SSブログ
赤川次郎 ブログトップ
前の30件 | -

キネマの天使-レンズの奥の殺人者 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

東風亜由子、32歳、気鋭の映画スクリプター、もとい、正木監督の雑用係。
強烈な個性を持つ役者やスタッフに振り回されつつ、新作映画の撮影も佳境を迎え…たところで、
スタントマンが殺された!昔は映画監督になりたかった。そう語っていた著者が、
映画への愛と知識を惜しみなく込めた、魅惑の新シリーズ第1弾!


以下、ややネタバレ。





赤川次郎先生の新シリーズです。
いやあ、すでにいくつものシリーズをお持ちであるにもかかわらず、
こうして新たな分野を開拓していくというのはすごいです。

今回の主人公は映画スクリプターという、普段あまり聞き慣れない職業です。
解説等にもあるように、赤川先生ご自身がかつて映画監督になりたかったという事から、
本作は、事件よりも、映画撮影・制作に重点が置かれているように感じます。

特に主人公の東風亜由子は、赤川作品王道の強い女性で、大半の事にも動じず、
しかもお人好し。そしてとんでもなく度胸があります。
ただ、個人的には「探偵役」ではないなあと感じました。

最後はなんか、ここ数年で表面化している芸能事務所の問題と密接に関係づけられている
結末で、大団円とはならず。実行犯は捕まりましたが、
真犯人(という言い方が妥当か微妙ですが)は特に制裁も受けていません。


ただ、亜由子と倉田刑事のコンビで行くのかと思いきや、最後にあっと驚く、
特に亜由子にとってはちょっとがっかり?する結末が、なんと2回も描かれます(笑

幽霊シリーズ、花嫁シリーズとは別のバディでいくのか、それとも
亜由子と正木悠介監督コンビで本シリーズは続くのか、続編で新たなパートナーは
見つかるのでしょうか?



キネマの天使 レンズの奥の殺人者 (講談社文庫)

キネマの天使 レンズの奥の殺人者 (講談社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/12/15
  • メディア: 文庫






nice!(7)  コメント(7) 
共通テーマ:

忘れられた花嫁 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

結婚式直前に花嫁が失踪。控え室を片付けるため、アルバイトの明子が部屋へ向かうと、
そこには、花嫁が着るはずだったウエディングドレスを着た、見知らぬ女性の死体が。
翌日には、式場の主任の光子が何者かに刺され、帰らぬ人となってしまう。
次々と起こる事件に関係はあるのか?
なぜか調査を任されることになった女子大生明子が、事件の真相に迫る!

新年明けましておめでとうございます。
本年も拙ブログをよろしくお願い申し上げます。

さて、やはり首都圏(1都3県)に緊急事態宣言発出とのニュースが出ていますが、
当然というか、この状況を打開しなければいけませんから。
とはいえ、さっさと特措法を改正して、前年度比売上の7割保証とか、そのくらいを
国がしっかりやらないと、閉店倒産で大変な事にもなりますし。
いずれにせよ、今年もそこまで変わらない年になりそうです。

本年一作目は、今年読んだまさにホヤホヤの一冊。
現在まで続く「花嫁シリーズ」の第2作で、その後探偵役を務める塚川亜由美ではなく、
同じ女子大学生でも、合気道を嗜む永井明子が主人公。本作しか彼女は登場しませんので、
かなりレア作品です。

後に彼女の設定も(大学講師と恋仲)も塚川亜由美が取り込みますから、
徐々に徐々に一体化が図られたのかもしれませんね。
というか、かなり似ている主人公なので、同シリーズ内で描き分けは難しいだろうなあ。

しかし、何か久しぶりに「花嫁シリーズ」を楽しめた感じがしました。
そこかしこに出てくる、赤川さんのちょっとした言い回しが良いんですよ。
物語冒頭にはそうした言い回し、良く出てくるのですが、本作はかなりそれが
ちりばめられていて、ある種のクッションになっていて、実にいい。

主人公の明子は性格は亜由美より短気で、即座に行動に出るタイプです。
そして、本作では死にそうな目に(本当に!)何度も遭遇しつつも、猪突猛進。
母親の啓子も若干トボけた感じですが、最後の台詞でそれは親譲りであることもわかります(笑

彼女の勤務先の結婚式会場の社長がまた良い味出してます。
名前、苗字すら全く出てこないにも関わらず、充分にメインキャラクターです。

謎解き部分はもう少し丁寧であって欲しかったなあと思いますが、
最初誰だか分からない女性が、貸衣装のウエディングドレスを着て、
結婚式場で亡くなっていたり、明子の上司にあたる人物が突然辞表を提出したり・・・
物語序盤の掴みは最高です。

現時点では永井明子にとって、最初で最後の事件ですが、
可能であれば、奇跡的に復活して欲しいと思います。



忘れられた花嫁 (実業之日本社文庫)

忘れられた花嫁 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2020/12/04
  • メディア: 文庫



忘れられた花嫁 (角川文庫)

忘れられた花嫁 (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1987/10/01
  • メディア: 文庫



nice!(8)  コメント(8) 
共通テーマ:

クリスマス・イヴ [赤川次郎]

毎年クリスマス・イヴにはそれにちなんだミステリを紹介していますが、
昨日すっかり忘れていて、本日更新。
で、もうさすがに自分の抽出がなくなりつつあります・・・

というわけで、今回はそのものズバリのタイトル。
赤川次郎先生の『クリスマス・イヴ』

以下は、Amazonさんの紹介ページから。

クリスマス・イヴの夜、恋人たちで賑わうSホテルが企画したイベント、「ミステリー・ナイト」。
ホテルを舞台に推理劇が演じられ、宿泊客がその謎を解いていくというゲームだ。
推理劇に出演する俳優、人目を避けてイヴの夜を過ごす大女優、ホテルの従業員、
婚約中の恋人たち…。ホテルに集う人々の運命が複雑に絡み合い、
ゲームは思わぬ方向へ転がりはじめた!聖なる夜に繰り広げられる、ロマンチック・サスペンス。

本日はクリスマス。これまでご紹介したクリスマスにまつわる
ミステリーも含め、楽しんでみてはいかがでしょうか。


クリスマス・イヴ (角川文庫)

クリスマス・イヴ (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2012/10/16
  • メディア: Kindle版



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

卒業旅行 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

四年前の約束通り、卒業旅行の打ち合わせに集まった四人。
父親たちが会社の同僚で同じ社宅に住み、K女子大に揃って入学した親友同士だ。
しかしある事件がきっかけで、それぞれの運命がわかれることに。
加奈子と友江は今も大学へ通っているが、かおると由紀子は中退し家計を助けるために働いている。
久々に旧交をあたためる四人だったが、再会が思わぬ悲劇を引き起こす。


赤川作品が続きます。それもノンシリーズ。
以下、ややネタバレ。




タイトルにある「卒業旅行」は、本当に最後の最後に登場するだけで、
本書はこの「卒業旅行」に至るまでの、加奈子、由紀子、友江、かおる4人の4年間と、
それぞれの家族の4年間が語られていきます。

現在と過去がそれぞれ交錯しつつ物語は進みます。
本書は、『夜に迷って』以上に、どういう結末を迎えるのか、どういう物語が描かれるのかが
掴みにくい作品に感じました。
すでに、4人を引き裂くことになった出来事は過去のことなのです。
しかし、読み進めて行く上で、友江の「彼氏」的立場である奥村の登場で、
やや現在の物語へも変化が生じていくことに・・・


とはいえ、本書最大の見せ場は、最初から描かれていたある人物が
実は亡くなっていたということでしょう。しかも、その人物は4人だけでなく、
彼女たちの家族をも救っていたのです。

この人物の想いは物語では語られません。しかし、彼女含めた家族は
この人物のおかげで前を向いて生きていくことが出来るようになったのです。

赤川作品で幽霊が登場する話はたくさんありますが
(『幽霊はテニスがお好き』『怪談人恋坂』『三毛猫ホームズの降霊騒動』などなど)、
かなり初めからオープンなのが多いのですよね(笑
なので、本書はかなり意外な所を突かれました。
ノンシリーズはやっぱり良い。一気読み確実です。



