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カルトからの大脱出 [鯨統一郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

教祖V.S.マジシャン!?
カルト宗教に消えた娘を救うため、
信者たちに「本当の奇跡」を見せろ!

保険営業員として働きながら高校生の娘・あすかと二人で楽しく暮らしていた好美。
だがある日、あすかは家を飛び出し、謎のカルト教団〈新しい神のルール〉の中へと消えた。
憔悴する好美に救いの手を差し伸べたのは、保険の顧客であるマジシャンの谺だった。
娘奪還のために谺が用意した奇策とは? 大・逆・転ミステリー!


本書が書き下ろしで、昨年末に刊行されたというのは、
鯨先生の意図がどこにあるのかはわかりませんが、時事的な問題をかなり真正面から
取り上げた作品であるのは、間違いありません。

あすかが入信する動機も、確かに納得できるところはあるものの、
それだけで?!と感じたり、当たり前ではないことを、さも当たり前のように話す
信者やあすかの同級生、好美が驚くのも無理ありません。

最後の大逆転、これいくつか意味がありますよね。
現実問題として、こんな大舞台で教祖たちの嘘を暴くことは、まず難しいと思いますが、
まあ小説だから良いのかなと。
もう1つの「大逆転」はミステリとしての趣向で、ここは純粋に上手い。
ミステリとして本書を見ると、関係者の死などはあからさまに途中で語られているので、
そうした点でのミステリらしさは楽しめない一方で、
この最後のトリックは、お見事だなと。

<スリーバレー>シリーズ、そろそろ出ないでしょうかねえ。



カルトからの大脱出 (中公文庫)

カルトからの大脱出 (中公文庫)

  • 作者: 鯨統一郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2022/12/21
  • メディア: Kindle版






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金閣寺は燃えているか?-文豪たちの怪しい宴 [鯨統一郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

大学教授の曽根原は、ふと気づくとバー〈スリーバレー〉の前に足が向いている。
女性バーテンダー・ミサキの魅力なのか、文学談義のせいなのかは分からない。
ある晩、ミサキが質問を繰り出したのは、川端康成の『雪国』についてだった。
『雪国』はミステリでなはいか、というミサキの疑問に、途中から入店してきた宮田が
珍妙な回答を話し始めて……。
さらに、田山花袋『蒲団』、梶尾基次郎『檸檬』、三島由紀夫『金閣寺』と
日本文学界の名作の新解釈で贈る、鯨統一郎最新作。



前作よりも楽しめました。
日本文学界の重鎮・曽根原が良い味を出してます。
『邪馬台国はどこですか?』に続く早乙女&宮田シリーズも、
いつの間にか主人公は<スリーバレー>に足が向いてましたが、
曽根原の場合、美人バーテンダーのミサキのことが気になり始めて、
ついつい足が向いてしまうのですかねえ。
必ず出会う宮田のことを4話通して馬鹿にしているという、認識をまるで変えていない
という一貫性も面白いですが。

田山花袋の『蒲団』の解釈は中々斬新だなと思いました。
ネタバレになるので書きませんが、現在の小説界の一大ジャンルの原点、
いや田山花袋をその原点と書いているんですよね。

ただやはり本作愁眉は、第四話『金閣寺』でしょう。
三島由紀夫という人物へも迫りつつ、本書の「金閣寺」とは何を指しているのか?
宮田の解釈に唸らされました。

ところで、最終話に登場したすごい美人というのは、もちろん早乙女静香ですよね?
宮田との関係はどうなったんだろうか。


金閣寺は燃えているか?: 文豪たちの怪しい宴 (創元推理文庫 M く 3-6)

金閣寺は燃えているか?: 文豪たちの怪しい宴 (創元推理文庫 M く 3-6)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2021/11/11
  • メディア: 文庫







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文豪たちの怪しい宴 [鯨統一郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

討論会の帰り、初めて立ち寄ったバー“スリーバレー”で、私は夏目漱石の『こころ』に
関する女性バーテンダーの疑問点に答える羽目に。文学部教授である私が、
まさかこんな場所で講義することになるとは。しかも、途中からやってきた宮田という男が、
あろうことか『こころ』を百合小説と断言したことで、議論は白熱し…。
文学談義四編で贈る、文庫創刊60周年記念書き下ろし。




