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ヨルガオ殺人事件 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

カササギ殺人事件』から2年。クレタ島でホテルを経営する元編集者のわたしを、
英国から裕福な夫妻が訪ねてくる。彼らが所有するホテルで8年前に起きた
殺人事件の真相をある本で見つけた──そう連絡してきた直後に娘が失踪したというのだ。
その本とは名探偵アティカス・ピュント・シリーズの『愚行の代償』。それは、
かつてわたしが編集したミステリだった……。
巨匠クリスティへの完璧なオマージュ作品×英国のホテルで起きた殺人事件!
『カササギ殺人事件』の続編にして、至高の犯人当てミステリ!

“すぐ目の前にあって──わたしをまっすぐ見つめかえしていたの"
名探偵アティカス・ピュント・シリーズの『愚行の代償』を読んだ女性は、
ある殺人事件の真相についてそう言い残し、姿を消した。
『愚行の代償』の舞台は1953年のイギリスの村、事件は一世を風靡した女優の殺人。
誰もが怪しい事件に挑むアティカス・ピュントが明かす、驚きの真実とは……。
ピースが次々と組み合わさり、意外な真相が浮かびあがる──
そんなミステリの醍醐味を二回も味わえる、ミステリ界のトップランナーによる傑作!

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
と、もう1月も半ばを過ぎてしまいました。
越年し過日読了したのが、この『ヨルガオ殺人事件』
以下、ややネタバレ。




いや、ずいぶんと読了まで時間がかかってしまいました。
決してつまらなかったとか、そういう訳ではなく、なんでしょうか。
1つ言えるのは、海外ミステリは登場人物を何度も見返すのが多くなり(苦笑)
今回の場合、作中作もあるため時間がかかってしまったのかなあ。

『カササギ殺人事件』の続編で、名探偵アティカス・ピュント、再び。
そして作家アラン・コンウェイの元編集者であるスーザン・ライランドも当然ながら
再び登場します。


前作は作中作が断然面白かったのですが、今回はどちらも楽しめました。
それにしても、ピュントの「名探偵、みんな集めてさてといい」の場面は、
本当にエルキュール・ポワロを彷彿とさせますね。
前作は病に冒されて、かなり衰弱していたので、本作のピュントはまるで別人です。
ホームズのように、犯罪に関する本まで書いているとは・・・。
なんというか、ポワロっぽくないので、やや鼻につきますね(笑

ところで話は少し脱線しますが、過日AXNミステリで
「アガサ・クリスティー ポワロ&マープルとともに歩んだ100年」を観ました。
ここにホロヴィッツ氏も登場していて、おお、こういうルックスなのかと。
ちなみにヘイスティングス大尉役のヒュー・フレイザー氏、
ジャップ主任警部役のフィリップ・ジャクソン氏も出ていて、かなり楽しめました。

閑話休題。
本作は事件の、というかスーの事件関与の仕方が中々面白く、
しかも、最終的にその関与のきっかけに全ての謎を明らかにする鍵が
あったというのが実にお見事。
「この本の最初のページを読んで確信した」というセシリーの言葉。
これが本当に全てを物語っていたという、非常に練られた構成だったと感じました。

また、ピュントと同様、スーは本事件の関係者のあらゆるものを暴いていき、
最後に真犯人を名指しし、その犯行を明らかにするところ、つまり「みんな集めて」
の場面もこれまた読み応え十分。その活躍はピュント以上でしょう。

個人的にはその前の<荒地の家>での、マーティン・ウィリアムズへの名推理が
一番好きですね。フクロウの石像を落としたのは藪蛇以外の何物でも無い。

ただ、こちらの事件はセシリーが異常に相性であるとか、占いであるとかを
信じるという(これを看破したスーも見事)性格が災いしたのはわかるのですが、
本人は夫の事を愛していたのでしょうかねえ。というか浮気しているし。
まあ、本当に好きな人とは結婚出来なかった可能性はありますが。

事件を依頼してきたトレハーン夫妻も、最後の謎解きやスーへの手紙など、
自分たちで依頼してきてその態度はないだろう、とやや憤慨しました。
真実が決して依頼人にとって幸せなものかどうかなど、解るはずはないのに。
まあ、手紙では反省していたので許しますが(笑

ピュントの事件は最終作を読んでいるだけに、そもそも登場人物に違和感を感じてしまい、
なんとなく怪しいなというのがあったので、メインよりも少し驚きは劣りましたね。
最初の事件は、索条痕が2つあるというのが極めて大きなヒントで、
あとは真犯人は誰なのかというところ。
2番目の事件は、正直なところあまりその風景、イメージが浮かびませんでした。
(私の想像力不足ですね。)
しかしピュントはこの事件はただ働きですね。

本シリーズ、最後を読む限りではこれで完結のような気がするのですが、
アティカス・ピュント・シリーズだけを執筆して刊行してほしいなあ。
まだまだタイトルだけ登場して、語られていない事件が多いですし。



ヨルガオ殺人事件 上 〈カササギ殺人事件〉シリーズ (創元推理文庫)

ヨルガオ殺人事件 上 〈カササギ殺人事件〉シリーズ (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2021/09/13
  • メディア: Kindle版



ヨルガオ殺人事件 下 〈カササギ殺人事件〉シリーズ (創元推理文庫)

ヨルガオ殺人事件 下 〈カササギ殺人事件〉シリーズ (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2021/09/13
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コメント 9

コースケ

鉄腕原子様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-01-16 18:34) 

コースケ

xml_xslさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-01-16 18:34) 

コースケ

@ミック様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-01-16 18:35) 

コースケ

yamさま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2022-01-16 18:35) 

コースケ

サイトー様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2022-01-16 18:36) 

ゆーじあむ

コースケさん、こんばんは(^_^)/
この作品、私も面白く読んだのですが、特に上巻は読むのに時間がかかりました^_^;

ホロヴィッツさん、少し前のNHKのホームズ・ドキュメンタリーにも出演されていて、「ああ、どちらも大好きなんだな」と思いました。

by ゆーじあむ (2022-01-28 23:35) 

ゆーじあむ

コースケさん、大変申し訳ございません。
拙ブログにコメントが投稿されたときの通知設定に不備があって、この約2年間分のコメントを見落としていて、2020年の拙ブログの『その裁きは死』の記事に対してコメントを頂いていたのを見逃していました。
大変申し訳ございません。
これからも、よろしくお願いいたします。
by ゆーじあむ (2022-01-29 16:20) 

コースケ

31様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2022-01-29 19:05) 

コースケ

ゆーじあむ様、こんばんは。
コメントの件、お気になさらないで下さい。
わざわざ痛み入ります。

やはりジェレミー・ブレッドの、「シャーロック・ホームズの冒険」が、大きな成功だったんでしょうね、
それが「名探偵ポワロ」を生む原動力にもなったと思います。
この2作は、ドラマ化の金字塔だと思います。

次はホーソーンシリーズ最新作でしょうかね?
これもまた癖のある探偵ですよね(笑

by コースケ (2022-01-29 19:07) 

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