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あいにくの雨で [麻耶雄嵩]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

町に初雪が降った日、廃墟の塔で男が殺害された。雪の上に残された足跡は、塔に向かう一筋だけ。
殺されたのは、発見者の高校生・祐今(うこん)の父親だった。8年前に同じ塔で、
離婚した妻を殺した疑いを持たれ、失踪していた。母も父も失った祐今を案じ、
親友の烏兎(うと)と獅子丸は犯人を探し始める。そんな彼らをあざ笑うように、
町では次の悲劇が起こり――。衝撃の真相が待ち受ける、青春本格ミステリ。


以下、少しネタバレあり。



巽昌章さんの解説が、この作品の麻耶作品群内での位置づけ等々、
非常に良くまとめられていますので、ぜひそちらもあわせて。

メルカトル鮎で周囲を騒然とさせるデビューをし、そのシリーズを重ねてきた
講談社で、本書が刊行されたというのは、同時代的に考えると、千街晶之さんの
言葉も頷けるところがありますね。

私が本書を読了した後に感じたのは、『隻眼の少女』に似た印象を受けました。
それと、登場するメインキャラクターの名前が、相変わらず麻耶先生らしいという(笑)
あれ、なんて読むんだっけ?と何度も確認してしまいました。

本書は一応青春本格ミステリとあるのですが、
塔で起きた一連の事件の謎と、生徒会での不正を追うスパイ活動の2つで
主に構成されています。
後者の活動は、青春ミステリと銘打つミステリの中でほとんど見られない話で、
結構珍しいと思いつつ、実際、もう少しこちらをメインにしても良かったのでは
ないかという思いもあります。

前者は,私は赤川次郎先生で慣れすぎているのか、高校生が名探偵役として活躍するのが
当たり前になってしまっているので(笑)、そこまで驚きませんが、
鳥兎と獅子丸が探偵役として活動していいきます。
むろん、後者もこの二人がスパイ役です。

しかし、ミステリの部分については、最初の冒頭で塔からの脱出トリックが読者に
早々に明かされ、その後はそれに至る経緯が書かれていくのが本書の特徴でしょう。

つまり、なぜ犯人が塔でこのような犯罪を行ってきたのかを、読者が読み解いて
いくというのが、本書の謎解きになるのだろうと思います。

とはいえ、この結末は予想できそうで、予想出来なかった、な・・・
反抗期がこちらの想定や予想を遙かに超えたと考えるべきかと思いましたが。

それまでの事件の謎を解き明かすという行動はそもそも何だったのかいう
疑問も当然出てきますし、ラストも果たしてこの後どうなるのか、余韻を残す
終幕となっているのも気になります。

なんとも評価というか、感想が難しい作品でした。


あいにくの雨で (集英社文庫)

あいにくの雨で (集英社文庫)

  • 作者: 麻耶雄嵩
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/10/03
  • メディア: Kindle版







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コメント 6

コースケ

@ミック様さま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-02-23 22:39) 

コースケ

サイトー様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-02-23 22:39) 

コースケ

xml_xslさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2022-02-23 22:39) 

コースケ

鉄腕原子様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2022-02-23 22:40) 

コースケ

31さま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2022-02-23 22:40) 

コースケ

むうぴょんこ様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2022-03-01 20:28) 

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