宮田六郎&早乙女静香、そしてスリーバレーのシリーズは
ひとまず『崇徳院を追いかけて』で完結(充電?)のようで、
本作は、宮田&スリーバレーは続投しつつ、扱う内容が、歴史ではなく、
文学作品となっています。
さらに歴史マニアのバーテンダー・松永に代わり、文学作品に造詣が深いミサキが
ピンチヒッター的な役割で登場しています。


扱う作品は超有名どころを集めた印象ですね。
夏目漱石の『こころ』、太宰治『走れメロス』、宮澤賢治『銀河鉄道の夜』。

しかし、ラストだけは超有名作家ですが、ミステリを意識したのか
芥川龍之介『地獄変・偸盗』所収の『藪の中』になっています。


歴史上の謎と言われているものも、ずっとはっきりわからないものもあれば、
近年の研究が進展したことなどから、新事実が判明したり、解釈が変わっていたり。
教科書を見比べてみると、結構わかったりするのではないでしょうか。
(もちろん、依然として不明なものも多々ありますが)


文学作品はどうなのでしょうか。確かに作家研究、作品研究は多数あります。
しかし、やや乱暴に言ってしまえば、その文章が何を意図して書かれたか?
という問いは、中高生のテスト、あるいは昨日・今日と行われているセンター試験で
出題されたりしてますが、
本当のところは、書いた作者にしかわからないよなあと思ったり。


その意味で研究として、あるいは本書でいえばミステリとして扱うのは
宮田の1つの解釈として、充分にあり得るものだと思うのですが、
それを確かめる術が完全に無いのが、またもどかしいなあと。

それと、本書はやはり該当文学作品をしっかり読んでいないと、楽しみは半減しますね。
歴史は結構有名な説や、テレビや各メディアでも取り上げられますが、
文学作品は中々そうもいかないので、その点、前のシリーズの方が取っつきやすかったかなと。

ところで、宮田と静香は結婚したりしたんでしょうか?




文豪たちの怪しい宴 (創元推理文庫)

文豪たちの怪しい宴 (創元推理文庫)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/12/11
  • メディア: 文庫



文豪たちの怪しい宴 〈邪馬台国はどこですか?〉シリーズ (創元推理文庫)

文豪たちの怪しい宴 〈邪馬台国はどこですか?〉シリーズ (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: Kindle版



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歴女美人探偵アルキメデス―大河伝説殺人紀行 [鯨統一郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

美人歴史学者の静香、ひとみ、東子(はるこ)の三人が集まるウォーキングの会
〈アルキ女(メ)デス〉の旅の目的地はなぜか川。
北海道の石狩川の岸を歩く三人の目前に、川を仰向けになり流れる女性の姿が。
幸いにして救出され一命を取りとめるが、その女性の夫は数日前に不審な溺死を遂げていた。
事故か事件か、彼女たちの推理は露天風呂でひらめく!?
傑作トラベル歴史ミステリー。

シリーズ第3弾。
今回は河川を舞台としています。
探偵役の早乙女静香、さりげなくヒントを出す桜川東子、物語の登場人物に恋をして、
かつコメディリリーフ的立場である(笑)翁ひとみ。
彼女たち三人が旅する所、事件あり。

本書ではこの必ず殺人事件が起こるという事実を逆手にとって、
彼女たちが遭遇した事件を小説にしている作家がいると物語で語られます。
金田一耕助の「成城の先生」か浅見光彦の「軽井沢のセンセ」等のように、
今後物語に登場してくるのでしょうか?

犯人が絶対に(といって良いと思いますが)合理的に見抜けないのは「石狩川殺人紀行」
これは意外だった。

本シリーズは新たなトラベルミステリーとして確立してほしいと思います。
ミステリ初心者でも気軽に読めて、かつ楽しめる。

しかしもし2時間ドラマになったら配役はどうなるのか・・・


歴女美人探偵アルキメデス 大河伝説殺人紀行 (実業之日本社文庫)

歴女美人探偵アルキメデス 大河伝説殺人紀行 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2017/08/05
  • メディア: 文庫



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崇徳院を追いかけて [鯨統一郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

星城大学の研究者早乙女静香は宮田六郎と京都へ旅することになり、
かねて興味を抱いていた崇徳院について調べようとする。
その矢先、宮田の知人である京都在住のジャーナリストが失踪、
静香を敵視していた歴史学者が遺体となって崇徳院ゆかりの白峯神宮で見つかるなど、
二人と接点を持つ人物が奇禍に遭う。そして知り合ったばかりの社長令嬢も……。
警察に疑惑の目を向けられながら事件を解明すべく奔走する宮田と静香。
歴史上の謎に通じるその真相とは?

