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福家警部補の追及 [大倉崇裕]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

善良な”犯人たちの完全犯罪に隠された綻びを、福家警部補はひとり具に拾いあげながら
真相を手繰り寄せていく――。未踏峰への夢を息子に託す初老の登山家・狩義之は、
後援の中止を提言してきた不動産会社の相談役を撲殺、
登り慣れた山で偽装工作を図る(「未完の頂上」)。
動物をこよなく愛するペットショップ経営者・佐々千尋は、
悪徳ブリーダーとして名を馳せる血の繋がらない弟が許せず、
遂には殺害を決意する(「幸福の代償」)。――
ふたりの犯人を追い詰める、福家警部補の決めの一手は。
「刑事コロンボ」の系譜に連なる倒叙形式の本格ミステリ、シリーズ初の中編2編からなる第4集。

以下、ややネタバレ。






シリーズ初となる中編集ですが、倒叙ミステリは、犯人をいかに追い詰めていくのかを、
丁寧に丁寧に、それでいて、読者へは少し隠すという中々難しい叙述を求められるのです。

かつて刑事コロンボのノベルズ版(二見書房刊)が、ほぼ全て長編で刊行されていたように、
本来は長編向きのスタイルなのかもしれません。

本書に収められtた2編は、いずれも犯人側としては、他に取りようがないため
殺人を犯しますが、犯人の思惑は関係なく、福家の捜査は常に不変。

「未完の頂上」は、犯人を追い詰めるのに、犯人に最も親しい、そして守りたい人物を
攻めるという、今までのシリーズとは少し違う方式です。
むろん、福家は犯人の自白を見据えてでしょうが、仮に犯人を追い詰めるとしたら、
他に方法はなかったかなあ・・・と少し考えてしまいました(笑
基本は理詰めで来ているので、福家にしては珍しく情で最後は来たなと言う。

ところで本作では、福家が山登り・ボルタリングでも異常な凄さを発揮したり、
彼女のとの会話や、彼女の何気ない一言で、接した人物たちに良い変化が訪れる
場面が描かれます。
ここは賛否両論あると思いますが、福家を完璧な探偵にしつつある感もあって、
もっと抜けている感を出してもらっても良いのでは、と思いました。

その点、「幸福の代償」では犬が苦手という得手不得手が描かれているのが好印象。
本作は「犬が鳴かなかった」という一点から、一気に事件を再構成していくのが見事。
動物が登場ということで、あの須藤警部補が再び登場!薄巡査は研修だそうです。
薄巡査と福家のコラボはいつ読むことができのか、楽しみで仕方ない(笑
ラストの犯人の追い詰め方も、私はこちらの方が断然好きですね。

読んでいる時間は実に至福でした。続編も楽しみにしています。


福家警部補の追及 福家警部補シリーズ (創元推理文庫)

福家警部補の追及 福家警部補シリーズ (創元推理文庫)

  • 作者: 大倉 崇裕
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: Kindle版



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コメント 5

コースケ

ストックン様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-07-24 16:18) 

コースケ

鉄腕原子さま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-07-24 16:19) 

コースケ

@ミックさま、nice!ありがとうございましたm(_ _)m
by コースケ (2020-07-24 16:20) 

コースケ

31様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-07-24 16:22) 

コースケ

サイトー様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2020-07-24 16:22) 

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