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猫には推理がよく似合う [深木章子]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

とある弁護士事務所に勤める花織は、先生に寄せられる依頼を盗み聞きしては、
“おしゃべりする猫”のスコティと噂話に花を咲かせていた。ある日、
愛らしく気高くちょっと生意気なスコティが、推理合戦を仕掛けてくる。
「もしいま先生が殺されて、金庫の中身が盗まれたら、犯人は誰だと思う?」。
金庫に入っているのは、5カラットのダイヤ、資産家の遺言書、失踪人の詫び状、
12通の不渡り手形。怪しい依頼人たちを容疑者に、
あれこれと妄想を膨らますふたり(1人と1匹)だったが、なぜか事件が本当に起きてしまい―。
現実の事件と、謎解きに興じる“しゃべる猫”の真実は?ミステリ界注目の気鋭による、
猫愛あふれる本格推理。

以下、ややネタバレ




猫による猫のための猫推理小説(笑
いやいや、それはちょっと違いますが・・・
猫とミステリについては我孫子先生の解説に詳しいですが、やはり三毛猫ホームズ。
そして仁木悦子先生の『猫は知っていた」『赤い猫』などが僕は思い浮かびました。
(動物繋がりでいえば迷犬ルパンも。)

しかし本作に登場するのは、ずばり猫が推理する。人間の言葉を話す猫<スコティ>
が登場するのです。
このスコティが考えた「猫密室」は全く解けなかった・・・(苦笑

物語は半ば引退した弁護士・田沼清吉弁護士事務所に来る依頼人とその依頼内容等を巡る
飼い猫スコティ、そして事務員・椿花織との会話が主を占めます。
(時折、上記の「猫密室」のようなスコティからの挑戦状あり)

物語の本当に終盤まで、事件らしいことは何も起こりません。

ただ、この会話では<見立て殺人>や<密室殺人>といった、
推理小説の定番的な要素についてスコティが何がおもしろいのか?と
花織に議論をふっかけるパートがあるのですが、これはミステリ好きには
中々に面白い・興味深い掛け合いです。

そしてその瞬間は唐突に訪れます、スコティと花織の推理合戦中に。
想像で話していた事件が、現実の事件へと。

物語が一気に反転するところがあまりに唐突感があり、驚きますが、
その後の(ある種)怒濤の展開が素晴らしく、後半一気に読んでしまいました。


本書大部分が実は叙述トリックが仕掛けられていることや、
依頼人たちが全員容疑者たる物語の構成や、
猫がそこそも喋るという本書の大前提を、最後に崩しながらも、
ラストでその崩した大前提の余韻を残すかのような終わり方。
とても面白かったです。
ミステリ好きだけでなく、猫好きな方にもオススメです。




猫には推理がよく似合う (角川文庫)

猫には推理がよく似合う (角川文庫)

  • 作者: 深木 章子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/23
  • メディア: 文庫



猫には推理がよく似合う (角川文庫)

猫には推理がよく似合う (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/23
  • メディア: Kindle版



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みやこさわぎ お蔦さんの神楽坂日記 [西條奈加]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

高校生になった滝本望は変わらず祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。
お蔦さんと呼ばれる祖母はご近所衆から頼られる人気者だ。
その日、お蔦さんが踊りの稽古をみている、若手芸妓・都姐さんが寿退職することに。
けれど「これ以上迷惑はかけられないし」と都姐さんの表情は冴えなくて……。
神楽坂を騒がす事件をお蔦さんが痛快に解決していく! 人情と粋、
望が作る美味しい料理がたっぷり味わえる、大好評シリーズ第三弾。

以下、ややネタバレ。





前作「いつもが消えた日」をアップしたのが2016年なので、
3年ぶりになります。
望も気付けば高校生。楓との仲は進展するのか?

オススメは「百合の真雁」
常に頼りなく、どことなく不安を感じさせる叔父の泰介が、
実は結構有名な画家であることや、大半の作品では情けない姿しか
描かれない(失礼!)イメージですが、本作は中々の活躍(?)

絵画の真雁によって再燃した遺産相続問題が物語の本筋。
解決の仕方がとても素晴らしく、単に贋作と伝えるだけでなく、
そこには兄弟姉妹の仲も取り持つ、本シリーズのもつ人情味あふれる解決です。
また、なぜ贋作なのかの理由も、(芸術を生業としている人にとっては)
当たり前の感覚なのかもしれませんが、新藤省燕先生の語る話がまた良いのです。

表題作は少し重い話も入り、神楽坂の花柳界存亡にかかわる事件が起きるのですが、
最後は見事にご意見番たちの活躍もあり丸く収まります。

「四月のサンタクロース」や「三つ子花火」はいずれも家庭内、特に夫婦の問題
から端を発する物語ですが、いずれもお蔦さん(+奉介おじさん)の名推理ならぬ名裁きで
物語を大団円へと導きます。

神楽坂だからこそ残る粋や人情、ではなく、昔は町内に一人や二人、
お蔦さんのようなご意見番や仲裁役が居て、そして町内もコミュニティとして
本作の登場人物たちのように、まとまりがあったのだろうなと感じました。

特に「三つ子花火」は現代社会でも日々起こっている問題でもあり、
お蔦さんがどこにでも居てくれたらなあと、なんだか物語を離れて
色々と考えてしまいました。

本作は時間軸は望が成長していることからも少しずつ時計の針は進んでいます。
今度は彼の大学進学を巡る頃の物語になるのでしょうか。



みやこさわぎ (お蔦さんの神楽坂日記) (創元推理文庫)

みやこさわぎ (お蔦さんの神楽坂日記) (創元推理文庫)

  • 作者: 西條 奈加
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/07/11
  • メディア: 文庫



みやこさわぎ お蔦さんの神楽坂日記 (創元推理文庫)

みやこさわぎ お蔦さんの神楽坂日記 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/07/12
  • メディア: Kindle版



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泡坂妻夫引退公演 絡繰篇 [泡坂妻夫]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

緻密な伏線と論理展開の妙、愛すべきキャラクターなどで読者を魅了する、
ミステリ界の魔術師・泡坂妻夫。著者の生前、単行本に収録されなかった
短編小説などを収めた作品集を、二分冊にした文庫化でお届けする。
絡繰篇は、大胆不敵な盗賊・隼小僧の正体を追う「大奥の七不思議」ほか、
江戸の雲見番番頭・亜智一郎が活躍する時代ミステリシリーズ、
五節句の紋を誂えた着物にこめられた想いを読み解く「五節句」ほか、紋章上絵師たちのシリーズ、
背中に見事な彫物を持つと評判の美女を巡る「荼吉尼天」といったノンシリーズなど、17編を収めた。



なんといっても本作は雲見番頭の亜智一郎シリーズ続編が読めるのが大きいです。
時は幕末、内憂外患、さらには尊王攘夷吹き荒れる中でも、そんな世の中の動向には
我関せず、亜たちは変わらず雲見を続け、将軍側衆・鈴木阿波守正團の指示を受け、
様々な依頼をこなしていきます。

「吉備津の釜」は、御庭番御用を務める二人が、長州藩への調査で行方不明になったという、
いよいよ幕末の激動に智一郎たちが巻き込まれる?!と思いきや・・・
なんという脱力!これこそ智一郎シリーズかつ泡坂作品。

「大奥の七不思議」は私のオススメ。
干物をくわえて出て行った狸(阿波守)、そしてラストに阿波守が言う台詞。
狸が化けた姿だったのか、それとも本当の阿波守だったのか。
いや、台詞を考えれば後者なんですが、そうだとするとあまりに行動が奇妙過ぎる(笑

ホラー小説である「母神像」や、奇妙な味わいを感じる「荼吉尼天」もオススメです。
紋章上絵師のシリーズは<手妻篇>の奇術シリーズ的な位置付けでしょうか。

しかしもう新作が読めないのが本当に残念です。
絶版や入手困難な作品がまた復刊することを望みます。


泡坂妻夫引退公演 絡繰篇 (創元推理文庫)

泡坂妻夫引退公演 絡繰篇 (創元推理文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/11
  • メディア: 文庫



泡坂妻夫引退公演 絡繰篇 (創元推理文庫)

泡坂妻夫引退公演 絡繰篇 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/12
  • メディア: Kindle版



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シャーロック・ホームズの事件録 眠らぬ亡霊 [シャーロック・ホームズ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

1889年冬。とある名家のマダムと知り合ったホームズとワトスンは、一族の夕食会に招かれた。
だが最後の料理皿の銀蓋を開けると、そこに人間の切断頭部が…。事件調査のため、
一族が暮らすスコットランドの古城にすぐさま向かった二人。その城は幽霊が出ると噂されていて、
何年も前から不審死が相次いでいるようで―。
すべての謎はやがて予想外の結末へ!本格パスティーシュ第2弾。