卒業旅行〈新装版〉 (徳間文庫)

卒業旅行〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2020/11/06
  • メディア: Kindle版



nice!(7)  コメント(7) 
共通テーマ:

夜に迷って/夜の終りに [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

可愛い中学生の娘と次期社長の夫とともに、社宅で暮らす沢柳智春にとって、
たった一度の浮気は気の迷いにすぎなかった。過ちは水に流して幸福な家庭の主婦に戻り、
義父の隠し子の幼稚園探しや義弟や実弟のトラブル解決に暗躍し、実家の父母の悩みに向き合いながら
家族を守ろうとする智春。しかし、いつの間にか、悪意と嫉妬に染まった噂が広まっていく。
家族のしがらみにとらわれ、追いつめられていく緊迫のサスペンス。

高校生の沢柳有貴は、3年前の殺人事件を機に記憶を失った母と二人暮らし。父は別居して、
若い恋人に夢中だ。ある日、殺人事件の犯人の夫が何者かに殺された。
さらに、有貴が通り魔に狙われ、父の会社では盗聴器が見つかり、
一家の経営する会社に窮地が訪れる。"家"を守るために秘密を抱えた"家族"の行く末は。

私が読んだのは新装版ですが、元は光文社から刊行されていて、
前者の『夜に迷って』が1997年、『夜の終りに』が2000年と、物語の時間軸と同様、3年の月日が空いています。
以下、ややネタバレ。





赤川作品はこうした続編は描かれていて、
『招かれた女』と『裁かれた女』。こちらは15年もの歳月が物語上流れています。

『魔女たちのたそがれ』と『魔女たちの長い眠り』、私オススメの2作品ですが、
『たそがれ』で終わっていてもしっくりくるところですが、
『長い眠り』のラスト少し不気味な感じを残したところも良いですね。

『殺人よ、こんにちは』と『殺人よ、さようなら』。
昔読みました。確か海辺の別荘か何かで起きる事件だったような・・・

『ふたり』と『いもうと』。いずれも未読という申し訳ありません。
他にもあると思いますが、ひとまずこのあたりで(他にあればお教えください)。

本作品、特に『夜に迷って』は本当に智春やその家族の日常が描かれていき、
そこにちょっとした(ではないものもありますが)「非日常」(不倫や再就職、婚約etc・・・)
が介入することで、徐々に幸せな日常が変わっていく様が、実に見事に描かれていきます。
最後に殺人事件は起こりますが、それまでは本当に何も起こりません。
しかし読者には智春が追い詰められていく様や、その関係する人たちが変化していることが
わかり、果たしてどういう結末で締めくくられるのか?疑問に思うでしょう。

後編にあたる『夜の終りに』の方がよりミステリでしょうか。
しかし、ある意味前作の時間を再び動かすこととなる奈良の死が通り魔殺人であった
というのは皮肉が効いています。
奈良敏子の出所、久保田と呼ばれる人物の庇護など様々な変化が起こる中、
置かれた環境によって、人の心も変化してしまったというのが本作品の核でしょうか。

ただ、智春の祖父母や弟(浩士)の方がそこまで深く描かれなかったのは少し残念ですね。
まあそれは求めすぎかもしれません。

しかし、だいたい赤川作品は読んでいるのですが、まだこういうのもあったのか(苦笑)
最近のシリーズもの(特に三毛猫ホームズや花嫁シリーズ)は、赤川先生の
現代社会への危機感や危機意識みたいなものが、如実に表れているのが多いように感じます。
拙ブログでも何度か過去作品のような作風が読みたいと書いたことがありますが、
こういうノンシリーズを読むと、余計にそういう思いが強くなりますね。



夜に迷って (中公文庫)

夜に迷って (中公文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/08/21
  • メディア: 文庫



夜の終りに (中公文庫)

夜の終りに (中公文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/09/24
  • メディア: 文庫



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

台風の目の少女たち [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

9月。台風が近づいてきている中、山間の町に住む高校2年生の須川安奈は、
母とともに体育館へ避難する。そこでは、東京の大学へ進学した恋人の章が謎の美女と一緒にいたり、
母が誰かと駆け落ちを計画していたり、父が部下の女性を伴って帰ってきたりと、
トラブルが続出。さらには殺人事件まで発生してしまい―。
安奈たちは、無事に嵐を切り抜けられるのか!?避難所を舞台に関係者たちの思惑が交錯する、
一夜限りの長編サスペンス。

辻真先先生が解説を書かれているのですが、物語の校正技術にグランドホテル形式
というのがあるようです。
大勢の登場人物を限定された場所に集めた作者が、そこへなにかの一石を投ずる。
石の正体は人間同士の愛憎であったり、火災であったりします」とのことで、
本物語では、それが台風であると。

しかし、赤川作品は、本物語に限ったことではありませんが、関係者の人間関係だけで
見事に物語を構成してしまいますから、辻さんの指摘の、いわば愛憎がすでにある状態に、
台風という、しかも近年に非常に多い、○○年に一度という非日常が放り込まれている
のです。
角川文庫では、これに近似しているのは『夜』でしょう。
あれもパニックホラーないしパニックミステリの部類に入ると思いますが、
これを読んでいて、まず真っ先に思い出しました。

台風によって暴かれる秘密も本書では語られていて、元々の愛憎劇(安奈と雅美、弥生と??)
にもさらに拍車がかかり・・・
松田拓郎の父親があっけなく死んでしまうシーンは、自然災害の恐ろしさを改めて知ると
ともに、拓郎がああなってしまうのも致し方ないと同情してしまいました。

ところで、本書の主役は一応須川安奈なのでしょうが、赤川作品常連からみると、
どう考えても琴平雅美が主人公に見えてしまう(苦笑
彼女の言動は(赤川作品によくある)突拍子もないものにみえて、上手く周りをまとめていく
という凄さがあるのです。
ラストまで読んでも、彼女への深掘りは実はなく(彼女自身が少し過去を話したりしますが)
その点はもう少し掘り下げて欲しかったなあと思うところ。

最後、生き延びた人たちが描かれ、それぞれの想いも語られたりし、一応ハッピーエンド
的な終幕となります。
しかし、赤川さんには、この後、自然災害に遭った人々の復興を描いてほしいと思いました。
日本の様々な所で行われている「復興」。これを現実とフィクション交えて、
描いてほしいですね。


台風の目の少女たち (角川文庫)

台風の目の少女たち (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/09/24
  • メディア: 文庫



nice!(7)  コメント(7) 
共通テーマ:

ひとり夢見る [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

女子高生ひとみの母、浅倉しのぶはかつて女優だった。人気絶頂の二十七歳で突然の引退。
その七か月後、ひとみが生まれたが、父親はいない。十七歳のある日、母にパトロンがいると知り、
ショックのあまり夜の街に飛び出した。地下通路の一角で眠り込み…
目覚めると、そこは十八年前の映画スタジオだった。監督にスカウトされ、
若き日の母と共演することに!母と娘の不思議な縁の物語。


またまた更新が少し滞りました。
本書もだいぶ前に購入したもの。
以下、ややネタバレ。





それにしても、赤川先生の文体は読みやすい。そして改めて驚き。
冒頭にある「十七年間付き合ってきた母のことだ。」なんて文章をさらりと書くんですよね。
完全に掴みでやられます。主人公がその母の娘・浅倉ひとみだとしても、中々こういう文章
書けないよなあ。

ひとみは自分の母親が突然女優業を辞め、自らが「あの浅倉しのぶの娘」と言われるのにも
嫌気が指し、演劇部(の文化祭催し)を辞退します。
さらに、母の店がいつの間にか無くなっていて、母と男の人が出てくる場面を目撃し・・・

