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赤い部屋異聞 [法月綸太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

作家・法月綸太郎が、偏愛する東西の名作九篇に捧ぐ、オマージュ連作短編集

日常に退屈した者が集い、世に秘められた珍奇な話や猟奇譚を披露する「赤い部屋」。
新会員のT氏は、これまで九十九人の命を奪ったという恐るべき〈殺人遊戯〉について語りはじめる……。江戸川乱歩の名作短篇「赤い部屋」に捧げる表題作ほか、
著者が敬愛する作品へのオマージュだけを集めた、ミステリファンにはたまらない全九篇。

またまた更新が遅く・・・すいません。

本書は法月先生が、様々な媒体に発表した短編を集めた、ノンシリーズもの。
とはいえ、解説にあるとおり、名作のオマージュ揃いになっています。

やはり表題作と「だまし舟」がミステリとホラーの2つの点で秀逸。
前者は後日談がある意味恐ろしいというか、これが真実なのだろうと。
この赤い部屋に集まる人々の欲求は、そこまで来てしまったという。

後者は都筑道夫先生の「阿蘭陀すてれん」への、完璧なオマージュ。
いや何が恐ろしいって、これとにかく何もかもわからずじまいの作品で、
それがさらなる恐怖を引き立てるんですよね。
汐見が『だまし舟』を薦めつつも、また奪い返そうとしたのはなぜなのか。
なぜ先が読めなくなるのか。
遺体の側に落ちていた半分の本は綺麗な状態だった。
自分の理解が及ばないと、本当に恐ろしいのだと感じました。
改めて「阿蘭陀すてれん」を再読したくなりました。

動物好きには「まよい猫」。
これ、ラストがまた上手くて、愛猫が居なくなり、ひどいノイローゼ状態から
こうなったのか、それとも実はラストが真実なのか・・・・

言いしれぬ恐怖が余韻となるのは「続・夢判断」
法月先生は夢オチとラストを書いてますが、これは結構怖い。
俳優の演技力テストというところまで看破した主人公ですが、その先は果たして・・・

新本格と名探偵をある意味テーマにしたのが「迷探偵誕生」
悪魔と契約し、絶対誤りのない名探偵になる。しかし推理が外れた場合は魂を奪われる、
一見悪魔にメリットがあるのかと思う話ですが、
平行世界において無数の自分が誤った推理により、悪魔に多くの魂が奪われていたという
なんとも現代的な仕組みだなと、感心してしまいました(笑
悪魔も今までのやり方じゃあダメだということで、色々と悪魔だけに悪知恵が働くなと。




赤い部屋異聞 (角川文庫)

赤い部屋異聞 (角川文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2023/05/23
  • メディア: Kindle版






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二の悲劇 新装版 [法月綸太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

主人公は、「きみ」。二人称で描かれる失楽園の秘密とは! 
名探偵を最も翻弄した幻惑と苦悩の連続殺人! 
逆転に次ぐ逆転。驚愕の超絶技巧ミステリ! 

「きみ」は京都四条河原町の雑踏で突然に名前を呼ばれる。思いもかけぬ再会に惹かれ合う二人。
すべては、東京世田谷で「彼女」が殺されて暗転した――。死体から見つかった、
たった一本の小さな鍵。「長さ90センチ相当」のキーホルダーから、
作家探偵法月綸太郎はひとつの推理を導いた。だがそれは、
果てしなき迷宮(ラビリンス)への入口にすぎなかった……。奇蹟の超絶ミステリ再臨!


