界を描ききった傑作ミステリー!

またまた久しぶりの更新です。
前作の『鬼畜の家』からだいぶ経ってしまいましたが、深木さんの第2長編。
以下、ややネタバレ。



一見すると何の関係もない3つの「家」で起きた事件ですが、
プロローグで語られる「衣更月家」の顛末があることから、
廣田家、楠原家、鷹尾家それぞれの殺人に、この「衣更月家」が関係してくるのは
間違いない、読者へそう思わせるためのプロローグな訳です。

どんな因縁があるのだろうか・・・と(勝手に思い込み)僕は読んでいたのですが、
この結末はかなり予想外でした。
特に廣田家の殺人の犯人、かなりの切れ者で実に巧妙です。
楠原家、鷹尾家より、やはりこの廣田家の殺人の見方が
探偵榊原の推理で見方が全く変わってしまうところが素晴らしい。

あと、個人的には前作の『鬼畜の家』もそうなんですが、
家の何らかの因縁なのかというのを醸し出しておきながら、
真相はまるで違うところが良いのですよね。
むろん全く家が関係無いわけではありません。
(今回も動機は相続問題ですから。)

榊原が登場する作品はまだあるようなので、そちらも購入したいと思います。


衣更月家の一族 (講談社文庫)

衣更月家の一族 (講談社文庫)

  • 作者: 深木章子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/02/12
  • メディア: Kindle版



nice!(9)  コメント(9) 
共通テーマ:

台風の目の少女たち [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

9月。台風が近づいてきている中、山間の町に住む高校2年生の須川安奈は、
母とともに体育館へ避難する。そこでは、東京の大学へ進学した恋人の章が謎の美女と一緒にいたり、
母が誰かと駆け落ちを計画していたり、父が部下の女性を伴って帰ってきたりと、
トラブルが続出。さらには殺人事件まで発生してしまい―。
安奈たちは、無事に嵐を切り抜けられるのか!?避難所を舞台に関係者たちの思惑が交錯する、
一夜限りの長編サスペンス。

辻真先先生が解説を書かれているのですが、物語の校正技術にグランドホテル形式
というのがあるようです。
大勢の登場人物を限定された場所に集めた作者が、そこへなにかの一石を投ずる。
石の正体は人間同士の愛憎であったり、火災であったりします」とのことで、
本物語では、それが台風であると。

しかし、赤川作品は、本物語に限ったことではありませんが、関係者の人間関係だけで
見事に物語を構成してしまいますから、辻さんの指摘の、いわば愛憎がすでにある状態に、
台風という、しかも近年に非常に多い、○○年に一度という非日常が放り込まれている
のです。
角川文庫では、これに近似しているのは『夜』でしょう。
あれもパニックホラーないしパニックミステリの部類に入ると思いますが、
これを読んでいて、まず真っ先に思い出しました。

台風によって暴かれる秘密も本書では語られていて、元々の愛憎劇(安奈と雅美、弥生と??)
にもさらに拍車がかかり・・・
松田拓郎の父親があっけなく死んでしまうシーンは、自然災害の恐ろしさを改めて知ると
ともに、拓郎がああなってしまうのも致し方ないと同情してしまいました。

ところで、本書の主役は一応須川安奈なのでしょうが、赤川作品常連からみると、
どう考えても琴平雅美が主人公に見えてしまう(苦笑
彼女の言動は(赤川作品によくある)突拍子もないものにみえて、上手く周りをまとめていく
という凄さがあるのです。
ラストまで読んでも、彼女への深掘りは実はなく(彼女自身が少し過去を話したりしますが)
その点はもう少し掘り下げて欲しかったなあと思うところ。

最後、生き延びた人たちが描かれ、それぞれの想いも語られたりし、一応ハッピーエンド
的な終幕となります。
しかし、赤川さんには、この後、自然災害に遭った人々の復興を描いてほしいと思いました。
日本の様々な所で行われている「復興」。これを現実とフィクション交えて、
描いてほしいですね。


台風の目の少女たち (角川文庫)

台風の目の少女たち (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/09/24
  • メディア: 文庫



nice!(7)  コメント(7) 
共通テーマ:

エラリー・クイーンの新冒険 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

人里離れた荒野に建つ巨大な屋敷が、一夜にして忽然と消失するという不可解極まる謎と
名探偵エラリーによる解明を鮮烈に描き、クイーンの中短編でも随一の傑作と評される
名品「神の灯」を巻頭に掲げた、巨匠の第二短編集。そのほかにも野球、競馬、ボクシング、
アメリカンフットボールが題材のスポーツ連作など、これぞ本格ミステリ!
と読者をうならせる逸品ぞろいの全9編収録。

