奇術探偵曾我佳城全集 上 [泡坂妻夫]
まずはAmazonさんの紹介ページから。
若くして引退した、美貌の奇術師・曾我佳城。普段は物静かな彼女は、
不可思議な事件に遭遇した途端、奇術の種明かしをするかのごとく、鮮やかに謎を解く名探偵となる。
殺人事件の被害者が死の間際、天井にトランプを貼りつけた理由を解き明かす「天井のとらんぷ」。
本物の銃を使用する奇術中、弾丸が掏り替えられた事件の謎を追う「消える銃弾」など、
珠玉の11編を収録する。
講談社文庫から刊行されていた『曾我佳城全集』を底本にしつつ、
発表順に再編集したのが創元推理文庫版となります。
以下、ややネタバレ。
これまで数多くの作品で泡坂ワールドを堪能してきましたが、
奇術師である御大の真骨頂ともいうべき作品が本作なのかもしれません。
最初の「天井のトランプ」から、その魅力は存分に発揮されます。
レギュラーキャラクターとなる竹梨警部も登場。
カードマジックという、奇術の基本から入るのも良いですね。
次作「シンブルの味」は奇術大会を見る団体が突然登場し、
あれ佳城は・・・?と思いきや、「大岡佳子(おおおかよしこ)」がなんと曾我佳城!
考えてもみれば、すでに彼女は引退しているわけで、本名を名乗っているという
のは不思議でもなんでもないのです。しかし、私はこの名前の問題こそが、下巻に続く
壮大なトリックの足がかりでもあるのです。これが実にうまい。
戯曲風の文体で描かれる「白いハンカチーフ」も印象的。
テレビの生放送内での事件解決で、最後も番組終了で締めくくるという、
テレビやマスコミの風刺ともいえるラスト見物。
もう一人のレギュラーキャラクター、いや佳城の弟子となる串目匡一が初登場する
「消える銃弾」、銃弾のトリックも見事なのですが、もの悲しい結末なんですよね。
「シンブルの味」に通じるものもある「石になった人形」。
昔の見世物小屋的なことを想像したりもしましたが、ここでは佳城のこれまでとは
違った一面を竹梨警部が発見してしまう所が一番の衝撃でしょうか。
ラスト「剣の舞」はこれまたもの悲しい物語。
「わたしには悲劇でした」と平然と話す佳城が印象的です。
佳城と串目匡一の魔術城への道程は下巻へと続きます。
若くして引退した、美貌の奇術師・曾我佳城。普段は物静かな彼女は、
不可思議な事件に遭遇した途端、奇術の種明かしをするかのごとく、鮮やかに謎を解く名探偵となる。
殺人事件の被害者が死の間際、天井にトランプを貼りつけた理由を解き明かす「天井のとらんぷ」。
本物の銃を使用する奇術中、弾丸が掏り替えられた事件の謎を追う「消える銃弾」など、
珠玉の11編を収録する。
講談社文庫から刊行されていた『曾我佳城全集』を底本にしつつ、
発表順に再編集したのが創元推理文庫版となります。
以下、ややネタバレ。
これまで数多くの作品で泡坂ワールドを堪能してきましたが、
奇術師である御大の真骨頂ともいうべき作品が本作なのかもしれません。
最初の「天井のトランプ」から、その魅力は存分に発揮されます。
レギュラーキャラクターとなる竹梨警部も登場。
カードマジックという、奇術の基本から入るのも良いですね。
次作「シンブルの味」は奇術大会を見る団体が突然登場し、
あれ佳城は・・・?と思いきや、「大岡佳子(おおおかよしこ)」がなんと曾我佳城!
考えてもみれば、すでに彼女は引退しているわけで、本名を名乗っているという
のは不思議でもなんでもないのです。しかし、私はこの名前の問題こそが、下巻に続く
壮大なトリックの足がかりでもあるのです。これが実にうまい。
戯曲風の文体で描かれる「白いハンカチーフ」も印象的。
テレビの生放送内での事件解決で、最後も番組終了で締めくくるという、
テレビやマスコミの風刺ともいえるラスト見物。
もう一人のレギュラーキャラクター、いや佳城の弟子となる串目匡一が初登場する
「消える銃弾」、銃弾のトリックも見事なのですが、もの悲しい結末なんですよね。
「シンブルの味」に通じるものもある「石になった人形」。
昔の見世物小屋的なことを想像したりもしましたが、ここでは佳城のこれまでとは
違った一面を竹梨警部が発見してしまう所が一番の衝撃でしょうか。
ラスト「剣の舞」はこれまたもの悲しい物語。
「わたしには悲劇でした」と平然と話す佳城が印象的です。
佳城と串目匡一の魔術城への道程は下巻へと続きます。