この『二の悲劇』から、『生首に聞いてみろ』まで、法月綸太郎長編はしばらくの間
消息が途絶えることになります。
あとがきを読むと、極度のスランプと法月先生が書かれているように、
そのような形跡も見られるので、本書執筆かそれ以前くらいから、本格ミステリという
難題にぶち当たってしまった感が伺えますね。

個人的感想にもちろん過ぎないのですが、本書と『生首に聞いてみろ』、
類似点結構あるなあと。
ある意味では何度も推理を重ねていくという倫太郎の姿はシリーズお馴染みなのかも
しれませんが、像の首が切断された理由を巡り二転三転する物語と、遺体は誰なのか、
日記には何が書かれていたのかという2点である意味謎が交錯していくのは、
どことなく似ている感じを受けます。
というか、本書は遺体は誰なのか、なぜ遺体は鍵を飲み込んでいたのか、鍵は何の鍵なのか、
日記には何が書かれていたのか、日記に隠された謎とは何か・・・と
ある種矢継ぎ早に謎が登場するんですが、いずれも緊密な繋がりがあることから、
違う謎を倫太郎が解いている感じを受けないんですよねえ。

逆を言えば、それだけ振り回されているとも言えるのかも(笑
倫太郎が推理を竜胆にぶつける場面がありますが、あの段階で彼に与えられた持ち駒では
おそらく最大級の推理なんだろうと。
だからこそそれが違う、となったとき、さらに混迷が深まるのです、が・・・

本書は、いわゆる「ノックスの十戒」に若干引っかかるものがあります。
当時どのように書評や評価されていたのかはわかりませんが、ラストの謎解きは
それに直結するでしょう。
「きみ」という二人称を最初の章で使用することで、ある意味これを仄めかしたとも
取れなくはないですが、どう考えたものか。

私は、この最後の謎解きより、本書は清原奈津実、葛見百合子、二宮良明、
この3人(竜胆、三木も多少プラス)のすれ違いの物語なんだろうと思います。
このすれ違いの描写というか、これはさすがの一言で、実に読ませます。
犯人が誰なのか、ということよりも、このすれ違いと謎解きの過程に
惹かれました。

しばらくの沈黙を経る直前の長編。このところ法月作品も多くが新装版として
登場してますので、ぜひシリーズ全編を読んで欲しいですね。

ところであとがきで出てくる「リレー小説が」、創元推理文庫から出た「吹雪の山荘」とは。
書き始めから、ものすごい時間がかかって出たんですね(苦笑
これも驚きました。


二の悲劇 新装版(の3-5) (祥伝社文庫 の 3-5)

二の悲劇 新装版(の3-5) (祥伝社文庫 の 3-5)

  • 作者: 法月綸太郎
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2022/10/13
  • メディア: 文庫






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雪密室 新装版  [法月綸太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

雪と鍵。
二重の密室状態から、犯人が消えた。

父は警視、息子は作家。
法月親子は密室殺人のトリックを解き明かせるか?

雪の山荘へ招かれた法月警視。客人が揃った夜、招待主の美女の死体が離れで発見される。
部屋は施錠され、雪の上には発見者の足跡だけ。不可能状況から自殺で処理しようとする
地元警察に対し、殺人を疑う法月警視は、綸太郎とともに密室トリックの解明に挑む。
大人気「法月綸太郎」シリーズ、始まりの一作。


法月綸太郎シリーズの第1作。初読です。
これまで読んで来たシリーズ作品、いずれの型にも当てはまらない、
これが法月綸太郎シリーズか??と思わせる、まさに第1作目らしい作品ではないでしょうか。

とにかく法月警視の息子への信頼感が高すぎる(笑
あいつならば、この不可能状況を打破できるはずだ。あいつが来るまでなんとか
時間を稼がねばならん。警視はこの一心で考えつくありとあらゆる手段を尽くします。
(特に最後の無謀な告白はすごい!)

倫太郎の推理に迷いはなく、貞雄警視も彼に全幅の信頼を寄せている。
いや法月綸太郎シリーズでこんな作品が読めるとは思いませんでした。
(もっとも警視はなんだかんだ言いながら、息子を信じているのはシリーズ変わりませんね)

トリックも、明かされてみるとな~んだ、と思ってしまうかもしれませんが、
やはり、最初の警視への誤認トリックが秀逸。
しかし突発的な殺人にもかかわらず、よくまあここまで上手くトリックを構築したなと
犯人側にやや脱帽します。

悩む法月綸太郎しか知らない方は、ぜひ本作をオススメします。


雪密室 新装版 (講談社文庫)

雪密室 新装版 (講談社文庫)

  • 作者: 法月綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2023/02/15
  • メディア: Kindle版






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法月綸太郎の消息 [法月綸太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

名探偵法月綸太郎が
名探偵ホームズ&ポアロの謎に挑む!