ポニー・マクバードによるシャーロック・ホームズの冒険譚第2弾。
前作と本作を読んで、なんとなくですが、これらはポニー・マクバードが
シャーロック・ホームズという人物を探偵役に据えて描いた事件で、
ホームズパスティーシュではないのではないか、ということです。

ホームズを探偵役とすれば、パスティーシュあるいはパロディだと
考えるのが当然なのでしょうが、
「芸術家の血」と本作で描かれているホームズは
聖典のホームズとは、違う印象を強く持ちます。

前作も本作もホームズらしからぬミスがあったり、
前作は派手なアクションシーンらしきものがいくつも出てきたり、
本作では、ホームズの語られざる学生時代、しかもそこに
アイリーン・アドラー以上の女性が登場したりと、
聖典からだいぶかけ離れてるなあと。

特に本作では上記の語られざる学生時代の話が、物語の核心でもあるし、
想像を逞しくすれば、ホームズがアイラ・マクラーレンからの依頼を
頑なに受けなかったのも、上記の過去が関係している事は明白ですね。
何よりも事件そのものへの興味から、ホームズは依頼を引き受けるのであって、
邪推かもしれませんが、個人的な事で引き受けないというのも
聖典ではないでしょう。

解説で日暮雅通さんが書かれているように、ホームズがなぜ大学を去ったのか、
女性を避けるようになったのかを、見事に説明している、という捉え方も
あるのでしょうが、うーん、中々に難しい。
シャーロキアンの方々は、本シリーズをどう受け止めているのだろうか。

事件の始まりや、亡霊の出る館の秘密など、それらの謎は中々面白く、
終盤にあかされていくマクラーレン家(当主)の抱えていた秘密と密接に関係してきて、
読み応えがあるのですけどね。
(ただし、エリザベス・マクラーレンの死はよくわからず。)

といいつつも、おそらく三部作最終作も購入して読むはずです(笑



シャーロック・ホームズの事件録 眠らぬ亡霊 (ハーパーBOOKS)

シャーロック・ホームズの事件録 眠らぬ亡霊 (ハーパーBOOKS)

  • 作者: ボニー マクバード
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2019/06/17
  • メディア: 文庫



シャーロック・ホームズの事件録 眠らぬ亡霊 (ハーパーBOOKS)

シャーロック・ホームズの事件録 眠らぬ亡霊 (ハーパーBOOKS)

  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ジャパン
  • 発売日: 2019/06/17
  • メディア: Kindle版



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ひとり暮し [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

東京の大学に入学した依子は、念願のひとり暮しをすることになった。
家賃が安いだけがとりえのアパートに決めたはいいが、複雑な事情がありそうな住人ばかり。
入居早々、部屋は隣に住む女性の荷物に占領されており、自分の荷物を預かってくれている
という部屋を訪れると、そこの住人が倒れていた!どうやら、自殺未遂を繰り返している人物…。
しかも、彼女を助けたことがきっかけで、女優デビュー?波瀾万丈の青春ミステリ。

赤川作品はこれまで多く読んできましたが、この作品はこれまで読んだ系統には
あまり当てはまらない感じがしました。
というのも、説明文には「青春ミステリ」とあるのですが、
本書はミステリというジャンルになるのかなあと。

主人公の板垣依子の成長を描く物語、かとも思いましたが、
そうでもない(苦笑)
というのも、物語が進んでいっても、
彼女自身の性格は全く変わっていないからです。
むしろ、持ち前の優しさで、彼女の周囲の人たちの人生を良い方向へ変えていきます。

そして殺人など到底起こりません(傷害事件は起こりますが)。

赤川作品のヒロイン像とも依子は少し違うし、ユーモアミステリでも
青春ミステリでもなく、だけど、おもしろく、読後感が良い小説。
まだまだこうした赤川作品も多そうな気がします。



ひとり暮し (角川文庫)

ひとり暮し (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: 文庫



ひとり暮し (角川文庫)

ひとり暮し (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: Kindle版



ひとり暮し (幻冬舎文庫)

ひとり暮し (幻冬舎文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2002/10/01
  • メディア: 文庫



ひとり暮し (幻冬舎文庫)

ひとり暮し (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2002/09/30
  • メディア: Kindle版



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女學生奇譚 [川瀬七緖]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

この本を読んではいけない――奇妙な警告文の挟まれた古書が
オカルト雑誌の編集部に持ち込まれた。
古書の持ち主だった兄が数カ月前に失踪し、現在も行方不明だと竹里あやめは訴える。
フリーライターの八坂駿がその本を少しずつ読み始めると、周囲で不気味な出来事が続く。
いたずら? 狂言? それとも……。
八坂はペアを組むカメラマンの篠宮、依頼人のあやめとともに、古書の謎を追う。

以下、ややネタバレあり。


川瀬さんの作品は「よろづのことに気をつけよ」以来2作目。
前作は期待外れだったんですよねえ・・・

本作もオカルト系という伝承系とミステリの組み合わせだと思いましたが、
「女學生奇譚」を読みながら、謎を解いていく八坂&篠宮コンビは好感が持てます。

女学生たちがどこへ連れて行かれたのか、その真相を看破し、
奇譚に描かれている屋敷や遺骨を発見するまでは、1つのミステリとして
かなり面白かったです。

ただ、ここからが問題。
というか、最初に「この本を読んではいけない」という警告文から
全てが始まっているのですが、
途中途中に挟まれる八坂を襲う不可思議な現象。
唐突に登場する八坂の双子の弟。

このあたりの伏線を一気に回収するのが、最後の謎解き&真犯人の登場なんですが、
これは蛇足だったような気がします。

むしろオカルト系ライターとしての八坂とカメラマン篠宮コンビを主人公とし、
こうした奇書の謎を解いていくシリーズとした方が良かったのではないでしょうか。

シリーズを重ねていく上で、八坂の弟の存在や、彼の持つ特殊な性格、
それらを匂わせながら、本作の展開にもっていった方が、まだ受け入れやすい。

物語がタイトルの「女學生奇譚」から、一気に乖離していくのが非常に残念。
ただ、「この本を読んではいけない」は八坂の興味を惹くだけでなく、
読者の興味も惹くので、無かった方がいいかと言えば、微妙なところ。

「女學生奇譚」という奇書をめぐるミステリとしては快作。
しかし、全体としてみると、陰謀論のような、残念な作品な気がしました。



女學生奇譚 (徳間文庫)

女學生奇譚 (徳間文庫)

  • 作者: 川瀬七緒
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2019/07/05
  • メディア: 文庫



女學生奇譚 (徳間文庫)

女學生奇譚 (徳間文庫)

  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2019/07/05
  • メディア: Kindle版



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泡坂妻夫引退公演 手妻篇 [泡坂妻夫]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

ミステリ界の魔術師・泡坂妻夫。その最後の贈り物である作品集を、
二分冊にした文庫化でお届けする。
手妻篇は、辛辣な料理評論家を巡る事件の謎を解く「カルダモンの匂い」ほか、
ヨーガの達人にして謎の名探偵・ヨギ ガンジーが活躍するミステリシリーズ、
酔象将棋の名人戦が行われた宿で殺人が起こる、単行本刊行後に発見され初書籍化となる「酔象秘曲」、マジシャン同士の心の機微を描く「ジャンピング ダイヤ」ほか、
マジックショップ・機巧堂を舞台にした奇術もの、
住人が次々と死んだマンションの一室で交霊会を行い、
真実を暴く戯曲「交霊会の夜」など13編を収録。

ずいぶん前に「引退公演」は読了していたのですが、アップが遅くなりました。

本書にはなんといってもヨギ ガンジーシリーズ短編が久しぶりに読めることが大きい。
ただ『ヨギ ガンジーの妖術』収録のものと少し異なり、
「カルモダンの呪い」「未確認歩行原人」いずれも、より「日常の謎」が強く出ているかなと
感じました。
それだけに未完に終わった「ヨギ ガンジー、最後の妖術」が残念でなりません。

本書所収白眉は「酔象秘曲」という、かつてあった「酔象」という駒を使った
将棋をめぐる殺人事件。
少し艶っぽい描写、またトリックありと、楽しめる作品となっています。

またわずか4ページの「絶滅」は星新一のショート・ショートを彷彿とさせる快作。
「聖なる河」も短編ながらも最後にどんでん返しが待っている良作です。

「交霊会の夜」はぜひ戯曲を小説として描いて欲しかったなあ。
かつてクリスティのポワロもので戯曲「ブラック・コーヒー」を
別の作者が小説として刊行した事がありますが、これを小説化してくれる方が
居ればなあ。

近日中に「絡繰篇」もアップ予定です。


泡坂妻夫引退公演 手妻篇 (創元推理文庫)

泡坂妻夫引退公演 手妻篇 (創元推理文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/11
  • メディア: 文庫



泡坂妻夫引退公演 手妻篇 (創元推理文庫)

泡坂妻夫引退公演 手妻篇 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/12
  • メディア: Kindle版



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クジャクを愛した容疑者-警視庁いきもの係 [大倉崇裕]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

学同院大学で起きた殺人事件の容疑者は、クジャク愛好会の奇人大学生!
だが無実を信じる警視庁いきもの係の名(迷)コンビ、窓際警部補・須藤友三と
動物オタクの女性巡査・薄圭子はアニマル推理を繰り広げ、
事件の裏側に潜むもうひとつの犯罪を探り当てる!?
表題作と「ピラニアを愛した容疑者」「ハリネズミを愛した容疑者」の傑作中編3本を収録!

