ヘルたん ヘルパー探偵誕生 [ミステリ]
まずはAmazonさんの紹介ページから。
両親の破産で一家離散となった淳は、浅草の元名探偵・成瀬老人宅の居候となる。
そこへ偶然ヘルパーとして現れたのが、かつて淡い恋心を抱いていたヤンキーの先輩。中本葉月。
淳は葉月のすすめでヘルパーを目指しつつ、成瀬氏の探偵助手も務めることになる。
老人介護と本格推理が見事に融合した浅草人情ミステリー開幕!
老人介護と本格推理が見事に融合した、とありますが、
本書はそんなに甘くない。
また3編が収録されていますが、これは連作短編集です。
主人公・神原淳はいじめが原因で不登校となってしまうも、
とある事によりなんとか高校は卒業。
しかし、両親の破産により一家離散となり、遠縁の田代信策の元で世話になるも、
奥さんが「キレて」しまい、田代さんの紹介で、成瀬老人の元を訪れることに。
そこには、なんと高校時代の先輩で、彼にとって忘れられない出来事を経験
させてくれた、中本葉月先輩が、ヘルパーとして来ていたのだった!
成瀬氏は元々は名探偵として名を馳せていた事が徐々に明らかになりますが、
最初の「バルティアン・ショット-甘い抱擁の謎-」では、長年淳が抱えてきた
謎を見事に解き明かし、未だにその頭脳は衰えていない事を彷彿とさせます。
そして淳も、成瀬老人や葉月先輩との出会い、さらにはひょんな事から、
葉月先輩のヘルパーを携わる事で、ヘルパー2級を取得するという決意を持つ。
そんな時、音信不通の両親から50万の仕送りも届き、
彼は資格取得に邁進していく(「ミラー・ツイン-双子を襲った惨劇-」
そして、第2話「ミラー・ツイン」では、成瀬名探偵からのヒントを元に、
志賀家を襲った惨劇の謎を看破します。
このように書くと、主人公・神原淳の成長物語のような感じを受けますが、
その一面よりも、遙かに大きな問題がこの物語には潜んでいます。
葉月先輩がヘルパーの仕事をなぜしているのか、淳の両親は今どこにいるのか、
なぜ高校時代の担任が上京してきたのか・・・
これらの全ては最終話「シュガー・スポット-愛染明王の涙-」で明らかになります。
が、それ以上に成瀬名探偵には大きな秘密がある事がわかります。
それが「モノローグ」として成瀬氏自身が語る場面。
この「モノローグ」を読むことで、主人公神原淳と成瀬老人の微妙な行き違いが
あるも、まさに探偵と助手として見事なコンビを見せていた関係が、一変するんですよね。
これは実に見事であり、さらにいえばとても悲しい事実を読者は突きつけられます。
ただこの「モノローグ」、最終話最後にだけ挿入されれば、さらにその効果は
大きかったんじゃないかなあと思います。
ただ、最終話で成瀬氏が準備していた対策はこれまたさすがはかつて名探偵として
馳せた名に恥じない活躍でした。これがなければ、淳も葉月もその運命は大きく
変わっていたでしょう。
また最終話では淳の両親が実は心中していた事が明かされ、これまでの「仕送り」は
実は田代氏がしていた事が判明したのも、衝撃だったなあ・・・
本当に最終話では物語が反転するので、このもの悲しくも鮮やかなラストは
印象深い。
葉月先輩はヘルパーを辞め、地元に戻ってしまいます。
しかし今年、本作の続編が発売された事により(!)彼らのその後が再び読める事は
とても楽しみです。
ミステリとしてとても良作であり、その中に人間の老いという避けては通れない
問題をうまく物語に組み込んだ本作は傑作。
今年の「ぼくのこのミス」候補には間違いなく挙がるでしょう(笑
両親の破産で一家離散となった淳は、浅草の元名探偵・成瀬老人宅の居候となる。
そこへ偶然ヘルパーとして現れたのが、かつて淡い恋心を抱いていたヤンキーの先輩。中本葉月。
淳は葉月のすすめでヘルパーを目指しつつ、成瀬氏の探偵助手も務めることになる。
老人介護と本格推理が見事に融合した浅草人情ミステリー開幕!
老人介護と本格推理が見事に融合した、とありますが、
本書はそんなに甘くない。
また3編が収録されていますが、これは連作短編集です。
主人公・神原淳はいじめが原因で不登校となってしまうも、
とある事によりなんとか高校は卒業。
しかし、両親の破産により一家離散となり、遠縁の田代信策の元で世話になるも、
奥さんが「キレて」しまい、田代さんの紹介で、成瀬老人の元を訪れることに。
そこには、なんと高校時代の先輩で、彼にとって忘れられない出来事を経験
させてくれた、中本葉月先輩が、ヘルパーとして来ていたのだった!
成瀬氏は元々は名探偵として名を馳せていた事が徐々に明らかになりますが、
最初の「バルティアン・ショット-甘い抱擁の謎-」では、長年淳が抱えてきた
謎を見事に解き明かし、未だにその頭脳は衰えていない事を彷彿とさせます。
そして淳も、成瀬老人や葉月先輩との出会い、さらにはひょんな事から、
葉月先輩のヘルパーを携わる事で、ヘルパー2級を取得するという決意を持つ。
そんな時、音信不通の両親から50万の仕送りも届き、
彼は資格取得に邁進していく(「ミラー・ツイン-双子を襲った惨劇-」
そして、第2話「ミラー・ツイン」では、成瀬名探偵からのヒントを元に、
志賀家を襲った惨劇の謎を看破します。
このように書くと、主人公・神原淳の成長物語のような感じを受けますが、
その一面よりも、遙かに大きな問題がこの物語には潜んでいます。
葉月先輩がヘルパーの仕事をなぜしているのか、淳の両親は今どこにいるのか、
なぜ高校時代の担任が上京してきたのか・・・
これらの全ては最終話「シュガー・スポット-愛染明王の涙-」で明らかになります。
が、それ以上に成瀬名探偵には大きな秘密がある事がわかります。
それが「モノローグ」として成瀬氏自身が語る場面。
この「モノローグ」を読むことで、主人公神原淳と成瀬老人の微妙な行き違いが
あるも、まさに探偵と助手として見事なコンビを見せていた関係が、一変するんですよね。
これは実に見事であり、さらにいえばとても悲しい事実を読者は突きつけられます。
ただこの「モノローグ」、最終話最後にだけ挿入されれば、さらにその効果は
大きかったんじゃないかなあと思います。
ただ、最終話で成瀬氏が準備していた対策はこれまたさすがはかつて名探偵として
馳せた名に恥じない活躍でした。これがなければ、淳も葉月もその運命は大きく
変わっていたでしょう。
また最終話では淳の両親が実は心中していた事が明かされ、これまでの「仕送り」は
実は田代氏がしていた事が判明したのも、衝撃だったなあ・・・
本当に最終話では物語が反転するので、このもの悲しくも鮮やかなラストは
印象深い。
葉月先輩はヘルパーを辞め、地元に戻ってしまいます。
しかし今年、本作の続編が発売された事により(!)彼らのその後が再び読める事は
とても楽しみです。
ミステリとしてとても良作であり、その中に人間の老いという避けては通れない
問題をうまく物語に組み込んだ本作は傑作。
今年の「ぼくのこのミス」候補には間違いなく挙がるでしょう(笑
31さま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2014-12-24 21:48)
makimakiさま、nice!ありがとうございます~
by コースケ (2014-12-24 21:49)
Ujiki.oO様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2014-12-24 21:50)