またまた久しぶりの更新です。
以下、少しネタバレ。





横井司さんの「あとがき」をみると、『冒険』と『新冒険』の成り立ちや収録作品の
紹介があるのですが、この『新冒険』、確かに分が悪いですね。



ただ、やはり最初の「神の灯」が素晴らしい。傑作の一言に尽きます。
本書はこの作品で成り立っていると言っても過言ではありません。

ソーン弁護士による、クイーンへ助けを求めるところの描写は鬼気迫るものですし、
その後の屋敷焼失という超特大の謎。
ただ、本書をよく読むと、この前振にあるトリックが(しかも本物語の真の核心トリック)
個人的には強烈でした。
それでいて、謎を解くパズルピースは物語の中にしっかりと埋め込まれている。
最後の、クイーンの極めて合理的で論理的な推理がまたお見事。

「がらんどう竜の冒険」も見逃せない、いや読み逃せない作品です。
無くなった、たった1つのドアストッパーから、一気に推理を組み立てるエラリーのかっこよさ。
いやすごい。受付伝票から何を読み取れたのか。オススメです。

スポーツシリーズはやはり野球の「人間が犬を嚙む」がオススメ。
クイーン警視とヴェリー部長刑事、そしてエラリーの三者三様の野球談義と、
ほぼ同時並行で事件の謎も解いていくという、かなりカオスな作品でもあります。

それにしても「神の灯」はすごい。必読です。



エラリー・クイーンの新冒険【新訳版】 (創元推理文庫)

エラリー・クイーンの新冒険【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/07/22
  • メディア: 文庫



nice!(7)  コメント(7) 
共通テーマ:

7人の名探偵 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

新本格ミステリの端緒を開いた『十角館の殺人』刊行から三十周年を記念して
出版されたアンソロジーが、ついに文庫化。
綾辻行人、歌野晶午、法月綸太郎、有栖川有栖、我孫子武丸、山口雅也、麻耶雄嵩、
新本格第一世代のレジェンド作家七人の夢の競演。
「名探偵」をテーマに書かれた各作家の個性あふれる短編集。


待望の文庫化!
それにしても『十角館の殺人』から早30年ですか。
時が経つのは早いもので、第一線で活躍されてこられた方も、もうすぐ還暦の方も居るという。
新たな世代が登場しているのはうれしいことですが、やはりこのムーヴメントを
生み出したこの7人の方々の作品、特に綾辻さん、有栖川さん、法月さん、我孫子さん
などは、私にとっては別格です。

私の世代ですと、『金田一少年の事件簿』で、ミステリに触れ、新本格へ入っていった
人も多いのではないかと思います。
個人的極めつけは、我孫子さん原作・監修の「かまいたちの夜」。
サウンドノベルという新ジャンルを開拓しただけでなく、ミステリの面白さを
教えてくれたSFCソフトです。
(『あなただけのかまいたちの夜』2冊共、抜群に面白いです。)

さてまあ昔を思い出すのもあれなので。
本作で変わらずの論理展開をみせてくれるのは有栖川有栖先生の「船長が死んだ夜」
悩む名探偵ここにあり!を示してくれた法月綸太郎先生の「あべこべの遺書」
このあたりが個人的オススメ。

麻耶雄嵩先生のメルカトル鮎シリーズ、実は初読です(汗)
いや、これがシリーズお馴染みの展開なのか?犯人は分かった。しかし説明が超不足!(笑

我孫子先生は変化球的作品で、仮想世界におけるシャーロック・ホームズと
モリアーティ教授を描きます。
仮想世界と書きましたが、すでに現実世界でも起こりうる事象なのかもしれません。
しかし、バグ的な要素で速水三兄妹や鞠小路鞠夫を入れてみたりしたら、
果たしてどうなっていただろうか??