綸太郎が挑むのは、ホームズ探偵譚の異色作に隠された作者コナン・ドイルをめぐるトラップ。
ポアロ最後の事件に仕組まれた作者アガサ・クリスティーの企み。そして、
父・法月警視が持ち込む不可解な謎。ロジックを駆使して名探偵が鮮やかに「真実」に迫る、
本格ミステリの純粋かつ新たな魅力に満ちた作品集。

シリーズ30周年記念の最新作、待望の文庫化!
鮮やかで大胆不敵なロジック。珠玉の本格ミステリ作品集!


彼ほど「消息」という言葉がある探偵もいないでしょう。
むろん、紙上の法月綸太郎と、作者である法月綸太郎先生も含めて。

後期クイーン的問題、P≠NP問題等の評論家としても素晴らしい業績を
挙げている一方、その評論的部分と、自身の描く「法月綸太郎」という探偵との
乖離・苦悩が、本当にこの30年に現れています。
『生首に聞いてみろ』刊行時に、「おかえり、法月綸太郎」という帯があったのを
覚えています。
作品を生み出す苦闘が伺える、実に希有なシリーズですね。

本書は30周年祈念の刊行ですが、やはりホームズとポアロという、2大名探偵の
謎に迫る「白面のたてがみ」と「カーテンコール」は圧巻。

特に後者は、ポアロが本当に双子だったのではないか?というのを、
実に上手く、論理的に証明しようとしていて、『カーテン』で亡くなったのは、
アシルだったのかあと思わず思ってしまいました(笑

前者は、コナン・ドイルの心霊への傾倒や、チェスタトンまで登場し、
さながら、氏の評論ミステリのようなものを読んでいるような錯覚に陥ります。

そして、父親である法月警視とのディスカッションから、事件の真相にたどり着く、
「あべこべの遺書」「殺さぬ先の自首」も快作です。
シリーズお馴染みだから失念してましたが、安楽椅子探偵スタイルですね。
解説によれば、いずれの作品も都筑道夫先生の『退職刑事』からの影響大とのこと。
後者は、倫太郎の母親のことが登場するのが感慨深いですね。

しかし、シリーズ初期のレギュラーであった、図書館司書の沢田穂波も
久々に登場してほしいなあ。


法月綸太郎の消息 (講談社文庫)

法月綸太郎の消息 (講談社文庫)

  • 作者: 法月綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/10/14
  • メディア: Kindle版






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誰彼 新装版 [法月綸太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

謎の人物から死の予告状を届けられた教祖が、その予告通りに地上80メートルにある密室から消えた!
そして4時間後には、二重生活を営んでいた教祖のマンションで首なし死体が見つかる。
死体は教祖なのか? なぜ首を奪ったのか?連続怪事の真相が解けたときの驚愕とは?

以下、ややネタバレ。





昨年刊行された『このミス』『本格ミステリ』で、大山誠一郎さんが
ある作品の解説を書かれることを近況報告で述べられおられました。
確か拙ブログでも何の本なのか、と気になりますと記しましたが、まさか『誰彼』とは!
私にとっては二重に楽しめました(本編+解説)。

法月綸太郎シリーズ、というか法月先生の作品を初めて読んだのは、
奇しくも『生首に聞いてみろ』。

ちなみに改めて見ると、まるで内容に触れていない紹介記事です(すいません)。

本書と同じ、<首無し死体>を扱った作品。そしてまさに多重推理。
悩む名探偵がどちらの作品でも描かれています。

この『生首』の単行本版では「お帰り!法月綸太郎』と帯に書かれた文字が印象的で、
これは長編に名探偵・法月綸太郎が登場したのが相当久しぶりだったということ
だったと記憶しています。