気がつくと、彼女は18年前の過去、しかも自分が生まれた時、さらに彼女の母親が
まだ女優をしていて、引退した年。しかも母親主演の映画に突然出演することになり・・・

自分の母親の性格を改めて認識したり、母親と男を取り合うことになったり(笑)
一方で、同じ年のマチ子の「家族」の非常に辛い場面をみたり、肺がんでこのあとすぐ亡くなる
多田と出会ったり。過去ならではのエピソードもあります。

過去に戻ってしまったひとみは、自分の父親は誰なのかも一方で気にしていて、
その候補は案外と多く。ところが、この点はさすが赤川先生。
父親どころか、母親までがというドンデン返しをもってくるとは(笑

本書で一番幸せに、人生が変わったのは、担任の谷中ミネ子先生ではないでしょうか。
最後の文化祭の場面は素晴らしいの一言。


ひとり夢見る (光文社文庫)

ひとり夢見る (光文社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/06/20
  • メディア: Kindle版



nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:

三毛猫ホームズの復活祭 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

高畠和人の母はオレオレ詐欺に引っかかり、さらにトラックにはねられて重体に―。
一方、片山と妹の晴美は、別のオレオレ詐欺を阻止したものの、金の受け渡し役が殺害されてしまう!
捜査過程で浮き上がってきた“K学院”の寄宿舎で暮らす少女・和美を訪ねるが…。
和美と犯人の関係とは?寄宿舎に集まった人々が事件の真相に迫る。
国民的大人気シリーズ第52弾!

52弾のテーマは、オレオレ詐欺。今では振り込め詐欺と統一されていますね。
この「復活祭」というタイトル、内容とあまり絡んでない気がしたのですが、
解説で、カッパノベルズ版著者のことばで、その意味がわかります。
 「そこには、「いつか自分もトシをとる」という想像力のかけらもない。政治が国民に
  平然と嘘をつくご時世だが、こんな時代だからこそ、「真実」と「真心」を大切にする、
  ホームズや片山兄妹に活躍してもらわなくてはならない。「人間性の復活」の祈りを
 込めて。

赤川先生の近著を全て読んでいるわけではありませんが、花嫁シリーズしかり、
本書三毛猫ホームズシリーズしかり、現代社会の問題と密接に関係するものが多いですね。
以前、先生が「伊集院とラジオ」とにゲスト出演された際にも、「表現の自由」に
ついて取り上げられていたと記憶しています。
それだけ、現在の日本社会が危機的状況と感じられているからこそ、
作品内で、その危険性や危機的状況を警鐘しつつも、
シリーズキャラクターは不変であるという、安心感を読者に与えてくれるのです。

一方、この「復活祭」という言葉は、本書では家族の復活の意味も含まれている
ように感じました。
松井明と和美、おばさん。西川郷子と寛治、竹本涼香と久美。
今回の事件がなければ、出会うことがなかった・話すことがなかった家族です。
そして、彼彼女たちを見守るホームズ。すでにホームズは全てを見通している
かのような佇まい!いや、昔からそうだった気もしますが・・・

個人的に社会問題や現代社会との関係は、確かに重要だと思うのですが、
一方で、初期の「怪談」「降霊騒動」、ヨーロッパシリーズ(「騎士道」「幽霊クラブ」)
短編集「びっくり箱」など、かつての作品群のような作風もまた是非とも読みたい!


三毛猫ホームズの復活祭 (光文社文庫)

三毛猫ホームズの復活祭 (光文社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/05/13
  • メディア: 文庫



nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

花嫁をガードせよ! [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

女性警察官の西脇仁美は、命を狙われていた政治家の蔵本をかばい撃たれてしまう。
その現場に偶然通りがかった女子大生の塚川亜由美と愛犬ドン・ファンによって
一命をとりとめるが重傷を負ってしまい、それが原因で婚約破棄になりそう。
命がけで捕まえた犯人だが、取り調べ中に自殺をしてしまい―。
大人気シリーズ第31弾!(「花嫁は日曜日に走る」を併録)

花嫁シリーズもついに31作目とは。
赤川先生のシリーズはどれも息が長いですね。
ただ、個人的に「九号棟の仲間たち」や「1億円もらったら」など、
もう終了してしまったシリーズの方に好きなものがあったりするんですよね(苦笑
「1億円」は現代社会では、どういう描かれ方をするのか読んで見たいところです。

本作では珍しく亜由美の恋人である谷川准教授が登場。とはいっても冒頭だけなんですが。
表題作は政治への風刺。蔵本のような政治家が、今の日本にどのくらいいるでしょうか?
黒幕が具体的に描かれていないのと、ラストはこれからだ!的な感じで終わっているのが、
赤川先生らしい。今の日本は本作をハッピーエンドで描けないともしかしたら
感じているのかもしれません。

「花嫁は日曜日を走る」はオリンピックへの痛烈批判。
花嫁は主人公ではなく、途中から出てくる神西みどり、になるんでしょうか?
それにしても教員である松永の動機がすごい。
昨今の教員の不祥事ニュースから考えると、このくらいの教員はもしかしたらわんさか
居るのかもしれません。むろん真面目でまともな方々が大半でしょうが。
この場合ドン・ファンは吠えただけなので、特に罪には問われないんでしょう(笑

しかし、そろそろ原点回帰的なミステリ色の濃い花嫁シリーズも読みたいですね。
「紙細工の花嫁」、「迷子の花嫁」なんかも良かったです。
あと、表紙絵は前の方が良いです!


花嫁をガードせよ! (実業之日本社文庫)

花嫁をガードせよ! (実業之日本社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2020/06/05
  • メディア: 文庫



nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:

迷子の眠り姫 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

体育祭に備えてクラス対抗リレーの練習に出かけた昼下がり、誰かに川に突き落とされ、
「あの世」に行きかけた高校一年生の笹倉里加。病院で目を覚ますとなぜか
不思議な力がそなわっていた!自分の背中を押した犯人の正体、家族や友達に迫る危機に、
不思議な力が味方する!?異色の青春ミステリー長篇。

少しの間でも「あの世」を見てしまったことで、何か不思議な力を
手に入れた、主人公の笹倉里加。
その能力とは、遠くにいる友人やその周囲の行動・会話を聞く事ができる場所に
居たりする、なんとなく幽体離脱に近い感じもありますね。
しかし、彼女を救ってくれた祖母から、能力のことを話さないよう言われていて、
彼女自身は、気になった、感じたという表現でぼやかしています。

彼女の周囲で(自分の家庭を含め)起こる様々な問題は、彼女が力を
手に入れる前から起きていたものでした。
その問題を力で知ることができることで、彼女なりにそれらをうまく解決に
導いていく、というのが大まかな流れです。
しかし、彼女の性格から考えると、おそらくそんな能力が無くても、
自分他人関係無く、問題を精一杯解決していこうとするでしょう。

この物語の核心は、彼女の能力にある訳ではありません。
話が進むにつれて、彼女と徹の関係、また親友との関係に変化が生じてくるのですが、
このあたりが赤川さんが描きたかったとこなのだろうと、勝手に思いました(笑)。

「私、特別な力をもってるなんてうぬぼれてたけど、親友の気持ちもわからなかった」と
いう台詞は、「恋心」という物語後半の核の中、彼女自身が言うことで
非常に深いものがあります。

家族が崩壊しようとしたり、麻薬の密売にかかわったり、赤川作品の主人公(女子高生)
たちは、本当に理不尽な境遇ですが、その中で強さや弱さも垣間見えているところが、
なんとなく読者の共感を得るのかもしれません。



迷子の眠り姫-新装版 (中公文庫)

迷子の眠り姫-新装版 (中公文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/03/19
  • メディア: 文庫



迷子の眠り姫 (C★NOVELS)

迷子の眠り姫 (C★NOVELS)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2012/12/19
  • メディア: Kindle版



nice!(7)  コメント(1) 
共通テーマ:

夜会 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

川で溺れている男の子を助けた水泳世界大会金メダリストの沢井聡子。
そのお礼にと少年の母親に招かれ贅沢な夏休みをすごしていた。姉に早く戻るよう言われるが、
数日後に迫る男の子の誕生会までは居ることに。一方、友人の焼身自殺の真相を追う
高校生の佐山清美はあるパーティに参加することになった。
それは聡子が助けた少年の誕生会だった。二人が目撃した「夜会」の真実とは?