そして最後を締めくくるのはやはりこの人、綾辻行人先生。
この話、どこまでがフィクションで、どこからがノンフィクションなのか?
ちなみに綾辻さんが出会った人物はすぐにわかりました(笑
ある意味すごい出会いだよなあ・・・

皆さん、作品を生み出すのは本当に大変だと思いますが、
これからもどうぞお体に気をつけて、新本格作品で楽しませてください。


7人の名探偵 (講談社文庫)

7人の名探偵 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/08/12
  • メディア: Kindle版



nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:

ひとり夢見る [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

女子高生ひとみの母、浅倉しのぶはかつて女優だった。人気絶頂の二十七歳で突然の引退。
その七か月後、ひとみが生まれたが、父親はいない。十七歳のある日、母にパトロンがいると知り、
ショックのあまり夜の街に飛び出した。地下通路の一角で眠り込み…
目覚めると、そこは十八年前の映画スタジオだった。監督にスカウトされ、
若き日の母と共演することに!母と娘の不思議な縁の物語。


またまた更新が少し滞りました。
本書もだいぶ前に購入したもの。
以下、ややネタバレ。





それにしても、赤川先生の文体は読みやすい。そして改めて驚き。
冒頭にある「十七年間付き合ってきた母のことだ。」なんて文章をさらりと書くんですよね。
完全に掴みでやられます。主人公がその母の娘・浅倉ひとみだとしても、中々こういう文章
書けないよなあ。

ひとみは自分の母親が突然女優業を辞め、自らが「あの浅倉しのぶの娘」と言われるのにも
嫌気が指し、演劇部(の文化祭催し)を辞退します。
さらに、母の店がいつの間にか無くなっていて、母と男の人が出てくる場面を目撃し・・・

気がつくと、彼女は18年前の過去、しかも自分が生まれた時、さらに彼女の母親が
まだ女優をしていて、引退した年。しかも母親主演の映画に突然出演することになり・・・

自分の母親の性格を改めて認識したり、母親と男を取り合うことになったり(笑)
一方で、同じ年のマチ子の「家族」の非常に辛い場面をみたり、肺がんでこのあとすぐ亡くなる
多田と出会ったり。過去ならではのエピソードもあります。

過去に戻ってしまったひとみは、自分の父親は誰なのかも一方で気にしていて、
その候補は案外と多く。ところが、この点はさすが赤川先生。
父親どころか、母親までがというドンデン返しをもってくるとは(笑

本書で一番幸せに、人生が変わったのは、担任の谷中ミネ子先生ではないでしょうか。
最後の文化祭の場面は素晴らしいの一言。


ひとり夢見る (光文社文庫)

ひとり夢見る (光文社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/06/20
  • メディア: Kindle版



nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:

死の快走船 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

白堊館の建つ岬と、その下に広がる藍碧の海。美しい光景を乱すように、
海上を漂うヨットからは無惨な死体が発見された……堂々たる本格推理を表題に据え、
早逝の探偵作家の魅力が堪能できる新傑作選。
愛憎の末に行き着く水中の惨劇を描いた犯罪奇譚「水族館異変」、
午後三時に急行列車三等車の三両目を利用する怪しげな旅行団体をめぐる「三の字旅行会」、
相次ぐ広告気球脱走事件に隠された奸計をあばく防諜小説「空中の散歩者」など
多彩な作風が窺える十五の佳品を選り抜く。

初めて読む作家さんです。
読んでいる途中で、『とむらい機関車』を購入しなかったことを後悔しました。
戦前に書かれたもの、確かにそうですがそんな古さを感じさせない作品群。

表題作「死の快走船」は本格ミステリ。秀作でしょう。
フーダニットをど真ん中からいき、探偵が緻密な推理を重ねていきます。
犯人当てもですが、最後の動機や事件の背景もかなり凝っていて、素晴らしい。

さて、本格ミステリというのをどう定義するかという問題になりますが、
この表題作以外は、江戸川乱歩の言う「奇妙な味」に属する作品が多い印象。

「求婚広告」などは、ドイルの「赤毛組合」を彷彿とさせる作品で、
ラストもハッピーエンドというのも良いです。
しかし、求婚広告かあ。今の時代にやったらどうなるのだろうか。
「人喰い風呂」もこれまた「赤毛組合」に近いのですが、これだけは結末が分かりました。
面目躍如(笑

「正札騒動」も同系統ですが、こちらは鮮やかなラスト。
本作愁眉挙げたいのは「三の字旅行会」。これは実に良く出来ている作品で、
奇妙な案内人の語る聞くも涙語るも涙に近い、これまた実に奇妙な話。
あの場で瞬時にストーリーを思いついたとすれば天才です。

「空中の散歩者」は本格ミステリといって良いと思うのですが、
本作は時代背景が色濃く出ている作品でもあります。
よくよく考えてみると、犯人はすぐわかるのですが、ホワイダニットが
全くわからないので、上手いなあと感じました。

こういう短編集を読んでいると、幸せな気分になれますね。
いよいよ読書の秋なので、色々とまた読みたいと思います。


死の快走船 (創元推理文庫)

死の快走船 (創元推理文庫)