シリーズとしても円熟期に達しつつあるいきもの係ですが、
本書はこれまでのシリーズとはひと味違う試みがなされています。

まず大きいのはいきもの係に3人目が配属されたことでしょう。
「ピラニアを愛した容疑者」で登場した所轄署の刑事・芦田巡査部長。
彼に与えられた大きな役割は運転手。
私としては、毎回繰り返されるタクシー運転手とのやりとり、楽しみだったのになあ(笑
3回に1回くらいはタクシー使う場面を描いてほしい。

そして、もう一つは「ピラニア」と表題作「クジャクを愛した容疑者」のラスト。
これまでは事件解決→コメディタッチな終わり方があったのですが、
この2作は、あの刑事コロンボのような終わり方をしています。
作品が実は繋がっている<福家警部補>を逆輸入したのかもしれませんね。

もっとも薄巡査のキャラクターや聞き間違いは全く変わりませんのでご安心を(笑

「ハリネズミを愛した容疑者」が公安との関わりもあり、事件含めて面白いのですが、
前2作の犯人との直接対決は中々読み応えがあり、どの作品も甲乙付けがたい。
つまり、どれも楽しめるということです(笑)

次々と動物たちが増えますが、須藤警部補がお世話をする所もぜひ読んでみたいものです。


クジャクを愛した容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

クジャクを愛した容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

  • 作者: 大倉 崇裕
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/06/13
  • メディア: 文庫



クジャクを愛した容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

クジャクを愛した容疑者 警視庁いきもの係 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/06/13
  • メディア: Kindle版



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双蛇密室 [早坂吝]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

本邦初トリックに唖然!

「蛇の悪夢」は「地と天の密室」に関わりが?
ミステリランキングを賑わす「らいちシリーズ」最強作!

援交する名探偵・上木らいちの「お客様」藍川刑事は
「二匹の蛇」の夢を事あるごとに見続けてきた。
幼い時に自宅で二匹の蛇に襲われたのが原因のようだが、
その裏に藍川の両親が関わった二つの密室事件が隠されていた。
らいちが突き止めた前代未聞の真相とは?
「本格」と「エロ」を絶妙に融合した人気シリーズ!

以下ネタバレを少し含みます。





今回はシリーズキャラクター、というか、らいちの援交相手である藍川刑事の
過去に迫る作品。
タイトルでどかんと銘打っているように、ずばり密室トリックです。しかも2つも。

2匹の蛇と2つの密室(天の密室と地の密室)が実にうまくリンクしています。
藍川刑事の夢に出てくる蛇も、実在の蛇とメタファーとしての蛇という、
密室と同じく2つの意味があるというのは、援交探偵というシリーズらしい、
うまさを感じました。

そして、2つある密室の、地の密室のトリックは、推理小説史上、前例のない
前代未聞のトリックであることは間違いありません。
このトリックも援交探偵というシリーズだからこそできたトリックとも言えます。

ただし、このトリック、あまりに飛び抜けすぎていて、見抜けるかどうかとかでなく、
実現可能なのかどうか・・・ここは評価が分かれそうです。

一方で、本作は藍川刑事にとってどうやら大きな転換になった物語であり、
ラストの1行が、シリーズ次作を早く読みたいという衝動に駆り立てます。
もっともあとがきを読むと、藍川刑事は登場はするみたいですが(笑
それでも、二人の関係性はどうなるのか気になるところです。


双蛇密室 (講談社文庫)

双蛇密室 (講談社文庫)

  • 作者: 早坂 吝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/06/13
  • メディア: 文庫



双蛇密室 (講談社文庫)

双蛇密室 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/06/13
  • メディア: Kindle版



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綱わたりの花嫁 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

誘拐された花嫁は別人!?
本物はどこへ?

結婚式に覆面をした三人組が飛び込み、花嫁を誘拐した。
しかし、さらわれたのはアルバイトで花嫁のふりをしていた久美子だった。
久美子の母親や友人の塚川亜由美は、本当の新婦・美亜の父親で
大富豪の坂戸に身代金の立て替えを頼むが、聞く耳を持たない。
その横暴な態度が、思わぬ波乱を巻き起こすことに!
長編ユーモアミステリー、人気シリーズ第30弾。



花嫁シリーズでは、久しぶりの長編です。
(というか前回の長編は何でしたっけ?手元に無く確認できず)

誘拐された花嫁が、実はアルバイトでという所から始まる誘拐ミステリ。
普通に考えればその時点でタイムリミットサスペンスになるのですが、
そこがそうならないのが、赤川作品。
なんと誘拐された花嫁が誘拐団に加わるという奇想天外な事態に。

さらに、本物の花嫁・坂戸美亜は、八田圭治と駈け落ちするのですが、
その周囲でもなにやら不穏な空気が・・・

花嫁の誘拐という事件から、殺人事件やさらにその他の事件まで
次々と起こり、長編らしさを感じます。

最後は相変わらず、かなり強引な大団円的な結末なのがちょっとなあ・・・と思いましたが、
亜由美の両親が普段と何ら変わらないのはさすが。

本作はシリーズ第30作目という記念作品なんですね(それもあり長編?)。
シリーズ一覧を見ると、『紙細工の花嫁』とか『半人前の花嫁』などを思い出します。

亜由美のボーイフレンドである谷山先生の影が最近かなり薄いので、
次作ではぜひその活躍をみたいです。


綱わたりの花嫁 (実業之日本社文庫)

綱わたりの花嫁 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: 文庫



綱わたりの花嫁 (実業之日本社文庫)

綱わたりの花嫁 (実業之日本社文庫)

  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: Kindle版



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いまさら翼といわれても [米澤穂信]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

謎解きを通し〈古典部〉メンバーの新たな一面に出会う、シリーズ第6弾。

「ちーちゃんの行きそうなところ、知らない?」夏休み初日、折木奉太郎にかかってきた
〈古典部〉部員・伊原摩耶花からの電話。合唱祭の本番を前に、
ソロパートを任されている千反田えるが姿を消したと言う。
千反田は今、どんな思いでどこにいるのか――会場に駆けつけた奉太郎は推理を開始する。
千反田の知られざる苦悩が垣間見える表題作ほか、〈古典部〉メンバーの過去と未来が垣間見える、
瑞々しくもビターな全6篇。

久しぶりの<古典部>シリーズ。
短編集ですが、本シリーズとしての転換点が描かれる作品群ではないでしょうか。

奉太郎の省エネ主義がいつからなのか。「やらなくてもいいことなら、やらない。
やらなければいけないことなら手短に」というのはいつから始まったのかが
明かされる『長い休日』
この主義。<古典部>入部してからの奉太郎に果たして当てはまるのかなあ(笑

伊原摩耶花の漫画研究会退部と、その過程、(さらには進路?)を窺わせる
『わたしたちの伝説の一冊』
そして摩耶花の奉太郎への微妙な感情が描かれた『鏡には映らない』

最もミステリ色が濃いのは『箱のなかの欠落』ですが、
これは犯人の目的も意図も不明すぎるのが難点でしょうか。
そこは奉太郎らには確かに関係ないのですが(票が増えた理由を明かすのが目的)
それにしても、不可解すぎるなあと感じました。

表題作『いまさら翼といわれても』は千反田えるの<家>に関わる問題。
本作があるからこそ、次作以降の<古典部>がどうなるのか楽しみです。
千反田家の事情なども次作以降で明かされるのでしょうか。


いまさら翼といわれても (角川文庫)

いまさら翼といわれても (角川文庫)

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: 文庫



いまさら翼といわれても 「古典部」シリーズ (角川文庫)

いまさら翼といわれても 「古典部」シリーズ (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: Kindle版



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狩人の悪夢 [有栖川有栖]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

「俺が撃つのは、人間だけだ」
臨床犯罪学者・火村英生と、相棒のミステリ作家、アリスが、
悪夢のような事件の謎を解き明かす!

