長い夜

夏なので、ちょっとホラーものを。

一家心中をしようと決意した親子の前に
現れた一人の男。
彼は借金の肩代わりを条件に
自分の娘と孫の死の真相を
探るためにとある町へ引っ越して
ほしいというものだった。
彼らを待ち受けるものとははたして・・・


得体の知れない「何か」を取り込んで
しまった少女ルミと主人公白浜仁美とが
対峙する場面は全編の中でも
屈指のワンシーン。
仁美の優しさや赤川作品主人公に
よくみられる物怖じしない性格などが
よく表現されています。

一方で仕事を依頼した小西や
ひょんな事から運転手を勤めることになった三神
のコンビ（？）も決して脇役ではなく、
もう一組の主人公ともいえます。

主人公一家はハッピーエンドで終わるものの、
妹であるが、人狼を統率している「何か」を
取り込んだルミを殺すことになってしまった進、
また妹ルミの二人は本作では最大の被害者
なのかもしれません。

町の男たちは人狼と化した女性たちを
なぶり殺しにしたり、獲物と称し、生きた人間を
使うなど、その行動は狂気に満ちています。
彼らもまた「何か」に取り憑かれてしまったのかも
しれません。
ルミや人狼の女性たちよりも
彼らの方が僕は恐ろしい存在に感じました。

しかし赤川さんの作品を紹介するのは久しぶりです。
かなり単発作品読んでるんですが、
全然ですねえ（苦笑

長い夜 (角川ホラー文庫)

• 作者: 赤川 次郎
• 出版社/メーカー: 角川書店
• 発売日: 1997/08
• メディア: 文庫

タグ：ホラー サスペンス 赤川次郎 角川文庫