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/08/12
  • メディア: 文庫



死の快走船 (ミステリ珍本全集04)

死の快走船 (ミステリ珍本全集04)

  • 出版社/メーカー: 戎光祥出版
  • 発売日: 2014/07/07
  • メディア: 単行本



大阪圭吉 作品全集

大阪圭吉 作品全集

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2020/07/26
  • メディア: Kindle版



銀座幽霊 (創元推理文庫)

銀座幽霊 (創元推理文庫)

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2001/10/25
  • メディア: 文庫



とむらい機関車

とむらい機関車

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2012/10/02
  • メディア: Kindle版



nice!(7)  コメント(7) 
共通テーマ:

エラリー・クイーンの冒険 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

犯罪学の講師になったエラリーが、学生たちと推理を競う「アフリカ旅商人の冒険」、
サーカスの美姫殺しを扱った「首吊りアクロバットの冒険」、
切れ味鋭いダイイングメッセージもの「ガラスの丸天井付き時計の冒険」、
『不思議の国のアリス』の登場人物に扮した人々が集う屋敷での
異様な出来事「いかれたお茶会の冒険」など、
名探偵の謎解きを満喫できる全11編の傑作が並ぶ巨匠クイーンの第一短編集。
初刊時の序文を収録した完全版。

またまた久しぶりの更新です。
ところで、実はエラリー・クイーンの著書も初読です(汗)

元々の原題が僕には分からないのでなんとも言えないのですが、
収録作品が全て「冒険」で統一されているのが、なんか良いです。

また、法月綸太郎さんを先に読んでいたので、どうしてもエラリーが綸太郎で
想像してしまいます(苦笑)
とはいえ、エラリー・クイーンは常に自信満々。本書所収のどの事件においても、
この姿勢は全く崩さないところがまた良いですね。

オススメ、非常に難しい。「見えない恋人の冒険」「チークのたばこ入れの冒険」
「双頭の犬の冒険」・・・ここに挙げただけでなく、どれも粒そろいの作品です。
意外性を突いてきている「ひげのある女の冒険」。
「ガラスの丸天井付時計の冒険」はダイイング・メッセージものの快作ですが、
それ以上に犯人が自滅した誕生日プレゼントのメッセージがお見事。
彼しか犯人たり得ないという、素晴らしい証拠品。

最初の「アフリカ旅商人の冒険」は多重解決ものですが、
ここからすでに、極めて緻密な論理を組み立てて、犯人を指摘するエラリーの姿が描かれます。

「首吊りアクロバットの冒険」は、なぜわざわざロープを凶器に選んだのか?がポイント。
この謎を丁寧に解き明かしていきます。

この作品でエラリーは「火を見るよりも明らかだったんですよ」と父親との会話で話しますが、
基本、エラリーにとって全ての事件はこれに該当しているのではないかと思わせるほど、
所収作品での、彼の推理は素晴らしい。
続編の新冒険も楽しみです。



エラリー・クイーンの冒険【新訳版】 (創元推理文庫)

エラリー・クイーンの冒険【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/07/20
  • メディア: 文庫



エラリー・クイーンの冒険 (創元推理文庫 104-15)

エラリー・クイーンの冒険 (創元推理文庫 104-15)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/09/12
  • メディア: 文庫



nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:

婚活中毒 [秋吉理香子]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

崖っぷち女が紹介された運命の相手は連続殺人犯?(『理想の男』)。
街コンで出会った美女の暴走に戸惑うマニュアル男は…(『婚活マニュアル』)。
本命男を絶対に落とす“婚活ツール”の中身とは?(『リケジョの婚活』)。
息子の見合いで相手の母親に恋心を抱いた父親は…(『代理婚活』)。
運命の出会いはいのちがけ―『暗黒女子』の著者が贈るサプライズ満載の傑作ミステリー。

またまた久しぶりの更新です。
このところ読書はあまり進まず・・・


さて本書はかつて『自殺予定日』を本ブログでもご紹介した秋吉理香子さんの著書。
タイトルが面白そうだったので購入しました。
というか、実業之日本社文庫は購入率高いですね。

私自身、未婚で結婚もしてませんが、「婚活マニュアル」は読んでいて、
自分も婚活したらこんなことしそうだなと思いました(笑
大凡の筋書きは予想出来るものの、実はこのタイトルそのものが
最後のドンデン返しを表しているというのが素晴らしい。
男だけでなく、女性もある種のマニュアルを持っているという。

「理想の男」は本書所収では一番ダークな作品。
しかし、杉下はこれだけ立て続けに起きる"異常な事態”について、不思議に
思わないのか?!その苗字はたまたま、あの刑事さんと同じだけなのか!(笑

