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死の快走船 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

白堊館の建つ岬と、その下に広がる藍碧の海。美しい光景を乱すように、
海上を漂うヨットからは無惨な死体が発見された……堂々たる本格推理を表題に据え、
早逝の探偵作家の魅力が堪能できる新傑作選。
愛憎の末に行き着く水中の惨劇を描いた犯罪奇譚「水族館異変」、
午後三時に急行列車三等車の三両目を利用する怪しげな旅行団体をめぐる「三の字旅行会」、
相次ぐ広告気球脱走事件に隠された奸計をあばく防諜小説「空中の散歩者」など
多彩な作風が窺える十五の佳品を選り抜く。

初めて読む作家さんです。
読んでいる途中で、『とむらい機関車』を購入しなかったことを後悔しました。
戦前に書かれたもの、確かにそうですがそんな古さを感じさせない作品群。

表題作「死の快走船」は本格ミステリ。秀作でしょう。
フーダニットをど真ん中からいき、探偵が緻密な推理を重ねていきます。
犯人当てもですが、最後の動機や事件の背景もかなり凝っていて、素晴らしい。

さて、本格ミステリというのをどう定義するかという問題になりますが、
この表題作以外は、江戸川乱歩の言う「奇妙な味」に属する作品が多い印象。

「求婚広告」などは、ドイルの「赤毛組合」を彷彿とさせる作品で、
ラストもハッピーエンドというのも良いです。
しかし、求婚広告かあ。今の時代にやったらどうなるのだろうか。
「人喰い風呂」もこれまた「赤毛組合」に近いのですが、これだけは結末が分かりました。
面目躍如(笑

「正札騒動」も同系統ですが、こちらは鮮やかなラスト。
本作愁眉挙げたいのは「三の字旅行会」。これは実に良く出来ている作品で、
奇妙な案内人の語る聞くも涙語るも涙に近い、これまた実に奇妙な話。
あの場で瞬時にストーリーを思いついたとすれば天才です。

「空中の散歩者」は本格ミステリといって良いと思うのですが、
本作は時代背景が色濃く出ている作品でもあります。
よくよく考えてみると、犯人はすぐわかるのですが、ホワイダニットが
全くわからないので、上手いなあと感じました。

こういう短編集を読んでいると、幸せな気分になれますね。
いよいよ読書の秋なので、色々とまた読みたいと思います。


死の快走船 (創元推理文庫)

死の快走船 (創元推理文庫)

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/08/12
  • メディア: 文庫



死の快走船 (ミステリ珍本全集04)

死の快走船 (ミステリ珍本全集04)

  • 出版社/メーカー: 戎光祥出版
  • 発売日: 2014/07/07
  • メディア: 単行本



大阪圭吉 作品全集

大阪圭吉 作品全集

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2020/07/26
  • メディア: Kindle版



銀座幽霊 (創元推理文庫)

銀座幽霊 (創元推理文庫)

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2001/10/25
  • メディア: 文庫



とむらい機関車

とむらい機関車

  • 作者: 大阪 圭吉
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2012/10/02
  • メディア: Kindle版



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コメント 7

コースケ

鉄腕原子様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-09-27 18:59) 

コースケ

@ミック様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-09-27 19:00) 

コースケ

31様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-09-27 19:02) 

コースケ

とも~る様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-09-27 19:02) 

コースケ

ネオ・アッキー様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-09-27 19:02) 

コースケ

むうぴょんこ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-09-27 19:02) 

コースケ

SORI様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-10-18 20:38) 

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