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メインテーマは殺人 [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

自らの葬儀の手配をしたまさにその日、資産家の老婦人は絞殺された。彼女は、
自分が殺されると知っていたのか?作家のわたし、ホロヴィッツはドラマの脚本執筆で
知りあった元刑事ホーソーンから、この奇妙な事件を捜査する自分を本にしないかと誘われる…。
自らをワトスン役に配した、謎解きの魅力全開の犯人当てミステリ!
7冠制覇の『カササギ殺人事件』に並ぶ傑作!

書き手であり、一人称の「わたし」を使い、物語を進めるのが、作者の分身(?)
ともいうべき、ホロヴィッツ。探偵役はホーソーンという元刑事。
関係性は非常に微妙ながらも、ホームズ&ワトソン型のシリーズとして
中々面白く読みました。

資産家の老婦人であるダイアナ・クーパーがなぜ殺されたのか、
そしてその事件を本にまとめようという依頼を突然持ちかけられたのがホロヴィッツ。

第一章を見せて、全てに駄目だしをくらい、憤然とするホロヴィッツですが、
次第もホーソーンを先んじようとする試みが出てきたり。

スピルバーグとの会話の最中に、突然ホーソンが割り込んでくる場面は
現実的ではないにしろ、物語上でも、ホーソーンの人格を疑ってしまいましたね。
そこまで変人として描かれているわけではないので、余計にホーソーンの振るまい
だけでなく、この場面そのものが奇妙に感じました。

ところで、現実の事件の捜査とともに、その捜査過程などの本も執筆しているという
設定が、実は事件解決のヒントでもあるというのが、本作最大のアイディアではないでしょうか。

ホーソーンに指摘された「事実だけをきっちり書きしるし」というのも、
物語終盤でようやくその意味がわかるんですよね。

息子であるダミアン・クーパーが殺害されたことで、私自身も、途中ホロヴィッツが
披露した推理と同じ事を思いましたが、あっさりホーソーンに袖にされました(笑)。
このあたりは、完全に作者のミスリードに嵌まったなと思います。

なお、解説を読むと、本作はシリーズ物第1作のようです。
つまり、ホーソーン&ホロヴィッツは今後何作にもわたりコンビを組むわけですね。

その点を加味すると、本作で触れられたホーソーン個人のことなどは、
今後のシリーズに期待でしょうか。


メインテーマは殺人 (創元推理文庫)

メインテーマは殺人 (創元推理文庫)

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/09/28
  • メディア: 文庫



メインテーマは殺人 (創元推理文庫)

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  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/09/27
  • メディア: Kindle版



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