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悪魔のトリック [青柳碧人]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

麻薬の取引現場を押さえそこねて負傷した新宿東署の刑事有馬孝信は、職場復帰後、
不気味な刑事九条一彦の下で特別任務を命じられる。九条によれば、この世には悪魔が存在し、
強い殺意を抱いた人間に一つだけ“悪魔の力”を授けるという。草木を腐らせる力、
水を宙に浮かせる力…不可思議な力と殺しはどうつながるのか?超難解、
離れ業トリックに刑事二人が挑む!

以下、ややネタバレ。




現実では実現不可能なトリックを、悪魔の力により可能にさせ、
それをミステリのトリックとして組み込んだ作品。

しかも何でもできる、ではなく、悪魔から授かる能力は1つだけ。
その能力が直接に人を殺害できる訳ではないため、その力をもって
どのように殺害したのか、いわゆるハウダニットを充分に楽しめます。

2話目ですでに悪魔自身が、悪魔の力で殺人を行っていることに気付いている人間が
居ると犯人に指摘するなど、シリーズものとして描くのではなく、変化球を付けてきている
ところもまた面白い。本来なら何編かハウダニットを続けた上で、このような変化を付ける
気もしますが、本作1作での完結(連作短編集)というのが初めから
構想としてあったということでしょうか。

最初は刑事コンビの物語として読んでましたが、悪魔に詳しい九条に、
なぜ有馬という人物が必要だったのかというのが、物語後半の核となっていきます。
そしてプロローグで描かれた場面についても。

第4話は交換殺人なのですが、悪魔から授かった能力が瞬間移動という、
もうどうにもできないだろうという能力です(笑
しかし、驚くべきはその能力をも凌駕した九条でしょう。

最終話で全ての謎が明らかになりますが、彼らの捜査は相当長い道のりです。
できたら時折二人の活躍する短編が読みたいなあ。



悪魔のトリック (祥伝社文庫)

悪魔のトリック (祥伝社文庫)

  • 作者: 青柳碧人
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2019/05/15
  • メディア: 文庫



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