人気ホラー小説家・白布施に誘われ、ミステリ作家の有栖川有栖は、
京都・亀岡にある彼の家、「夢守荘」を訪問することに。
そこには、「眠ると必ず悪夢を見る部屋」があるという。
しかしアリスがその部屋に泊まった翌日、
白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」と呼ばれる家で、
右手首のない女性の死体が発見されて……。

以下ややネタバレです。







作家アリス&臨床犯罪学者・火村英生シリーズ文庫版最新作。
これまで国名シリーズも含めて、このシリーズ全て読んでいますが、
本作はシリーズ最高傑作ではないかと、個人的に感じました。

本シリーズの核は、ど派手なトリックや、どんでん返し、意外な犯人等々・・・
いまよく帯やポップで見る宣伝文句ではありません。
本当に綿密に組まれたロジック。そして火村英生の詰め将棋のような推理。
派手さはありません。しかし、推理小説として極めて完成度が高い。

本作では、被害者の右手首と左手首が切断されるという、極めて奇妙な謎が
提示されますが、火村に言わせれば、それも「散らかっているだけ」
そしてもうひとつ、火村の言をあげれば、
「動機については無視して考えました。これは私のいつものやり方です。」
と、解説の宮部みゆきさんも引かれている一言。

そう、あくまで火村は誰がこの事件を起こすことができたのか、
それを絞り込んでいくフィールドワークを丹念に行っていくのです。

今回も先ほど挙げた切られた手首や、最初の被害者沖田頼子が探していたものとは何か。
亡くなった渡瀬信也を巡る人間関係等々・・・いくつもの興味深い謎が提示されますが、
物語の核心はそれらではない(もちろん核心にせまるピースではあります)。

上記は僕が火村が犯人を名指しした推理の過程を読んで思ったことなのですが、
この過程はかなり驚きました。
犯人の絞り込み、実に極めてシンプルなのです。それは読者へも提示されていたのですね。
それだけに驚きが増しました。

しかるにそれだけでなく、犯人を追い詰める役が火村からアリスへ変わった所も驚き。
これまでのシリーズでは無かったのでは?(あったらすいません。)
これは犯人との関係性もあったのかもしれませんが、久しぶりに事件に二人で
取り組むというのも理由の一つだったのかも。

そしてこの推理を犯人に突きつけた時、物的証拠は一つも無いという事実もまた驚き。
状況証拠と推理で火村は犯人を追い詰めるつもりだったのです。
火村にとっては当然なのかもしれません。なぜならあらゆる状況を考えて、
この人物しか犯人たり得ないと結論付けていたから。

事件発生までがおよそ100ページ。解決編が始まるのが384ページから。
およそ300ページ弱、火村のフィールドワークが続き、
その結果、推理はおおよそ50ページ程。
一体この流れから、どんな事件が起こるのか。
そしてこんな容疑者が少なく、五里霧中のような事件を火村はどう解くのか。
それを考えれば一気読み確実のミステリです。



狩人の悪夢 (角川文庫)

狩人の悪夢 (角川文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: 文庫



狩人の悪夢 「火村英生」シリーズ (角川文庫)

狩人の悪夢 「火村英生」シリーズ (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: Kindle版



狩人の悪夢 「火村英生」シリーズ (角川文庫)

狩人の悪夢 「火村英生」シリーズ (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: Kindle版



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闇が呼んでいる [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

それは、
君たちの噓のせい。
復讐の幕があがる!

女子大生の田渕美香は友人の轟淳子、黒沼さとみ、池内小百合と六本木の店で
マリファナを喫っていた。ところが、薬で眠らされてしまう。気がつくと乱暴された跡が!

美香は外務大臣の娘。麻薬パーティにいたなんて知られるわけにはいかない!
同級生の西川勇吉を乱暴した犯人に仕立て上げ逮捕させることに成功する被害者づらの彼女たち。
西川は追い詰められ自殺してしまう。

数年後「逃れることはできない」と奇妙なメッセージが彼女たちのもとに届く。
差出人は罪を着せられた西川だった!
復讐の幕があがる。


単なるクラスメートにえん罪をきせ、自分たちの幸せは守ろうという、
そして田淵美香の父親は現職の大臣。財力もある。
金と権力で不祥事を揉み消す、絶好の立場です。

ただし、父親は娘の言い分しか知らないため、美香ほどの罪はないでしょうが・・・

この4人組は仲良し四人組というだけではない点は、大学生時代の頃から、
特に池内小百合から語られますが、
この小百合が一番このえん罪事件で大きく変わってしまったのではないでしょうか。

特に黒沼さとみは意図していないにはしても、彼女を頼ったおかげで、
人生の絶頂とどん底を味わっています。

美香の家も最後家庭崩壊するのですが、しかし、これはえん罪事件による
ものだけではありません。
夫である清水真也が浮気したことは、この事件を聞かされたから、だけでしょうか?

西川自身も死んでしまい、両親も亡くなった今、彼女たちに復讐しているのは
誰なのかが、最後までわかりません。
しかし、この犯人の行動も、復讐という面だけでなく、贖罪という面も大きいような
気がします。

ところで、ものすごく蛇足でかつ物語に一切関係ないのですが・・・
4人組の一人である轟淳子と、同じ同級生の馬場百合香が母校で講師をしているという
のは、かなり恵まれているよなあ。また20代の若さで大学講師とは・・・(笑
後にいずれも非常勤講師ということが判明しますが、それでもすごい。
今の時代は考えられませんね。


闇が呼んでいる (徳間文庫)

闇が呼んでいる (徳間文庫)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2019/05/14
  • メディア: 文庫



闇が呼んでいる (幻冬舎文庫)

闇が呼んでいる (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2003/09/30
  • メディア: Kindle版



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裁く眼 [我孫子武丸]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

法廷画家が描いたその絵は危険すぎる――。
美人被告人は残忍な殺人鬼か、それとも聖女なのか?

漫画家になりそこね、路上で似顔絵を描いて生計をたてていた袴田鉄雄。
ある日、テレビ局からの急な依頼を受け、連続殺人事件裁判の「法廷画」を描くことに。

注文通り仕上げた絵が無事に放送に使われた直後、何者かに襲われて怪我を負う。
鉄雄の絵には一体なにが描かれていたのだろうか?

容疑者の美人被告人は残忍な殺人鬼なのか、それとも聖女なのか?
頭の回転の速い姪っ子、警察官、テレビ局、それぞれの思惑と発言が絡み合い、裁判の展開は意外な方向へ。予測不能、驚愕の法廷サスペンス。

以下ややネタバレ。




法廷ミステリといえば、検事・弁護士・裁判官いずれかが主人公の場合が
多いですが、本書は法廷画家が主人公という、おそらくミステリ史上、初めて
ではないでしょうか。

主人公の袴田鉄雄は、今風な感じだけど、夢を追い続けたけども、
屈折してしまったという、すこし拗ねた感もある人物。
そしてどこかボーッとしており、逆な意味で危なっかしい人物。

それと対照的なのが、相棒役を務める中学生の姪の蘭花。
若さからくる行動で、叔父が襲われた事件の捜査を買って出ます。

本書で扱われる事件は、結婚詐欺事件、そして殺人事件。
被告は希代の悪女と報道されている佐藤美里亜。
物語の中で本事件について検事・弁護士、そして証人、被告人尋問を通じて
その内容が明かされていきますが、それはあくまで物語核心の背景音なのかもしれません。

あくまで法廷画家の視点で描かれるため、事件の詳細な内容よりも、
法廷そのものに焦点を合わせているからです。
ここは本書最大の面白さでもあるし、十分シリーズ化できるのではと思うのですが、
一方で、本書ラストまで読むと、この点がデメリットな部分もある気がします。

なぜ鉄雄の描いた法廷画が原因で鉄雄が襲われ、そして同じ法廷で画家をしていた
聖護院桜まで殺害されてしまったのか。
本書はこの謎がメインであり、あくまで佐藤美里亜の事件は法廷画を描く場面でしか無いのです。

むろんそれは頭では分かっていながらも、本書ラストでは被告へ判決が下されますが、
事件は謎のまま。こちらの事件にも決着をつけて欲しかったというのが個人的感想。
ただし、続編が本事件の控訴審というならば話は変わりますが。

鉄雄の描く法廷画のもつ真の意味は最後に明らかになるのですが、
これは本書タイトルの「裁く眼」とシンクロしているの言うまでもありません。
で、また矛盾することを書くのですが、
この真相だと、本作のシリーズ化は難しいのだろうなという(苦笑
なぜなら鉄雄の法廷画を視れば、ある程度事件の真相にたどり着けてしまうから。

しかしまあ、人形シリーズのように、腹話術師が本来人形を喋らせているのに、
人形が独自に喋っている(かのような)シリーズを出した我孫子先生なら、
鉄雄の「眼」と「行動」を分けて、探偵役に蘭花を添えればいけそうな気もします。


裁く眼 (文春文庫)

裁く眼 (文春文庫)

  • 作者: 我孫子 武丸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: 文庫



裁く眼 (文春文庫)

裁く眼 (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: Kindle版



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毒薬の輪舞 [泡坂妻夫]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

鳴らないはずの病院の鐘楼の音が聞こえたとき事件が起きた―夢遊病者、自称億万長者、狂信者、
誰も見たことがない特別室の入院患者など、怪しい人物が集う精神科病院で続発する毒物混入事件。
そして遂に犠牲者が…犯人は、使用された毒物は?
病棟に潜入した海方と小湊は事件を解決できるか?海方シリーズ第2弾!