本書のキーワードは、本格推理では鉄板の、首無し死体・双子・密室。
特に双子については冒頭から読者に明かされることから、それが事件に確実に関与している
であろうことはわかるのですが、この双子というのがある意味ではミスリードでもあります。

ただ、途中で綸太郎が披露する交換トリック。教祖である甲斐辰郎と、弟にあたる安部兼等
の<二人一役>の二重生活ですが、囲っていた女性であるドゥアノが
全く気づかなかったはずはない。というか気づいていたことは彼女自身が仄めかしているんですが、
そうではなく、あくまでこの<二人一役>トリックを行っているのは双子ではなく、
兄弟なので、さすがにそこまで顔が似ているのか?区別が付くのでは?という疑問はもちました。

ただし、そこまで。その先にある、まだ「彼」は誰なのか?という、最後の真相は驚いた。
そうきたかと。登場人物一覧を見て頂ければわかるように、容疑者、実はかなり少ないです。
その中で、綸太郎は論理の海とでもいうべき場所で、ずっともがき続けています。
そして最後には見事に真相にたどり着くのです。

綸太郎のいくつもの推理と、それへの否定。さらに父親である法月警視とのディスカッションで
披露される仮定も含め、本書で披露される推理は相当な数です。
ところがそれにうんざりするどころか、なるほど!と思いつつどんどん続きを
なってしまうんです。もうイッキ読みしました。

推理に次ぐ推理。それを繰り返せば繰り返すほど、事件の真相が藪の中に隠れてしまうかの
ような難事件。そしてこのまさに本書の内容を一言で表す『誰彼』というタイトル。秀逸です。
まだ未読の方はぜひ一読をお勧めします。


誰彼 (講談社文庫)

誰彼 (講談社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1992/09/03
  • メディア: 文庫



誰彼 新装版 (講談社文庫)

誰彼 新装版 (講談社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/01/15
  • メディア: 文庫







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新装版 頼子のために [法月綸太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

「頼子が死んだ」。十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて刺殺、自らは死を選ぶ――という手記を残していた。しかし、手記を読んだ名探偵法月綸太郎が真相解明に乗り出すと、驚愕の展開が。著者の転機となった記念碑的作品。長く心に残る傑作!

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

新年一発目は、昨年の新本格30周年で発売された、法月綸太郞先生の転機となる作品。
私自身、名探偵法月綸太郞シリーズは、実は「生首に聞いてみろ」から読み始め、
その後に3作の短編集、そして「生首」以後の作品を読んで来たため、
「誰彼」や「ふたたび赤い悪夢」等は未読なのです。
今回、新装版が発売されましたので、年末年始を利用して一気読みしました。

犯人の「手記」から物語は始められ、この「手記」が真実なのかどうか、
法月綸太郞が真実を探っていきます。
彼が最後に選んだ選択は正しかったのか、そしてラストに待ち受ける本作の本当の主人公
ともいうべき人との短い会話が印象的。

祥伝社から出ているのも、講談社で復刊をお願いします。


新装版 頼子のために (講談社文庫)

新装版 頼子のために (講談社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/12/15
  • メディア: 文庫



新装版 頼子のために (講談社文庫)

新装版 頼子のために (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/12/15
  • メディア: Kindle版



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パズル崩壊 WHODUNIT SURVIVAL 1992‐95 [法月綸太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

女の上半身と男の下半身が合体した遺体が発見された。
残りの体と密室トリックの謎に迫る(「重ねて二つ」)。
現金強奪を隠蔽するため犯した殺人事件。犯人が残した致命的な証拠とは?(「懐中電灯」)。
前衛芸術家が妻の遺体に絵を描いた。
死者への冒涜と批判する親友に驚くべき理由が明かされる―(「カット・アウト」)。
精緻なロジックと鮮やかな展開で魅せる、企みに満ちた8つの短編集。