このところYoutubeサーフィンしていて、本をあまり読んでません(笑
本書も結構前に読了したもの。

以下、ややネタバレ。




この「夜会」、昔読んだ記憶があります。
特にクライマックスはよく覚えていて、さて何で読んだのだろう?と。
Amazonで調べると、本書は徳間書店からしか刊行されていないようで、
おそらくトクマノベルズを購入したんだと思います。
当時は文庫でなく、新書版も積極的に購入していたのです(笑)。

再読になるのですが、本書は内容(結末)的にはホラーに分類されるのだと思います。
ただ、それ以上に、突然有名人(主人公の沢井聡子は当時全然注目もされておらず、
無名だったのにもかかわらず、金メダルを取る快挙を成し遂げています。)に
なった主人公やその周辺に訪れた大きな変化が主題なんでしょう。
最後に、亡くなった間宮しのぶ(の幽霊?)から、「人生のピークは、一つだけじゃありませんよ」
と諭されたこともあり、考えを改めることができました。
しかし、唐突に変わってしまった環境で、自分や周囲も突然変わってしまうことへ
簡単に対応できる人はいないでしょう。沢井家は結果的には悪い方へ変わってしまったのです。

また奇妙な植物が敵(?黒幕)として登場するのは、次の文からその理由がわかります。
252頁「柳田も父も「聡子」から養分を吸い上げて生きてきたようなものだ-人の心の中にも、
あの植物は根を張っているのかもしれない。」
本当はあんな奇妙な生物は居らず、人間が生み出した欲の塊みたいなものだったのかも
しれないという、ちょっと突拍子もない考えまで浮かんでしまいました。
しかし赤川さんは上手いですねえ。ホラー小説なんだけども、人間社会とうまく関連づける
というか、人ごとではないんだよ、というのを描くのが実にうまい。流石です。


最後に気になった点。姉の初子は元に戻ったんでしょうか?
明らかに倉田のせいであちら側に行ってしまった描写があったんですが・・・
彼らが消滅したことで、その効果も消えたのでしょうね。



夜会 <新装版> (徳間文庫)

夜会 <新装版> (徳間文庫)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2020/05/12
  • メディア: 文庫



夜会 (徳間文庫)

夜会 (徳間文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2020/06/21
  • メディア: 文庫



夜会 (トクマ・ノベルズ)

夜会 (トクマ・ノベルズ)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2020/06/21
  • メディア: 新書



nice!(9)  コメント(9) 
共通テーマ:

壁の花のバラード [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

伊原有利はNデパートに勤めている、二十六歳。
容姿は人並みだが彼氏なし。素敵な出逢いを求めて出席するパーティーでは
いつも壁の花。そんな有利の平凡な人生が一変した。いつものように出席したパーティーで、
ハンサムな青年実業家・沢本徹夫にダンスを申し込まれたのだ。夢心地の有利。
だがなんと、彼は幽霊だった!
驚く有利に沢本は、自分を殺した犯人を捜してほしいと頼む。
彼を殺した犯人は誰!?

以下、ややネタバレ。




赤川作品には平然と幽霊は登場します(笑
最近復刊された『幽霊はテニスがお好き』、『三毛猫ホームズの騒霊騒動』
『怪談人恋坂』etc・・・
しかし、出てくる幽霊は結構明るいタイプも多く、本作品のようにどこかとぼけた
感じの幽霊もチラホラ。

主人公は伊原有利、デパートに勤める人並みのOL。
しかし、婚活パーティーで沢本徹夫という幽霊に出会ったことから人生が一変します。

本書は、沢本を殺したのは誰なのか?を突き止めるのが目的ですが、
その裏には、沢本との出会いで、有利の人生そのものが変わっていく物語でもあるのです。

彼女のかつてのクラスメートである山形とその部下の黒岩が良い味出してますねえ。
有利のことを想い続けていた山形の、食事へ有利を誘うシーンが全然ロマンチックな場面
で描かれないところもまた面白い。

それにしても、真犯人はわかったのにまだ成仏できない沢本と有利は
この先どうなってしまうのか?(笑


壁の花のバラード 〈新装版〉 (徳間文庫)

壁の花のバラード 〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2020/03/06
  • メディア: 文庫



壁の花のバラード (徳間文庫)

壁の花のバラード (徳間文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2020/04/12
  • メディア: 文庫



nice!(3)  コメント(3) 
共通テーマ:

7番街の殺人 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

駆け出しの舞台役者・三枝彩乃は公演の稽古に励む毎日だったが、ある晩、母が急病で倒れてしまう。
手術は成功したものの、今度は父が不倫相手と出奔。入院費と生活費を稼ぐべく女優・中原真知子の
付人として働き始めた彩乃は連続ドラマの撮影に同行する。
予定のロケ地が工事で使えず、新たに撮影場所に決まったのは、
21年前に祖母が殺害された団地だった―。一気読み必至の青春ミステリー!

本当に一気読みしてしまいました。
今の赤川作品は、シリーズものより、ノンシリーズものの方が面白いですね。

本作は、主人公の綾乃の祖母が殺害されている所から始まります。
そして、綾乃の母・佑香がまだ若く、しかも綾乃の父との出会いから。

物語は一気に進み、綾乃が女優として芝居に打ち込みつつ、
母の病により、痴話喧嘩のもつれに巻き込まれ、女優の付き人になったり、
同棲している只野との関係など、自分自身の人生がめまぐるしく変わっていく様が
まさに、ジェットコースターのように描かれていきます。

そんな彼女はふとしたことから祖母が殺害された事件を
その事件を捜査していた刑事から聞かされます。
そこからが再び物語が二転三転。

ラスト、浅野から「あの事件が眠りからさめたせいで、君がとんでもない目にあった」
という台詞に、綾乃は「いいえ、はっきりして良かったんです」と答えます。
そう、綾乃が中原真知子の付き人にならなければ、実はこの事件の解決はなかったのです。
犯人にとっては因果応報なのです。

そして、「生きるって、余計なことが積み重なってできてるんですよね」という
綾乃の台詞は赤川作品の主人公らしさでもあり、まさにユーモア・ミステリと呼ばれる
作品群を象徴する言葉だと思いました。

文庫で422頁。中々の厚さですが、そんな厚さを感じさせない展開、謎、
そして張られた伏線・・・
今、非常に大変な時期でご自宅にいる方も多いかと思いますが、
良質なミステリを楽しんでみるのも良いかもしれません。


7番街の殺人 (新潮文庫 あ 13-46)

7番街の殺人 (新潮文庫 あ 13-46)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/01/29
  • メディア: 文庫



nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

静かなる良人 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

浮気をして家へ帰ると、夫は血まみれで倒れており、一言「ゆきこ」と言い残して息絶えた。
冷たい世間の眼と間抜けな刑事の尾行のなか、後ろめたさから自ら犯人捜しにのりだした
妻の千草であったが、犯人捜し過程で、「いい人」だけど退屈で面白みのない人間、
と思い込んでいた夫の意外な一面を知る……。千草は果たして夫を殺害した犯人を
捜し出すことができるのか?夫婦の絆を描いたユーモア・ミステリの傑作。

普通は物語の最中に殺人が起こり、それを解いていくのが、大半のミステリかと思います。
しかし、本書は妻が浮気をして帰ると、真面目な夫が殺害されていて、
しかも最後に遺した言葉が女性の名を想起させる「ゆきこ」。
そして次々と舞い込む、夫の知らない一面・・・

千草は夫を殺した犯人を突き止めるというより、自分が全く知らなかった夫の
顔を探すために、(世間からどう思われようと)積極的に行動していきます。
それがさらなる事件も引き起こす引き金にもなるのですが、
夫が亡くなった後に、自分にはもったいない夫で、これ以上の男はいないと豪語する千草
の台詞は、ある意味とても皮肉が効いています。
落合刑事がまたいい脇役で、最後に千草を口説くのがまたおもしろい。

赤川作品はまだまだ未読本がたくさん。これからも読んでいきます。


静かなる良人-新装版 (中公文庫)

静かなる良人-新装版 (中公文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2019/12/19
  • メディア: 文庫



静かなる良人 (角川文庫)

静かなる良人 (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2012/10/16
  • メディア: Kindle版



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

死体は眠らない [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

妻を殺したらどんな気分だろう?三十代半ばで四つの会社の社長である
池沢瞳は大仕事をやってのけた。ついに妻の美奈子を殺したのだ。
やたら威張っていた妻を。さて、死体をどうするか?と、思案していたところへ妻の友だちは来るわ、
秘書で愛人の祐子が現れるわ、脱走した凶悪犯に侵入されるわ、
次々と訪問者が!妻を誘拐されたことにした瞳だったが―。嘘が嘘を呼び大混乱!