前作とは打って変わって、ある種、閉ざされた孤島での事件のようです。
というより、そもそも事件が起こっているのかどうかすら、
読み進めていっても、ほとんどわからない状態に陥ります。

これは別に悪い意味ではなく、良い意味でなのです。
解説の有栖川先生は、迷路にでも迷い込んだと本書を評しますが、
まさに正鵠を得ています。

入院患者たちのそれぞれの行動、精神病院に隠された謎。
これらは全て、物語の枝葉のようにみえ、実のところ物語の核心なのです。

本当に終盤になり、ある事故(事件?)が起き、
それを含め、舞台となった精神病院でのあらゆる謎が、
一気に収斂され、明かされていく様は、見事というほかありません。
有栖川先生が言う、論理仕掛けの奇談、言い得て妙です。

第1作目とは、作風そのものが全く違いますが、それでも
シリーズものとして読めてしまう、海方と小湊コンビも相変わらずです。
こんな作品があったとは・・・傑作です。


ところで前作と同様、カバーが遠藤憲一さんになっているのですが、
これは海方警部補がドラマ化したら、遠藤憲一さんが適任という
意味なのでしょうか。それは謎として残りました。


毒薬の輪舞 (河出文庫)

毒薬の輪舞 (河出文庫)

  • 作者: 泡坂妻夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/04/05
  • メディア: 文庫



毒薬の輪舞 (講談社文庫)

毒薬の輪舞 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1993/09/15
  • メディア: Kindle版



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自殺予定日 [秋吉理香子]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

「継母が父を殺した」再婚してわずか二年。父の死後、遺産とビジネスを継ぎ活躍する継母の姿に、
女子高生の瑠璃はそう確信した。彼女は自らの死で罪を告発するため山奥で首を吊ろうと決意するが、
訪れた自殺の名所で“幽霊"の裕章と出会った。彼は継母の罪の証拠を見つけようと提案する。
期限以内に見つからなければその時死ねばいいと。今日から六日後――
それが瑠璃の自殺予定日となった。すべての予想を裏切る、一気読み必至の傑作ミステリ!

秋吉さんの著作は初めてです。
読了後、解説を読むと『暗黒女子』でイヤミス作家として有名になったようです。
さて本書もどんでん返しがあるようですが、どんな結末なのか・・・

以下、ややネタバレ。



一言で言い表せば、イヤミスではなく、一人の女子高生の成長物語です。
はじめは自殺するために訪れた自殺の名所で、一人?の幽霊と出会います。
瑠璃は、幽霊として現れた裕章との約束で、父親が殺されたという証拠を
6日の間に見つけられなければ、自殺をする、つまりその日が自殺予定日と定めたのです。

裏表紙には「すべての予想を裏切る」とありますが、
最近こうした煽り文が多いのですが、
本書で言えば、父親への疑惑の真相より、最後に彼女が取った行動が
良い意味で予想を裏切ってくれて、ほっこりしました。

彼女が父親の死を乗り切るだけで無く、思春期特有の悩みや
学校の悩み、そして自殺などもう考えず、前を向いて歩いて行く姿は本当に
読んでよかった。

ところでもう一つのドンデン返し?である幽霊はよく気付かれなかったなと
思いました(笑)。さすがにこれは無理があったような・・・


自殺予定日 (創元推理文庫)

自殺予定日 (創元推理文庫)

  • 作者: 秋吉 理香子
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/05/31
  • メディア: 文庫



自殺予定日 (創元推理文庫)

自殺予定日 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/05/31
  • メディア: Kindle版



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許されようとは思いません [芦沢央]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。
上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。だが売上伝票を見返して全身が強張る。
本来の注文の11倍もの誤受注をしていた―。躍進中の子役とその祖母、
凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。
人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた5編。

またまた久しぶりの更新です。このところ堕落した日々で、精進しなければなりません。
以下、ややネタバレ。




芦沢さんの著書は『今だけのあの子』以来2冊目。
どの物語もラストの一捻りが実にうまく、傑作短編集です。

「目撃者はいなかった」は誤発注をごまかすため、修哉が取った行動は
成功したかに見えたのですが、交通事故の目撃者となってしまい・・・
死亡した運転手の妻が修哉に対して取った行動が、
夫と同じ目二合わせることという、これ以上ない報復。
言えば自分のミスが明らかに、言わなければ放火犯に・・・どちらを選んでも
彼にとっては地獄です。
明らかになっていく

「姉のように」は、本書所収作では一番のどんでん返し作品ではないでしょうか。
最初に虐待による事件記事を載せ、最後にまた別の事件記事を載せているのですが、
物語は、実にうまくこの点がミスリードされています。
もう少し深読みすると、自分の子どもが犯罪者の姪、になってしまうこと、
さらに彼女は姉へ育児の相談などをしていたこと、この2つも
彼女が事件を犯してしまった理由にもなっているのかとも。

「絵の中の男」はある画家の一生を語る物語。
彼女が描いた絵に隠された秘密が明かされていきます。
本作のみ一人称で語られている異色作ですが、
絵が描かれていく過程、あまりに強烈でした。

表題作は最後の最後に少し救いのある物語になっています。
個人的には主人公の恋人による名推理?が印象に残りました。



許されようとは思いません (新潮文庫)

許されようとは思いません (新潮文庫)

  • 作者: 芦沢 央
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/05/29
  • メディア: 文庫



許されようとは思いません

許されようとは思いません

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/06/22
  • メディア: Kindle版



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世界推理短編傑作集5 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

珠玉の推理短編を年代順に集成し、一九六〇年の初版以来版を重ね現在に至る『世界短編傑作集』
を全面リニューアル! 最終巻となる本巻にはアリンガム「ボーダーライン事件」をはじめ、
ベントリー「好打」、コリアー「クリスマスに帰る」、アイリッシュ「爪」、
パトリック「ある殺人者の肖像」、ヘクト「十五人の殺人者たち」、ブラウン「危険な連中」、
スタウト「証拠のかわりに」など珠玉の名作を収録!


以下、ややネタバレあり。


本書がついに最終刊。
アリンガムの名探偵アルバート・キャンピオンシリーズは初読。
何年か前に短編集が刊行され、あれが結構気になっていました。
本作『ボーダーライン事件』は読んで字の如く、トリックもまさにボーダーラインという
中々に面白いです。
似たようなのが「踊る大捜査線」でもあった気がしますが、あれはものすごく意図的ですが(笑
短編集、欲しくなりました。

ベントリーの『好打』は、大胆なトリックを用いた先例とでも言うのでしょうか。
物語上ですでに振られていますが、僕も単に落雷と思ってました(笑

『爪』はおおよその予想がつくものの、このラストの余韻含め、
後世のミステリに与えた影響は大きいのではないでしょうか。
完全な解決ではないものの、真実を読者にそれとなく告げていて、それでいて
物語の登場人物は真実に行き着いたか不明であるという、簡単そうで
難しい表現だと思います。

『十五人の殺人者たち』は謎に包まれている、とある会合での出来事。
現在はこんなことすら行われず、隠蔽に走るというのはなんとも情けない話です・・・。

『危険な連中』は本書では個人的に一番オススメ。
ミステリというよりサスペンスなのですが、登場人物の、ある意味ムダな(笑)心理戦が
素晴らしい。そしてラストの締め方も皮肉が効いていて、実に面白いです。

「妖魔の森の家」はカーター・ディクスンによるHM卿の事件簿ですが、
恥ずかしながら、こちらも初読。ディスクンそのものを初読なのですね。
この事件は、かつて起きた少女の消失トリックの謎を解き明かすのが卿の役目
なのですが、現実におきた少女の「消失」をも解き明かすところはさすが。
しかし、この明かされた真相はタイトルに相応しい内容だと思います。

完結は寂しいものの、改めて現在の作家さんたちによる傑作短編集の
刊行を願いたいですね。



世界推理短編傑作集5【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集5【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: 文庫



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アリス殺し [小林泰三]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

大学院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。
ある日ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見た後大学に行ってみると、
玉子という綽名の男が屋上から転げ落ちていた。次に見た夢の中でグリフォンが生牡蠣で窒息死すると、現実でも牡蠣を食べた教授が急死。そして不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋が
犯人捜しに乗り出していたが、なんとアリスが最重要容疑者に……。
悪夢的メルヘンが彩る驚愕の本格ミステリ!

