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赤い部屋異聞 [法月綸太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

作家・法月綸太郎が、偏愛する東西の名作九篇に捧ぐ、オマージュ連作短編集

日常に退屈した者が集い、世に秘められた珍奇な話や猟奇譚を披露する「赤い部屋」。
新会員のT氏は、これまで九十九人の命を奪ったという恐るべき〈殺人遊戯〉について語りはじめる……。江戸川乱歩の名作短篇「赤い部屋」に捧げる表題作ほか、
著者が敬愛する作品へのオマージュだけを集めた、ミステリファンにはたまらない全九篇。

またまた更新が遅く・・・すいません。

本書は法月先生が、様々な媒体に発表した短編を集めた、ノンシリーズもの。
とはいえ、解説にあるとおり、名作のオマージュ揃いになっています。

やはり表題作と「だまし舟」がミステリとホラーの2つの点で秀逸。
前者は後日談がある意味恐ろしいというか、これが真実なのだろうと。
この赤い部屋に集まる人々の欲求は、そこまで来てしまったという。

後者は都筑道夫先生の「阿蘭陀すてれん」への、完璧なオマージュ。
いや何が恐ろしいって、これとにかく何もかもわからずじまいの作品で、
それがさらなる恐怖を引き立てるんですよね。
汐見が『だまし舟』を薦めつつも、また奪い返そうとしたのはなぜなのか。
なぜ先が読めなくなるのか。
遺体の側に落ちていた半分の本は綺麗な状態だった。
自分の理解が及ばないと、本当に恐ろしいのだと感じました。
改めて「阿蘭陀すてれん」を再読したくなりました。

動物好きには「まよい猫」。
これ、ラストがまた上手くて、愛猫が居なくなり、ひどいノイローゼ状態から
こうなったのか、それとも実はラストが真実なのか・・・・

言いしれぬ恐怖が余韻となるのは「続・夢判断」
法月先生は夢オチとラストを書いてますが、これは結構怖い。
俳優の演技力テストというところまで看破した主人公ですが、その先は果たして・・・

新本格と名探偵をある意味テーマにしたのが「迷探偵誕生」
悪魔と契約し、絶対誤りのない名探偵になる。しかし推理が外れた場合は魂を奪われる、
一見悪魔にメリットがあるのかと思う話ですが、
平行世界において無数の自分が誤った推理により、悪魔に多くの魂が奪われていたという
なんとも現代的な仕組みだなと、感心してしまいました(笑
悪魔も今までのやり方じゃあダメだということで、色々と悪魔だけに悪知恵が働くなと。




赤い部屋異聞 (角川文庫)

赤い部屋異聞 (角川文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2023/05/23
  • メディア: Kindle版






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コースケ

みなさま、いつも御訪問とnice!ありがとうございます!細々ながら続けていきます。
by コースケ (2023-08-22 00:00) 

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