2020年もどうぞよろしくお願いします。

さて、本年一作目は、正真正銘年明けに初めて読んだミステリです。
赤川次郎作品ということで、新年からユーモア・ミステリで楽しもうという。

ところが、本作はユーモア・ミステリではありませんでした。
ユーモア・サスペンス、というジャンルがあるかわかりませんが、
登場人物全てに、常識人が居ないという、カオス状態。

特に警察がすごい。終盤に出てくる上田刑事が唯一まともな感じです。
誘拐事件なのに、自分たちの飯の心配しかしない刑事たち。
とにかく食に対する執着心がすごすぎます。

添田刑事も鋭いところを見せたのでもしかしたらと思ったのですが・・・彼も酷すぎる。
社長秘書の早川祐子に恋をし始める池山刑事。彼は殺されてしまいますから、
気の毒ではあるんですが・・・

主人公の池沢瞳も、早川祐子が偽名であると告白しているのに、なんだか平然と
しているし、好きだ好きだを連発し、殺人事件が多発しているのに、ラブシーンを
演じ続けているという。
被書の吉野と早川祐子の最期もあまりにひどすぎる・・・

最終章の「ハッピー・エンド」のタイトルの皮肉が秀逸過ぎます。
確かに池沢にとっては、そうかもしれません。
しかし、他の人たちにとっては、全く逆の結果に・・・

ただ、不謹慎かもしれませんが、めちゃくちゃ面白かったです。
あまりの突飛すぎる話の連続に、一気読みでした。

さて、本年もたくさんミステリを読めたらいいなあと思っております。



死体は眠らない 〈新装版〉 (徳間文庫)

死体は眠らない 〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2019/12/06
  • メディア: 文庫



死体は眠らない (角川文庫)

死体は眠らない (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2000/12/08
  • メディア: Kindle版



nice!(9)  コメント(9) 
共通テーマ:

人間消失殺人事件 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

校二年の南尾小百合は、ある日、通学途中にバスを乗り過し、終点の小さな町に降り立つ。
しかし、そこで一人の男性に出会った後、行方不明になってしまい―(表題作)。
どこへでも突然現れる、警視庁捜査一課の名物男・大貫警部が、今日も事件の現場に居合わせる。
謎あり笑いありの大人気シリーズ最新刊!

このシリーズも長寿ですが、赤川さんの心境の変化とでもいうのか、
シリーズを重ねるごとに、大貫警部の存在が少しずつ変わってきている気もします。

相変わらず次々と逮捕したりしてますが、意外と人情味あふれる所を
表題作では見せています。「ナイフが勝手に刺さった」というまさに大貫理論(笑
しかも、ここ数作品に見られるのは、マスコミを実にうまく使っているんですよねえ。
むろん最初の「東西南北」でも自らの突飛押しも無い推理を雑誌に話したりしてますが、
マスコミの嫌な部分を逆手に取っている印象です。

「上昇志向殺人事件」は現在の「IT長者」を皮肉った作品。
大貫警部の「刑務所では一番上の階に入れてもらうよう頼むんだな」という台詞は
皮肉が効きまくっています。

よくよくシリーズを見てみると、大金持ちだろうが、国会議員だろうが、自分の思ったことは
必ずやり遂げる取るという、忖度など一切しない、ある意味警察官の鑑のような気もします(笑
でも、思いついたことが人間離れしている事も多々ありますね。

本書で全編にわたって描かれているのは、母と子の関係かなと思いました。
警部の、あくまでも偶然の行動で、両者の絆が深くなるというのもまたおもしろい。

しかし、警部にはもっと強権を振るってもらいたい時もあり、
そんな作品もまた読みたいですね。


人間消失殺人事件 (講談社文庫)

人間消失殺人事件 (講談社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/10/16
  • メディア: 文庫



人間消失殺人事件 四文字熟語 (講談社文庫)

人間消失殺人事件 四文字熟語 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/10/16
  • メディア: Kindle版



nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

目ざめれば、真夜中 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

ビルに立てこもった殺人犯に指名され、仕事中にもかかわらず刑事に連れられてきた真美。
建物の中に入ると、そこには高校の同級生だった白木が婚約者の悠子を人質にとっていた。
しかし、事件の真相が明かされる前に、白木は警察に射殺されてしまった。不審に思った真美は、
事件の調査に動き出すが、行く先々で妨害工作に遭う。
さらにプライベートでも仕事でも問題が発生する。
人間関係の綾が織りなすサスペンス・ミステリ。

とにかく女性陣が強い。とくに射殺された白木の母親である
幸江の行動力はすごいものがあります。

そして、主人公たちである、矢田部真美、広田悠子、宮坂初枝、彼女たちは
私生活でもそれぞれ問題を抱えながらも、白木が射殺された事件に端を発する
大きな大きな事件に果敢にぶつかっていきます。

本作は女性たちの活躍だけでなく、意外なところで心境が変化して良い上司になる
須田課長など、ところどころでユーモア・ミステリを感じるところもありますが、
やはり社会派、より現実的な、赤川次郎先生からの、現実社会への警鐘小説なのでしょう。

P423「結局、一部の人間だけが責任を取って辞め、ことはうやむやに終わる可能性のある」
というのは、決して小説内だけの話ではないでしょう。
責任を取るどころか、とかげのシッポ切りにもなりかねません。

本書のタイトルは、気付いたら(世間・世界は)真夜中のような状態であった、
ということを意味しているような気がしてなりません。


ラストの真美と京子、そして須田との掛け合いがとても和やかで
物語は締めくくられるところが唯一の救いですね。


目ざめれば、真夜中 (角川文庫)

目ざめれば、真夜中 (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/21
  • メディア: 文庫



目ざめれば、真夜中 (角川文庫)

目ざめれば、真夜中 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/21
  • メディア: Kindle版



目ざめれば、真夜中 (幻冬舎文庫)

目ざめれば、真夜中 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2007/04/01
  • メディア: 文庫



目ざめれば、真夜中 (幻冬舎文庫)

目ざめれば、真夜中 (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2007/03/31
  • メディア: Kindle版



nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

ひとり暮し [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

東京の大学に入学した依子は、念願のひとり暮しをすることになった。
家賃が安いだけがとりえのアパートに決めたはいいが、複雑な事情がありそうな住人ばかり。
入居早々、部屋は隣に住む女性の荷物に占領されており、自分の荷物を預かってくれている
という部屋を訪れると、そこの住人が倒れていた!どうやら、自殺未遂を繰り返している人物…。
しかも、彼女を助けたことがきっかけで、女優デビュー?波瀾万丈の青春ミステリ。

赤川作品はこれまで多く読んできましたが、この作品はこれまで読んだ系統には
あまり当てはまらない感じがしました。
というのも、説明文には「青春ミステリ」とあるのですが、
本書はミステリというジャンルになるのかなあと。

主人公の板垣依子の成長を描く物語、かとも思いましたが、
そうでもない(苦笑)
というのも、物語が進んでいっても、
彼女自身の性格は全く変わっていないからです。
むしろ、持ち前の優しさで、彼女の周囲の人たちの人生を良い方向へ変えていきます。

そして殺人など到底起こりません(傷害事件は起こりますが)。

赤川作品のヒロイン像とも依子は少し違うし、ユーモアミステリでも
青春ミステリでもなく、だけど、おもしろく、読後感が良い小説。
まだまだこうした赤川作品も多そうな気がします。



ひとり暮し (角川文庫)

ひとり暮し (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: 文庫



ひとり暮し (角川文庫)

ひとり暮し (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: Kindle版



ひとり暮し (幻冬舎文庫)

ひとり暮し (幻冬舎文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2002/10/01
  • メディア: 文庫



ひとり暮し (幻冬舎文庫)

ひとり暮し (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2002/09/30
  • メディア: Kindle版



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

綱わたりの花嫁 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

誘拐された花嫁は別人!?
本物はどこへ?