久しぶりの更新です。
待ちに待っていた「アリス殺し」がようやく文庫化しました。
以下、ややネタバレあり。

元々がホラー大賞受賞作家さんだけあって、中々きわどい描写も多いのですが、
不思議の国と地球とで、事件が連動して起こるという設定を全面に活かした傑作
だと思います。

この設定を最大に活かしているのが犯人とそして最後の謎解き。
前者の犯人当てはまだわかるかもしれませんが、最後の謎解きはかなり驚きました。
不思議の国を舞台にした設定が最大限活きてきます。

そして、なぜ事件性が低い事故なのに、中丸警部と西中島刑事がわざわざ捜査に
来ているのかというのも、この設定が大きい。
惜しむらくは、なぜ亜理と井森は彼らを誤認してしまったのかです。

そしてそして、不思議の国での存在がアーヴァタールであるという
<蜥蜴のビル>こと井森の説こそ、実は最大のミスリードなんですね。
本作内の真犯人も、そして次作以降でもなぜか井森がワトソン役として登場するという、
奇妙な状況が生み出されるのです。

探偵役が共通ではなく、ワトソン役(とその世界観)が共通という、中々
お目にかかれないシリーズの記念すべき第1作。
不思議の国における、頭のおかしな帽子屋と三月兎の、これでもかという話の通らない
会話も合わせて(笑)必読です。


アリス殺し (創元推理文庫)

アリス殺し (創元推理文庫)

  • 作者: 小林 泰三
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: 文庫



アリス殺し アリス殺しシリーズ (創元推理文庫)

アリス殺し アリス殺しシリーズ (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/26
  • メディア: Kindle版



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しあわせの書-迷探偵ヨギガンジーの心霊術 [泡坂妻夫]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体“惟霊講会”。
超能力を見込まれて信者の失踪事件を追うヨギガンジーは、
布教のための小冊子「しあわせの書」に出会った。
41字詰15行組みの何の変哲もない文庫サイズのその本には、
実はある者の怪しげな企みが隠されていたのだ―。
マジシャンでもある著者が、この文庫本で試みた驚くべき企てを、
どうか未読の方には明かさないでください。

このところ泡坂作品の復刊、そして文庫化は素晴らしいものがありますね。
『泡坂妻夫引退公演』に続き、『曾我佳城全集』も創元推理文庫で
再文庫化されるとの情報もあり、うれしい限り。

そこで前回に続き、ヨギガンジーシリーズを一気読み。
本作は『ヨギガンジーの妖術』で弟子となった不動丸、そして途中から突然合流した
美保子の3名で旅を続けていて、『妖術』を読んでいた方がより楽しめるかも。

『しあわせの書』なる本は何が、しあわせ、なのか。
なぜ死亡したとされる人々が「惟霊講会」に居るのか。

様々な謎が断食中のガンジーの推理から一気に語られる
中盤から終盤にかけての盛り上がりは圧巻。
迷探偵とありますが、いやいや御謙遜を、名探偵ですよ。

ただし、確かにマヌケな面もあるのは否定しません(笑
しかし、しあわせの書の意味が個人的にはツボでしたね、なるほどと(笑



ところで本書にはもうひとつ、筆者ならではのある驚異の「仕掛け」が施されて
いるのですが、それを書くのはナンセンスでしょう。
この「仕掛け」はぜひ皆さんお読み頂いて、筆者の凄さを味わってください。




しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)

しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1987/07/31
  • メディア: 文庫



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三毛猫ホームズの証言台 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

因縁めいたつながりのある人々が集った“高原ホテル”。法廷で決定的な証言をし
無罪をもたらした女性と結婚した千葉。大企業の社長令嬢の婿となった記憶喪失の男、辻川。
彼の出現により未来を失った安西…。奇しくもホテルに同行した片山刑事たちは、
複雑な人間閑係が巻き起こす事件に対峙する。そして、ホームズの可愛らしい後輩も登場!
国民的大人気シリーズ第51弾!

はや51作目ですか。いや本当に長寿シリーズです。
本作は「高原ホテル」が舞台となりますが、ホテルで思い出すのは
やはり「黄昏ホテル」
本書も「黄昏ホテル」同様、まさに解説文にあるように因縁めいたつながりの
ある人々が集います。

それにしても、これだけの登場人物を本当にうまく描ききるなあと感心します。
プロローグのおそらくは虚偽の証言をした森川礼子と、それを依頼した千葉克茂。
この二人の物語が次項から始まるかと思いきや、お見合い叔母さんの異名を取る
児島光枝が登場し(笑)さらには辻川寿男とその妻・友世・・・と
目まぐるしい場面展開にもかかわらず、読みづらさを感じない。さすがです。

本作ではホームズの弟子(?)パリという子猫が登場します。
どういう風貌なのかはっきり書かれていないのですが、ホームズがなにやら指導をしている
場面もあるし、かなり優秀な弟子のようです。

最後の大団円は、ご都合主義といってしまえばそれまでですが、
しかしこれがホームズや片山たちが持つ事件解決の力なのでしょう。

今回の解説で山前譲さんは、カッパノベルズ刊行時の<著者のことば>を
引用して、このシリーズのおおまかな流れを説明されています。

ところが文庫購入だとこの<著者のことば>を読めず、今回紹介されて、
改めて本シリーズの位置づけの変遷を垣間見ることができた気がします。


「推理」や「狂死曲」「怪談」「降霊騒動」といった作品群から、
「花嫁人形」「危険な火遊び」「怪談を上る」そして本作「証言台」。
山前さんも指摘されるように、本シリーズは現実社会の変遷を相当受け入れつつも、
そこにホームズ・片山姉妹・石津刑事・栗原捜査一課長といった「変わらない」
シリーズキャラクターを入れる事で、現代社会や時の世相へ常にメッセージを
送り続けているのでしょう。
赤川さんはそれを一貫して行ってきたのかもしれませんが、
やはり初期・中期と比較しても、この色合いは近年の作品群に多く見受けられる
気がします。

とはいえ、前にも書きましたが、初期・中期の作品群のテイストも読みたいのは確か(笑
先生、ぜひお願いします。


三毛猫ホームズの証言台 (光文社文庫)

三毛猫ホームズの証言台 (光文社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/04/11
  • メディア: 文庫



三毛猫ホームズの証言台 (光文社カッパ・ノベルス)

三毛猫ホームズの証言台 (光文社カッパ・ノベルス)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/12/20
  • メディア: Kindle版



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心霊殺人事件-安吾推理短編 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

本格推理にして本格文学。安吾ミステリが『不連続殺人事件』だけではもったいない!
同じくあの巨勢博士が活躍する「選挙殺人事件」「正午の殺人」、
元奇術師・伊勢崎九太夫がいい味を出す「心霊殺人事件」「能面の秘密」。
そして、あずかり知らぬわが涙かな―傑作「アンゴウ」…。
知的パズルの面白さも存分に発揮した全10篇。

この連休は積ん読本をどんどん読んでいこうと思っていたのですが、
ほとんど寝ているばかりで、中々進みません。

本書は連休前から読み進めていた一冊。
巨瀬博士以外にも探偵役が居たのですね。驚きました。
しかし、この伊勢崎九太夫、性格的には巨瀬博士に近いなあと感じました。
博士よりイヤミでは無いですが(笑

「アンゴウ」は傑作。暗号小説として、あるいはミステリとしてという意味でなく、
最後の余韻含め、ラストを飾るにふさわしい作品です。
安吾とかけているんでしょうね、だからわざとカタカナ表記なんでしょうか。

他では「選挙殺人事件」と「影のない犯人」の2編。
前者は、殺人事件そのものよりも、なぜ選挙に出たのかというホワイダニットの要素
がとても面白い。明かされる動機も意表を突いています。

後者は時代や世相を反映させた作品といえますが、これは推理小説なのかどうかという
問題はありそうな気がします(笑
兄妹の会話の後に書かれるラストの描写はある種傑作です。このタイトルの
意味を語ってくれています。