「新・世界の七不思議」と「新・日本の七不思議」の間を繋ぐ物語。
なぜ「新・日本の七不思議」で宮田と静香が一緒に旅行しているのかの
謎が解けます。

物語そのものは、やはりこれまでの短編集の方が俄然面白いです。
シリーズ的には宮田&早乙女静香ですが、
内容は早乙女静香、東川桜子、翁ひとみの「アルキ女(メ)デス」
シリーズに近いですね。
歴史の謎や事象に似通った事件が発生し、それを解決するという流れ。

やはりこのシリーズは<スリーバレー>での、松永を含めたやりとりが
一番おもしろい。
次作はぜひ再び<スリーバレー>を舞台で。





崇徳院を追いかけて (創元推理文庫)

崇徳院を追いかけて (創元推理文庫)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/07/21
  • メディア: 文庫



崇徳院を追いかけて (創元推理文庫)

崇徳院を追いかけて (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/07/22
  • メディア: Kindle版



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大阪城殺人紀行 [鯨統一郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

静香・ひとみ・東子の歴史学者三人組は、歴史的名所を歩き、酒と食事を楽しむのが趣味。
豊臣秀頼の妻・千姫の伝説に惹かれてゆかりの地へ観光に来たが、
待ち受けていたのは不可解な事件ばかり!
井戸の底で発見された死体、盗み出された金塊、未亡人をとりまく謎…。
ひらめきの鍵は悲劇の千姫の意外な伝説にあった!?トラベル歴史ミステリー。

「邪馬台国はどこですか?」の早乙女静香
「九つの殺人メルヘン」の桜川東子
「すべての美人は名探偵である」の翁ひとみ

鯨作品でそれぞれ主役(級)の3人が競演する、歴史ミステリ第2弾。

前作「邪馬台国殺人紀行」よりも、楽しめました。
「邪馬台国」の方が、あったと唱えられている場所を訪ね、
より歴史に重点が置かれていたと(個人的に)感じましたが、
本作は、千姫を中心に据えてはいますが、それと事件をうまく
結びつけていて、そこまで歴史に傾いてないのが良かった。


それに3つの話ともにひねりが加えられています。
(特に「姫路城殺人紀行」と「熊本城殺人紀行」)

表題作はどうやって宝石店に侵入したのかなあと、そこが謎でした。

続編も当然出ますよね。期待です。


大阪城殺人紀行 (実業之日本社文庫)

大阪城殺人紀行 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2015/06/04
  • メディア: 文庫



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笑う忠臣蔵 女子大生桜川東子の推理 [鯨統一郎]

「今宵、バーで謎解きを」に続くシリーズ第4弾。
今作ではバー<森へ抜ける道>へ新人・阪東いるかが登場し、
マスターよりもマスターらしく成長していきます(笑

本作では有名歌舞伎に新解釈を加えつつ、
事件も解決する東子さんですが、
本作の面白さは、ヤクドシトリオの会話にあると
僕は思っています(笑
懐かしいTVや商品、普通に登場する推理作家の名前etc・・・
この物語により日常や身近さを感じるんですよねえ。

特にマスターは強烈だよなあ。
「邪馬台国はどこですか?」のマスターとはエライ違いで、
対照させて読むと非常におもしろいです。

次作もすでに発売(今度はオペラが題材です!)されており、
ますます好調なシリーズ。

「邪馬台国はどこですか?」の早乙女静香&宮田六郎コンビも
そろそろ次作が出ないかなあ・・・


笑う忠臣蔵: 女子大生桜川東子の推理 (光文社文庫)

笑う忠臣蔵: 女子大生桜川東子の推理 (光文社文庫)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/11/12
  • メディア: 文庫



オペラ座の美女 女子大生桜川東子(さくらがわはるこ)の推理

オペラ座の美女 女子大生桜川東子(さくらがわはるこ)の推理

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/08/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



