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郷愁という名の密室 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

矢住鼎は誤って老女を殺め、絶望して雪山で自殺を図った。
だが、彼が目覚めたのは秋たけなわの古い温泉宿の一室だった!
目の前にいたのは高校時代の後輩・風早雫、しかも彼女は少女のままの姿なのだ。
異常な背景の中で宿泊客の男女が刺殺され、つづいて若い女性の死体が
完璧な密室状態の部屋で発見される。鼎の幼少時の記憶の謎、風呂に浮かぶ死体の移動、
凶器の刃物の消失―そして密室はいかにして構築されたのか。
奇妙なこの世界で、鼎と雫の前に殺人者の黒い影が迫る。
そして、深夜0時54分。その時、あらゆる知覚が暗転した。驚くべき長篇変格ミステリ。


牧薩次名義の第2長編。
前作「完全恋愛」では牧自身も登場していましたが、
本作ではなんと「あとがき」のみ。
つまり、完全に作中作の作家さん的なポジション。

同じ日が繰り返されるという、不思議な空間に迷い込んだ主人公。
このあたりはさすが辻先生。
そして、なぜ主人公の後輩・風早雫が高校生のままなのか?
ほとんどのヘルパーとそりが合わない芦谷たねと、なぜ鼎は気に入られているのか?
このあたりの謎が最後に一気に収斂していき、
郷愁というタイトルに見事にマッチしたラストでもあります。

ところで、本作で起きた密室殺人は本当に起きたのか?というところが
最後まで明らかにされず。
どこまでが事実で、どこからが彼の夢、イメージの世界なのか?
おそらくその後も芦谷たねから聞く事も、また鼎から聞く事もできないだけに、
殺人事件が起こったのかどうかすら、わからないままなんですよねえ。
だから悪いというのではなく、このあたりのぼかしもうまいなあと。

それと、タイトルの「密室」。これは主人公・矢住鼎の今回体験した
一連の世界(同じ日が繰り返される・リセット)という密室と
その中で起きた密室殺人の密室、そして雫の17年間という密室、
と、まさに「密室」づくしの作品だったんだろうと推測しました。


郷愁という名の密室 (小学館文庫)

郷愁という名の密室 (小学館文庫)

  • 作者: 牧 薩次
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/12/05
  • メディア: 文庫



郷愁という名の密室

郷愁という名の密室

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/10/31
  • メディア: Kindle版



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コースケ

makimakiさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2014-12-29 20:57) 

コースケ

31様、nice!ありがとうございます~
by コースケ (2014-12-29 20:59) 

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