心霊殺人事件: 安吾全推理短篇 (KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ)

心霊殺人事件: 安吾全推理短篇 (KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ)

  • 作者: 坂口安吾
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/03/05
  • メディア: 文庫



心霊殺人事件 安吾全推理短篇 KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ (河出文庫)

心霊殺人事件 安吾全推理短篇 KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/03/06
  • メディア: Kindle版



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怖ろしい夜 [西村京太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

秋山は商事会社の平凡なサラリーマンだ。給料日、28歳になる恋人の明子に結婚を申し込んだところ、
あと半年待って欲しいと言われた。半年したら叔母の莫大な遺産が入るというのだ。
だが、彼女はその晩何者かに殺されてしまう。しかも彼女には叔母などいなかった。
秋山は殺人犯の容疑をきせられ逃亡するが……。
事件の裏には意外な事実が!!(「夜の追跡者」) 妖しい夜、寂しい夜、暗い夜。
様々な夜をテーマにしたオリジナル短編集。

久しぶりの西村御大の作品です。以下、少しネタバレ。




オススメは「怠惰な夜」と「夜の脅迫者」
この2編、似ているんですよね。いずれも自業自得というか、藪をつついて蛇を出す
かのような話です。
特に前者は、遺産を狙うという明瞭な目的があるとしか思えない状況を、
実にうまく利用した木村京子の作戦勝ちでしょう。


刑事モノとしては中々秀逸なのは「夜の牙」
十津川警部&亀井刑事のコンビが有名ですが、この三井刑事&安田刑事の
他の作品も読みたくなりました。

「夜の追跡者」は付き合っていた彼女の嘘から始まる男の悲劇ですが、
本作はラストがある意味どんでん返し的な話なんですが、
絶対この刑事は処分されるだろうと思います(笑
付けている間にさらに人が殺されているじゃないかと。


怖ろしい夜 (角川文庫)

怖ろしい夜 (角川文庫)

  • 作者: 西村 京太郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫



怖ろしい夜 (角川文庫)

怖ろしい夜 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: Kindle版



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世界推理短編傑作集4 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

珠玉の推理短編を年代順に集成し、一九六〇年初版で以来版を重ね現在に至る『世界短編傑作集』
を全面リニューアル!第四巻にはコッブ「信・望・愛」、ノックス「密室の行者」、
バーク「オッターモール氏の手」、ハメット「スペードという男」、ダンセイニ「二壜のソース」、
ウォルポール「銀の仮面」、セイヤーズ「疑惑」、クイーン「いかれたお茶会の冒険」、
ベイリー「黄色いなめくじ」の一九三〇年代以降の名作九編を収録!


以下ややネタバレ。




本書所収で最も有名なのは「二壜のソース」ではないでしょうか。
ラストの1行が持つ恐ろしい意味が読者に衝撃を与えます。

個人的に最も恐ろしいと感じたのは「銀の仮面」。
これ、推理短編なんでしょうか。
ホラー小説に感じました。そして極めて後味も悪い作品です。
藤子不二雄Aの『魔太郎がくる』にも似たような話がありますが、
これはその先駆けなんでしょうね。
相手の善意を逆手に取っているのが、さらにたちが悪いですけど。
(というか、初めからそこを狙っていたとも読めますけど)

これに最初之「オッターモール氏の手」も推理小説というよりも、
サイコサスペンスに近い印象を持ちました。

クイーンの「いかれたお茶会の冒険」は傑作ですね。
単純な謎を、名探偵自身が「奇妙な味」に実は仕立てているという、
かなり面白い趣向です。
徹頭徹尾、ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』を意識して書かれてているのも
良いのです。特に「鏡」からクイーンがヒントを得るところが個人的には秀逸。

「密室の行者」は、密室内に、食べ物や飲み物があったにもかかわらず、
餓死するという、極めて不可思議な謎が魅力的です。
トリックはよく上手くいったなあと思いますが、これに気付いた探偵を褒めるべきでしょう。



世界推理短編傑作集4【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集4【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/02/12
  • メディア: 文庫



世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)

世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)

  • 作者: E.ヘミングウェイ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1961/04/07
  • メディア: 文庫



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大聖堂の殺人 ~The Books~ [周木律]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

解は示された。大人気シリーズ、ついに終幕!
天才数学者が館に隠した時と距離を超える最後の謎。

すべての事件を操る数学者・藤衛に招かれ、北海道の孤島に聳え立つ大聖堂を訪れた宮司百合子。
そこは、宮司家の両親が命を落とした場所だった。災禍再び、リーマン予想の解を巡り、
焼死や凍死など不可解な殺人が発生する。しかし、藤は遠く離れた襟裳岬で講演の最中だった。
大人気「堂」シリーズ、ここに証明終了!
以下、少しネタバレ。





「堂」シリーズ最終作。
ついに「藤天皇」こと藤衛と宮司百合子・善知鳥神が対峙します。
ところでこのシリーズのトリックは回転・動くが確実なので、
今回は一体何が回転するのか気になっていました。

今回は「動く」のですが、これはまたアクロバティックすぎます。
また、かつて起きた殺人をなぞるように起きる連続殺人のトリックもお見事。


しかし、最終作にしてはちょっとなあという読後感。
まず、自分は妖精という数学者は本当に必要だったのか、よくわかりません。
各章のタイトルも「闇」や「蝕」などは要らなかったのでは・・・

最大の不満は十和田只人の扱いです。
本シリーズの探偵役を途中まで務めたにも拘わらず、その立場の逆転には
非常に驚きました。
本書で彼が藤天皇に従属している旨が書かれますが、これまでのシリーズで
そういう描写ありましたっけ?(私が失念しているだけでしたらすいません。)

個人的には本書で再び探偵役に返り咲いて欲しかったのですが、
本シリーズが十和田只人の物語と見せかけて、実は宮司百合子の物語で
あることを踏まえれば、中々難しいとは思いましたが・・・

で、彼は本当に本書では何もしない。いや、最後に腕力を発揮したくらいで、
百合子の説得は全く効果なし。こんな姿は観たくなかったなあ・・・

またかつて大聖堂で起こった殺人事件の真相がちょっとなあ・・・
他国に居た人物がいかに殺人を行えたのかというのは、
確かにこの真相くらいでないと中々難しいのでしょう。

ただし、本シリーズは館シリーズを意識しているのは間違いないでしょうが、
最初、堂を作った沼四郎、そして放浪の数学者・十和田只人という探偵役。
この基本を完全に180度変えつつも、シリーズとして続けたのは、素晴らしいと思います。

周木律先生、お疲れ様でした。
これからも我々を楽しませてください。



大聖堂の殺人 ~The Books~ (講談社文庫)

大聖堂の殺人 ~The Books~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: 文庫



大聖堂の殺人 ~The Books~ (講談社文庫)

大聖堂の殺人 ~The Books~ (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: Kindle版



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ヨギ・ガンジーの妖術 [泡坂妻夫]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

名(酩?迷?)探偵ヨギ ガンジー登場!ドイツ人とミクロネシア人と大阪人の血をひき、
ロンドンではヨーガを教え、シカゴではすりの実演、東京では医者を相手に催眠術の講義をする、
謎の男ヨギ ガンジー。心霊術、念力術、予言術、枯木術、読心術、分身術、そして遠隔殺人術…。
頭にターバンを巻き、長い白衣を着た正体不明の名探偵が、超常現象としか思えない
不思議な事件の謎に挑む!

泡坂御大作品の復刊と、『引退公演』の文庫刊行が近く
とてつもなく有名だけど、未読のヨギ・ガンジーシリーズを購入しました。
なお、長編2編も購入済みです。
以下、少しネタバレ。



オススメは「王たちの恵み<心霊術>」と「釈尊と悪魔<読心術>」の2編。

前者は募金箱から「誰が」寄付金を盗んだのか?という謎が、
ガンジーにより180度逆転するという傑作。
最初の登場作品なのに、泥棒に間違われているガンジーも面白いです。

後者はガンジーの謎解きもさることながら、霧丸の役者ぶりが良い。
しかし、ガンジーと不動丸のコンビは確かに劇団に向いてそうですね。

それにしてもガンジーは各方面で先生と呼ばれながら、実際に神秘的な力を
持っていないというのを、その人たちも知っているというのが中々に面白い。
ところで名探偵→迷探偵→酩探偵とその表記の変化は当然見逃せません。
私としては、もっと短編で「名探偵」のガンジーの活躍が読みたかったですね。



ヨギ ガンジーの妖術 (新潮文庫)

ヨギ ガンジーの妖術 (新潮文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1987/01/27
  • メディア: 文庫



ヨギ ガンジーの妖術(新潮文庫)

ヨギ ガンジーの妖術(新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/07/01
  • メディア: Kindle版



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屋上 [島田荘司]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

自殺する理由がない男女が、次々と飛び降りる屋上がある。足元には植木鉢の森、
周囲には目撃者の窓、頭上には朽ち果てた電飾看板。そしてどんなトリックもない。
死んだ盆栽作家と悲劇の大女優の祟りか?霊界への入口に名探偵・御手洗潔は向かう。
人智を超えた謎には「読者への挑戦状」が仕掛けられている!