「リケジョの婚活」は第69回推理作家協会賞にノミネートされるだけあって、
タイトルそのままに物語がラストまで続き、本作白眉。
これぞまさに「リケジョ」。

最終作は解説でも述べられているのですが、夫婦のあり方というものを書いた、
まさに本書最後を飾るにふさわしい作品です。
婚活、結婚、妊活、妊娠・出産、子育て・・・・婚活はあくまでスタートでしかありません。
老いらくの恋、そして暴走かと思いきや、見事なハッピーエンドです。

秋吉先生、今度は『終活中毒』というのはどうでしょうか?



婚活中毒 (実業之日本社文庫)

婚活中毒 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 秋吉 理香子
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: Kindle版



nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:

星籠の海 [島田荘司]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

瀬戸内の小島に、死体が次々と流れ着く。奇怪な相談を受けた御手洗潔は
石岡和己とともに現地へ赴き、事件の鍵が古から栄えた港町・鞆にあることを見抜く。
その鞆では、運命の糸に操られるように、一見無関係の複数の事件が同時進行で発生していた―。
伝説の名探偵が複雑に絡み合った難事件に挑む!

織田信長の鉄甲船が忽然と消えたのはなぜか。幕末の老中、
阿部正弘が記したと思われる「星籠」とは?数々の謎を秘めた瀬戸内で怪事件が連続する。
変死体の漂着、カルト団体と死体遺棄事件、不可解な乳児誘拐とその両親を襲う惨禍。
数百年の時を越え、すべてが繋がる驚愕の真相を、御手洗潔が炙り出す!


久しぶりの更新となりました。このところネットサーフィンしかしてません(笑
『眩暈』も読んだので、他の御手洗シリーズもと思い、本棚を片付けつつ
色々と探していたら、かつて『リベルタスの寓話』を発見。ブログに出てこないはずなので、
その前に読了したのかー。それから短編集も当然ありました。これがまた良いんですよねえ。

とまあそんな話はともかく、『傘を折る女』が映像化した時は驚きましたが、
映画化までするとは思わなかった。
かつての島田御大は御手洗シリーズの映像化は拒否していたのを、何かのあとがきで
読んだので・・・
本書の解説でも少し触れられていますが、映像化の過程を少し知ることができます。

本書は、御手洗潔が石岡和己と組んで解決した、日本での(現時点での)最後の事件。
御大の故郷を舞台に、さらに1994年の物語ですが、現在の社会問題なども絡め、さらに
村上水軍や幕末の開明派と言われた老中・阿部正弘まで登場する、壮大なスケールの物語
となっています。

そのため、最初の御手洗登場シーンでは、変わらずトリッキーさを発揮していますが、
その後は、推理そのものはさすがですが、御手洗の物語というよりも、瀬戸内海の物語、
そこに昨今の様々な社会問題を絡み合わせた、というのが印象です。

小坂井茂や忽那准一、辰見洋子・・・彼彼女たちそれぞれの物語も重厚で、
これらがどう一つの事件に結びついていくのか、ここも読みどころの一つ。

ただし、先少し書いたように、日本で起きた御手洗潔シリーズとして見ると、
些か物足りない。突拍子もない謎、奇想天外なトリック、そんなものが突然登場し、
それをいかに御手洗がトリッキーさを見せつつも、合理的に解決していくのか、
そうしたものを期待してしまうと、肩すかしかもしれません。
ただ、そうした点で本書を読むのはちょっと違うのかもしれませんね。


個人的には石岡さんがあんなに女性に積極的にいこうとしているとは思わなかった(笑




星籠の海(上) (講談社文庫)

星籠の海(上) (講談社文庫)

  • 作者: 島田荘司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/04/08
  • メディア: Kindle版



星籠の海(下) (講談社文庫)

星籠の海(下) (講談社文庫)

  • 作者: 島田荘司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/04/08
  • メディア: Kindle版



nice!(8)  コメント(8) 
共通テーマ:

夕暮れ密室 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

遅刻厳禁!明日、晴れるといいね―文化祭前夜、そう言い残した少女は、
翌朝、密室状態のシャワールームで死んでいた。少女は、栢山高校バレー部マネージャーにして
男子生徒憧れの的、森下栞。遺書が発見され自殺として処理されそうになる中、
疑念を持ったバレー部員やクラスメイトの、真実を追う推理が始まる。
立ちはだかる二重密室と若者ならではの痛みと殺意。
横溝正史ミステリ大賞選考委員が奮い立った、傑作青春ミステリ。

