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さかさま少女のためのピアノソナタ [北山猛邦]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

古書店にあった「絶対に弾いてはならない!」と記された謎の楽譜。その旋律をピアノで
奏でた高校生を襲う戦慄の出来事とは。TVドラマ化された表題作をはじめ、
世にも奇妙な5つの物語を収録。美しくも切ない世界が一瞬にして変わる結末、
心ざわつく余韻。これぞミステリの醍醐味。〈『千年図書館』を改題〉

以下、ややネタバレ。






全5編集録のノンシリーズミステリ短編集。
北山さんは「城」シリーズと、引きこもり探偵<音野順>シリーズを読んでいますが、
ノンシリーズは初ですね。
先に一言感想を言ってしまうと、非常に楽しめたので『私たちが星座を盗んだ理由』も
購入しました。

「見返り谷から呼ぶ声」は言い伝えを合理的に解釈するという解決方法が示されて、
(それが事実かどうかはわかりませんが)
かつ、叙述トリックも仕込まれています。結末はもの悲しいんですけどね・・・

「千年図書館」は、やはりこちらも古くからの生け贄という儀式。司書として生きていく
ペルやヴィサスの(ある種の)日常が描かれますが、ラストの結末はある程度は
想像できましたね。とはいえ、この話はこの図書館に「他に」どのような本を所蔵しているのか、
そもそも、生け贄の儀式は何がきっかけで始まったのか、なんかそんな描かれていない
ところばかりが気になりました。

「今夜の月はしましま模様?」は、異星人の地球侵略を描く物語なのですが、
主人公と異星人のやりとりで進む話に、恐ろしさより、むしろコミカルに感じますが、
やはり最後に、どんでん返しのように現れる別の異星人登場で、その雰囲気も一転します。
このアイデアはかなり見事で、そういう<異星人><生命体>か!と。

藤子・F・不二雄先生のSF短編に「考える足」というのがありましたが、あれを
思い出しました。あちらは話し合いが通じましたが、この<異星人>には通用しない、
というか、通用のさせようがない・・・恐ろしいですね。

「終末硝子」は結末が最後までわからず、個人的に本書所収昨の白眉。
いつの間にか、墓を建てる際に高い塔を建て、その上に死者を埋葬(置く)というやり方
になっていた故郷。男爵による恐ろしい行動かと思いきや・・・

いや、どの作品も楽しめます。ノンシリーズで避けていましたが、さすが北山先生。


さかさま少女のためのピアノソナタ (講談社文庫)

さかさま少女のためのピアノソナタ (講談社文庫)

  • 作者: 北山 猛邦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/07/15
  • メディア: 文庫







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コメント 9

コースケ

xml_xslさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2021-10-23 20:48) 

コースケ

サイトー様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2021-10-23 20:48) 

コースケ

鉄腕原子様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2021-10-23 20:48) 

コースケ

@ミック様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2021-10-23 20:48) 

コースケ

ネオ・アッキー様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2021-10-23 20:48) 

コースケ

yam様、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2021-10-23 20:49) 

コースケ

ゆーじあむ様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2021-10-23 20:50) 

コースケ

SORIさま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2021-10-23 20:50) 

コースケ

31様、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2021-10-27 17:46) 

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