結婚式に覆面をした三人組が飛び込み、花嫁を誘拐した。
しかし、さらわれたのはアルバイトで花嫁のふりをしていた久美子だった。
久美子の母親や友人の塚川亜由美は、本当の新婦・美亜の父親で
大富豪の坂戸に身代金の立て替えを頼むが、聞く耳を持たない。
その横暴な態度が、思わぬ波乱を巻き起こすことに!
長編ユーモアミステリー、人気シリーズ第30弾。



花嫁シリーズでは、久しぶりの長編です。
(というか前回の長編は何でしたっけ?手元に無く確認できず)

誘拐された花嫁が、実はアルバイトでという所から始まる誘拐ミステリ。
普通に考えればその時点でタイムリミットサスペンスになるのですが、
そこがそうならないのが、赤川作品。
なんと誘拐された花嫁が誘拐団に加わるという奇想天外な事態に。

さらに、本物の花嫁・坂戸美亜は、八田圭治と駈け落ちするのですが、
その周囲でもなにやら不穏な空気が・・・

花嫁の誘拐という事件から、殺人事件やさらにその他の事件まで
次々と起こり、長編らしさを感じます。

最後は相変わらず、かなり強引な大団円的な結末なのがちょっとなあ・・・と思いましたが、
亜由美の両親が普段と何ら変わらないのはさすが。

本作はシリーズ第30作目という記念作品なんですね(それもあり長編?)。
シリーズ一覧を見ると、『紙細工の花嫁』とか『半人前の花嫁』などを思い出します。

亜由美のボーイフレンドである谷山先生の影が最近かなり薄いので、
次作ではぜひその活躍をみたいです。


綱わたりの花嫁 (実業之日本社文庫)

綱わたりの花嫁 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: 文庫



綱わたりの花嫁 (実業之日本社文庫)

綱わたりの花嫁 (実業之日本社文庫)

  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: Kindle版



nice!(7)  コメント(7) 
共通テーマ:

闇が呼んでいる [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

それは、
君たちの噓のせい。
復讐の幕があがる!

女子大生の田渕美香は友人の轟淳子、黒沼さとみ、池内小百合と六本木の店で
マリファナを喫っていた。ところが、薬で眠らされてしまう。気がつくと乱暴された跡が!

美香は外務大臣の娘。麻薬パーティにいたなんて知られるわけにはいかない!
同級生の西川勇吉を乱暴した犯人に仕立て上げ逮捕させることに成功する被害者づらの彼女たち。
西川は追い詰められ自殺してしまう。

数年後「逃れることはできない」と奇妙なメッセージが彼女たちのもとに届く。
差出人は罪を着せられた西川だった!
復讐の幕があがる。


単なるクラスメートにえん罪をきせ、自分たちの幸せは守ろうという、
そして田淵美香の父親は現職の大臣。財力もある。
金と権力で不祥事を揉み消す、絶好の立場です。

ただし、父親は娘の言い分しか知らないため、美香ほどの罪はないでしょうが・・・

この4人組は仲良し四人組というだけではない点は、大学生時代の頃から、
特に池内小百合から語られますが、
この小百合が一番このえん罪事件で大きく変わってしまったのではないでしょうか。

特に黒沼さとみは意図していないにはしても、彼女を頼ったおかげで、
人生の絶頂とどん底を味わっています。

美香の家も最後家庭崩壊するのですが、しかし、これはえん罪事件による
ものだけではありません。
夫である清水真也が浮気したことは、この事件を聞かされたから、だけでしょうか?

西川自身も死んでしまい、両親も亡くなった今、彼女たちに復讐しているのは
誰なのかが、最後までわかりません。
しかし、この犯人の行動も、復讐という面だけでなく、贖罪という面も大きいような
気がします。

ところで、ものすごく蛇足でかつ物語に一切関係ないのですが・・・
4人組の一人である轟淳子と、同じ同級生の馬場百合香が母校で講師をしているという
のは、かなり恵まれているよなあ。また20代の若さで大学講師とは・・・(笑
後にいずれも非常勤講師ということが判明しますが、それでもすごい。
今の時代は考えられませんね。


闇が呼んでいる (徳間文庫)

闇が呼んでいる (徳間文庫)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2019/05/14
  • メディア: 文庫



闇が呼んでいる (幻冬舎文庫)

闇が呼んでいる (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2003/09/30
  • メディア: Kindle版



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

三毛猫ホームズの証言台 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

因縁めいたつながりのある人々が集った“高原ホテル”。法廷で決定的な証言をし
無罪をもたらした女性と結婚した千葉。大企業の社長令嬢の婿となった記憶喪失の男、辻川。
彼の出現により未来を失った安西…。奇しくもホテルに同行した片山刑事たちは、
複雑な人間閑係が巻き起こす事件に対峙する。そして、ホームズの可愛らしい後輩も登場!
国民的大人気シリーズ第51弾!

はや51作目ですか。いや本当に長寿シリーズです。
本作は「高原ホテル」が舞台となりますが、ホテルで思い出すのは
やはり「黄昏ホテル」
本書も「黄昏ホテル」同様、まさに解説文にあるように因縁めいたつながりの
ある人々が集います。

それにしても、これだけの登場人物を本当にうまく描ききるなあと感心します。
プロローグのおそらくは虚偽の証言をした森川礼子と、それを依頼した千葉克茂。
この二人の物語が次項から始まるかと思いきや、お見合い叔母さんの異名を取る
児島光枝が登場し(笑)さらには辻川寿男とその妻・友世・・・と
目まぐるしい場面展開にもかかわらず、読みづらさを感じない。さすがです。

本作ではホームズの弟子(?)パリという子猫が登場します。
どういう風貌なのかはっきり書かれていないのですが、ホームズがなにやら指導をしている
場面もあるし、かなり優秀な弟子のようです。

最後の大団円は、ご都合主義といってしまえばそれまでですが、
しかしこれがホームズや片山たちが持つ事件解決の力なのでしょう。

今回の解説で山前譲さんは、カッパノベルズ刊行時の<著者のことば>を
引用して、このシリーズのおおまかな流れを説明されています。

ところが文庫購入だとこの<著者のことば>を読めず、今回紹介されて、
改めて本シリーズの位置づけの変遷を垣間見ることができた気がします。


「推理」や「狂死曲」「怪談」「降霊騒動」といった作品群から、
「花嫁人形」「危険な火遊び」「怪談を上る」そして本作「証言台」。
山前さんも指摘されるように、本シリーズは現実社会の変遷を相当受け入れつつも、
そこにホームズ・片山姉妹・石津刑事・栗原捜査一課長といった「変わらない」
シリーズキャラクターを入れる事で、現代社会や時の世相へ常にメッセージを
送り続けているのでしょう。
赤川さんはそれを一貫して行ってきたのかもしれませんが、
やはり初期・中期と比較しても、この色合いは近年の作品群に多く見受けられる
気がします。

とはいえ、前にも書きましたが、初期・中期の作品群のテイストも読みたいのは確か(笑
先生、ぜひお願いします。


三毛猫ホームズの証言台 (光文社文庫)

三毛猫ホームズの証言台 (光文社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/04/11
  • メディア: 文庫



三毛猫ホームズの証言台 (光文社カッパ・ノベルス)

三毛猫ホームズの証言台 (光文社カッパ・ノベルス)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/12/20
  • メディア: Kindle版



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

ゴールド・マイク [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

川畑あすかは友達の佳美とともにオーディションに挑戦していた。三度目にもかかわらず、
“あがり性”のあすかは、途中で歌えなくなってしまう。ところが、本選終了後に
審査員のNK音楽事務所中津が声をかけたのはあすかだった!佳美にそのことを話せぬまま、
アイドルへの道を進みだしてしまったあすかは一気にスターへの階段を駆け上がるが、
周囲には大人たちの黒い思惑が渦巻いていた!