いつも拝読している31様のブログにて紹介されていて、気になったので購入しました。

登場人物紹介のところに、森下栞:名探偵だが・・・。制服のスカートを翻し、颯爽と走る。
と説明されているのですが、なんと被害者は彼女という!名探偵が・・・

各章は登場人物ごとの章立てになっていて、各人の内面も窺い知れて中々良く、
個人的には桜井秋人の章がいいですね。いや、彼はいい(笑

久保田和志の密室解説は、思わずなるほどと思ってしまうくらい、良く出来ている推理ですが、
最後に探偵役が明かす真の密室解説は思わず唸ってしまいました。
密室とタイトルに入っているので、それだけにプレッシャーが大きいと思いますが、
いやあお見事。北村薫先生、綾辻行人先生がどうしても本にしたいという意向を
示したのも頷けます。全くの個人的意見ですが、綾辻先生はこの手の密室は好きそうです。

森下栞が男子生徒憧れの的であり、節々にそうした描写が出てくるなど、
そして結果的にこれが殺害動機の1つでもあるのが青春小説な側面なのでしょう。
ラストにはもう1つ大きな犯人のウソが暴かれるのですが、これもまた同じ。
犯人と周囲、そして被害者の想い、それぞれがすれ違ってしまい、
こんな悲しい事態を招いてしまったのです。

しかし、ピッキングの技術を丸々と信じていたなあ。最後まで(苦笑)


夕暮れ密室 (角川文庫)

夕暮れ密室 (角川文庫)

  • 作者: 村崎 友
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/09/22
  • メディア: 文庫



nice!(5)  コメント(6) 
共通テーマ:

三毛猫ホームズの復活祭 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

高畠和人の母はオレオレ詐欺に引っかかり、さらにトラックにはねられて重体に―。
一方、片山と妹の晴美は、別のオレオレ詐欺を阻止したものの、金の受け渡し役が殺害されてしまう!
捜査過程で浮き上がってきた“K学院”の寄宿舎で暮らす少女・和美を訪ねるが…。
和美と犯人の関係とは?寄宿舎に集まった人々が事件の真相に迫る。
国民的大人気シリーズ第52弾!

52弾のテーマは、オレオレ詐欺。今では振り込め詐欺と統一されていますね。
この「復活祭」というタイトル、内容とあまり絡んでない気がしたのですが、
解説で、カッパノベルズ版著者のことばで、その意味がわかります。
 「そこには、「いつか自分もトシをとる」という想像力のかけらもない。政治が国民に
  平然と嘘をつくご時世だが、こんな時代だからこそ、「真実」と「真心」を大切にする、
  ホームズや片山兄妹に活躍してもらわなくてはならない。「人間性の復活」の祈りを
 込めて。

赤川先生の近著を全て読んでいるわけではありませんが、花嫁シリーズしかり、
本書三毛猫ホームズシリーズしかり、現代社会の問題と密接に関係するものが多いですね。
以前、先生が「伊集院とラジオ」とにゲスト出演された際にも、「表現の自由」に
ついて取り上げられていたと記憶しています。
それだけ、現在の日本社会が危機的状況と感じられているからこそ、
作品内で、その危険性や危機的状況を警鐘しつつも、
シリーズキャラクターは不変であるという、安心感を読者に与えてくれるのです。

一方、この「復活祭」という言葉は、本書では家族の復活の意味も含まれている
ように感じました。
松井明と和美、おばさん。西川郷子と寛治、竹本涼香と久美。
今回の事件がなければ、出会うことがなかった・話すことがなかった家族です。
そして、彼彼女たちを見守るホームズ。すでにホームズは全てを見通している
かのような佇まい!いや、昔からそうだった気もしますが・・・

個人的に社会問題や現代社会との関係は、確かに重要だと思うのですが、
一方で、初期の「怪談」「降霊騒動」、ヨーロッパシリーズ(「騎士道」「幽霊クラブ」)
短編集「びっくり箱」など、かつての作品群のような作風もまた是非とも読みたい!


