SSブログ

月下美人を待つ庭で-猫丸先輩の妄言 [倉知淳]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

先輩がいると、この世は不可思議で、たまらなく面白い。

巧みな話術のうちに意外な結論に辿り着く
謎解きの醍醐味あふれる五編を収録

名探偵・猫丸先輩の、気ままなる生活と推理。

電光看板の底に貼り付けられた不規則なアルファベットの文字列、
亡き母が残した庭にかわるがわる訪れる悪気なさそうな侵入者たち――
風変わりな名前の“先輩”は日頃ふらふらしては、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。
そして、どうにも理屈の通らない謎も、彼の饒舌にかかれば、
ああだこうだと話すうちにあっという間に解き明かされていくから不思議だ。
さて、名探偵・猫丸先輩の推理は如何に。


猫丸先輩が還ってきた!
「推測」「空論」ときて、ついに「妄言」となってしまいました(笑
しかし、それでも猫丸先輩のおしゃべりは止まらない。

後輩の八木沢も登場し、相変わらずやり込められるのは、シリーズ当初からのお約束。

「ねこちゃんパズル」はこれぞ猫丸シリーズを彷彿とさせる一編。
それが最初に配してあるのは流石の一言。
本作の中で、猫丸は大きく2つの推理を披露しますが、その2つ、果たして
どちらが正しく、どちらが間違っているのか。
いや、そもそもいずれも違うかもしれない。
『五十円玉二十枚の謎』の時から、実はそこまで進歩していないのが猫丸先輩でしょうね。
この話、どうとでも取れるというのが実に上手く、それこそが猫丸シリーズの神髄なのでしょう。

「恐怖の一枚」は、場所が心霊雑誌系のアルバイトだからか、
猫丸が怖がらせるために、恐るべき推理をわざと組み立てたと、相当穿った見方を(笑
とはいえ、本作では表題作につぐ2位の秀作かと。
一見平凡な写真から、物語を一気に恐怖に包んでいく過程は流石の一言。

「ついているきみへ」。犬を一時的に攫った理由は見事の一言。言われてみれば・・・です。
この猫丸は、以前のシリーズにもある、キューピッド役をしようとしているのかも。

「海の勇者」。
この話の猫丸の推理は、全て嘘なのですが、この嘘、確かに何のために付いたのか。
バイトリーダーたる尚洋にお灸を据えるためだったのか?
それとも、大雨の中、身動きがさほど取れないので、暇つぶしなのか。
謎すぎる行動も、猫丸先輩の魅力です。

表題作「月下美人を待つ庭で」
綺麗なタイトルです。そんな庭に突如侵入者が次々現れるという奇怪な出来事に、
猫丸が理路整然とした推理を突きつける。本作愁眉。
相変わらず突拍子もない事例を持ち出すのですが(ここでは鳥居)、
それが上手い例えなので、唸るしかない。

猫丸シリーズは、短編が続いてますが、シリーズ唯一の長編『過ぎゆく風はみどり色』
だけなので、そろそろ長編が読みたいですね。
この長編、珍しく猫丸先輩がシリアスになるのですよ。
とはいえ、長短編問わず、これからもシリーズが続くことを祈念します。


月下美人を待つ庭で:猫丸先輩の妄言 (創元推理文庫)

月下美人を待つ庭で:猫丸先輩の妄言 (創元推理文庫)

  • 作者: 倉知 淳
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2023/03/20
  • メディア: 文庫






nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

nice! 5

コメント 5

コースケ

サイトー様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2023-09-30 22:17) 

コースケ

xml_xslさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2023-09-30 22:18) 

コースケ

@ミック様さま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2023-09-30 22:18) 

コースケ

鉄腕原子様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2023-09-30 22:18) 

コースケ

31様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2023-09-30 22:18) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。