オペラ座の美女~女子大生桜川東子の推理~ 桜川東子シリーズ5

オペラ座の美女~女子大生桜川東子の推理~ 桜川東子シリーズ5

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/08/20
  • メディア: Kindle版



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邪馬台国殺人紀行 [鯨統一郎]

鯨統一郎さんのシリーズキャラクターの中でも、
美女の方々がそろい踏みする作品。

邪馬台国がどこにあったのか、邪馬台国と推定される遺蹟を
巡り、様々な推理を繰り広げる三人・・・ですが、
なぜか行く先々で殺人事件に巻き込まれ、その謎を華麗に
解き明かす、というのが本作の流れです。

創元推理文庫の鯨さんの一連のシリーズ(「邪馬台国はどこですか」etc)
光文社文庫の桜川東子さんがメインのシリーズ。
そして「すべての美人は名探偵である」でその二人が競演し、
翁ひとみとの出会いを果たし、本作に至る訳です。

三人で行動しつつも、翁の内面描写がなかなかおもしろく、
静香&東子と翁という「アルキ女デス」内部の微妙な対立が読み所です。

内容は歴史ミステリより純粋なミステリに比重が置かれていると思います。
そして肩肘を張らずに手軽に楽しめます。
鯨さんは本当に邪馬台国(さらには歴史)が好きなんでしょうねえ。
しかし最近は女性の活躍が目立ちますので、
宮田六郎さんにそろそろご登場願いたい。


邪馬台国殺人紀行 (実業之日本社文庫)

邪馬台国殺人紀行 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2013/02/05
  • メディア: 文庫



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今宵、バーで謎解きを [鯨統一郎]

いやあ、シリーズ物だと知らずに購入しました。
これは1冊目、2冊目も近いうちに購入して
読みたいと思います。

本書は「邪馬台国はどこですか?」に始まる
宮田六郎&早乙女静香のコンビと双璧をなす
桜川東子が探偵役を務めるシリーズ。
まあ「邪馬台国~」のシリーズと比較すると、
他の登場人物がまるで違いますけど(笑

オススメは「トロイアの贈り物」
実際にこのトリックが成功するかどうかはかなり微妙な気がしますが、
まあ出ている証拠をそのまま捉えればその結論に達するなという。

鯨さんは歴史がやはり好きなんですかねえ。
どういう経歴の方なのか気になってきました。


今宵、バーで謎解きを (光文社文庫)

今宵、バーで謎解きを (光文社文庫)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/01/10
  • メディア: 文庫



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哲学探偵 [鯨統一郎]

ソクラテスやパスカルら傑出した哲学者と
31文字の短歌をあやつり、事件を解く馬券師。
それを傍目にみる特別捜査班の高島警視と久保警部。
競馬場で繰り広げられる驚愕の推理とは?

まずはAmazonさんの紹介ページから。
警視庁の高島警視と久保主任は、難事件を専門に扱う特捜班に所属している。
鉄壁のアリバイを持つ容疑者、密室に突然出現した死者、細かく切り刻まれた惨殺死体…。
二人がかかわる事件は、解決の糸口すらつかめないようなものばかり。
事件に行き詰まった彼らは、たまたま訪れた競馬場で、哲学好きで短歌趣味で馬券師の男と出会う。
男が開陳した、驚くべき推理とは!?変幻自在の鯨ミステリが、三十一文字の中に森羅万象を詠む。

確かに哲学が出てきますが、むしろ「短歌探偵」だろうなと(笑
そこまで哲学が関係してません。
そこにこだわらなければ、なかなかおもしろい短編集だと思います。
といっても登場人物のキャラが大きな点かなあ。
個別作品はそこまで・・・な(苦笑
探偵役は「安楽椅子」かつ「隅の老人」タイプですが、
これがものすごいキャラクターです(笑
高島&久保のコンビも良い味出してます。

解説では第二話と第三話をアクロバティックかつトリッキーとして
取り上げていますが、個人的には第七話「神は死んだ(ニーチェ)」がオススメ。

鯨さんは本当に色々な顔を持つミステリ作家さんですよねえ。
まるで怪人20面相だ(笑


哲学探偵 (光文社文庫 く 10-11)

