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ようこそ授賞式の夕べに-成風堂書店事件メモ(邂逅編)- [大崎梢]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

書店員がその年一番売りたい本を選ぶ書店大賞。その授賞式の当日、
成風堂書店に勤める杏子と多絵が会場に向かおうとした矢先、福岡の書店員・花乃が訪ねてくる。
「書店の謎を解く名探偵」多絵に、書店大賞事務局に届いた不審なFAXの謎を解いてほしいという。
同じ頃、出版社・明林書房の新人営業マンである智紀にも、同業の真柴を介して
事務局長直々に同様の相談が持ち込まれる。華やかな一日に不穏な空気が立ちこめて……。
授賞式まであと数時間。無事に幕は上がるのか?!
〈成風堂書店事件メモ〉×〈出版社営業・井辻智紀の業務日誌〉、
両シリーズのキャラクターが勢ぞろい。書店員の最も忙しい一日を描く、本格書店ミステリ。

大崎梢さんのデビュー作であり、元々書店員であった経験を活かして書かれた
成風堂書店シリーズ。その後にヒツジくん、いやいや井辻くんシリーズも
始まり、どちらも好きで読んでいました。

大崎さん自身はその後作風の幅を一気に広げ、
(私が読んだ中でも「片耳うさぎ」や「ねずみ石」などジュブナイルに近い作品など)
現在も幅広く活躍する作家さんです。

本書は2013年に書かれた、上記2シリーズがクロスする特別編。
しかも、題材は書店大賞(本屋大賞のことですね)。
以下、ややネタバレ。


本作で描かれる事件は、飛梅書店の店主が書いた恨み言の真相が
本作愁眉。なるほど!と。

それ以上に、本書は書店業界(出版業界)が置かれた現状が書かれていることが
興味を惹きました。
乱立している本への「ポップ」や、書店大賞アンチ派の意見。
「作品に順位をつける行為そのものが不愉快だ」という上戸の意見に代表されるように。

私自身も帯文句やポップはあまり好ましいとは思っていないところがあって、
アンチ派なのかもしれませんね。
しかし、本で糧を得ている人からすれば、そうした行為は売上をあげるために
やることであり、本屋大賞もその1つの方策な訳です。
現実問題として、大半が電子書籍で紙の本が無くなる、なんてことも考えられる
世の中になってきてますし、そうなってしまっては本好きだとかアンチだとか、
言ってられません。

解説で2003年の直木賞の「受賞作なし」が、出版社や書店にとって極めて大きな事態であったことが、本屋大賞の種となったことを宇田川拓也さんが書かれていますが、言われて初めて気付きました。
「受賞作なし」というのは、私からすると妥当な作品が無かった程度の認識だったのですが、
それにより、その作品だけで無く、その作家さんの作品も多く販売が見込めるわけで、
業界の方にとっては、確かに死活問題。

さて、本シリーズはどちらも最近新刊が出ていないので、ぜひ
そろそろ新作を希望します。



ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編)) (創元推理文庫)

ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編)) (創元推理文庫)

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/02/20
  • メディア: 文庫



ようこそ授賞式の夕べに 成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)

ようこそ授賞式の夕べに 成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/02/20
  • メディア: Kindle版



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コメント 5

コースケ

はじドラ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2017-03-12 22:37) 

コースケ

31さま、nice!ありがとうございます~
by コースケ (2017-03-13 20:21) 

コースケ

なか様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2017-03-14 21:54) 

コースケ

ありさ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2017-03-14 21:55) 

コースケ

ネオ・アッキー様、nice!ありがとうございます~
by コースケ (2017-03-16 21:21) 

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