オススメは「懐中電灯」と「カット・アウト」

前者はタイトルから想像が付きそうですが、
そこに一捻りを加えた秀作。
葛城警部シリーズでは「黒のマリア」も良いですが、
ミステリ度で選びました。

後者は画家ジャクスン・ポロックにまつわる
ある三人の男女の物語。
この画家についての知識は全くないのですが、
純粋におもしろく読めました。

そういえば、法月さんの作品は実は結構未読が多いんですよね。
そのうち読む方向で検討中です(苦笑


パズル崩壊  WHODUNIT SURVIVAL 1992‐95 (角川文庫)

パズル崩壊 WHODUNIT SURVIVAL 1992‐95 (角川文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/12/25
  • メディア: 文庫



パズル崩壊 WHODUNIT SURVIVAL 1992‐95 (角川文庫)

パズル崩壊 WHODUNIT SURVIVAL 1992‐95 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2016/01/25
  • メディア: Kindle版



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ノックス・マシン [法月綸太郎]

『このミス2014年版』第1位、『ミステリが読みたい!2014年版』第1位と、
「本格」SFと命名された(あとがきより)本作が、堂々と
上記のような「功績」を挙げたのは快挙ではないでしょうか。

「都市伝説パズル」(日本推理作家協会賞)や
「生首に聞いてみろ」(本格ミステリ大賞)など数々の受賞や候補、さらにランクインと
なっていますが、この作品でも新たな試みに挑戦しています。

それではAmazonさんの紹介ページから。

2058年4月、上海大学で20世紀の探偵小説を研究していたユアン・チンルウは、
国家科学技術局から呼び出される。博士論文のテーマ「ノックスの十戒」第5項が、
史上初の双方向タイムトラベル成功に重要な役割を担う可能性があるというのだ。
その理由を探るべく、実験に参加させられた彼が見たものとは―。
表題作「ノックス・マシン」、名探偵の相棒たちが暗躍する「引き立て役倶楽部の陰謀」などを含む中篇集。

「ノックス・マシン」のラストはとても皮肉の効いた終わり方で、
だから第5項に中国人の項目が設けられたのか!と納得してしまいました。

しかし、この作品での主人公・ユアン・チンルウが果たしてその後どうなったのか?
それは一切書かれておらず、かつ読者は知っていますが、「十戒」への中国人への
記載が、まさか自分の登場にあるとは夢にも思っていないでしょう。

だが、本短編中には「論理爆弾ーノックス・マシン2」が収録され、
そこでその後のユアン・チンルウが登場します。
(物語としては続きというより、別作品)

「引き立て役倶楽部の陰謀」はコメディ的要素をふんだんに含みつつも、
ヘイスティングス大尉の微妙な心情を描いた作品。
個人的には、この物語で描かれているヘイスティングスにはちょっと納得できず。
むしろもっと女史に怒り狂ってほしかったですね。
どうも私の中ではスーシェさんのTV版ポワロのイメージが強いので・・・
(ポワロ、ヘイスティングス、ミス・レモン、ジャップ警部の不動のレギュラー陣)

年内にあとどのくらい読むことができるかなあ。





ノックス・マシン (角川文庫)

ノックス・マシン (角川文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/11/25
  • メディア: 文庫



ノックス・マシン 3/4 電子オリジナル版 (角川文庫)

ノックス・マシン 3/4 電子オリジナル版 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2015/11/25
  • メディア: Kindle版



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キングを探せ [法月綸太郎]

繁華街のカラオケボックスに集う四人の男。めいめいに殺意を抱えた彼らの、今日は結団式だった。
目的は一つ、動機から手繰られないようターゲットを取り換えること。
トランプのカードが、誰が誰を殺るか定めていく。四重交換殺人を企む犯人たちと、
法月警視&綸太郎コンビの、熾烈な頭脳戦をご堪能あれ!
(Amazonさんの紹介ページより引用)