この作品はダブル主人公という、赤川作品では珍しい作品だと思います。
しかも、芸能界を舞台としており、「川畑あすか」は偶像世界の、「前田佳美」は現実世界の、
というある種の棲み分けが出来ているんではないかと深読み。

あすかをめぐる各芸能事務所の思惑や、その関係者、そして家族・・・
ドロドロした汚いものが見える中で、
あすかと佳美は、自らを見失うことなく、力強く前に進んでいきます。
これがとても素晴らしい。

そして全てを見通しているかのような存在である佳美の彼氏・高林悟。
実のところ真の主人公ではないかと思いました。

ひとつ腑に落ちないのは、川畑亮の事件。
結局亮が殺人犯だったようですが、あの場面や説明はちょっとよくわかりませんでした。


それにしても赤川作品が続きました。やっぱり面白いんですよね。


ゴールド・マイク (徳間文庫)

ゴールド・マイク (徳間文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2019/02/08
  • メディア: 文庫



ゴールド・マイク (幻冬舎文庫)

ゴールド・マイク (幻冬舎文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2001/10/01
  • メディア: 文庫



ゴールド・マイク (幻冬舎文庫)

ゴールド・マイク (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2001/09/30
  • メディア: Kindle版



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

スパイ失業 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

入院中の夫と中1の娘を抱える主婦のユリ。その正体は東ヨーロッパにある小国のスパイだった!
しかし財政破綻で祖国は突然消滅、ユリが表の仕事である通訳に専念しようと決めた矢先、
駅のホームから突き落とされかけたり、派遣先のパーティ会場で大臣を狙う暗殺者に遭遇したりと、
周囲が騒がしくなる。ついには夫と娘にも危険が迫り、ユリは謎の敵に立ち向かう―。
すべては家族を守るため。戦う母のユーモアミステリー!

以下、ややネタバレ。





赤川先生の作品では殺し屋(元殺し屋)や泥棒などは主人公で多く登場しますが、
スパイはあまり居ないイメージです(知らないだけでしたらすいません。)
本書のタイトルが、中を読むと実に皮肉が効いていて、
これまで勤めてきた「スパイ」的な仕事(実際は単なる情報収集のみ)より、
国が無くなり、その仕事を失業してからの方が、スパイの仕事をしているんですよね。
スパイというより007に近いくらい。
しかも他人がユリをそのように見ている(特殊諜報部員)というのもまた皮肉です。

自分の夫が重大な秘密を握っているものの、直接に夫婦でその話は語られない所や、
最後に登場する黒幕がある超意外な人物だったりと、意表を突くドンデン返しもあり、
一気読み、間違いなしです。

そして確実に怪しいユリの相方(?)を勤めることになる河本くんが
怪しいだけで、何の関係もないけども、ものすごく度胸が据わっている人物だったり。
一国の隠し財産を巡る、凄惨な争いが描かれるのですが、その凄惨さを覆い隠す
ユーモアを実ニうまく織り交ぜています。さすが赤川先生。

最後のある超意外な人物の所は、物語を離れ、日本がスパイ天国を言われている皮肉にも
読めましたが、さすがにこれは深読みでしょうね。


スパイ失業 (角川文庫)

スパイ失業 (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫



スパイ失業 (角川文庫)

スパイ失業 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: Kindle版



スパイ失業 (ハルキ文庫)

スパイ失業 (ハルキ文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2000/12/01
  • メディア: 文庫



nice!(8)  コメント(8) 
共通テーマ:

明日に手紙を [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

製品に欠陥のある洗濯機が原因で、女性が感電死する。製造元のK電機工業は欠陥を知りながら
それを認めず、世間から非難を浴びる。そんな悪い状況から抜け出したいK電機工業の成瀬は、
被害者家族の平田夫婦や不買運動をしている人々の絆を壊すため、
捏造した手紙を出す計画を提案する。その計画は思惑通りに進んでいくかに思われたが…。

良くも悪くも、一族経営に近いK電機工業、社長は後半部分でまともな対応に出るのですが、
息子が酷すぎる。社長の対応だけではおそらくもう会社の建て直しは無理でしょうね・・・

K電機ばかりを攻めるマスコミや、被害者家族、不買運動を続ける人々を
混乱させる目的で書かれた手紙。
それがK電機への不買ではなく、平田家の現実のものとなるというのは
手紙を出した成瀬夫人やこれを画策した武藤副社長も予想だにしなかったでしょう。

一方、現代社会で手紙、というのはせいぜい年賀状で残っているくらいでしょうか。
それすらも、LINEやe-mailで事足りる世の中になりました。
しかし、手紙の持つ<不気味さ>はLINEやe-mailでは表現できないでしょう。
今の時代でも、突然自分の所へ、奇妙な手紙が届いたら・・・
本作はそんな手紙の持つ異様さ、不気味さも表していると感じました。


明日に手紙を (実業之日本社文庫)

明日に手紙を (実業之日本社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2018/12/06
  • メディア: 文庫



明日に手紙を (中公文庫)

明日に手紙を (中公文庫)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2000/04/01
  • メディア: Kindle版



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

幽霊から愛をこめて [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

高校一年の大宅令子は、編入先の全寮制山水学園へ向かっていた。同行する父は警視庁捜査一課の警部。道中、昨夜起きた殺人事件の話を知る。なんと学園の女子生徒が寮へ戻るところを殺されたという。
直前まで被害者と一緒にいた同級生は「白い幽霊をみた」と話していた。
事件に首を突っ込みたくなるタチの令子は、真相を探り始める。
一方、東京のNデパートでもよく似た殺人事件が発生する!

連続で赤川次郎御大。これも昨年読了済み。

いつもの女子高生主人公が事件を解決するユーモアミステリとはちょっと違います。
舞台は山間の全寮制山水学園だけでなく、東京でも似たような事件が起こり、
さらには主人公が3か月以上も行方不明になるという、大事件に。
ラスト、主人公へは伝えられない、ある非常に辛い真実が明かされるのですが、
令子は気付きそうですね。

単なる殺人事件に留まらず、なぜ殺人事件が起こり、令子にそっくりの人物までが目撃されるなど、
山水学園やその背後にある団体の真の目的はかなり驚きました。
赤川先生の作品で、幽霊とタイトルが付くと、だいたい本物の幽霊が登場したりするのですが、
それでもユーモアミステリなんですよね。
しかし、本作はそうではなく、なんというかカルトかつ普通に現在でも起こる可能性が
あるのではないかと感じました。


幽霊から愛をこめて (徳間文庫)

幽霊から愛をこめて (徳間文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: 文庫



nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

ローレライは口笛で [赤川次郎]

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

新年一発目は昨年読了本から。
まずはAmazonさんの紹介ページから。

ナース仲間の久江、和子、千寿の三人は、休暇を取ってヨーロッパへ。ライン川の遊覧船で、
初老の紳士が具合を悪くした。彼を助けた千寿は、お礼にチェスの駒が付いたキーホルダーをもらう。
その紳士が行方不明になっている大学教授だと知った彼女は、帰国後、研究室に連絡をするが…。
口笛が奏でるローレライ。美しいメロディが、彼女たちを殺人事件へと誘う!