三毛猫ホームズの復活祭 (光文社文庫)

三毛猫ホームズの復活祭 (光文社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/05/13
  • メディア: 文庫



nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

鬼畜の家 [深木章子]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

我が家の鬼畜は、母でした―保険金目当てで次々と家族に手をかけた母親。巧妙な殺人計画、
殺人教唆、資産収奪…唯一生き残った末娘の口から、信じがたい「鬼畜の家」の実態が明らかにされる。人間の恐るべき欲望、驚愕の真相!第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞、
衝撃のデビュー作。

以下、ややネタバレ。





このところ深木さんのご著書を読むことが増えたので、
デビュー作から購入してみました。

本書は、元警察勤めの探偵が、北川家の生き残りの娘からの依頼により、
北川家関係者からの証言を集めていく、という構成。
生き残りの娘との会話以外では、探偵(榊原)は登場せず、
関係者の証言のみで大半が構成されているという、中々珍しい小説です。

というか、この構成そのものが大きなトリックでもあるんですよね。
個人的にこのトリックが最も秀逸。木の葉は森に隠せ、まさにこの言の通り。

タイトルの意味するもの、物語の最初と最後で大きく異なるのが印象的。
母親の郁江の最初の境遇などはひどいなあと思いますが、
その後の彼女の行動はまさに非道。
妹の養子縁組先の事件が一番衝撃を受けたなあ・・・

亜矢名と由紀名の、あのトリック。実際に上手くいくのかどうか、
そこがちょっと気になりました。

このタイトルで購入を躊躇っている方もおられるかもしれませんが、
ミステリ好きなら、ぜひ購入をお勧めします。


鬼畜の家 榊原シリーズ (講談社文庫)

鬼畜の家 榊原シリーズ (講談社文庫)

  • 作者: 深木章子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/05/09
  • メディア: Kindle版



nice!(6)  コメント(1) 
共通テーマ:

収穫祭 [西澤保彦]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

1982年夏。嵐で橋が流れ孤立した首尾木村で大量殺人が発生。
被害者十四名のうち十一人が喉を鎌で掻き切られていた。
生き残りはブキ、カンチ、マユちゃんの中学生三人と教諭一人。
多くの謎を残しつつも警察は犯行後に逃走し事故死した外国人を犯人と断定。
九年後、ある記者が事件を再取材するや、またも猟奇殺人が起こる。凶器は、鎌だった。

事件後、村や母の記憶を失ったブキは、東京の大学院を中退して帰郷し高校で英語を教えていた。
そこで起こった同僚の殺害。凶器は鎌。同一犯による連続殺人の再開か、模倣犯か?
母のポルノ写真から、ブキが記憶を取り戻し欲望を暴走させた時、
カンチ、マユちゃんと運命が再び交錯、事件から二十五年後、全貌を現す!殺人絵巻の暗黒の果て―



以下、ややネタバレ。
上下巻分冊でもものすごいボリュームの長編です。全5部構成。
とにかく唐突に始まる大量の猟奇殺人の第一部。豪雨で橋が崩れ落ち、逃げ場を失う
3人の中学生、伊吹省路、小久保繭子、空知貫太。
犯人は誰なのかを恐怖の中突き止めようとする中、
伊吹の想像上の欲望(性的欲望)が生々しく描かれるのが特徴。
伊吹がみせた繭子への性的暴行未遂に、繭子がなんら反応を示さなかったのが、
本作の真実を垣間見せた一場面なのかもしれません。

第二部は繭子の章。事件から9年を経て、第一部で犯人とされていたマイケル・ウッドワーズ
の父親が、息子が本当に犯人だったのかの再調査が始まります。
最初に接触があったのが繭子。
ただこの第二部。繭子自身は第二部最初から事件の記憶欠落と改変に陥っており、
徐々に本当の記憶を取り戻していくというストーリーになっています。

繭子の特殊な性癖が明らかになるところが事件解決の鍵でもあるのですが、
結末があまりにも突飛すぎるので、唖然としました。なんだこのラストは・・・
一体次にどう繋がるのか想像つかない終わり方です。
一方、第一部にも登場した彼彼女らの中学校の教師であった川嶋浩一郎が
真犯人として浮上しますが、彼自身は最期まで否定。
伊吹への性的暴行や、繭子への未遂含め、彼は相当悪なんですが、では犯人は?