2013年の「このミステリがすごい!」堂々の第1位。
交換殺人をメイントリックとして、綸太郎と法月警視が
徐々に、徐々に、その絡まった糸をほぐしていく緻密な過程と、
犯人側の予想だにしない誤算の両方が楽しめる作品。

以下ネタバレあり。




四重交換殺人という荒技を計画した
カネゴン、夢の島、りさぴょん、イクル君の4人。
交換殺人ではないものの、こうしたニックネームのような4人というと、
歌野晶午さんの「密室殺人ゲーム」が頭に浮かびました。
それが要因か、いわば綸太郎と犯人たちとの頭脳対決を
イメージしていたのですが、この犯人たちは詰めが甘かった(苦笑

特に夢の島が担当した安斎殺人が結果的にはその後の
全貌解明に繋がったわけで、イクル君の調べが雑すぎましたね。

後半のカネゴンとりさぴょんの決死ともいえるトリックは
なかなかおもしろかったですね。
ただその前に、トランプの「A」、そして「J」が夢の島、イクル君の家
から発見されたことによる、犯人側の、まさに意図しないミスリードによる
法月綸太郎の推理の誤りが本作内での愁眉と感じました。
これは実にうまい。

また上のトランプと非常に密接に関連した
本作のタイトルにも大きなトリックがあることも非常によかったです。

11月には「ノックス・マシン」も文庫化される予定のようで、
来月も楽しみです!




キングを探せ (講談社文庫)

キングを探せ (講談社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/09/15
  • メディア: 文庫



キングを探せ (講談社文庫)

キングを探せ (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/09/15
  • メディア: Kindle版



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犯罪ホロスコープⅡ 三人の女神の問題 [法月綸太郎]

名探偵法月綸太郎が星座にちなんだ6つの
事件に挑む。

そしてAmazonさんの紹介ページから。

十年前に解散した女性三人組アイドル・トライスター。
彼女たちが所属していた事務所の元社長が他殺死体で見つかった。犯人は元ファンクラブ会長。
彼は、自身のブログで元社長殺害をほのめかした直後、服毒自殺していたのだ。
だが、トライスターのメンバー内に共犯者がいたことがわかり…(表題作)。
名探偵・法月綸太郎が六つの難事件に挑む“星座シリーズ”後編。

六人の女王の問題に続くシリーズ後編。
前編に登場した人物たちも再び出演。

「宿命の交わる城で」が個人的おススメ。
かつて「生首に聞いてみろ」を読んだときの感覚です。
綸太郎自身が推理を何度も何度も試行して、ようやく真実にいきつくという
のが良かったです。事件もかなり手が込んでいます。

「ガニュメデスの骸」と「引き裂かれた双魚」は物悲しい作品。
いずれも母と子の物語ではありますが、
後味的にはまだ前者の方が救いがある。

「錯乱のシランクス」はダイイング・メッセージものですが、
これは難しいだろうなあと(笑
というか、現実に自分が殺される際に正常な思考でメッセージが
遺せるかどうかを突いた作品でもあるように感じました。

綸太郎の活躍する比較的初期の作品が実は未読なんですよね。
ちょっと購入してみようかと思う今日この頃。


犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (光文社文庫)

犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (光文社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/01/08
  • メディア: 文庫



犯罪ホロスコープ〈1〉六人の女王の問題 (光文社文庫)

犯罪ホロスコープ〈1〉六人の女王の問題 (光文社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/07/08
  • メディア: 文庫



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しらみつぶしの時計 [法月綸太郎]

著者の初期作品から「退職刑事」のパスティーシュ作品など
を含めたノンシリーズ短編集。

「二の悲劇」の原型となったという「トゥ・オブ・アス」は名前が
違ってて読んでてパラレルワールドか?とか思いましたが、解説読んで納得。

「四色問題」は見事な作品。都筑さんは本当に多くの作家さんから
リスペクトされてるんだなあと改めて思いました。

表題作は僕は読み疲れた方です(苦笑


しらみつぶしの時計 (祥伝社文庫)