場面展開がめまぐるしい。そして本作はダブル・ヒロイン。
犯人はすぐにわかります。しかしそんなことは赤川次郎作品には関係ありません。

ローレライの音色、そして口笛、この辺りは恐怖を感じますね。
最後の場面はまさか自首のために警察へ行く二人とは到底思えず、
デート中の二人にしかみえない描写なのは、赤川次郎先生らしい作品。

ローレライそのものは、殺し屋の好きな曲だったのかなあ。
その辺りはたしか描かれていないんですよね。

一点いえば、この病院には入院したくない(笑


ローレライは口笛で 新装版 (光文社文庫)

ローレライは口笛で 新装版 (光文社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/11/08
  • メディア: 文庫



ローレライは口笛で 新装版 (光文社文庫)

ローレライは口笛で 新装版 (光文社文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/11/20
  • メディア: Kindle版



nice!(4)  コメント(5) 
共通テーマ:

悪の華 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

団地に住む一人の主婦が射殺された―。彼女の葬儀の日、7年ぶりに顔を合わせた“悪い仲間”たち。
現在は会社社長、ピアニスト、主婦とそれぞれの生活を送っている。その平和を脅かすように、
過去に仲間の1人を殺したあいつが帰って来たのだ!!一方、会社社長の背後に忍び寄る、
刑事と女性警察官の影。1人、また1人と仲間があいつの手で殺されてゆく…
最後に残るのは一体誰!?悪の悲しさと儚い友情を描いた傑作サスペンス。


まさに息をもつかせないジェットコースターのような、赤川作品らしい展開。
平凡な主婦(と思われた)谷沢佳子が拳銃で殺される冒頭のシーンは個人的には
物語に惹き込まれました。

神崎や迫田、綾子らが過去にどんな「悪」をしていたのかはっきりとは描かれません。
しかし、現在の生活はまともでも、物語の端々に出てくる、彼らの行動。
それは、たとえ、<ノラ>の出現がその引き金になったとしても、「悪」そのもの。

一方でそんな神崎に、警察官でありながらそれを裏切り、上司とまで撃ち合いをする
永峰静江という女性は、神崎のことが好きだからこその行動だったのでしょうか。

彼が生きているのは、多くの人の死の上にあることはまちがいありません。
神崎は最後まで生き残りますが、彼にとってそれは幸せだったのかどうか。



悪の華 (角川文庫)

悪の華 (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/09/22
  • メディア: 文庫



nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

本日は悲劇なり [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

早朝の教室で女子高生が原因不明の自殺をした。レポーターとして事件の取材をしていた白木は、
少女の死を喜ぶ級友や嘘の発表をする学校に興味を抱き、自殺の原因を探り始める。
調査を進めるうちに、何者かの妨害を受けながらも、少女の遺書を教師が隠したという噂を知る。
真相究明のため遺書を探し出そうとする白木だったが…。少女の自殺の裏に隠された真相とは。
驚愕の結末の表題作他1編収録。

表題作はマスコミの各報道への極めて皮肉のこもった作品。
スクープを見つけるために手段を選ばない白木の行動は自業自得でしょうが、
女子高生の「遺書」をどうすべきだったかは、今なら学校の対応が問われる気もします。

「1/2の我が家」は社宅の妻が自治会長に、会社の夫が課長に、それぞれの生活に
転機が訪れた所から始まる物語。
表題作より最後は救われる話ですが、このラストが赤川先生らしい。



本日は悲劇なり (角川文庫)

本日は悲劇なり (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/09/22
  • メディア: 文庫



本日は悲劇なり (角川文庫)

本日は悲劇なり (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2018/09/22
  • メディア: Kindle版



nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

恐怖の報酬 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

こんなはずじゃなかったのに――。平和な日常が反転する傑作短編集。

大切な来客の駐車場を確保しそこなった昭子。年下の課長から毎日嫌がらせを受ける定年間際の柳井。
公園でガラの悪い男たちに絡まれ、一緒にいた彼氏に置いていかれた友子。
アイドルと共に強盗の人質になった銀行員・明美。
窮地に陥った4人はそれぞれ差しのべられた救いの手を取ろうとするが……。
信じていた日常に裏切られた人間の、もろさとしたたかさを容赦なく描き出す、傑作短編集。

ホラー文庫らしい作品群です。
その中でも救いがある話は第3話「最後の願い」
ラストも最後にまた娘に会えて、会田もうれしかったのではないでしょうか。
もちろん、危害を加えようとしたことは後悔しているかもしれませんが。

第1話は主人公の昭子がプラスマイナスゼロと言っているように、
良いこともあれば悪いこともある、で終わらないところがすごい。
何かと頼りにしてきた三橋とのドライブから、一気に別の物語になったかのようです。
しかもラストは昭子までもがその世界に慣れているところが怖い。

「使い走り」は寺岡の自業自得な話の気もするのですが、
星野貞代が柳井が亡くなった直後に自殺していたという衝撃の事実と、
それが明らかになっても、課の誰もが感動して受け容れたという事実、
さすがに背筋が寒くなりました。感動的にも捉えられるし、恐怖とも捉えられる、
なんとも言いがたいラストです。

一番後味が悪いのは最終話「人質の歌」
とにかく救われる人は誰一人いません。
そして、強盗人質事件にかこつけて悪巧みをする輩たち。
途中、強盗犯とは違う殺人犯が登場するという、犯人のバトンタッチが行われるのは、
極限状態だからなのかと思いきや、実は最後でまた明かされる意外な真相。
とにかく誰一人として救われない物語です。


恐怖の報酬 (角川文庫)

恐怖の報酬 (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/09/22
  • メディア: 文庫



恐怖の報酬 (角川文庫)

恐怖の報酬 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2018/09/22
  • メディア: Kindle版



nice!(6)  コメント(7) 
共通テーマ:

今日の別れに [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

押しに弱く、彼氏の坂西と別れられず困っていた歩美。今日こそはと坂西に会いに行く途中で、
憧れの先輩・南田からデートの誘いの電話が入った。有頂天になった歩美が
その勢いで坂西を強く拒むと、傷ついた坂西は車の前に飛び出しはねられてしまう。
南田とのデートの時間が迫っていた歩美は罪悪感を覚えながらも坂西を見捨て立ち去るが、
そのことが思わぬ形で歩美の人生を歪めていく…。表題作他2編収録。

元々角川ホラー文庫で刊行されていたので、ホラー色がかなり強い作品です。
その中で唯一、赤川作品の少年少女の冒険譚とも言えるのが「角に建った家」
この話で一番気の毒だったのは、家が建った土地の地主でしょう。
いきなり絵に閉じ込められます(苦笑

表題作は主人公の歩美の行動から、家族やその周囲までが不幸に見舞われる話。
坂西や三田智子の恨みの深さは理解できますが、最後に坂西(と智子?)が見せた
優しさが少し救われます。
しかし妹が亡くなった直後の歩美の行動は確かにちょっと・・・

「あなた」は過去に犯罪を犯して逃げた「故郷」に、別人別名として
そして成功者として戻ってきた「町田国男」の物語。

表題作と違い、貞子は「町田」(増田)を恨んではいません。
しかし、増田自身、最後に自らに終止符を打ち、かつ改めて貞子と一緒に旅立つのです。

ラストはかなり意味深な終わり方です。
しかし、良子もひとみも真実を知ることは無いでしょう、それが救いです。



今日の別れに (角川文庫)

今日の別れに (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/09/22
  • メディア: 文庫



今日の別れに (角川文庫)

今日の別れに (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2018/09/22
  • メディア: Kindle版



今日の別れに (角川ホラー文庫)

今日の別れに (角川ホラー文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2003/01/10
  • メディア: 文庫



nice!(7)  コメント(9) 
共通テーマ:
前の30件 | - 赤川次郎 ブログトップ