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桃ノ木坂互助会 [川瀬七緖]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

厄介事を起こすのは、いつだってよそ者だ。七十歳の光太郎は憤慨していた。
われわれが町を守らなくては――。そこで互助会の仲間たちと手を組み、
トラブルを起こす危険人物を町から追い出し始める。その手段はなんと嫌がらせ!? 
老人だからこそできる奇想天外な作戦はなかなか好調に思えたが……。
大家と揉めていた男を次なるターゲットに決めたことから、事態は思わぬ方向へと動き始める。

老人たちの暴走とも受け取られかねない、この桃ノ木坂互助会の活動。

害を及ぼす「よそ者」を、様々な嫌がらせで追い出しにかかる、熊谷光太郎と互助会。
そしてDV加害者を依頼で苦しめる鈴木沙月とその姉優月。

この両者が巡り会うのは、桃ノ木にDV加害者が居ることから、始まります。

本書で描かれるのは、自分たちの住む町を良くしたいと考える、その町に
長く住む住人たち。
しかし、それは一歩間違えれば、現実社会でもある、村八分、もっと小さなことで言えば
町内会、しきたり、伝統、そんな言葉で縛られた誤った倫理観へも繋がりかねません。

沙月たちとの対立の際、互助会はその活動を大きく踏み外そうとする行動を見せます。
主人公の光太郎らはこれを危惧するものの、考えや行動を押し留まらせるには
至らず、結果的に、沙月らをDV加害者・武藤から救ったことで、
一連の事件は丸く治めることになりました。

最後に沙月が推理する、桃ノ木坂互助会のある人物の病気については、
一連の事件での、(本人は意図していないとしても)「黒幕」が誰であったかを
わからせる話でもあり、実は互助会、古くからの地域住民が、地域の事件・事故を
引き起こしていたという、極めて強烈な皮肉で幕を下ろします。
これから光太郎らはどうこの互助会の中で、どう振る舞っていくのか、
ラストは決して大団円でなく、不安をひきずる終わり方になっています。

自分たちにとって正しい、正義であると信じていても、
いつからかそれが、相手、あるいは社会にとって悪であることに変化することも
あるわけで、本書はそうした側面も持っていると感じました。


桃ノ木坂互助会 (徳間文庫)

桃ノ木坂互助会 (徳間文庫)

  • 作者: 川瀬 七緒
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2016/01/07
  • メディア: 文庫



桃ノ木坂互助会 (徳間文庫)

桃ノ木坂互助会 (徳間文庫)

  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2016/01/08
  • メディア: Kindle版



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コースケ

ストックン様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-01-16 20:58) 

コースケ

鉄腕原子さま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-01-16 20:58) 

コースケ

@ミックさま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-01-16 20:59) 

コースケ

ネオ・アッキー様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-01-16 21:02) 

コースケ

むうぴょんこ様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2020-01-20 19:55) 

コースケ

ユウ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-01-20 19:56) 

コースケ

31様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-01-20 19:56) 

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