しらみつぶしの時計 (祥伝社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2013/02/08
  • メディア: 文庫



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ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子 [法月綸太郎]

元々は宗形キメラ名義にて発表された本作。
私は二階堂さんのホームページで秘密プロジェクト
としてお知らせが出ていて、楽しみにしていました。

愛川晶さんとの合作「白銀荘の殺人鬼」や
黒田研二さんとの合作「キラーエックス」など
非常に楽しめたので、さて今回の合作はと
発売予定表を観つつ、早く発売されないものかと
楽しみでした。

さて本作は警視庁を辞めて私立探偵となった
女性・桐山真紀子が主人公となります。
彼女は埼玉県知事の警護で銃弾を受け、
リハビリ中だった。
そんな時、姪の早麻理からネットで見つけたルームメイトが
居なくなったから探してほしいと頼まれる。
そのルームメイトの部屋に入ると、
ポスターに隠された壁一面に罵倒や呪詛の言葉が
書き殴られていた・・・

物語は真紀子視点で進みます。
最初は些細な事だと思っていた事が、
とてつもなく大きな事件へと繋がっていく、それの
王道をいってます。
時折つぶやく独り言や間で話される彼女の過去なども
作品全体の雰囲気と合っていて良かったです。
現在の人間関係やネットによる簡単な「希薄な共同生活」
などの問題点なども述べつつ、
大きな2つのトリックもありと、サクサク読み進められました。

ところで二階堂さんがあとがきで書かれているように、
本書の1つのトリックは法月綸太郎さんの
「犯罪ホロスコープ-六人の女王の問題」
のとある短編で使用されています。
僕はこれ既読でしたが、気になりませんでした。
(それだけ鈍い証拠か・笑)
それと、リハビリ中ですが、当麻の行方を追うために、
交換条件としてストーカーを捕まえてほしいとの依頼を受けます。
見事に彼女はその正体をつかみ、捕まえるのですが、
このちょっとした事件も実は大きな伏線。

すでに次作「レクイエム」も出ていてそちらも楽しみ。

ところで、本作で思わず人前でもニヤニヤと不気味に
笑ってしまった事があります。
まず真紀子のかつての警視庁の同僚が馬田権之助警部補。
う~む、どこかで聞いたような・・・
そして早麻理との潜入捜査で登場する「アンタレス旅行社」。

そしてそして、馬田の家にあるグラスとマドラーに気付いた真紀子、
それを質問すると馬田から、「後輩の水乃からもらったんだ」という
衝撃の発言が!(笑
そう、僕の大好きな水乃サトルがまさかの登場。
これ世界観が繋がっているんでしょうかねえ。
しかも、馬田は難航していた事件の謎をサトルのある発言で
解くことができたと言うのですが、
その馬田の発言でこの失踪事件の真相に真紀子がたどり着くのです。
なんという名探偵(笑
桐山さん、名探偵気取りではなく、本当に名探偵です(笑



ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子 (講談社文庫)

ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子 (講談社文庫)

  • 作者: 二階堂 黎人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/08/12
  • メディア: 文庫



東尋坊マジック

東尋坊マジック

  • 作者: 二階堂 黎人
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2011/08/18
  • メディア: 単行本



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犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題 [法月綸太郎]

売れない推理作家(?)法月綸太郎が
12星座とギリシャ神話にまつわる
殺人事件に挑む。

タイトルはエラリー・クイーンから。
そして星座はエルキュール・ポワロが、
<Hercule>、自らをヘラクレスに見立て、
ギリシャ神話にまつわる事件を解く、
アガサ・クリスティー「ヘラクレスの冒険」から。

ダイイングメッセージ、暗号、そしてアリバイ・・・
これでもかとミステリのエッセンスが詰め込まれた
短編集で、楽しめました。
都市伝説をモチーフとした「冥府に囚われた娘」は
「都市伝説パズル」とは、また違った味わい。