実は犯人はもうこの段階で消去法的にわかるようですが、私にはさっぱりでした(汗)
で、第二部はあまりに唖然とするラストでもあり、第四部での事件にも繋がっていくのです。

第三部は、伊吹省路が主人公。伊吹もやはり記憶の欠落と改変に陥ってますが、
母親の従兄弟が彼の前に現れたことにより、彼の時間も再び動き出します。
再び起こる鎌による放火連続殺人。模倣犯なのか、それとも首尾木村での犯人の仕業なのか?
このあたりの謎も加わり、さらに伊吹は自分の知らなかった母親と祖母の顔を知ることに。

繭子もそうなのですが、伊吹も元々少し特殊な性癖をもっていたのでしょう。
そうした場面も度々描かれます。しかし、彼の推理は実に見事で、当時母と祖母が何を
していたのか、さらには模倣犯の正体も突き止め、二人で繭子へのメッセージを
ネットへ書くところで第三部完。
というか、ここまでわかっていて、どうして真犯人の狙いにまで行き着かなかったかは甚だ疑問
なのですが、それは省路の、彼女のへの募る想いが眼を曇らせてしまったのかもしれません。

第四部は、真犯人による、本当に殺したい人を殺す話。
この部は壮絶です。自分の子であるとか、そんなものはお構いなし。
第二部で覚醒(真の目的を思い出した)彼女が、真の標的を殺すのですが、
それまでの準備があまりにも周到というか、ここまで時間をかけるのかという凄さ。

第五部は、表題作の意味の回収と、彼女がこんな事件を起こしてしまった動機を
垣間見ることができる部。
正直、このタイトル回収はともかくとして、動機の部分というか、
村の嫌な部分がもう少し見えても良かったのではと思います。

それと、最期は三人が再び出会う、が良かったかなあと。それがバッドエンドであろうとも。


収穫祭〈上〉 (幻冬舎文庫)

収穫祭〈上〉 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 西澤 保彦
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/10/08
  • メディア: 文庫



収穫祭〈下〉 (幻冬舎文庫)

収穫祭〈下〉 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 西澤 保彦
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/10/08
  • メディア: 文庫



nice!(6)  コメント(7) 
共通テーマ:

福家警部補の追及 [大倉崇裕]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

善良な”犯人たちの完全犯罪に隠された綻びを、福家警部補はひとり具に拾いあげながら
真相を手繰り寄せていく――。未踏峰への夢を息子に託す初老の登山家・狩義之は、
後援の中止を提言してきた不動産会社の相談役を撲殺、
登り慣れた山で偽装工作を図る(「未完の頂上」)。
動物をこよなく愛するペットショップ経営者・佐々千尋は、
悪徳ブリーダーとして名を馳せる血の繋がらない弟が許せず、
遂には殺害を決意する(「幸福の代償」)。――
ふたりの犯人を追い詰める、福家警部補の決めの一手は。
「刑事コロンボ」の系譜に連なる倒叙形式の本格ミステリ、シリーズ初の中編2編からなる第4集。

以下、ややネタバレ。






シリーズ初となる中編集ですが、倒叙ミステリは、犯人をいかに追い詰めていくのかを、
丁寧に丁寧に、それでいて、読者へは少し隠すという中々難しい叙述を求められるのです。

かつて刑事コロンボのノベルズ版(二見書房刊)が、ほぼ全て長編で刊行されていたように、
本来は長編向きのスタイルなのかもしれません。

本書に収められtた2編は、いずれも犯人側としては、他に取りようがないため
殺人を犯しますが、犯人の思惑は関係なく、福家の捜査は常に不変。

「未完の頂上」は、犯人を追い詰めるのに、犯人に最も親しい、そして守りたい人物を
攻めるという、今までのシリーズとは少し違う方式です。
むろん、福家は犯人の自白を見据えてでしょうが、仮に犯人を追い詰めるとしたら、
他に方法はなかったかなあ・・・と少し考えてしまいました(笑
基本は理詰めで来ているので、福家にしては珍しく情で最後は来たなと言う。

ところで本作では、福家が山登り・ボルタリングでも異常な凄さを発揮したり、
彼女のとの会話や、彼女の何気ない一言で、接した人物たちに良い変化が訪れる
場面が描かれます。
ここは賛否両論あると思いますが、福家を完璧な探偵にしつつある感もあって、
もっと抜けている感を出してもらっても良いのでは、と思いました。

その点、「幸福の代償」では犬が苦手という得手不得手が描かれているのが好印象。
本作は「犬が鳴かなかった」という一点から、一気に事件を再構成していくのが見事。
動物が登場ということで、あの須藤警部補が再び登場!薄巡査は研修だそうです。
薄巡査と福家のコラボはいつ読むことができのか、楽しみで仕方ない(笑
ラストの犯人の追い詰め方も、私はこちらの方が断然好きですね。

読んでいる時間は実に至福でした。続編も楽しみにしています。


福家警部補の追及 福家警部補シリーズ (創元推理文庫)

福家警部補の追及 福家警部補シリーズ (創元推理文庫)

  • 作者: 大倉 崇裕
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: Kindle版



nice!(6)  コメント(5) 
共通テーマ:
前の30件 | -