U銀行の屋上にある数多くの盆栽(盆景)
この盆栽は多くのいわくがあり、この盆景へ水をやりにいった行員・岩木俊子が
突然自殺し、その後も次々と、「自殺しない」と言っていた行員の自殺が続く。
これを取材していた小鳥遊記者は、御手洗潔へ相談し・・・

最初のオカルト的な話は話の枕であり、なぜ住田係長の部下、そして最後には住田係長
までもが自殺してしまうのか、というのは本当に謎です。
これをどう論理的に御手洗が解決するのか、気になり気になり一気読みしました。

途中途中フォントが違う物語が挿入されます。
これが「苦行者」田辺信一郎と「サンタクロース」菩提裕太郎の二人の物語です。
解説で乾くるみ先生が、両者ともトイレで人生のどん詰まりを味わうという共通点が(笑

そして先生が本書を「ユーモアミステリ」と評しているのですが、これは納得。
まず舞台が神奈川県T見市なのに、大阪が舞台かのような錯覚を起こさせる登場人物。
そして上記のトイレでの人生どん詰まり。
最後に明らかにされる真相も、ユーモアミステリと言って良いのではないでしょうか。


本事件は1991年頃に起きた事件らしく、まだ石岡との共同生活中の、
エキセントリックが目立つ頃の御手洗の事件でかなり楽しみにしていました。
真相はかなり驚きましたが、屋上の図面はほしかったなあ・・・
それと、小鳥遊兄弟のあまり意味がない会話が続くのが苦痛でした。

しかし、この頃の御手洗の事件簿はもっと読みたいですね。


ところで、乾先生の解説は必読です。
特に『占星術殺人事件』の刊行2週間後に、横溝正史御大が死去し、
御大が島田荘司へ本格・新本格の旗手のバトンを渡した、という話はある種感動しました。
島田荘司御大という旗手は、講談社の宇山日出臣氏、東京創元社の戸川安宣という
お二人を得て、平成が終わろうとする中、多くの担い手を生み出しました。

これからも御大には幅広い活躍とともに、若き御手洗シリーズもぜひ執筆をお願いします。



屋上 (講談社文庫)

屋上 (講談社文庫)

  • 作者: 島田 荘司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: 文庫



屋上 (講談社文庫)

屋上 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: Kindle版



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死者の輪舞 [泡坂妻夫]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

大観衆に湧く競馬レースの最中、男が刺殺された。偶然居合わせた警視庁特犯課の
新米刑事・小湊進介はベテラン刑事・海方惣稔とともに捜査を開始。
鮮やかな手口からすぐに容疑者の名前が挙がるが、この殺人を皮切りに容疑者が
次から次へと殺されていく殺人リレーがはじまり…果たして真犯人が仕組んだ謎を、
二人は解けるのか?

久しぶりの更新です。
昨年、河出書房が泡坂妻夫作品を3作(「花嫁のさけび」「妖盗S79号」「迷蝶の島」)
が復刊されましたが、なんとそれに続く泡坂作品復刊です。

本書は全く知りませんでした。そして長編。しかも刑事が探偵訳を務める作品とは。

海方の名台詞(?)の「これにてお終い、目出度く千秋楽、ちょんちょんだ」は
本書で何度も何度も登場します(笑

海方はこの殺人が連続殺人、リレー殺人であることに少し気付きながら、
早く解決させたい(捜査が面倒くさいから・笑)ため、上記台詞を多用しているんでしょうねえ。

ただし、立田一圓の「宝くじに当たる以上の確率の」死去は、海方にとっては
自らの考えに疑念を持ったのかもしれませんが。いや、面倒だっただけか(笑

被害者の繋がりに勝畑病院が関係しているのは想像できるのですが、
立田の殺人と、最後のあるどんでん返しがお見事。
ただし、海方と小湊は情けないなあ・・・

次作の『毒薬の輪舞』も4月に発売予定!楽しみです。


死者の輪舞 (河出文庫)

死者の輪舞 (河出文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/02/06
  • メディア: 文庫



死者の輪舞 (講談社文庫)

死者の輪舞 (講談社文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1989/01/01
  • メディア: 文庫



死者の輪舞 (講談社文庫)

死者の輪舞 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1989/01/01
  • メディア: Kindle版



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ゴールド・マイク [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

川畑あすかは友達の佳美とともにオーディションに挑戦していた。三度目にもかかわらず、
“あがり性”のあすかは、途中で歌えなくなってしまう。ところが、本選終了後に
審査員のNK音楽事務所中津が声をかけたのはあすかだった!佳美にそのことを話せぬまま、
アイドルへの道を進みだしてしまったあすかは一気にスターへの階段を駆け上がるが、
周囲には大人たちの黒い思惑が渦巻いていた!

この作品はダブル主人公という、赤川作品では珍しい作品だと思います。
しかも、芸能界を舞台としており、「川畑あすか」は偶像世界の、「前田佳美」は現実世界の、
というある種の棲み分けが出来ているんではないかと深読み。

あすかをめぐる各芸能事務所の思惑や、その関係者、そして家族・・・
ドロドロした汚いものが見える中で、
あすかと佳美は、自らを見失うことなく、力強く前に進んでいきます。
これがとても素晴らしい。

そして全てを見通しているかのような存在である佳美の彼氏・高林悟。
実のところ真の主人公ではないかと思いました。

ひとつ腑に落ちないのは、川畑亮の事件。
結局亮が殺人犯だったようですが、あの場面や説明はちょっとよくわかりませんでした。


それにしても赤川作品が続きました。やっぱり面白いんですよね。


ゴールド・マイク (徳間文庫)

ゴールド・マイク (徳間文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2019/02/08
  • メディア: 文庫



ゴールド・マイク (幻冬舎文庫)

ゴールド・マイク (幻冬舎文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2001/10/01
  • メディア: 文庫



ゴールド・マイク (幻冬舎文庫)

ゴールド・マイク (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2001/09/30
  • メディア: Kindle版



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スパイ失業 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

入院中の夫と中1の娘を抱える主婦のユリ。その正体は東ヨーロッパにある小国のスパイだった!
しかし財政破綻で祖国は突然消滅、ユリが表の仕事である通訳に専念しようと決めた矢先、
駅のホームから突き落とされかけたり、派遣先のパーティ会場で大臣を狙う暗殺者に遭遇したりと、
周囲が騒がしくなる。ついには夫と娘にも危険が迫り、ユリは謎の敵に立ち向かう―。
すべては家族を守るため。戦う母のユーモアミステリー!

以下、ややネタバレ。





赤川先生の作品では殺し屋(元殺し屋)や泥棒などは主人公で多く登場しますが、
スパイはあまり居ないイメージです(知らないだけでしたらすいません。)
本書のタイトルが、中を読むと実に皮肉が効いていて、
これまで勤めてきた「スパイ」的な仕事(実際は単なる情報収集のみ)より、
国が無くなり、その仕事を失業してからの方が、スパイの仕事をしているんですよね。
スパイというより007に近いくらい。
しかも他人がユリをそのように見ている(特殊諜報部員)というのもまた皮肉です。

自分の夫が重大な秘密を握っているものの、直接に夫婦でその話は語られない所や、
最後に登場する黒幕がある超意外な人物だったりと、意表を突くドンデン返しもあり、
一気読み、間違いなしです。

そして確実に怪しいユリの相方(?)を勤めることになる河本くんが
怪しいだけで、何の関係もないけども、ものすごく度胸が据わっている人物だったり。
一国の隠し財産を巡る、凄惨な争いが描かれるのですが、その凄惨さを覆い隠す
ユーモアを実ニうまく織り交ぜています。さすが赤川先生。

最後のある超意外な人物の所は、物語を離れ、日本がスパイ天国を言われている皮肉にも
読めましたが、さすがにこれは深読みでしょうね。


スパイ失業 (角川文庫)

スパイ失業 (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫



スパイ失業 (角川文庫)

スパイ失業 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: Kindle版



スパイ失業 (ハルキ文庫)

スパイ失業 (ハルキ文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2000/12/01
  • メディア: 文庫



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