オススメは「ゼウスの息子たち」
だれが「偽者」なのか?
これうまく読者を騙してますよねえ。
まあ先入観というやつですね。

最初の「ギリシャ羊の秘密」では
公安の人間がホームレスとして潜入していると
いう記述があるのですが、
これはありそうで怖い。

Ⅱには沢田穂波は登場するのか?(笑


犯罪ホロスコープ〈1〉六人の女王の問題 (光文社文庫)

犯罪ホロスコープ〈1〉六人の女王の問題 (光文社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/07/08
  • メディア: 文庫



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法月綸太郎の功績 [法月綸太郎]

連続です。読むときは一気に読む性分なのです(笑
さて本書は法月シリーズ三作目の短編集。
これは内容が凝縮されていて楽しめました~

「=Yの悲劇」と「都市伝説パズル」、どちらも甲乙つけがたい。
アームチェアディテクティブの要素が強い後者はやはり「退職刑事」には叶わないかなあと
勝手に思い(汗)前者がお気に入りに決定です。

短編集は講談社のモノは全て読了したので、いよいよ長編に突入かもしれません。
まあでもどうするか考え中です。

法月綸太郎の功績 (講談社文庫)

法月綸太郎の功績 (講談社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/06
  • メディア: 文庫


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法月綸太郎の新冒険 [法月綸太郎]

「生首に聞いてみろ」を読んだので、他の法月シリーズを。

オススメは「世界の神秘を解く男」
作者会心作の「背信の交点」もいいのですが、こういうオカルトを科学的に解決するのが
個人的に好きです。

「身投げ女のブルース」は法月自身は出てきませんが、読み応え十分。
ちなみに、これは掛詞ではないだろうかと思ったのはボクだけか?(笑
まあ最後まで読むと意味がわかるんです。

法月綸太郎の新冒険 (講談社文庫)

法月綸太郎の新冒険 (講談社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 文庫


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生首に聞いてみろ-100,000hit記念- [法月綸太郎]

本日10万hit突破です。いやあ、うれしいものです。ありがとうございますm(_ _)m

さて記念というわけでもありませんが、昨日読了したので、「記念」作品です。
法月シリーズは初なんですが、これは本当に読み応えがありました。
さすが「このミス」第一位に輝いた作品です。

それにしても名探偵・法月綸太郎は後悔の連続がすごかった(笑
対談で法月さんも述べているように、天才的な探偵でないでしょうが、
それにしてもなあ。

しかし本当に見事な出来です。
誰が石膏像の「生首」を切ったのか?
そのモデルを殺害し「生首」を送りつけたのは誰か?

この二つの連関というか、因果関係の説明が見事でしたねえ。
それにしても名探偵の迷走ぶりが・・・(笑

生首に聞いてみろ (角川文庫 の 6-2)

生首に聞いてみろ (角川文庫 の 6-2)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 文庫


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密閉教室 [法月綸太郎]

以前何だったかを記念してちょこっと書きましたが(笑
改めて。

本作は法月倫太郎さんの処女長編に当たります。
同名の探偵、「法月倫太郎」が活躍するシリーズ
は第二作目「雪密室」からとなります。

さて本作は高校が舞台となります。
早朝の教室で生徒が一人死んでいた。
しかも密室状態で。
さらにはその教室の机と椅子全てが無くなっていた・・・・
不可解な謎の連続に
同じクラスの工藤順也が「探偵」としてその謎に迫ります。

高校という閉鎖された空間で事件の謎が明らかにされていきます。
そこには過去に起きた事件も関係してくるなど、
徐々に事件の核心に「探偵」は迫っていきます。
しかし・・・
最後の最後に落とし穴が待っています。

教室が密室、というだけでなく、机と椅子が全て消えていた、
これがこの本を買った動機でしょうか(笑
なぜか不可思議な謎が全面に出されているものが好きです。

また終わり方も圧巻。工藤の推理では終わりません(!
法月モノではないですが、名作だと僕は思います。

密閉教室

密閉教室

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/09
  • メディア: 文庫


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