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七人の中にいる [今邑彩]

ペンション「春風」のオーナー村上昌子は21年前、
亡くなった夫・洋一と悪友・肇の三人で自らの出産費用のため、
葛西という医者一家の家に泥棒に入った。
本来なら、クリスマス・イヴの今日、家には誰もいないはずで
すんなりと手に入るはずだった。
しかし・・・
肇による凶行で一家を惨殺するという犯罪を犯してしまう。
それから21年後、「春風」に医者一家殺人事件の復讐予告が届く。

本作は今邑さんがあとがきで書かれていますが、「サスペンス」とのこと。
当事者の立場に立たされた昌子を自分自身に置き換えれば、
その恐怖と不安・焦りは鬼気迫るものですね。

さて本作はやはりいわゆる「犯人当て」ではなく、
ずっと家族同前と思ってきた「春風」なじみの客。
彼らの中に恐ろしい復讐鬼が居るというこの疑心暗鬼と、
実は彼ら常連客も昌子の知られざる一面が
秘められていたという、この順を追って明らかになっていく
彼らの「秘密」、それが非常によく書けていて、おもしろく読めました。

一方、元刑事である佐竹が彼らの調査をするわけですが、
彼自身も、最後の最後に秘めたる思いを吐露しそうになる、
これもなぜ彼が調査をこれほどまでに丹念にしたかの
理由として見事でした。

犯人そのものは案外早くわかるんじゃないかなあと(苦笑
しかし、犯人と昌子のやりとりはまた一読の価値あり。
まあこれは当事者同士でなければわからないことでしょうが。

さて次の今邑作品はどうしようかと悩んでいるところです。
何がいいかな・・・


七人の中にいる (中公文庫)

七人の中にいる (中公文庫)

  • 作者: 今邑 彩
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2010/09/22
  • メディア: 文庫



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