哲学探偵 (光文社文庫 く 10-11)

  • 作者: 鯨統一郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/09/13
  • メディア: 文庫



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新・日本の七不思議 [鯨統一郎]

「邪馬台国はどこですか?」、「新・世界の七不思議」に
続く歴史ミステリ第3弾。

今回は多くの謎が明らかになります(笑
いやいや、前2作とはまるで様相の違う内容になってます。


とにかく松永が勤める「スリーバレー」の意味。
ようやく、ようやくわかりました。
確かにオーナーも古代史専攻の人だと言っていましたが、
なるほど、そういう事だったのかと。

本作では、前作などで宮田が打ち出した説の検討として、
なんと初めて「スリーバレー」から飛び出し、自らの
説の検証に向かいます。
そして、舞台を「スリーバレー」に語られるのは
最初と最後の2編のみ。
特に最終編は懐かしい人物も登場します。

「真珠湾攻撃の不思議」
これはこれまでとはかなり異質で、
宮田や早乙女の口を借りて、鯨統一郎さん自身が
自らの考えを述べているかのように感じました。
とにかくこの1編だけは、ミステリと位置づけてよいものか、
とても考えさせられるお話でした。

さてさて、次作以降は果たしてどんな展開を
見せるのか?
楽しみです。



新・日本の七不思議 (創元推理文庫)

新・日本の七不思議 (創元推理文庫)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2011/04/28
  • メディア: 文庫



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新・世界の七不思議 [鯨統一郎]

「邪馬台国はどこですか?」の正統なる続編。

ペンシルバニア大学のジョゼフ・ハートマン教授は古代史の世界的権威。
同じ歴史学者の早乙女静香に京都を案内してもらう予定であったのだが・・・
なぜか急遽早乙女に予定が毎日入ることとなり、うらぶれたバーで毎日を過ごす羽目に。
しかしそのバーでは世界的にも明らかにされない古代史の謎が次々と看破されていく・・・
「このバーはいったい・・・」思わずジョゼフはこうもらすのであった。

前作は日本の古代史にまつわる謎でしたが、本書は世界の謎に宮田六郎が挑みます。
前作ではあやうい手付きだったマスター松永も
ジョゼフをうならせるほどのカクテル、そして料理をこなす名バーテンダーとなってます(笑

宮田も世界古代史には疎いと自分から言ってますが、
早乙女の話を聞いただけで、見事にその謎に1つの答えを導く点はさすがとしか
いいようがありません。
変わってないのは早乙女だけ(笑

うらぶれたバーにしか見えないのに料理・酒ともに一級品。
さらにはスクリーン(笑

もううなるしかありませんね、「この店はいったい・・・」と。


新・世界の七不思議 (創元推理文庫)

新・世界の七不思議 (創元推理文庫)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2005/02/24
  • メディア: 文庫



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邪馬台国はどこですか? [鯨統一郎]

鯨統一郎さんのデビュー作品。
今までなぜ読まなかったの?と突っ込まれても仕方ないですね(苦笑

早乙女静香 vs 宮田六郎の対決は全く見物ですね。
特に静香の宮田への攻撃はすさまじい!!

が、それ以上に宮田の博学には頭が下がります。
日本古代史のみならず、社会科学にも造形が深い。

オススメは「聖徳太子はだれですか」。
これは真実なのではないかと思ったくらいですよ。

現在姉妹編「新・世界の七不思議」も読んでます。


邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1998/05
  • メディア: 文庫



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パラドックス学園 [鯨統一郎]

「ミステリアス学園」の正統なる続編。またまた鯨統一郎さんがやってくれました。

主人公は前作に引き続き湾田乱人、いやいやワンダー・ランド(笑
パラドックス学園パラレル研究会、通称パラパラ研に入部したワンダ。
その理由はミステリ研がないため。
しかしそこに所属している部員は部長のポー、副部長のドイル、そしてルブラン、アガサ・・・
偉大なるミステリ小説、そして名探偵を生み出してきた名だたる作家の名前を持つ者ばかりだった!
さらには同じ新入部員にもカーやフレデリックといったやはり著名なミステリ作家の名前・・・
自分はどうやらパラレルワールドに来てしまったことに気づくワンダ。
そして核シェルターの中で起こる完全密室殺人。
果たして犯人は?そして左下のパラパラマンガの意味とは?!(笑

