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毒薬の輪舞 [泡坂妻夫]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

鳴らないはずの病院の鐘楼の音が聞こえたとき事件が起きた―夢遊病者、自称億万長者、狂信者、
誰も見たことがない特別室の入院患者など、怪しい人物が集う精神科病院で続発する毒物混入事件。
そして遂に犠牲者が…犯人は、使用された毒物は?
病棟に潜入した海方と小湊は事件を解決できるか?海方シリーズ第2弾!

前作とは打って変わって、ある種、閉ざされた孤島での事件のようです。
というより、そもそも事件が起こっているのかどうかすら、
読み進めていっても、ほとんどわからない状態に陥ります。

これは別に悪い意味ではなく、良い意味でなのです。
解説の有栖川先生は、迷路にでも迷い込んだと本書を評しますが、
まさに正鵠を得ています。

入院患者たちのそれぞれの行動、精神病院に隠された謎。
これらは全て、物語の枝葉のようにみえ、実のところ物語の核心なのです。

本当に終盤になり、ある事故(事件?)が起き、
それを含め、舞台となった精神病院でのあらゆる謎が、
一気に収斂され、明かされていく様は、見事というほかありません。
有栖川先生が言う、論理仕掛けの奇談、言い得て妙です。

第1作目とは、作風そのものが全く違いますが、それでも
シリーズものとして読めてしまう、海方と小湊コンビも相変わらずです。
こんな作品があったとは・・・傑作です。


ところで前作と同様、カバーが遠藤憲一さんになっているのですが、
これは海方警部補がドラマ化したら、遠藤憲一さんが適任という
意味なのでしょうか。それは謎として残りました。


毒薬の輪舞 (河出文庫)

毒薬の輪舞 (河出文庫)

  • 作者: 泡坂妻夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/04/05
  • メディア: 文庫



毒薬の輪舞 (講談社文庫)

毒薬の輪舞 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1993/09/15
  • メディア: Kindle版



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