いやあ、おもしろいミステリでした。
メタ・ミステリとでも言えばいいのでしょうか。
前作は連作短編集でしたが、本作は長編。
この小説の世界では、ミステリ小説で起こるような事件が現実に起きて、
ミステリ小説というジャンルは存在しないという、摩訶不思議な(?)世界なのです。

やはり部員の名前にワロタ
アガサとルブランが付き合っていて、後にカーの事をアガサが好きになり別れたり、
あるいは日本でのミステリ、館モノに冠する記述(もろに綾辻さんのでしたね)
トラベルミステリーは日本ではたった一人の刑事が解決しているとか、笑いました。

かつて辻真先さんが「犯人は読者です」というポテト・スーパーコンビが活躍する
ミステリを書きましたが、本作は本当に読者が犯人という全く見事な(笑)作品です。

度々登場する「最も疑わしい人物は犯人ではない」、「アリバイのない者は犯人ではない」
などの法則もまた良い味だしてます。
この法則にがんじがらめになったりしてますしね。

本作の続編はあり得るのかなあと思います。
これ以上の驚きをぜひぜひ提供してほしいですが、鯨統一郎さんならやってくれるかもと期待です。

パラドックス学園―開かれた密室 (光文社文庫 く 10-8)

パラドックス学園―開かれた密室 (光文社文庫 く 10-8)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/01/08
  • メディア: 文庫



ミステリアス学園 (光文社文庫)

ミステリアス学園 (光文社文庫)

  • 作者: 鯨統 一郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/04/12
  • メディア: 文庫



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鬼のすべて [鯨統一郎]

警視庁捜査一課の刑事・高杉みさとは友人である若江世衣子と待ち合わせをしていた。
しかし、彼女は鬼に見立てられて殺害される・・・
そして鬼と名乗る人物から声明文が送られてくる。
みさとはかつて「日本から鬼を消す」と言って警視庁から去った「ハルアキ」とともに、
鬼の謎を追うこととなる・・・

鯨統一郎さんという作家さんは本当に何人いるのだろうか?(笑
解説でも述べられてますけど、ホント複数の人間のペンネームじゃないの?!と思いますよね。
「邪馬台国はどこですか?」や「タイムスリップ森鴎外」などの歴史ミステリ。
はたまた「ミステリアス学園」といったメタミステリ。
そして間暮警部の事件簿など・・・挙げればきりがありません。

さて本作は筆者が得意としてきた歴史ミステリ、というよりも
むしろ民俗学+ミステリの色合いが強い作品となっています。
とはいえ、なぜ鬼に見立てるのか、の見立て殺人、さらにはその隠されている動機など
本格ミステリとしては十分な作品。
全く繋がりのないと思われていた被害者にあった唯一の「接点」、そして容疑者・・・
物語にどんどん引き込まれていきました。

さらには鬼についての考察も大きく本書と関わってきます。
多くの民間伝承や文献を駆使しての仮説や推測など、鬼の正体とは何かに迫る
「ハルアキ」の博学さには舌を巻きます。
まあ、一番驚いたのは彼の本名が「安倍晴明」だったことでしょう!
なるほど、鬼を退治する家だ。

個人的に納得した説は「ウイルス」というもの。
だから誰にでも鬼がつく、案外そうなのかもなあ、と思いました。


鬼のすべて (光文社文庫 く 10-7)

鬼のすべて (光文社文庫 く 10-7)

  • 作者: 鯨統一郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/04/10
  • メディア: 文庫



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ミステリアス学園 [鯨統一郎]

鯨統一郞さんのミステリ、光文社文庫から先頃発売されました。
全七話からなるお話。メタミステリ、作中作、とでも言いましょうか。
各話ともそれぞれおもしろいです。しっかりと練ってあると思いました。
いかんせん部員が少なすぎですが・・・・
部長も歳を食い過ぎてました・・・
各話ででてくる本格ミステリやミステリの歴史の話などもふんだんに盛り込まれて
おり、ミステリ初心者な方には入門書にもなりそうな感じです。
最終話には納得がちょっといきませんでしたけど。

全体的に東野圭吾さんの「名探偵の掟」に似ています。
僕はこの「掟」の終わり方のほうが好きですね。


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